<鳥取県青少年健全育成条例について> |
このたびの改正趣旨は、いわゆる脱法ハーブ等の薬物の不正使用を誘発する図書類の販売等を自主規制の対象とするための改正です。
憲法が保障する表現の自由等の議論については、さきの一般質問で議論が行われたところですが、私は、条例改正による効果を県民の目線でより実効性のあるものにするために考えてみたいと思います。事前に申し上げておきますが、私自身は違法薬物から子ども達を守るためには、より積極的な規制は必要との観点から、基本的に条例の改正には違和感がないことを申し上げておきます。 県と県警が合同で8月に行われた県内の店舗等への訪問調査においては、脱法ハーブ並びに脱法ドラッグと疑われるものを販売している店舗、施設はないとのことで少し安心はしましたが、東京、大阪、愛知を中心に若者の間で蔓延し、交通事故や事件の引き金となるなど、都市部においては大きな社会問題となっています。県内に脱法ハーブ等の薬物の侵入を未然に防ぐためには、啓発はもちろんのこと何らかの規制はある程度必要であると思います。
ところが、このたびの条例改正案は、「人の精神の興奮若しくは抑制又は幻覚若しくは催眠の作用を有し、人の身体にみだりに使用すると健康に被害を生ずるおそれのある物」と、極めて抽象的な表現で、暗に脱法ハーブ等の薬物を示したものと一般的には理解しがたい表現となっています。脱法ハーブ並びに違法ドラッグと疑われるもの等、もっと具体的な表現をつけることが必要ではないかと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
これについては非常に悩ましく、我々今回条例を提案をさせていただきました。実は議員も多分同じ思いなのだと思いますが、こういう脱法ハーブを放置しておくわけにはならないだろうと。なかんずく子ども達の目に触れるような場に置いてはならないし、それは恐らくコンセンサスが得やすいところではないかと思いました。ただ、鳥取県として条例を出すに当たり、その定義規定をしっかり書いて、こういうものを取り締まりますよと本当は書きたかったのです。しかし、残念ながらなかなかそれだけの分析能力とか、そういうところに到達していません。なぜなら、脱法ハーブをどういうふうに規定したものかというのを、厚生労働省がみずからまだ考えておられると。ふわふわしたものなのですが、マスコミ等で流布して、一般には脱法ハーブといえばそんなものだなというのがわかるようになったわけですが、ただ、法律の世界でどう表現するかとなると、なかなか難しいということでした。
したがって、いろいろと考えたわけですが、先ほど議員のほうから指摘があった表現で、こういうような作用を起こしますよと、そういうものはどのみち青少年の健康を害しますので、そういう規定の仕方で今回はお諮りをしてはどうだろうかと考えています。
ただ、今回この条例はこういう形で出させていただきましたが、多分脱法ハーブについてのさまざまな法規制なり分析が今後進んでくると思います。そういう時間軸の中で、よりわかりやすい、より適切な表現の条例へと今後改めていく所存です。
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<鳥取県青少年健全育成条例について>bQ |
青少年健全育成条例、本当に悩ましい中での条例改正の提案だったと理解はします。しかし、脱法ハーブ並びに違法ドラッグと疑われるもの等の使用方法や使用を助長する記載がされている図書類が、俗に言う有害図書になるわけですが、その規制を何とかかけたいということが見え隠れはするのだけれども、あらわれていないという部分だと思うのです。やっぱりそういう規制をかけるなら規制をかけるような規定根拠を明確にするということが必要ではないかと私は思っています。
他県では既にかなりの県が実施しているようですし、自主規制でなく、例えばどういう図書が有害図書なのか、自動販売機でポルノ雑誌を有害図書と指定したときには、有害図書類指定審査会が指定して、販売の規制をかけていましたが、やはりこのたびも具体的に図書を示すことによって、より実効性が高まってくるのではないかないかと思いますが、知事の所見を、もう少し突っ込みたいということがありますので、このたびはこのたびとして条例はそれでいいのですが、次には、そういう実効性をもう少し高まったものにしたら、と思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
詳細は子育て王国推進局長からお話ししたいと思いますが、我々として、今注目しているのは、1つは厚労省のほうでの基準づくりです。これが進んでくれば、包括指定と言われるわけですが、こういうような化学式を持ったもの、化学構造持ったものについてという、そうした指定の仕方をしようかということのようですが、その辺を今注目しています。これが見えてくれば、改めて薬物依存を防止するためのこの脱法ハーブを含めた薬物の取り締まり条例のようなことを本当は考えなければならないか、と思っています。
今、議員のほうでも御指摘いただきましたように、もっと突っ込んだ規制が必要なのではないかというのも非常によくわかるわけで、ちょっとその辺も含めて検討してみる必要があるかと。あわせて、これは大人も含めた薬物使用の制限ですが、青少年健全育成条例についても有害図書の規制という実効性のある、今度は罰則のあるところになりますが、構成要件も明確になるような脱法ハーブ規程が国のほうでできて明確になったその暁には、それを援用させていただきながら、有害図書ということも可能になるかもしれないと思っています。
いずれにしろ、今、世間が動いている部分があります。当面、今々できることでいいますと、自主的な協力を求めながら、青少年への波及を封ずるという意味での健全育成条例改正が今のところの我々の手段かな、と考えています。
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●末永子育て王国推進局長答弁 |
全国で有害図書指定をしている都道府県ですが15都府県あります。個別にこうした本が有害図書であるという指定を行われているところです。罰則を伴う青少年への販売の禁止といった内容です。 具体的にどのような本かということですが、脱法ハーブも含めて薬物の具体的な使用方法だとか、あるいは入手方法、そういったものを具体的に示すいわゆるマニュアル本、ハウツー本、そういった類いのものが有害図書として指定されている状況です。 今回の条例改正の経緯、考え方等については、先ほど来知事から答弁申し上げているとおりですが、有害図書指定についても、脱法ハーブを含む薬物乱用から青少年を守るという観点から大変有意義であると考えていますので、国の状況等を見きわめながら、今後検討を進めていきたいと考えています。
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<鳥取県青少年健全育成条例について>bR |
先ほど知事の答弁もありましたように、厚生省も動きはあるのですが、脱法ハーブ並びに違法ドラッグは、指定薬物の分子構造の一部を少し変えるなどして次々開発されて、より巧妙化すると。いわゆる悪知恵とのイタチごっこの世界で、薬事法という法律の規制がなかなか悪知恵についていけないというのが現状ではないかと思っています。
また、インターネットで検索すれば、あらゆる情報を安易に入手することができますし、脱法ハーブは心を癒やすなどと言葉巧みな表現もあり、いつまでも啓発中心の規制ではなかなか封じ込めることは極めて困難だと私は思っています。一部の都道府県では、製造、販売を規制する条例を制定する動きがあります。薬物から青少年を守り、犯罪の未然防止の観点から、事前に法律で許容される範囲内で最大限の網をかぶせることも私たち大人の責任であると思っています。
ある県では、県内流入の未然防止を徹底し、いち早く対応するため、研究などの目的を除き、既に使われていたり、使われるおそれのある脱法ドラッグを知事指定薬物に指定し、製造や栽培、販売、使用などを禁止する条例の制定が検討されているところがあります。鳥取県においても、こうしたより積極的な条例の制定が未然防止の観点からは必要でないかと思います。知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
議員のほうから御指摘いただいたことも踏まえて、他の県の状況もよく調査させていただき、より一層踏み込んだ規制のあり方も検討してみたいと思います。現状を申しますと、薬事法が平成19年に改まり、国指定薬物というのができました。それで、議員のおっしゃるようなイタチごっこが始まるわけです。要はこれが取り締まり対象の指定薬物だということになっても、そうすると今度は別の化学式に基づいてやってくる。ちょっとずつ変えて、同様の効果を持つ薬物が次から次へと生まれてくる。海外からも入ってくる。これが現状です。
ただ、これが非常に根深く浸透し始めていて、一般の小売店のようなところでも大都市部ではハーブと称して売り始めた。これが脱法ハーブです。これが凄惨な交通事故を引き起こしたり、幻覚症状により、あってはならない残忍な事件を起こしたり、そういうところにもつながりますし、特に青少年のころにこれにむしばまれると人生を棒に振るという、大変大きな影響をもたらすわけです。だから、こういう新しい社会悪に対して、私たちは毅然として対峙していかなければならないと思います。 東京都は、別に薬物のふるさとではありませんが、そういう問題が最初に起こるところです。人口が集積していますし、海外からもいろいろなものが入ってきます。大阪もそれに準じたところで、そういうところで必要に迫られて、東京都では、かなりいろいろな分析ができる機能をつくられました。ですから、今では東京都がまちで起こっていることを取り入れて、自分たちで調査して、それを厚労省のほうに持ち込むと。厚労省が何カ月かおくれて、それを追っかけて指定をするというようなことが現実に起きています。そうなのですから、東京都としては、国の指定を待たずに知事指定薬物ということまでやって、取り締まりを早めて行うということを始めておられます。
大阪府も、先般凄惨な事故がありました。その原因の引き金が脱法ハーブだったわけで、これも松井知事がこの9月議会に提案されておられます。東京都と同じように、指定薬物を府独自でつくり、そういう薬物の乱用を防止する条例だったですかね、そういう名前の条例をつくり、要は社会からこういう薬物を一掃しようというのを条例で書きました。
実は大阪でそういうことが起きると、あってはならないことですが、大阪で追い出されて、よそへやってくる可能性があるわけです。ですから、私はできるだけ早いタイミングで、私どものところでも同様の措置がとれるような条例規制というのは合理的だろうと思いますので、伊藤保議員が言われるような、より突っ込んだ、他の県でやっているような取り組みもあってもいいというのは、ぜひ研究して、できるだけ早く素案なりを考えてみてもいいか、と思います。既に他県で例ができ始めていますので、私どももそれを参考にさせていただきたいと思います。
ただ、残念ながら県の衛生環境研究所などで、東京都のように独自に薬物指定する、そういう化学式を明らかにして、どういう特性を示すかという分析がやり切れないところがあります。恐らく、国がかなり包括的な指定をして、それで脱法ハーブというものを根こそぎ禁止するような、そういう薬事法をつくられると思いますので、それがあれば我々なりの条例規制は可能なレベルに来るのではないかと思います。そういう国の制度を一定程度援用しながら、薬物使用撲滅条例とでも言うような、そういう条例規制を、これは大人に対しても行う必要があるのではないかと思います。
それと並びで、さらに青少年のところも有害図書等の波及をもたらせれば、一応我々の社会防衛の素地が整うのではないかと思います。ただ、もう少し時間をいただき、この議会が終わった後、他の県の状況なども総合して検討させていただきたいと思います。
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<鳥取県青少年健全育成条例について>bS |
青少年健全育成条例というか、その薬物については、まだまだ本当に厳しい部分があろうと思いますが、しっかりと対応を検討していただきたいと思います。
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