<地方創生について> |
突如の衆議院解散で、せっかく成立したまち・ひと・しごと法案等も突然の中休みとなり、その意欲も半減という状況になってしまい、残念な思いです。
9月県議会で平井知事は、東京一極への集権と集中というブラックホールをどう解き放つかが地方創生の目的であり、地方における人口減少に歯止めをかけるためには企業と政府機関を地方へ分散することだと答弁され、全国知事会としても政府に申し入れをされたと答弁されました。
そうした知事会の行動を受けとめた上での発言かどうか定かでありませんが、安倍総理は解散前に、東京圏から地方に本社等の機能を移す企業には税制上の優遇措置を図りたいと話されていました。
また、関西広域連合としても、衆議院議員選挙が実施されるに当たり、7府県の知事と4市町が連名で各政党に緊急アピールを発しました。内容は大きく分けて地方分権の推進と地方創生、再生の強力な推進で、回答を求めない一方的な発信でしたが、関西広域連合としても行動されています。
確かに企業の本社移転は地方への人の流れをつくる上での選択肢の一つでもあり、もし本社等の機能の移転が行われれば地方の仕事もふえるとともに、自治体も一時的に法人事業税等の減税や免税をしたとしても、将来的には法人事業税や不動産取得税、固定資産税等の地方税もふえることになり、一見夢のような話ではあります。
しかし、公共輸送機関等のインフラ整備が不十分なこの鳥取の地に現実的な問題として本社機能を移す企業があると思われるのか、平井知事にお伺いしたいと思います。
平井知事は先日の代表質問に答えて、県下市町村の地方創生への取り組みを県庁挙げて支援するため、総合事務所等に窓口をつくる鳥取県版コンシェルジュに取り組むと、地方創生への強い意欲を披瀝されました。確かに市町村は県より情報が少なく、県がパイプ役になり市町村を支援されることには、私自身大きな期待をします。
さらに知事は、全国一小さいこの鳥取県から地方を変えるメッセージを発信したいと力強くお話しになっていますが、何か具体的な構想でもお持ちなのかお伺いします。
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●知事答弁 |
本社機能を地方へ移す企業が本当にあるだろうかというお尋ねについては、これは今、私どもも声を上げさせていただいていますが、やはりこの国をもう一度地方から元気を出していく、それで国全体の元気をつくっていく、そうした取り組みをしなければならないわけです。
ようやく今、国全体がこのことに問題意識を持つようになったと思います。それは、重ねて申し上げてきましたが、地方の中に自治体が消滅するではないか、こういう議論が起こり、ようやく国の中央のほうも目を開いてきただろうと思います。我々としても、ぜひそういう意味で地方への大きな流れをつくっていければと考えています。
そんな意味で、一つのテーマとしては、企業がその活力の拠点を地方へ持ってくる、それを考えるべきではないかということです。私どもも長くこのことを訴え続けてきました。今、海外へ製造業の拠点などが逃げてしまうわけですが、海外へ逃げるぐらいだったら、地方にとどまる、日本国内にとどまるというのを模索すべきではないだろうか、その意味のさまざまな支援策を国としても講ずるべきではないかということを申し上げてきましたが、ここに来てようやく光が差してきた部分があります。
やはり、コンセントレーションというか、集中ということがあるわけです。中央に全てが集まってしまう。その集中は2つあって、1つは権限の問題、それを分けていく。これは分権ということになります。もう一つは、企業の活力を初めとしたこの国の活力ないし人間が集中をしてしまう。この集中を解き放っていくのが分散ということだと思います。こういう意味で、分権と分散の2つの地方への流れをつくっていく必要があります。
その中の焦点は企業の活力のところで、本社機能などを地方へ移す、これを鳥取県としても目標に掲げてやってきましたが、国のほうもその支援の手だてを考え始めたということではないかと思います。
この点について、まだ具体像ははっきりしていません。私どもは呼びかけるほうで、県としても呼びかけをさせていただきました。9月には担当の石破大臣のほうにも参りましたし、中国地方で同様のことをまとめて要請したり、全国知事会でも、地方創生についての提言を取りまとめる中に、鳥取県で言い出したこの企業の地方分散に向けた税制上の措置などが盛り込まれました。これを正面から受けとめていただけるように我々も働きかけを続けていかなければならないと思います。
現実問題として、こういう議論の裏打ちとなるような企業の動きもありました。よく言われるのは、コマツの取り組みで、コマツのリーダーが隣の島根県出身の坂根相談役です。その経営の中枢におられた頃に相次いで、この企業の本社機能を移転するということに取り組まれました。
具体的には、2002年に、まずその研究機能とか、そうしたことを分散させるということに取り組まれました。ああ、購買ですね。購買本部を移すということに取り組まれましたし、また、その後、研修機能を移すということにも取り組まれました。また、その間に石川県のほうに工場の立地もされているところです。
問題は、それで何がその企業に起こったかですが、坂根相談役の言葉によれば、5倍子どもを産み育てる力が企業に備わったというわけです。東京のほうと石川県のほうと比べてみると、社内の特殊出生率という観点の違いもありますし、婚姻率の違いもあります。それらを掛け合わせて考えると、5倍家族に優しい、子どもを産み育てやすい、そういうデータになったと。こうしていくと、企業の一つのあり方として、この辺の改革があり得るのではないかということを提起されるわけです。
私も親しくお話しをさせていただいたことが2度ほどありまして、そのときにいろいろとそのお知恵をお伺いはしたわけですが、やはりコマツの中で当時、坂根社長がこういうことを言い出したら大変な抵抗があったのだそうです。述懐されておられますが、トップダウンで、トップがいわば鳥瞰図のように全体を見渡して物を言わなければ動かないものだったということです。やはりそれぞれの社員の皆さんにも東京での暮らしがありますし、また東京にその本社機能を置いていることのメリットはいろいろと有形無形にあるので、それが現実にも東京への本社集中を呼び起こしているわけです。そんな意味で、時計の針を逆に戻すというか、コマツはもともと石川県の立地企業だったわけですが、東京へ出ていったわけで、それを逆に戻すということについては、それ相当の抵抗があったということでした。
そういう中で、このように英断を下されてやられたことが今、企業のモデルになっています。
実際に、では企業側ではどういうことが起こり得たかということですが、坂根さんのお話だと、コマツが本社を東京に移すころは、人材を獲得しようと思ったら東京にいないといい人材は集まらなかったということです。しかし、時代が変わってきて、今東京ではみんな本社機能も集中して、いろんな企業がひしめいています。ですから、人材を獲得するのに、地方に本社があってもいい人材がやってくる。
なんだったら今、東京からそれこそ移住してくる人たちもいるわけです。子育て環境もいいということであれば、そこで仕事をするという人生を選択する人も出てくる。こんなわけで、当時と今、東京に東京にと流れていった頃と今とは変わってきているということです。
そうであれば、鳥取県も含めて、地方で本社機能を呼び込んだり、あるいは本社機能にならずとも、それに近い状態で会社の本体的なファンクション、機能している組織をこちらに呼び込むことは可能かもしれないと思っています。
現実にも最近、鳥取市に立地している大真空さんという企業がいらっしゃいますが、こちらは今、相次いでこちらのほうに移されてきています。例えば中央研究所とかそういう研究開発機能、これをこちらのほうに移されたり、また人材育成のための研修を移されたりということをされています。こういうことをやる企業も確かに出てきているところです。
また、最近で言いますと、ダイヤモンド電機さんも経営としては分散していて、中国とかアメリカとかいろんなところに製造拠点があるのですが、そのグローバルセンターとして鳥取県を活用しようということに動き始めているような例もあります。
また、リコーさん、リコーマイクロエレクトロニクスがありました。ここも、社名が変わって今再編中なのですが、その再編に当たり私どもも精力的に行動させていただきました。会社側にもいろいろと働きかけをさせていただきました。その結果として、御殿場とか九州とかそれから東北だとか、そうしたところの拠点をむしろ鳥取のほうに集約していこうという流れになってきています。
また、今JDI、ジャパンディスプレイがありますが、こちらもモバイル部門について他所から移してくるという動きがあります。
こういうのは、我々も動いたからということもありますが、企業側も鳥取の価値を見出し得る状況も生まれてきているということではないかと思います。
そういう意味で、これから税制改正とかどうなるかわかりませんが、本社等も思い切ってこちらに移しませんかというような働きかけも、今後はあり得る状況が生まれてくるのではと期待しております。
次に、全国一小さい鳥取県から地方を変えるというメッセージを発するわけですが、どういうような、例えば今後の構想というかアイデアがあるのかということです。
私自身、こうしたことを申し上げ、鳥取を変える。それによって鳥取からこの国あるいは世界が変わる、そういう時代をつくっていこうではないかと申し上げたわけです。その最大のきっかけといいますか、自分の思いとしては、ここ最近、県議会の皆様と一緒にやってきた改革です。
例えば住民参画の条例を作ったこともありました。それに続いて、最近、去年は手話言語条例をつくりましたし、ことしは危険ドラッグを違法にしようということで、これも議会に諮らせていただいて、皆様の御賛同を得て、鳥取から日本全体を変える動きになってきたと思います。
伊藤議員には常任委員長として、危険ドラッグにしても手話言語条例にしても、まとめていただいたり、それからさまざまな形で、手話言語条例でもパフォーマンスをDVDというかインターネット上で流して議長と一緒に出ていただきましたが、そういうように取りまとめや旗振り役をしていただいたわけですが、これが現実に世の中を変え始めています。
今、新聞の各紙やあるいはテレビの全国放送などでも流れて驚くのは、やはり手話パフォーマンス甲子園を契機にして、鳥取県のこういう取り組みが正しかったと言わんばかりの動きになってきているわけです。手話というコミュニケーション手段が果たして本当に言語なのだろうかということを日本中が思っていた。議会の中にももちろんそういう議論もありましたが、しかし、そういうところを乗り越えて、我々が、いや、一つのコミュニケーション手段として言語性がある、それを普及していこうではないかという条例をつくったことが高校生に響いて、全国の高校生がその手話を使って自己表現を始めた。それが鳥取に集まってきて、そこに皇族もお越しになり、まさに時代を変えるような動きになってきた。ごらんになったメディアの方々も感動されたのだと思います。真に感動を呼び起こすような高校生のパフォーマンス、手話のすばらしさというものがわかり始めて、これが今、爆発的に世の中を変えようとしているということだと思います。
危険ドラッグもそうです。いわゆるパンドラの箱を我々があけたわけです。その動きが他県にも広がり、全国のニュースでも取り上げられ、そして国のほうの法制にもこのたび影響を与えました。これも当たり前のようにみんなが思っていること、もう危険ドラッグはやめるべきだと、そのための徹底した法制度をつくって闘うべきだという、狼煙を鳥取県が上げたことで、それが他地域や国にも波及してきたのだと思います。
我々は日本で一番小さい県ですが、こういうように日本を変える力がある、そのことに自信を持ちました。だからこそ、地方から国を変えようという旗を掲げたいと思います。
これから私たちは、具体的な地域づくりも含めて、乗り出していかなければなりませんが、幾つか今後に向けて、やはり世界に向けても訴えかけるような力があるのではないかと思います。
来年はアジア太平洋ジオパークネットワークのセミナーが開かれます。このフォーラムで、来年はジオパークについて世界中で余り会議のない年ですから、世界の一つの中心になり得るところです。さらに言えば、アジアのトレイル、要はウオーキング活動ですね。ウオーキング活動のアジア大会を来年やりますし、また再来年には世界のトレイル、カンファレンスといわれますが、トレッキングというかウオーキングの世界会議を鳥取県でやることが見え始めています。さらに言えば、時代を貫き通すような大山の1300年のお祭りも迫り始めてきたところです。
このように、自然だとか歴史のみならず、スポーツのリゾートとして私たちは自己認識をし、アピールしていかなければならない、そのための環境づくりもしなければならないと思います。
そういうトレイルカンファレンスだけでなく、昨日はジャマイカのレーシングチームの理事がやってきました。私どもも働きかけをしていた成果でもあるのですが、来年の北京における陸上競技の世界選手権大会、その事前キャンプとして鳥取をいかがでしょうかということですし、東京オリンピックに向けて、そうしたキャンプ地としていかがでしょうかということを昨日働きかけさせていただいたところです。
意外だったのは、ジャマイカのその理事さんは非常に好意的に昨日発言をされました。もちろんこれから検討に入られますので、1月にかけて、どこかで答えをいただけるのではないかと思います。
しかし、その中には向こう側の思いもあるわけです。それは、大阪での世界陸上選手権大会のときに、鳥取でキャンプを張った経験もあって、こちらに対する親近感がある、それが1つありますし、それから、改めて施設を見ていただきましたが、布勢のコカ・コーラウエストスポーツパークの施設はやはり世界でも一級品だというわけです。北京で世界陸上が開かれる、その世界陸上のトラックと同じトラックがこちらに整備されている。これは東京オリンピックの陸上競技場、メーンスタジアムも同様の整備になるだろうと言われていて、そうした意味では、世界ナンバーワンのレーシングチームにとっても鳥取というのは魅力のあるところだということです。ということは、世界的にもスポーツの意味で我々は受け入れ得るということでもあるのだろうと思います。
このように小さな鳥取県ではあるかもしれないけれども、世界に訴えかける力というものがあるのではないか、そこから説き起こしていくことによって、福祉や医療、教育、さらには産業活動や自然、それからさまざまな分野においてブレークスルーをしていく、そのチャレンジをすべきではないかと考えています。
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<地方創生ついて>bQ |
昨日の一般質問でも、若者の地方への回帰というのが50%という国のデータからお話がありました。きょう皆さん方にも御紹介したいと思いますが、人口減少社会における若者の雇用と定住に関する調査研究の一つとして、県内居住意向等に関する若者の意識調査が鳥取県地方自治研究センターによって、2013年3月にまとめられています。
この調査は、2012年3月に県教育委員会等の協力を得て、県下の全高校2年生のうち 1,300人を抽出してアンケート調査されたものです。中でも注目すべきは、あなたは今後も、また将来、鳥取に住みたいと思いますかという問いに対して、今後も住み続けたいが22%、県外に出ても数年のうちには鳥取に住みたいが12%、県外に出ても、いずれは鳥取県に住みたいが41%と。要するに高校2年生の75%、実に4人のうち3人が鳥取に住みたいと答えていることです。そして、鳥取で暮らしていくために必要なものは何ですかという問いに対して、約
370名が仕事と答えています。つまり高校生の多くは、県内に仕事さえあれば鳥取で生活したい、県外に出ても帰ってきたいということだと思っております。
鳥取県の人口減少に歯止めをかける鍵は、このアンケートにあるように私は思います。知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
今のアンケート結果にも象徴されていると思います。子ども達、高校生の時代、やはり生まれ育ったふるさと、友人もいて、家族もいて、親しい近所の方々、仲間達がいる、そして美しいふるさと、これを離れたくない、離れるならまた帰ってきたい、そういう切実な思いがある。それは十分に我々としても理解しなければならないと思います。そのためにこそ、職場、働く場、なりわいというものを農林水産業あるいは商工業、いろんなジャンルで考えていかなければならないと思います。
我々も1万人の雇用をつくろうとこの4年間闘ってきまして、何とかこの4年間で形はつくれるかもしれませんが、片方で失われる雇用もありますので、非常に厳しい状況、一進一退が続いていると思います。とりわけ若い人たちが夢をかけられるような、一生涯を通じて頑張ろうと思えるような、そういうやりがいのある仕事がつくれるかどうかだと思います。
今の研究所のアンケートの中でも実は出ていると伺っていますが、仕事を選ぶとき何が大切かといったときに、自分の夢とかそれからやりがい、そうしたことがやはり選択肢としては高いということです。そういうことからいくと、やはり若い人たちが望むような職場が果たしてどれほど用意できるかということだと思います。また逆に、高校生にもインターンシップなども通じて地元の雇用の場、働く場も魅力あるところがあるのだということを知ってもらう、そういうマッチングも片方で重要だということもあろうかと思います。
最近も例えば地元の企業さんでも、ケイズさんが研究所を起こされて、新しいビジネスモデルを、ハードとソフトが出会うようなモデルをつくろうといって新たな出発をされました。また、ラシックさんが、これもメンタル面でのシステムも含めて、いろんなシステム開発をされることで結構地元のほうでの成長が始まっているところです。また中部でも、明治製作所さんのように、海外における自動車製造の拠点とも結びつきながら、この県中部での製造ラインを強化しようと動き始めているところが出てきたり、いろいろと地元の企業さんも頑張っていると思います。
農林水産業もそれぞれ夢をかけてされるべき、ふさわしい職ですので、こういうところを我々としても発展させていかなければならないのではないかと思います。
やはり一生涯かけて働く、それによって生活を成り立たせる、それが若い人たちの夢をかなえることでもあるのだと自戒しながら、今後もそうした開拓に努めていかなければならないと思います。
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<地方創生について>bR |
本当に若い人の思いというものをやはり我々としてもしっかりと受けとめながら、これからの政策を検討していく必要があると思っています。
地方創生、まさにかけ声だけでなく、明治から続いてきたこの都市型集中政策を転換するためには、異次元ではなく、神がかり的な大胆な政策が必要であると私は思っています。
まさに、若者がこの鳥取県で住み続けたいと思いながら県外に出なければならない社会をつくってきた今日までの我が国の政策を大転換させなければならないと思っています。
企業の本社や政府機関を地方へ移転することも一つの選択肢ですが、やはり今やるべきことは、大手企業の法人税の減税ではなく、地方に進出する企業には輸送コスト等のリスクがかかること、そういうものを踏まえ、大胆に法人税や法人事業税等をゼロベースにすることで地方への分散を図るべきだと、そうした政策が必要だと私は思いますが、平井知事の所見をお伺いしたいと思います。
確かに税制で一国二制度というのは法制上なじまないかもしれません。その対応は、沖縄県が特区として高率の所得の控除制度があるように、できないことはないと私は思います。
その例の一つとして、昨年の人事院勧告で国は、地方は給料が安くてもよいと12県を名指しで指名し、一国二制度にました。ならば、生活給が低くてもよいと国が認めたこの12県を、経済を活性化する意味から、地方創生の重点区としてこの12県を特区として認定し、法人税をゼロベースにすることも立派な経済対策の一つではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
今おっしゃったように、法人税というのは企業立地促進に非常に大きな効果があると思います。実は、鳥取県では最近、企業の立地を進めようと奮闘してきまして、その中で多数の企業立地も新規に成立してきました。最近にはない、大変に活況を呈するぐらい来たと思います。その背景には、我々としても、今、議員がおっしゃるように、交通が不便だとか、それから輸送コストがかかるだとか、そういうことで躊躇しがちな企業さんに我々のほうからの促進策、プロモーションを行うわけです。
その一つの手だてとして企業立地促進法という法律がありまして、それに基づいて国のほうは法人税の特別償却とかを認めるなどの優遇措置をとっていました。しかし、措置は廃止されてしまい、今、主なツールとしては不動産取得税、県税の減税、これは交付税で補填してもらうという措置があるのですが、そういうことだけになってきてしまっています。
それで果たしていいかどうかということです。かつてでいえば、低工業地帯の農工法があったり、そうしたことでのいろんな優遇措置があったのですが、今それが随時廃止されてきてしまっています。
一方で、アメリカなどを見てみると、アマゾンだとかスターバックスも同じところなのですが、ああいうワシントン州だとかシアトルだとか、そうしたごくごく地方都市に世界的企業の本社が立地されているわけです。それは背景に何があるかというと、法人税のいわば条件が違うからです。その法人税のメリットで、そういう大企業が集まってくることというのは世界中ではざらにあるわけです。
今、海外が何をやっているかといいますと、シンガポールにしろ、どこにしろ、そういう日本の企業にそういう税金をまけますよという誘いをかけている。そうであれば、日本国内でも何とか立地をとどめようというのであれば、政府として地方への立地ということで、そこで優遇措置を適用して、くいとめるぐらいのことをしていかないと立ち向かえないということだと思います。
そんな意味で、今ゼロベースというお話がありましたが、思い切った税制上の措置を、ぜひ企業の地方分散についても検討していただくように、我々としても働きかけていかなければいけないと思います。
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<地方創生について>bS |
冒頭に申し上げたアンケートでも、子ども達は夢とか、それからやりがいとかで自分の仕事を決めていきたいということなのですが、現実的に就職に直面すると、やはり生活給、どれぐらいの所得があるかという問題を含めて、現実味を帯びた検討に入っていくように思います。
そうした中で、あわせて申し上げるならば、地方は物価が安いから給料も安くしてもよい、現実、鳥取県は全般的に給料が安いわけですが、このイメージを払拭しないと若者は、そして優秀な人材は県外に流れてしまうと思います。
9月県議会で平井知事は、職員の名誉のために言っておきます。給料のためだけでなく、やりがいを持って仕事をしていますと、私の、別にこれは聞いたわけではなかったのですが、答弁されましたが、このことは、地方は給料が安くてもよいと認め、職員は誇りだけで仕事をしていますとの発言のように私は受けとめました。この発言を聞いておられたある民間の企業の方から、私も県職員の皆さん以上に自分の会社と仕事に誇りを持って仕事をしていますと。しかし、その労働対価が生活を支えているわけで、当然その労働対価は求めていきますと話しておられました。
このように、民間の企業で働いておられる人もそれぞれの自分の会社に誇りを持って働いておられるわけですから、当然そこの社長さんは社員の生活には十分配慮もされているはずです。
鳥取県は全国一小さい県だから、そこで働く職員も全国一低くてもよい、そんな考えは知事には毛頭ないと思いますが、鳥取県のイメージ戦略のためにも、やはり克服していかなければならない課題であると思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
先般、議会でやりとりをしたことに関連してということで、あのとき、いろんなやりとりを実はあの議場でもさせていただきました。伊藤議員のほうからお話があった中に、いろいろと給料の水準のことがあり、それについてのお話の中で、鳥取県の職員はその給料が他の地域と比べて総体的に低い、それで若い職員が夢も希望もなく、やる気を失ってしまっているというようなお話があったりしています。私のほうから申し上げたかったのは、いやいや、その鳥取県の職員は非常にやりがいを持っていい仕事をしていますよと、そういうことを申し上げようという趣旨で申し上げました。
先ほどの発言というところの後ですぐ、実はパッケージで言っていまして、他の自治体あるいは国、それから民間の給与、そういうものとの均衡を保ちながら、人事委員会の勧告を尊重しながら、一定の水準を我々としてもキープしていくのですよということを申し上げており、生活水準の確保ということは当然ながら視野に入りますということも、実はその中でまとめて言っていたわけです。
やはりやりがいを持って仕事をして暮らしていくという中の一つの要素として、当然ながらその勤務に対する保障、給与というのも大事な側面だと思います。
鳥取県の職員がものすごく差があって、これで、では安定していないかというと、安定した職場でもありますし、トータルで見て、職員としてのやりがいが感じられるような、そういう要は一つの水準なり給与制度なり職場環境なりというものは、私のほうも責任者として確保していかなければならないと思います。
今回もこの議会にボーナスについて、久方ぶりになりますが、0.10月引き上げるという提案をさせていただいていますので、皆様にも御理解をいただければと思います。
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<地方創生について>bT |
知事は鳥取県庁という一つの企業の社長ですので、しっかりと社員の皆さん、要するに職員の皆さんの声も聞きながら、生活給である給与についても、しっかりと議論しながらお願いしたいと思います。声を聞きながら。
冒頭いろいろ申し上げましたが、確かに子育てする環境整備は、今の社会では不可欠な政策の一つです。しかし、その前にやはり一番大きな問題として人口減少があるという中で、冒頭、高校生のアンケート調査を申し上げました。鳥取県の次世代を担う若い人が定住できる環境、つまり雇用の場の確保が最優先されることが課題であると思っています。
今日まで、現行法の中で精いっぱい平井知事が先頭に立って企業誘致をされていることも理解しますし、評価もいたします。国の制度が税法上かなり撤退してきたので、企業誘致に関しては低工法とか、もろもろ。そうした中で地方が頑張っているのは、地方税の中で一生懸命汗をかきながら頑張っているという部分でしか今はないです。
そうした中で、輸送リスク等もあるけれども、災害が少ないこの鳥取県に企業を呼び込むためには、当然人材育成も必要ですが、都市部から企業が進出しやすい大胆な税制改正を国に要望すべきと思いますが、改めて知事の思いをお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
企業の立地促進のために私どものほうではやっていますが、国のほうもやはり税制改正をやっていくべきではないかということで、これはぜひとも求めていきたいと思います。
例えば最近の例で、廣川マテリアルさんが倉吉で工場を拡張されたり、また境港のほうでマルコフーズさん、これは丸美屋のふりかけの会社ですが、そちらのほうの拡張等についても、私どものほうで応援させていただく。こういうときに、不動産取得税を初めとした税制だとか、あるいは県の立地補助金で応援をしているということですが、どうしても限界があるわけです。特に企業さんは全国を見渡しますので、国の税制で、こういう優遇措置があるというふうになると、非常にわかりやすく、それには乗ってくるわけです。この辺はそういうメンタリティーがあることを国も理解しなければいけないと思います。
例えば沖縄でいえば、沖縄の産業振興を進めようということで、情報産業などを集積させようというような考えの中で、議員が先ほどおっしゃったような一国二制度的な制度も現実に導入されているわけです。40%の法人所得を控除して課税をする。そうすると大変な減税になりますので、法人にとっては魅力があるということになります。ですから、全然できないことでもないわけです。
今、海外との競争のことを考えれば、国内での立地をむしろ優先して海外に逃げないようにするというのは、一つの国としての選択肢としてもあるだろうと思います。
国家戦略特区についても、国の優遇措置にもありますので、私どももいろいろと申請していきますが、どうしても限界があります。採択されるかどうかというのはせめぎ合いももちろんありますし、採択されたとしても、企業の使いやすいような税制上の措置がとれるかどうかというのも、それも不透明です。やはり法人税の制度の中で、地方に企業が進出したら、その際にはこれだけ税を割引きますよというわかりやすいメッセージを企業さんに届けてもらう必要があり、また制度設計をしてもらう必要があると思います。そんな意味で、我々としても強く企業の分散促進税制を求めていきたいと思います。
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