平成26年11月定例会一般質問(平成26年12月5日)No.2

<ため池の改修について>
 

 ため池の問題については、防災上の観点から何度もこの議会で議論、県の皆さんには防災管理マニュアルの作成やため池の防災点検をしていただき、感謝と敬意を表したいと思います。
 既に今議会でも議論されていますが、ことしの水稲農家は大変です。確かに作況指数も97と低いわけですが、米価の下落が重くのしかかり、平成25年度産に比較すると、反当を8俵として計算すると2万 2,400円の減収の上、米の直接支払い交付金半減により 7,500円手取りが減少し、ナラシ交付金の支払いも認定農業者等の一部に限られており、請負作業では大赤字です。
 したがって、米の直接支払い交付金、つまり戸別所得補償の半減により、7億 5,000万円の減額を初め、減反分を含めると県全体で昨年より約52億円が農家の減収になります。大変な金額です。
 まさに、米しか作付できない中山間地域の水田は耕作放棄地にするわけにもいかないし、農業を営む私としても、農家の皆さんの苦悩が思い浮かばれます。
 県下の水田の3割がため池の水を利用した稲作ですが、中でも中山間地域の水田の大半はため池の水の利用であり、水利の維持管理の労力や経費は、河川や農業用水路から直接水を引くこととは違い、毎年多くの費用負担がかさんでいます。特に近年、米価の下落に伴い離農される農家も多く、残された受益農家の負担は多くなるばかりです。
 ところが、以前申し上げたように、ため池上流の形態が変わり、荒れ果てた山が開墾され、畑がふえ、ため池への土砂の流入が多くなってきました。
 ため池がつくられた当時と上流の環境が変わる中、県内のため池の大半は江戸時代や明治時代のものが多く、底樋も時代とともに改修はされてきているものの、依然として30センチ程度と径が細いものが多く、思うように底樋が抜けず、土砂を排出することができず、管理も十分できない現状になっています。
 ところが、現在の補助事業では、底にたまった土砂を取り除く単体工事は補助の対象とはならず、他の堤体工事とのセットでなくては該当しないのが現状です。
 もしこのまま放置した状況が続けば、ため池周辺の山が土砂崩壊を起こしたり、山の木々が流れ込み、防災上の観点からもさらに危険性が増してきます。
 こうした防災上の観点からも、しっかり管理できるよう、たまった土砂を取り除く単体工事も補助事業の対象とすべきではないかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 

 
●知事答弁

 

 議員のほうから非常に切実な思いについての御説明がありました。いろいろと私自身も思いをめぐらせてみて、ああ、そういうこともあるなと思い当たることもあります。
 例えば時代を経て、昔だったらこの程度の整備でよかった、ため池の樋管、管ですね、パイプであるとか、そうしたことについて、やはり昔のままだと、なかなか水が通りにくくなっている、中には詰まってしまうというようなことも出てき始めています。大分時がたっていますので。さらに、上流部というか上のほうで、従来のところを大分開墾していく中で、ブロッコリー畑だとかそういうのが比較的高いところに広がるようになってきています。それはそれでいいことなのですが、土砂の流入ということも片方では生じやすくなる面があって、想定外の土砂が入り込んで蓄積してくるということもあると思います。
 そういうようないろんな事情を考えてみますと、そろそろ制度的にも検討すべき時期に入っているのかなと思います。
 これについては、私どものしっかり守る交付金でも、他の事業と組み合わせてしゅんせつ等を行うことを認めていたり、国のほうでも、そういう補助メニューもあります。ただ、国のほうの補助メニューは、残念ながらまだ全国で使われたことがないメニューだそうで、これが果たして適用されるかというと、なかなかハードルは高いのかもしれません。本県の制度においても、他の事業との組み合わせということもあるわけですが、やはり単独でそうしたため池について手当てする必要性が皆無かといえば、今のようなお話であれば、皆無ともいえないことではないと思います。
 いろいろと関係者のお話なども聞いて、全部が全部ため池事業、これはいろんな生い立ちがあります。県がやったものもあれば地元のものもあるし、いつできたかわからないようなものがあったり、果たして誰がそれをお手伝いすべきなのかというのは行政レベルでもあると思うのですが、いずれにしても、関係者の方だとかいろんな方々の意見も聞いて、ある一定の場合にそうしたため池のしゅんせつ等の整備について手当てを考えるべきかと思います。検討させていただきたいと思います。 

<ため池の改修について>bQ


 ため池の本体工事問題については、知事の御理解をいただいていると思っています。ただ、工事自体が数千万円から数億円かかります。先ほど申し上げたように、減反政策や米価の下落などにより稲作をやめられる方がふえる一方で、受益者は減り、農家1戸当たりの工事費の地元負担は大きくなるばかりで、収益だけではもう賄い切れないというのが今、大きな問題となっています。
 こうした現状を踏まえ、改めて工事費の農家負担のあり方も見直すことが必要ではないかと思いますが、知事の最後の所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁
  
 今年も米価が急激に下がったこともあって、農家のほうの負担感も強まっているところです。また、農家負担のことで言うと、受益戸数がどうであるとかということだとか、実際の工事の状況によってかなり負担が重くなるようなケースもあると伺っています。
 一度そうした実態も調べて、先ほど申し上げたため池のしゅんせつや、あるいは改修、全部が全部というわけにはならないかもしれませんが、こんな要件を満たすような場合は県としても助成制度をつくる、それについて農家負担はこういうような考え方でと、何かリーズナブルな線を検討させていただきたいと思います。