<公共事業の発注状況について> |
国の経済対策に呼応する形で、我が県においても2月県議会で 172億 3,200万円の公共事業が補正予算として計上され、24年度当初予算と合わせて
659億 5,800万円の大型経済対策となりました。さらには、25年度当初予算においても 450億 9,600万円の予算が設立しました。今年度も半年経とうとしているわけですが、2月補正予算の年度内発注状況並びに2月補正予算並びに25年度当初予算の8月末での発注状況についてお尋ねしたいと思います。
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●長谷川県土整備部長答弁 |
まず平成24年度2月補正経済対策予算、県土整備部所管ベースでいくと、工事と委託費を含めて、年度末の3月までに約46%の発注状況です。また、平成25年の6月末までに75%、8月までに約85%の発注状況となっています。
次に平成25年度予算、これは6月補正も含むものですが、8月末時点で約52%と、例年並みの発注状況ということです。
現在は上半期、9月末に向けて、2月補正経済対策予算のほぼ全てを発注するように取り組んでいますし、25年度予算については約7割の発注を目指して鋭意取り組んでいるという状況です。
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<公共事業の発注状況について>№2 |
2月県議会で知事は、この14カ月予算を見ていただくと用地関係は 1.3%で、ほとんどの工事費系のほうになりますと、それは身近な交通安全対策、子ども達の通学路とか、あるいは修繕系、長寿命化対策とか防災・減災対策、こういうところにかなりのウエートを置いていますと、用地を取得することがない公共投資のあり方を今回あえて鳥取県として積極的に適用させていただきましたと答弁されました。また、当時の土木部長は、この 137億円を年度当初、もう既に発注を進めていますと、できるだけ3月、それから4月、5月の間に発注を終えて、夏場に入り速やかに当初予算の発注のほうに入っていけるようにしたいと思っていますと答弁されました。質問した私に対して、要らぬ心配は無用というような感じで私は受け取りましたが、こうした力強い思いがあったにもかかわらず、発注がこのように現実的におくれてきた原因は何なのか、改めてお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
さまざまな要因でおくれてはきていますが、それでも他県よりはスピード感はあって、その辺はぜひごしんしゃくいただければと思います。
ただ大事なのは、そういうスピード感を持って事業を実施して、地域の中に成果があらわれることだと思います。その意味では、県庁内の組織を今後もフル動員して、目標達成に向けて一歩でも前進させていきたいと思います。 |
●長谷川県土整備部長答弁 |
議会に認めていただいた経済対策補正予算、できる限り早期発注に努めてきました。しかし、6月末までは用地取得のないものだとか、あるいは道路補修、あるいは橋梁修繕、あるいは交通安全対策、このようなものを集中的に発注してきました。補正予算の工事委託費の発注対象は約
650件。そのうち6月末までに 410件を発注しました。額にして、先ほど申し上げたように75%ということです。未発注金額は約29億円。この内訳を見ると、まずは設計作業に時間を要するもの、それから用地取得が必要なもの、それから河川工事というのは出水期を避けるので、出水期を避ける必要のある工事、あるいは他の工事との調整が必要なものなどがあり、それが工事にして約
180件ということです。現在この工事が9月末までにほぼ全て終わるように、地方機関は積算発注に鋭意努めているところということです。
それと、全国的な発注状況、これは総務省が調査をしています。経済対策補正予算も含むもので、25年度の投資的経費の発注状況です。鳥取県の場合は6月末で44.3%ということで、全国的に見ると6位ということでそれなりに我々としては頑張ってきましたが、議員ご指摘のようなことです。
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<公共事業の発注状況について>№3 |
公共事業では平年並みということなのですが、これが平年ですか。平年並みというか、また事業をあれだけ平年並みに繰り越しするのですか。これは繰り越しを前提の平年並みではないですか。本当は経済対策でやるならば、もっともっと計画どおりにやって、地域の経済対策が潤う形にならないといけないでしょう。建設業者は西部のほうは今は忙しいですね。西部は何か民間も非常に活発ですから業者は忙しいですが、中部、東部は余り忙しくないと業者の皆さんは言っておられます。特に市町村もそうなのですが、やはり発注の遅れの原因は、まず国への手続が面倒、国の認証が遅れて事業に着手ができない、そういうことがやはり特に市町村ではあるようです。経済対策はスピード感が勝負と総理が言っておられます。事務手続の簡素化はもともと国に要望すべきと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
それと、公共事業は発注するまでが業務の7割と言われていると思います。工事の説明会、用地交渉、用地契約、登記事務等、現場の職員は本当に大変です。近年、公共事業の削減に伴い、実を言うと技師も大量に削減されてきました。突然経済対策だ、何とかしろと言われても、本当に現場の皆さんは大変だと思います。震災で宮城県にも技師を派遣しておられるでしょうし、特にこのたびも豪雨で災害復旧工事等も入ってきています。本当にこんな状況で自信を持って後世に残せるいい仕事が、インフラ整備ができるのかと思います。現場の土木の職員は歯がゆい思いだと思いますが、知事の所見とこれからの人的対応を含めたあり方についてお伺いしたいと思います。
特にやはり用地交渉というのは大変です。山陰道は通りました。非常に高い契約で、県とは断然違うような価格で土地の売買は行われています。そういう情報を地域の皆さんが持っておられるので、これからの用地買収はなかなか進まないと思います。本当に県は公共用地評価委員会と言われますから、なかなか現場の職員がそれを超えての用地交渉というのが極めて難しい。そうした中で、安くても公共用地として交渉が成立するというのは、やはり現場の職員と、それから地権者との信頼関係だと思うのです。それだけ現場の職員は大変なのです。どちらかと見ていますと、いわゆる本庁のほうは経済対策だ、何か総量をこれだけ補正予算しました、経済対策やりましたと言っておられるが、現場の職員がそれを本当にこなせるような体制があるのか、もう少しその辺を検討してみていただきたい。結局、2月の議論でもやりましたが、補正をかませた、多分また経済対策でさらに入ってくるでしょう。そうすると、今年度事業はさらに翌年に突き出しになってしまうのです。それが平年並みなのですか。違うでしょうと。25年度予算は原則25年度でしまうというのが原則でしょう。今の県土は繰り越しをするのが当たり前、平年並み、こういう感覚だと思うのです。市町村はそれはで済まないのです。それこそ、いわゆる翌年に繰り越しするということは、よほどの理由がない限り議会を通りませんから。
そういう意味で、私が今言おうとしたのは、答弁にあった平年並みの感性が私どもとは少し違いますよと。25年度予算を25年度にきちんと執行する、それが普通の当たり前の考え方です。それで経済対策が必要とするなら、26年度予算はせめて3月いっぱいまでに県土の職員が用地交渉も設計も何もできて、4月にいわゆる入札ができる形、それが本当の理想の形なのです。そういう意味で、私は改めて知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
繰り返しお話があった平年並みということのあり方、繰り越し等の今後の取り扱いについては、県土整備部長からまとめてお答えしたいと思います。
国への手続等で簡素化が必要ではないか、それでないとなかなか進まないということです。これは全く同感で、国も財務省や国土交通省も、このたびの経済対策で一定の配慮はしてくれたと思います。ただ、議員もいわれたように、これから消費税の議論はどうなるのか注目されるところですが、2月とか1月とか、そうしたタイミングかもしれません。また、経済対策があるだろうと。その中には5兆円規模という議論も出ているわけですが、公共投資も入ってきそうだという報道が始まっており、また同じように年度末のぎりぎりのところで出てくる。ですから、さっき繰り越しの話もありましたが、そういう意味で私たちとしても気になるところで、手続の簡素化をこれは国のほうに引き続き求めていきたいと思います。
土木職員の皆さんが歯がゆさがあるのではないか、そういうことや職場の体制確保についての今後の対応をということです。これについては、一つには職場環境を改善していく、これは定数の配置も必要に応じてやっていくということも含めて取り組んでいく必要があると思います。
また、人材育成、これも重要な課題です。今、JR北海道がたび重なる事故で社会問題化していますが、いろいろ出てくる報道の中では、真偽はよくわからないこともありますが、結局若手と、年齢層がぶち切れているところです。だから十分人材育成とかコミュニケーションができていないということに尽きるのかと思います。そういうことは行政のレベルでも起こらないとも限りません。特に図面も引けないということではいけませんし、いろんな研修を積まなければいけないこともありましょう。その辺を含めて人材育成をしっかりやっていく必要がある。
それから、どうしても災害が起こったりしますし、他県への応援ということもされるのなら、それはある程度、日本全体がやりくりしながらやっていることですので、我々も対応しなければいけない場面もある。そうすると、仮に欠員が出るということであれば、あるいは人手が足りないということであれば柔軟に機動的に、本庁だ出先だということではなくて職員を充てていく、そういう柔軟性のある機動的な職員配置、これも必要だろうと思います。こうしたことをやりながら、事業の進捗を図っていける体制をつくっていきたいと思います。
東北の震災への応援等がありますが、こういうようなことでいろいろと職員は出かけていくわけですが、決して否定的なことが、職員の側から聞こえてくるわけではありません。むしろ経験を積ませてもらったとか役立ち感というのを味わったり、仕事を覚えるということもあります。今、東北のほう、特に宮城県が我々の派遣先の焦点ですが、向こうで土木関係者から非常に評判がいいです。実際に行った職員も、例えば仙台塩釜の港湾事務所に行っている職員と私も直接話をして、報告を聞いたことがありますが、自分が多分一生かかってもやれないような仕事を今やらせてもらっていると。数億円かけて堤防整備をするというのは鳥取ではないことですが、今、被災地の状況であって、とにかくみんなでやらなければいけないという状況で、いい経験をさせてもらっていると、もっともっと仕事をやっていきたいというようなお話が聞こえてきたり、県庁の中のいろんな人事配置の問題もあり、運転士の方が職種を転換されて、一般事務に移り採用されておられる方がいらっしゃいます。この方の中から今回、東北のほうに派遣されて、宮城県で用地買収をする業務に当たられているわけですが、送り出すほうはちょっと心配もないわけではなかったのですが、行ってみるとすごく評判がいいのです。今おっしゃるように用地買収というのは困難をきわめるもので、どうやって相手の、特に被災地ですから物すごい苦悩がいろいろあるわけです。行政に対する不満も正直あるわけです。一向に復興が進まない、自分たちの生活はよくならない、こんな苦悩の中での被災者と向き合わなければいけないわけですが、いろいろと交渉を割と上手にまとめておられるのです。どういうことかというと、鳥取からわざわざ来ているということで評価されるそうなのです。砂丘の名刺が役に立つと。こういうのを見て、向こうも非常に感動してくれるのだそうです。人間の感性に訴えるものをその職員が資質として持っているということもありますが、真剣に真摯に、皆さんのためにとにかくこの事業をやりましょうと、そういうことで訴えかけをする姿に心を打たれるのだそうです。
そういうように、いわば水を得て活躍している職員もいまして、そういう意味でこういうようなさまざまな仕事が降って湧くわけですが、職員を育てたり県庁を強くしている面にもなるかなと思っています。ただ、いずれにしても、スムーズに仕事ができる体制をつくっていきたいと思います。
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●長谷川県土整備部長答弁 |
県土整備部の繰り越し状況ですが、現在の繰り越し状況、24年度の繰越額は経済対策分だとか、あるいは災害分を除いて、平成18年度、19年度の約 1.5倍という状況です。今回の8月末までの今年度の発注率は平年並みということですが、これはご承知のように経済対策補正予算、大型があったのでこのようになっておりますが、県土整備部としてはこの状況はよいとは思っておりませんので、今後とも組織的な執行管理、さらに上司による懸案事項の処理方針の明確化、このようなことを行って、繰越額をぜひとも縮減の方向に向けていきたいと考えています。
それと、繰り越しの原因、繰り越しを削減する一つの方法としては、やはり前年度に測量とか設計とか用地取得を終えることだと思っています。そのために、この9月議会では治山とか、あるいは砂防事業について、来年度以降の新規事業化調査費というのを要望していますので、このような形で早目早目の測量設計、用地取得等に努めて、ぜひとも議員指摘のように繰越額を削減し、少しでも適正な執行状況に持っていって、そして一年を通じての平準化された執行に努めていきたいと考えています。
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