<県財政と県政運営について> |
本日は、東日本大震災からちょうど3年目を迎えました。震災で犠牲になられました多くの皆さんの御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、一日でも早い復旧、復興、生活再建を心から願うものです。
平成26年度一般会計当初予算として、前年度対比2.3%増の3,380億円が今議会に提案されました。先日の代表質問の中でも、予算編成の基礎ともなる地方税や地方交付税の課題等が議論されてきました。確かに我が国の経済はプラス成長にあると言われていますが、地方においては、景気回復の実感が乏しく、中小企業、小規模事業者や地域経済には浸透しておらず、実感が乏しいのが現状です。そうした中、経済成長、デフレ脱却という政府のベクトルに連動する方向で、我が県においても2月臨時会の経済対策補正と合わせ、積極型予算が編成されました。
しかし、その財源内訳を見てみると、地方交付税は増えているものの、臨時財政対策債は減少し、地方交付税総枠が減る中、当面取り崩す予定のない土地開発基金を20億円繰り入れたり、確定もしていない繰越金20億円を活用し、それでも不足する92億円を財政調整型基金から取り崩すなど、苦肉の予算編成がうかがえます。
政権が揺り戻しされたので、地財ショックという過去の苦い経験を踏まえ、少しは地方に配慮した国の財政措置が行われるものと大きな期待はしなくても、一般的な道理として期待をしていましたが、残念ながら地方には厳しい国の予算配分となっています。知事の所見をお伺いします。
また、平成26年度の地方財政は、消費税の引き上げのみならず、1つ目、地方法人特別税、同譲与税の縮小、廃止、2つ目に、地方法人住民税の国税化、地方交付税化、3つ目に、自動車関係税の再編成と代替財源の問題、4つ目に、市町村固定資産税、償却資産の大幅減税の可能性、5つ目に、地方交付税の歳出特別枠、別枠加算の縮小、廃止の方向、6つ目に、公共施設等の除去について、地方債の特例措置の創設など、長くなりますので、細かくは説明しませんが、地方財政のあり方が大きく変貌するターニングポイントの年であると私は思います。平井知事の所見と、このたびの改正に異論を持たれるものがあれば、お伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
確かに今回、私どもは予算編成を非常に組みづらい年でした。それは、過渡期ということもあるのでしょうが、国のほうから歳出特別枠が削られましたし、また、別枠加算も削られて、大体8,000億円ほど、そうしたベースでの引き下げがありました。本県への影響でいくと、交付税は20億円ほど増えましたが、臨時財政対策債が45億円減っており、差し引きで25億円の減でした。
本来なら、地方消費税が引き上がり、その歳入が入ってくるはずですが、タイムギャップがあるので、それが全て見込めるわけでもありません。また、地方法人課税のほうの再編があって、それも一部プラスの影響があるかと見込まれますが、その影響がまだ新年度は見込めないということですので、そういう意味では、財政環境は比較的厳しい年でした。隣県の島根県等もいろんな予算編成も、周囲を見ていても、その辺の厳しさをにじませながら、苦労しているという状況だろうと思います。そういう意味で、地方にとっては、ややほろ苦い感じの地方財政対策であったかと思います。
ただ、例の地財ショックと言われたとき、あのときは5.1兆円、地方財源が絞られたことになり、244億円の鳥取県財政への影響がありました。それと比べると、10分の1ですから、確かに厳しさもあるわけですが、乗り越える工夫もして乗り越えていこうという状況で、議員のほうのお話もありましたが、やりくりをさせていただきました。土地開発基金で20億円、この際、水準を見直して、取り崩しをするなどの見直しにより、予算編成自体をすくことができたということです。
ただ、こうした切り抜けた予算編成ができるのも、ここ数年間で鳥取県の財政の状況が好転してきているということがあります。これは、さまざまな見直し、集中と選択等をやってきた成果ですが、議会の皆様の十分な関心をいただき、そして御議論いただき、精査ができた、その長年の積み重ねでこの年も乗り切ることができたというのが真実ではないかと思います。
地方消費税については、我々としては地方団体として要望してきたものですので、その増収には期待したいと思いますし、国民の皆様の御理解をいただくことで、この改正ができています。そういう意味では、社会保障財源に十分な意を配さなければならないと思います。鳥取県でも、そうした意味で、全国に先駆けてさまざまな子育て環境の施策を打ったり、障害者対策の施策を打ったりしており、こうした意味で、消費税の引き上げに見合うような、我々としての施策の展開もさせていただいたところでした。
地方の法人課税については、これは構造改革がもともと必要だったところだと思っています。と言うのも、東京都のひとり勝ちのような状況が続いています。恐らく今後もさらにその状況が続く。消費税が引き上げられたわけですが、地方消費税では大体2倍ぐらい、一番少ない税収の団体と東京都では税収が多く、地方消費税は比較的、税源の偏在性が小さい税目と言われていますが、それでもこれだけの差がつくわけですから、なお一層、東京都に富が集中することになります。片方で、都道府県の場合は、法人課税のウエートが高いため、これを是正していかなければ、税収格差はさらに広がるということになります。
しかし、消費税とのお約束もあり、今回地方法人特別税、それと譲与税は一部廃止をされると、3分の1の縮小ということになりました。片方で、地方法人住民税、これについての4.4%レベルでの国への移譲をして、それを交付税として財政の厳しい団体へ配分をするという措置がとられたわけです。私は、これはいろいろと議論はあるとは思いますが、法人関係税の税収格差是正をするという意味では、ポジティブに捉えるべき改正ではないかと思います。
本来、法人課税は都道府県税に余りなじまない部分で、それは税源が年によってものすごく変動するわけです。ことしは大都市を中心として増収が見込まれていて、鳥取県も差はあるものの税である程度の増収が見込まれるのは、それは法人関係税のところです。ただ、景気が変わると、あっという間にこれは下がっていくわけです。特に法人関係税は所得課税ですので、赤字企業が黒字に転換するとかっと増えますが、また赤字企業に戻っていくと、どんどんと、今度は雪崩を打つように減っていくわけです。それは、定常的な行政サービスを提供する税源としてはふさわしくないところです。
また、本社等が多数所在する大都市にはどうしても税収は集中するもので、私どものように、いわば一生懸命産業誘致をしたり、地元の企業の振興をして頑張っているところは、どうしても税収の格差が開くということになります。
このようなことで考えると、本来は消費課税と法人課税、これを入れかえるぐらいの思い切った措置が必要ですが、今回の措置は、その意味の一里塚的な意味合いがあるのではないかと、これについては、ポジティブに評価をさせていただきたいと思います。
ただ、あと、議員が言われたた交付税の削減、歳出特別枠、また別枠加算、こうした削減だとか、それから、固定資産税について、償却部分の固定資産税、これをやめようというような議論が出てきたりしている。この辺は地方としては警戒すべきものだと思います。
固定資産税の償却資産課税分は、全国ベースで1兆4,000億円ぐらい、非常に大きなレベルです。消費税でも、1%の税率引き上げがあったとしても、この1.4兆円ですから、大体その0.5〜0.6%分ぐらいですか、税率的には相当するわけで、消費税が片方で引き上がっても、償却資産課税が減ると、市町村で大打撃ということになります。これは、絶対阻止しなくてはいけないと思います。この償却資産課税とあわせて、県の法人課税、これもターゲットにされかけていて、この辺も十分警戒すべきところだと思います。
そうした意味で、議員がターニングポイントと言われましたが、今まさに大ナタを振るわれている時期なのです。消費税が引き上がることと合わせて、税財政制度をがらがらぽんして、一括して変えてしまおうという時期になっているので、地方側としては注意深く、主張すべきことを十分主張しなくてはいけない、そういう時期だろうと思います。
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<県財政と県政運営について>bQ |
今政府のほうで予定されているいろんな改革ですが、まだはっきり全体の概要が出ていないので、なかなか難しい部分があると思います。それぞれ見てみると、一長一短があるということは私も理解します。しかし、いずれにしても、地方財源を確保するという一点集中の中で、県を含めて、市町村も、特に市町村の影響というのはいろんな部分で出る可能性がありますので、地方の自治体の首長さん方と連携をとりながら、その対応をしっかりと上げていただきたいし、やはり国との協議の場が今あるのかないのか知りませんが、しっかりと、知事会のみならず、声を上げていくようにしていただきたいということをお願いします。
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●知事答弁 |
地方税財政制度については、議員も御指摘のように、一長一短あるだろうと思いますし、ターニングポイントですから、次々とこういう制度改革の波がやってくる。それに対しては、十分我々も地方団体がスクラムを組んで打ち返していかなければならないと思います。国、地方の協議の場であるとか、あるいは統一した要望であるとか、六団体として対応をしっかりとやっていきたいと思います。 |
<県財政と県政運営について>bR |
平成18年度から始まった基金造成事業、その大半は緊急経済対策等が中心で、複数年度にわたり、県が主体的に事業を計画し実施できるもので、大変使い勝手のよい基金です。平成23年度までに終了した基金は3基金で125億円余り、平成24年度が4基金で39億円余り、平成25年度が3基金で125億円余り、平成26年に終了予定のものが10基金で480億円余り、平成27年度終了予定のものが4基金で122億円余りです。非常に膨大な基金が今日も使われてきましたし、これからまだまだ使われようとしています。
こうした基金は、終了年度までに使い切らなければ国庫に返還しなければならないということで、有効に使い切るための事業の実施に業務の力点が置かれてきた感があると、提案された予算書を見る限り、私は思います。
知事は、362億円の財政調整型基金を、公約どおり、残すことができましたと言われており、その努力は確かに私も認めます。しかし、少し水を差すようで申しわけありませんが、公約が果たされたその背景には、この基金造成を活用しての県の事業の実施で、基金確保がクリアできたのではないかと思うのです。もしこの基金造成がなかったなら、もっともっと事業の絞り込みをせざるを得ないし、これまでのような事業が実施できなかったのではないかと思います。財政調整型基金も公約どおり、果たして残せたのかなと少し疑問に思います。知事の素直な所見をお伺いしたいと思います。
また、私は基金事業を否定しているのではなく、いずれ近いうちにこのような基金造成事業はなくなるのが目に見えているわけで、基金造成制度がなくなったときに、職員の皆さんも大盤振るいような政策ではなく、投資的効果を絶えず考え、シビアな政策を立案しなければならない環境に置かれるわけで、基金造成事業になれ親しんできた中、果たしてその頭の切りかえが本当にうまくいくのだろうかと危惧するわけです。知事の所見をお伺いしたいと思います。
次に、消費税が4月に引き上げられることになり、鳥取県でも価格転嫁問題や資金繰りなど、さまざまな問題に対応するため、消費増税対策本部が設置されています。
自治体病院は、これまで厳しい経営を強いられてきましたが、前政権時代、2度にわたる診療報酬の改定により、ようやく全国的にも病院経営が安定化の方向に向かってきました。ところが、消費税の引き上げに伴い、また厳しい経営環境に置かれようとしています。
社会保険診療や介護保険サービスは国民に必要な医療、介護を提供する高度の公共性を有することから、社会保険診療や介護保険サービスに係る消費税については、現在非課税とされています。その対応策として、医療機関や保険薬局、介護サービス提供事業者の医療機器等に係る消費税については、課税扱いであるため、社会保険診療報酬や介護報酬においては、消費税分が上乗せされているとされています。しかし、県内の自治体病院を初め、多くの医療機関は、消費税上乗せ分は十分でなく、仕入れに要した分の消費税の一部が穴埋めできない、いわゆる損税となっています。これは以前、藤井議員も議論されましたが、まさに経営に大きな影響が出ることが危惧されています。
全国自治体病院協議会の調査によると、損税負担は平均で年間1億2,414万円、500床以上の病院では2億2,323万円に上ると計算されています。政府も引き続き検討課題として議論される予定ですが、県立中央病院や県立厚生病院を持つ自治体の知事としての今後の対応について、お伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
議員のほうから、こうした国のほうの基金による政策がなければ、なかなか財政の好転は難しかったのではないかなというお話がありました。確かにそれによって助かった面も正直ありますが、それ以上に選択と集中や行財政体制の再整備等のほうのウエートが、額的にも大きかったと思っています。
非常にこの基金というのは流動的で、いつまでもあるものではないので、その辺については兜の緒を締めながら向かっていく必要があるというのは、議員の言われるとおりだと思いますので、心してやっていきたいと思います。
基金の事業にもいろんなタイプがあります。例えば元気活力を創造する交付金のようなものは、いわば補助裏に充てるお金の部分を基金でやってきたというタイプです。こうしたタイプのものは、基金がなくなった後については、交付税つきの起債、地方債で措置をするというのが手法になるかなと思っていて、これらは余り影響なく移行できるものではないかと思います。
また、障害者の自立支援ですとか、介護関係とか、そういうところでも基金によって個別の事業が措置をされているものがあります。これらは、本来は国庫補助金でやるべきものが基金に振りかわってきました。これらの中には、完全にではないですが、今回基金が終わるということになると、そういう一般的な国庫補助金に移行していくというものもあり、そちらのほうの補助金獲得で対処していくのかなということです。
厄介なのは、2つほどあろうかと思いますが、1つは、雇用創造の緊急対策のほう、緊急雇用のこの基金です。これでかなり、特にリーマンショック以降の厳しい時期、政府のほうでも配慮してもらって配分してもらって、有効求人倍率の下支えにつながった面がありました。今これをやめていくことになるわけですが、確かに本県でも0.97まで有効求人倍率が行きましたし、先般、森議員の御質問もありましたが、これは正直言って、いわゆる非正規雇用のほうの雇用になります。その意味では、雇用の質の転換にはそのまま活用できるものではないので、そういう意味では、しかたないかなということがありますが、これで結構さまざまなまちづくり、あるいは技術人材の確保等々の事業が成り立ってきたところがあり、これらは必要なものを精査しながら、一般財源での雇用に今切りかえつつあります。例えば技術人材バンクの事業なども一般財源での雇用に切りかえさせていただくことになりましたが、中には精査した結果、中止しているものもあります。そういう意味で、この間、森議員のほうから大分雇用が膨らんだのが減ったというお話は、そこの非常勤の職にあらわれていたわけです。
そういうことと、あともう一つは、緑プロです。緑の、林道の整備、作業道整備とか、さまざまな木材を活動した事業、これも非常に影響が大きい可能性があります。これらは、例えば作業道整備等々、やはり国として補助金等できちんと措置していくべきだというものはしっかりと求めていきたいと思いますし、我々のほうでもやるべきことは精査しながら、一般事業として計上していくということを考えたいと思います。
いずれにしても、そういう意味で、よく注意をしながら、その基金の後のやりくりについては考えていかなければならないのは事実だと思います。
県立病院、あるいは市町村立病院について、消費税が今回引き上げられるわけですが、損税が発生をするというお話がありました。
これは、自治体病院を抱えている団体で共同して対策を政府のほうにも求めてきました。今後もまだ8%、10%ということもありますので、制度改正に当たった配慮を求めていきたいと思います。
何が起きているかと言うと、仕入れの値段は上がるわけです。診療報酬は非課税です。したがって、非課税だから関係ないだろうと思われがちなのですが、経費は上がるのでその分で損が出るのです。税率が引き上げられると、その分また損税が発生するという現象が起きるわけです。県立病院の中央、厚生両病院をトータルすると、損税が2億4,000万円ぐらいに上るということです。
今回の診療報酬の改定で、この問題は大分医療機関からも議論が出て、報酬についても配慮はなされました。それが社会保険診療、診療報酬の中に精査されて入り、それを反映すると2億円ほど戻るわけですが、なお4,000万円、まだ足らざるものがある、損税が残るということになります。 それについては、今現場のほうでいろいろと工夫を考えているわけで、例えばリハビリを強化する。また、午前中に手術を行う等をして、早期の退院を促すと、リハビリもそうですが、どんどん急性期医療に入ってくる人たちの数を確保していく。これは、その意味の需要が患者さん側にありますので、それに応えていこうという意味ですが、こういうことをやって、そうした4,000万円の損税部分への対応をやっていこうとしています。
いずれにしても、そんなに小さな影響ではないものですから、我々としてもこの消費税はまだまだ制度改正が続きますので、自治体病院で共同して政府に対策を求めていきたいと思います。
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<県財政と県政運営について>bS |
消費税の引き上げに伴って、本当に損税が出る可能性が病院はあるので、しっかりと自治体病院を抱えているところの首長さん方と連携しながら、声を上げていただきたいと思います。本当に一生懸命、ぎりぎりのところで、今地方自治体病院は、経営に一生懸命汗を流しておられるのです。それが一生懸命努力する一方で、制度的な部分でどんどん損税が出ると、やはりそういう一つの理不尽な問題ですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
財政調整型基金には300億円を残すというキャップを議会がはめてきました。その結果、知事も公約として300億円という財政調整型基金を残すことを絶えず意識しながらの予算編成だったように私も思います。しかし、先ほど申し上げたように、基金造成制度がなくなったときに、知事が幾ら努力しても、地方交付税の配分等によっては、先行き不透明な部分もあり、300億円というキャップのもとでは、予算編成は極めて27年以降、きついものになると私は思っています。
確かに議会の決議は尊重されるにしても、現実的には知事の政策立案のこれは足かせになるのではないかと危惧しますが、このキャップの見直しについて、知事の本当に素直な感想をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
財政調整型の基金の規模についてです。
これは、今回我々、4年の任期を共有する中で、300億円を達成することにさせていただきました。ですから、見直すというか、この任期を全うするというふうに理解しています。
それとはまた別に一般論として、基金規模というのはどの程度必要かということになるかと思います。これは、いわばダムのようなもので、どうしても財政収入というのは変動があります。また、需要ですね、経費のほう、歳出のほうも変動があります。その変動がそれぞれにある中で、どれほどのお金をプールしておいて、時に歳出と歳入のギャップがあったときに、それをくみ出すか。また、そうでないときは、これをためていくか、要はこういうダムのようにして財政の安定性を保つのが財政調整型の基金の役割です。
工学的というか、教科書的にはどういうことが言われているかというと、標準財政規模に対する一定のある水準を維持するとか、税収との関係、特に県の場合は法人関係税が多くあるので、変動性が高いと、そういう関係で水準については考えるべきだというのが教科書的な議論です。
我が方は、大体税収規模は400億円から500億円、最近はいきませんが、そういうような規模で、法人関係税のウエートだとか、いろいろと考えると、また、交付税のほうの変動要素もありますので、大体300億円というのはそこそこいい線なのかもしれません。標準財政規模でいいますと15%ぐらいすから、300億円あれば安心かなという規模であるかと思います。ただ、これからだんだんと財政需要が膨らんできたときに、300億円の規模のままがいいのかどうか、それよりも別に、もっと当面充てるべき事業があれば、そっちにその300億円を崩して持っていってもいいのではないかというような議論もあるか思います。そこはちょっと程度問題で、税収の変動に耐え得るかどうか、それから交付税も含めた財政収入の変動、これは2,000億円の標財規模の伸縮の状況などを見て、単年度乗り切れる分は少なくともダムの水が必要だということになります。
300億円は必要十分な額ですが、その水準の是非については、またいずれ新しい任期が始まるメンバーで議論をしていただければいいのではないかと思います。
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<県財政と県政運営について>bT |
2010年の鳥取県の人口は58万8,667人でしたが、昨年は58万人を切ったとようですね。それで、2040年には44万1,033人になると予測が発表されて以来、今議場でもいろんな議論が行われてきました。まさに超人口減少社会の中で、人口減少に歯止めをかける一定の努力は当然行政でも取り組まれているものの、特段の特効薬はないのが現状であり、現実的には避けて通れない道であると思っています。
特に注目すべきは、生産年齢人口が2010年には35万5,000人余りでした。これが2040年には22万6,000人余りと、64%に落ち込むと推測されていることです。つまり、生産年齢人口が下がるということは、県内の総生産額も当然落ち込むと同時に、現役の納税者が激減するということです。県財政に与える影響も大変大きなものがあると思います。当然そうなれば、今日のような県政運営、財政運営を進めていたのでは、確実にやはり破綻の道を歩まざるを得ないと思います。
地方交付税に頼らざるを得ない我が県においては、今でもその影響をもろに受けているわけですが、地方交付税制度の行方を見ながら、人口減少というシナリオの中で、財政運営の超長期的なシミュレーションをすべきだと思います。知事の所見をお伺いしたいと思います。
鳥取県でも高度成長期時代に、県立高校の新築や各種の公共建築が一斉につくられてきたわけですが、現在は喫緊の課題として、その耐震補強は計画的に取り組まれているものの、耐用年数はいずれ必ずやってくるものです。建てかえすべきもの、延命処置を図るもの、廃止撤去をするものなど、いずれは仕分けしなければならない時代がもうすぐそこまで来ていると思っています。赤字団体になれば、一旦赤字団体に転落すれば、幾らもう美辞麗句を並べても、ない袖は振れないのが現実です。知事の所見を改めてお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
財政運営について、超長期のシミュレーションを実施すべきではないかということで、これについては、一考に値すると思いますが、若干本県の場合は難しさがあります。多分東京とか大阪だとできることかもしれません。というのも、私どもは依存財源が大きいのです。7割ほどが依存財源です。ですから、制度的に外的にたかがはめられてしまうと。国庫補助金の制度だとか、交付税の制度だとか、そうしたことの要素で大きく変動するわけですので、20年、30年、40年、50年というようなスパンになると、ちょっと見込みが正直難しいかなと思います。
ただ、多分議員の問題意識は、人口が減ってくるわけで、それに対する体制を高めていくということではないかと思います。そういう意味でいうと、今我々もぎりぎり先までちょっと読もうとして、7年ほど先までの財政シミュレーションをやっておりますが、そうしたところの精度を上げていくというのが一つの考え方かと思います。例えば人口の縮減があれば、それに伴って交付税、今同額で置くとか、そういう操作はしますが、人口が減ってくるということであれば、その分単位費用に掛ける人口、測定単位の人口が減りますので、その分だけ交付税も減ってくるかもしれない。また、住民税も当然ながら頭数が減れば減るわけです。少しそうした意味での議員がおっしゃる問題意識に近いような形で、より参考になるようなシミュレーションを心がけていきたいと思います。
次に、代表質問のときも議論がありましたが、公共施設の長寿命化が課題になってきます。国のほうでもインフラの長寿命化の指針がつくられましたが、近々それぞれの自治体でも同様の取り組みをしろということになろうかと思います。
これについては、鳥取県は先取りしてやってきたわけで、インフラの長寿命化のためのいわばカルテづくりを今年度いっぱいまで主要施設についてやってきましたし、新年度以降は、トータルプランの策定に入ろうとしていたところです。また、片方で、土木施設などでいえば、国土強靱化の計画がありますが、それの県版を策定しろというのも恐らく来ます。この辺と今まで県がやってきた長寿命化の取り組みを組み合わせて、新年度にまとめていくことになるかと思います。その中で、議員がおっしゃるような、今後長いスパンを見た上での公共施設のあり方について、議会も交えて議論をさせていただきたいと思います。
最後に、公共投資にかかわる建設業界の皆様とよきパートナーとして、緊張感を持ちながらも信頼関係を維持していく、そういうことが必要ではないかということです。
これについては、私も常々申し上げてきましたが、非常に厳しい国全体の財政状況があると思います。つい昨日も経常収支が我が国、過去最大幅に赤字が膨らんだということがありました。かつてアメリカでダブルデフィシットといって、双子の赤字といったことがありました。経常赤字、それと財政赤字、これが国の将来に大きな影響を与えるということで、国際的な信任にも影響しました。恐らくセンシティブに動いてくる可能性があるかと思います。そうなると、どうしても公共投資についての圧力が縮減の方向でかかる可能性もあります。
ただ、鳥取県の場合は、インフラ整備が非常におくれているので、私はエチケットとして県単独事業など、県でできる範囲については、そこを減らさないオペレーションをやろうと、むしろ若干ふやし目にこの7年間やってきました。若干国の全体の流れとは逆行しますが、財政状況を悪化させることなく、そこをやってきたわけです。
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