<農作業中の事故防止について> |
農作業中の事故防止対策については県でも対策協議会を立ち上げ鋭意JAの皆さんとも啓発に努めておられますが、私の周りでも、今年の春、50代の男性がトラクター事故で尊い命を落とされました。毎年身の回りでも働き盛りの皆さんが事故により命を落とされ、残念な思いです。
きょうは、改めて農作業中の事故防止に全力を挙げる観点から議論したいと思います。
農林水産部からの資料によると、県が平成20年度から把握している農作業中の事故は、この6年間で53件、22人の方が亡くなられています。死亡事故の原因を見ると、やけどで1人、熱中症で3人、そのほか1人、残りの17人の方は農機具を操作している最中に何らかの原因で亡くなられています。また、重症と思われる17件も農機具操作中の事故です。また、死亡事故の要因となった農機具は、トラクターが6件、次いで動力運搬機が5件となっています。さらに、地区別の事故発生状況は、中部地区が23件、西部地区が18件、東部地区は12件となっており、市町村別に見ると、農業地帯である大山町、琴浦町、北栄町で22件と全体の4割を占めています。
こうした現状を見る限り、十分に危機感が浸透していないように思います。県としてどのようなことに重点を置いて啓発されているのか、今後の取り組みを含め、平井知事にお伺いしたいと思います。
病院などで農作業中にけがをされて通院される方にたまに出会います。県の情報収集がどのように行われているのかわかりませんが、県の情報収集は不十分であると思います。現実はもっともっと事故が起きていると私は思います。事故防止のためには、発生した事故の事案をしっかり把握し、分析することが必要だと思います。
改めて事故事案の情報収集のあり方を検討すべきと思いますが、平井知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
農作業事故というのは今もありますし、議員がおっしゃるように、まだ水面下に事故件数が眠っているのかもしれません。見えない部分もあるかもしれません。そういう中で、議員がたびたびおっしゃいます農作業の機械による事故ですね、これは深刻な事故も最近も発生していますし、交通事故との対比で考えれば、これもその防止にもっと注力してもいい分野だろうというのはおっしゃるとおりだと思います。
実はいろんな事故のパターンというのがあるわけです。例えば交通事故であれば危険な交差点というのは大体わかっていて、そこで出会い頭にぶつかるとか、そういう事故があるとか、それから居眠りであるとか、そうした幾つかのパターンがあるわけです。
農作業の機械も同様で、例えば耕運機は後退時に事故が起きるパターンというのが多い。トラクターは圃場から出てくる、あるいは入るという出入りの際の転倒、転落の事故、こういうものが多い。セーフティーバーがつけてあってもそれを使っていなかったために命を落としてしまった。これはシートベルトをつけようとかチャイルドシートをつけましょうという自動車のことと同じ一つのマナーというか交通の基本であるかと思うのでが、それを残念ながらやっていなかったために死亡事故に結びついてしまったということもあります。
ですから、交通事故と同じように、このような事故についてもその対策を従来よりも強化してとっていくべきではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。これから関係者ともよく話をしてみたいと思いますが、新年度に向けて死亡事故をなくそうというキャンペーンを関係者と一緒にやったり、従来も実は説明パンフレットをつくっております。ただ、お年寄りの事故が多いのです。実に70歳以上の方が3分の2を占めるのです。大体農業の高齢化ということとリンクしている面もあるかと思いますが、そういう方々にもわかりやすいようなパンフレットをつくっていかなければならないと思います。その辺、モデルチェンジを政策面でもして、議員の問題意識に応えられるように検討したいと思います。
さらに、農作業中の事故についての情報収集が不十分ではないだろうかということです。
これについては、現在は農作業安全推進員という方が各市町村で1人ないし複数任命されています。この方々が事故のレポートを市町村や県の方に出す、こういう仕組みを長く続けています。
ただ、この仕組みをもっと動きやすくする必要があるかもしれません。と言うのも、この安全推進員、これは非常にありがたいのですが、実はJAの方がやっているのです。要はJAの機械を売っておられるような方々、こういう方々がこれに任命されていて、それでレポートを書くと5,000円の報酬を県が払うと、こういう仕組みなのです。それが果たして合理的なのかどうかということがあるかと思います。
議員も今ちょっとにっこりされましたが、大体お察しのように、JAの方にしてみたら、このレポートを書くのは仕事の中でやっているような話ですから、それで5,000円もらうのはおかしいので、私は受け取りませんという人も結構いるのです。制度としてちょっとどうかと思います。もっと多くのレポートが寄せられやすいように、各市町村1人の人が、JAの方が見聞きしたところでの入った事故を報告するという以上にもっと、事故があったらお知らせくださいと。役場とか県の普及員とか、そうしたところにもっとフランクに、別に報酬を払うのでなくていいと思うのですが、入るような仕組みをつくるべきだと思います。
交通事故であれば、道路交通法上報告義務があって、事故があったら報告しなければならない。それに対しては罰則もあります。警察が調書をつくるという一つの一連のシステムが強制力を持ってつくられているのです。しかし、農作業の事故のほうはまだまだそういうレベルで、もっと現代風に従来よりもいろんな機械を使います。スピードスプレーヤーだとか、便利だが危険性もあるというものもふえていますので、そうした意味では情報収集のあり方も改善を検討させていただきたいと思います。
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<農作業中の事故防止について>bQ |
先ほど事故事案の把握が不十分でないかと申し上げましたが、私が県警に平成20年度以降の農作業者の事故状況について問い合わせたところ、18件の事故報告をいただきました。このうち農林水産部の資料と重複している事故はわずか3件で、残りの15件は農林水産部で全く把握されていないことがわかりました。交通事故として取り扱われた事故事案の内容を見てみると、事故のほとんどが動力運搬車で、国道並びに県道上で追突並びに衝突された第2当事者の事故ばかりでした。つまり圃場や農道から交通量の多い国道や県道に出て走行中に事故に巻き込まれたものと想定される事案ばかりでした。しかもその事故の大半は死亡事故か重傷事故という極めて注目しなければならない事案ばかりでした。県として、なぜこうした交通事故の事案を県警と連携しながら積極的に把握されてこなかったのか、何回も言うようですが、農作業中の事故をなくそうという気構えが本当にあるのか私は疑っています。
それと、先ほども情報提供者の話がありましたが、この事故と取り扱う、対象とする定義すら、農林水産部の報告書を見るとわかりません。改めて事故事案の収集方法を検討され、本当に実態に合った事故防止、そのために分析してしっかりアピールする、注意を喚起する、そのことが必要だと思います。私も要するに動力的な農機具を我が家で10台扱っています。その都度扱いが違いますから、いわゆる勘違いのような操作もするのです。ギアが前に入っていると思っていたらギアが後ろに入っていておっとっとということもあります。冷やりとすることもあります。はっとすることもあります。そういう意味を含めて改めて知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
農作業の事故について詳細は農林部長のほうから申し上げたいと思いますが、議員がおっしゃるとおり、警察との連携も十分でないのではないかと思います。結局農業用の機械の場合、どうしてもスピードが遅いので多分追突されるということではないかと思います。そういう意味で、公道上での交通事故として整理をされている、そういう事故もあるのかもしれませんが、本来は同じものとしてまとめて、我々も例えば啓発活動を行ったり事故対策を進める必要があり、現在の農作業安全推進員の方が報酬をもらいながらペーパーを書くということだけで情報収集がいいのかどうか、これは見直すべきではないかと思います。当初予算の中で組みかえを図り、警察とも相談をしたり市町村やJAとも相談して今後の体制づくりを考えたいと思います。
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●西山農林水産部長答弁 |
鳥取県の事故情報の収集の方法は、農作業安全推進員を県内に26名任命しています。これは市町村長からの推薦を受けて県が委嘱しています。ほとんどがJAの農業機械の担当の職員の方が委嘱されており、仕事を通じて情報収集が一番しやすいだろうということで任命しています。
この安全推進員は、基本的には本来業務を行いながら口コミで情報収集されていて、御指摘のあったように、細かな情報収集は困難であるということも事実だろうと思います。
特に、本県では被害対策の分析をするということに重点を置いており、その被害報告は6ページに及ぶかなり詳細なレポートを求めています。こういうやり方をやっているのは中国地方では鳥取県だけということがあり、国のほうからは鳥取県のような分析手法が望ましいという評価もいただいております。ただ、全容を押さえるという点で不十分な点がありますので、来年度に向けて関係者の意見を聞きながらいい体制をつくっていきたいと考えます。
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<農作業中の事故防止について>bR |
農林水産部の事故防止、私も本当にこれまでも口酸っぱく言ってきました。農林水産部で資料を見る限り、私はトラクターが一番事故が多いと思ったのです。ところが県警と照合してみると、トータルするとトラクターはわずか6件、動力運搬機が20件なのです。そうすると、安全対策の取り組みが全然違うのです。だから、農林水産部の情報収集は何をやっているのだというのが私の思いなのです。本当に事故死亡者ゼロを目指すつもりがあるのかと。50代、60代の尊い命が亡くなっているのです。私は農林水産部にもっともっと危機感を持ってほしいのです。
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