<防霜対策について> |
まず冒頭に、先日の本会議において、私を関西広域連合議会の議員に選任いただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
それでは、まず防霜対策について質問をします。
4月15日の朝、県内の気温が氷点下を記録し、梨の花や柿の花芽が寒さで壊死する霜被害が発生しました。代表質問で知事の答弁にあったように、風評被害になることを心配し、質問すべきかどうかためらいましたが、被害は栽培面積の一部であり、我が県の梨や柿がこんなことで価格に影響するようなことを心配するより、全国的に想定外の気象現象が見られる中、きちんとその対策をとることのほうが将来的には大切であり、被害農家の悲痛な思いを考え、あえて質問することとしました。
県が被害状況を取りまとめたところ、柿の被害が7市町で面積が29.7ヘクタール、被害額は1億7,959万円、梨の被害は9市町で40.7ヘクタール、被害額は2億2,284万円、さらにビール麦が1町で141万円と、被害総額が73.9ヘクタールで4億384万円にも上ると発表されました。
相も変わらずフットワークのよい平井知事は、5月の連休のさなかに早速現地調査に行かれていましたが、私も同僚の興治議員とともに、知事にはおくれはとったものの、5月16、17日とJA鳥取中央の皆さんや普及所の皆さんに案内いただき、湯梨浜町を初め、倉吉市、八頭町と、県中部、東部の霜被害を受けた梨園、柿園を調査しました。また、福間県議も被害の翌日に地元南部町の柿園の現地調査をされ、多くの農家の皆さんの声を聞かれています。
柿については、新梢、花芽をつける新しい枝が壊死し花が咲かない被害や、梨についても、雌しべが黒変したり、枯死し、たとえ着果したとしても摘果でよい実が残せる可能性が低いものになっていました。霜被害に遭った被害園では、着果量が極端に少なくなることにより、例年より多くの枝が幹のあらゆるところから新芽を出し、病害虫が発生しやすくなり、翌年の収穫に影響することから、防除や管理を例年以上にする必要があります。
こうした降霜被害対策に緊急に対応するため、県としては予備費を充当し、5ヘクタール以上の柿、梨を栽培し、おおむね3割以上の収量減となった農家に対し、その防除に要する農薬代の一部を支援するための予算として1,000万円が用意されました。
さらに、今議会では、今後の防霜対策の一つとして、長野県や千葉県で取り組まれているペール缶にキッチンペーパーを入れ、灯油をたくことにより霜を防ぐ燃焼法に取り組むため、300万円の予算が提案されているところです。
このような甚大な霜被害は久しぶりのことですが、これまでも多かれ少なかれ霜被害はありました。以前は、タイヤやわらを燃やしたりして霜から新芽を守っていたと言われていますが、環境への配慮から今では全く行われていないのが現状です。
このたびの霜被害を契機に、改めて防霜対策を含めて検討する必要があると思いますが、知事の感想と所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
議員は、興治議員と一緒に湯梨浜、倉吉、八頭に行っていただき、また福間議員には南部のほうへ出かけていただき詳細に視察いただいたこと、感謝申し上げたいと思います。
確かに、昭和53年ごろ、4億円強の被害があって以来、大きな霜被害は最近なかったもので、少々そこのところ、若干手落ちというか、もっとスクラムを組んでやらなければならないこともあったのかなという反省もあります。
きょうは折しも朝方、ギリシャと日本の戦いがあったわけですが、残念ながらスコアレスドローになってしまったのです。こちらのほうが1人多かったのですが、結局、最終的には最後の後半44分のフリーキックも生かせずに引き分けになってしまいました。ギリシャは鉄壁の守りということが言われるわけです。また、私どものほうでも川島選手が何とかゴールをとめるというような守りをやったわけです。
やはりサッカーと一緒で、農業もそうしたきちんとした守りを固めておくことは大切ですが、そのためには日ごろからトレーニングを積むように、いろんな準備をしていかなければならないのだと思います。
霜というのは、やや少し気の緩みがあったのではないかということも言われますが、ただ、議員が今指摘されたように、今回は異常気象といっていい、そういう災害であったと感じているところがあります。実際に議員も行かれてお話を聞かれたと思いますが、例えば南部町のほうで言えば、坂根とか、そういうところは余り被害がないのですが、高姫とか、そういうところで被害が出る。それも前であれば標高がもう少し高いようなところのほうが被害に遭い、こちらの低いほうは余りなかったということで、まさかここで起こるとは思わなかったというような話でした。
今回は急に冷え込みがきつくなり、恐らく冷気が少し標高の低いところにたまってしまって、それがもたらしたような感じが、順々に現場を拝見して感じるところです。
また、気象台の予測以上に局所局所で大変に冷え込んできたということがあります。梨で言えば、大体マイナス2度前後ぐらいが春に起こると、雌しべが黒く変わってしまうような被害が出てくる。また、柿であれば大体同じようなマイナス0.4から2度ぐらいというところで、新梢のほうに花芽がつかないということで、実がならないということになるわけです。そういうような温度帯よりもむしろ低いところが局所的に温度が下がっていたわけです。
この辺は、やはりそういうことがひょっとしたら起こり得るという姿勢で守りの体制を築かなければいけないという教訓ではないかと思います。
一つには、今回特に南部のほうは加入率がよかったのですが、共済の加入というのがまず第一の守りになろうかと思います。これによって継続的な営農ができることになりますので、そうしたことは必要なのかもしれません。南部の場合、8割とか9割とか、かなり圧倒的な加入率があり、それで救われた感が多分あると思います。
今回のことで言えば、ただそれだけでなくて、来年度以降の営農意欲を妨げてはいけないということで、枝が暴れないように、予備費のほうで対策をとりました。防除対策ということもこのたびさせていただきました。
また、議員のほうで指摘があったように、ペール缶にキッチンペーパーを入れるような、そういう簡単な仕掛けでやろうということです。
ただ、このことも研究の余地があるでしょうから、ほかにも例えばスプリンクラーだとか、網かけとかいろいろな手法が各地でもとられていますので、園芸試験場のほうでもそうした防霜対策をしっかりと考えて取り組みたいと考えています。
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<防霜対策ついて>bQ |
防霜対策ですが、まず、情報の入手にあると思います。農家の皆さんは、テレビやラジオの気象情報で霜注意報を入手することが通例で、ことしも3月末から4月上旬にかけて、とにかく連日のように霜注意報が発表されました。私も農家ですので、とても気になる情報の一つです。
ところが、これだけ連日のように霜注意報が出されると、農家としても本当にどこで対応するのか、非常に紛らわしい部分があるのです。やはり十分な対応をなかなかとれないという現状も私はあると思います。
例えばですが、霜情報について情報を発表する気象台ともっともっと連携を密にして情報を共有し、霜の害が発生する危険度というか、注意度をランクづけして、農家がより的確に防霜対策がとれる、そんな情報が発信できないかと思っておりますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 また、このたびの霜被害地の調査をして共通して言えるのが、山から麓へ流れ込んだ冷気の通り道であったということや、冷気が滞留しやすい盆地的な地形でした。そうしたところの樹園地が被害を受けていたわけで、しかも樹園地の中に高さが4メートルぐらいの交配木があるわけですが、地上から2メートルぐらいの高さまではもう霜の被害を受けているわけです。2メートルより上になると全く被害がない。とても奇妙な姿でした。
だとするならば、これらの被害を受けた樹園地を初め、地形的な条件を加味し、これまでの被害の状況というのはそれぞれ普及所が情報を持っているので、ハザードマップを作成し、集中的な防霜対策の投入や情報提供ができる、そんなシステムを私は考えるべきと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
さらに、防霜対策として、ペール缶を活用した燃焼法を初め、先ほど言われたように、防霜ファン、スプリンクラーによる散水等、いろいろな対策が考えられるところです。このハザードマップができれば、樹園地に応じた補助基準等の作成や補助対象地域の選定にも有効に活用できるのではないかと私は思いますが、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
従来から気象台だとか、あるいは農業関係者と一緒に、県として鳥取県の農業気象協議会というのをつくり、そこで分析をしたり、指導をしたりということをやっています。今回も情報伝達は、議員が今指摘されたように、農家サイドにも届くようになっていたと思うのですが、毎日のように出っ放しになってしまったということです。この辺がやや問題があるのかなと、私も質問を伺って思います。
調べてみると、気象台が霜の注意報を出している今の考え方というのは、鳥取県全域のうちのいずれか一つでも3度を下回ってくると霜注意報が全域に出ると。ですから、それは例えば日南町の茶屋で3度を下回りそうだということになれば、全域で出てしまう。ただ、実はその霜の災害、農業災害というのは局所的に起こるわけですから、もっとやはりきめ細かくすべきなのです。そういう意味で、農場によっては温度を計測されているところもあり、今回もそういう計測データが残っています。マイナス7度ぐらいまで下がったところがあったり、大栄ですか、どこかでマイナス4度ぐらいまで下がったところがあったり、いろいろでしたが、そういうように、やはり局所的に自分で温度管理をしていくのが結局は大切なようです。
ただ、そればかり言っていてもしようがないだろうと。農家もお年寄りがたくさんいらっしゃいますし、もっとわかりやすい形にすべきではないかということで、少し研究させていただきたいと思います。
実は、そういう温度のデータは、全県一律に3度以下ということが計測できる背景を言えば、それだけあちこちで計測をしているわけです。そういう計測データを、ちょっと仕掛けが要るのでしょうが、情報共有をする。それが、ここでは例えば梨をつくっている、柿をつくっているというそれぞれの地域の特性があります。そうした特性を見ながら、これはJAさんの営農指導とかと連携しなければいけないと思いますが、今回は強い霜がおりそうだと。これがちょうど今、花蕾から花が開いてこんな時期なので注意しましょうとか、そういうことでもう少し具体性を持って、強い霜の警戒が必要な時を指摘するという体制づくりを考えてみてはどうかと思います。
今、福島県が、あそこはやはりこちらと違って寒冷地ですから、単なる霜注意報でなくて、さらに強い霜の情報を気象台とタイアップして出している例もあるようですので、他地域のことも研究して、早急に体制をとらせていただきたいと思います。
次に、ハザードマップの作成について、これも地域によって確かに違います。今回も、例えば琴浦なら、3〜5割の被害が見られる、そういう農園が散在しているということでした。北栄のほうにいくと、かなり集中的に5割以上被害があるところが出たりしています。地域性が結構ありますが、今回の経験などを生かして、ここは霜に対する警戒が必要だというのを地図に落としてみる作業に今取りかかり始めたところです。JAさんとも問題意識を共有して、秋の前ぐらいまでにはそうした対策をとって、ハザードマップをつくってみて、農家の皆さんに、こういうことは心配しなければいけないという思いを共有してもらう必要があるだろうと思います。
ただ、ハザードマップだけで、ではそのとおりに災害が起こるかというと、今回も地元の人からすると想定外のところで霜の被害があって、想定したところでは起こっていないという状況でした。ですから、霜対策自体はハザードマップで全部決めてしまうというよりは、基本的にはそれに取り組む農家さんを応援するという形でやってみてはどうだろうか。例えば、北栄あたりだとこの地域まとまって畑かんがあるわけです。畑かんを活用すれば、いずれスプリンクラーでまいて凍結措置による防霜対策ということも可能かもしれません。そういうように地域性がるので、地域でまとまって、うちはこれでやるというときは、ハザードマップに載っている、載っていないではなく、応援してあげてもいいのではないかと思います。
いずれにしても、農家の皆さんにも警戒していただけるマインドをもう一度昔のように、タイヤをたいた時代のように警戒をしていただけるように、ハザードマップをつくってその状況を知っていただくとともに、対策についてもきめ細かく対応していきたいと思います。
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<防霜対策について>bR |
先ほど知事も言われたのですが、私もこうして樹園地を回ってみました。一つ感じたことが、やはり樹園地に温度計が全く見えなかったということなのです。農家の皆さんも本当に自己防衛するという意味で、やはり霜情報が出ている時期には温度計を置いて、ある程度それぞれの樹園地の、自分の樹園地の中で大体低いところはわかりますから、そういうところをそれぞれの農家の皆さんでも自己防衛してほしいという思いは強く感じました。
県として農家の継続意欲と再生意欲を高めるため、あらゆる政策に取り組まれているところですが、一つのネックは、やはりこのたびの被害農家の大半が高齢者の農家であるということです。特に柿農家などは、今年度の収穫物がない上に、来年度に向けた防除費が、県から農薬代1回分3,900円の3分の1に当たる1,300円の補助が1回だけ行われるものの、年間8回程度の防除が必要です。反当たり2万9,900円余りの負担が農家の皆さんにはのしかかってきます。5反なら14万9,500円余りになります。梨なら20回程度の消毒をするので、さらに柿の倍以上の経費が必要ということです。ですから、1,300円の県の助成、もう少し、1割程度ぐらいはされてもいかがなものかと思っています。
こうしたことから、多額の収入はないのに維持管理はかかるということで、高齢者の農家では資金繰りが大変重くのしかかっています。資金を借りるにしても、年齢制限があるので借りたくても借りられない、非常に悩ましい問題が現実でもあります。
今後も産地を維持していくためにも、こうした問題にもやはり県としても丁寧に対応していく必要性が求められると思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
詳細は、農林水産部長からお答えしたいと思います。
議員も言われたたように、一つは温度管理をもう少し徹底してやるようにということで、これから来シーズンに向けて霜対策のマニュアルというか、そうしたものを作成していきたいと思います。そういうところに、今言われるような、温度計を取りつけて自分の園地がどういう状態か確認するということを呼びかけていきたいと思います。
また、高齢の農家の方が多いことについての対策は、無利子の貸付制度も含めて、私どものほうでも用意をしていますし、柔軟に適用したり、個別に相談に乗って、解決策、出口を探すように督励したいと思います。
また、そういう中で今回防除の対策をとらせていただきましたが、今のルールは私どもが3分の1で1,300円出しますが、それにJAと町とがそれぞれ3分の1ずつ出し合って、大体4,000円ぐらいの防除経費にさせていただいています。確かに全部防除できればいいのですが、ただ、それぞれの管理する園地ということもあるので、地域として応援していこうというある程度の役割を果たさせていただこうということです。特に趣旨としては、翌年に向けて防除をやって元気を出しましょうと、また次の年頑張りましょうという、そういう思いを持っていただく意味で、1回分は無料で防除ができるような体制にさせていただいたところです。
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●岸田農林水産部長答弁 |
融資制度の年齢制限ですが、現在、借り受け者の最終償還時の年齢が75歳を超える者は、連帯保証人がいれば借り入れは可能となっています。
一般的に高齢農家への融資は、借り手も貸し手も慎重にならざるを得ないということです。まずは農家の皆さん、農家自身が今後の経営について家族で話し合っていただくのが一番、その上でJA等ともよく相談していただくというのが重要と認識しています。
県としても、利子補給等の財政支援に加えて、JAと連携して普及活動を通じて、個々の経営状況に配慮したきめ細かい対応をしていきたいと思っています。こういうケースがあれば、ぜひ個別に相談をしていただきたいと思います。
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<防霜対策について>bS |
これからも状況はどういうふうに変化していくのかわからない部分もあるので、しっかり農家の皆さんと意見交換をしていただきながら、また9月補正でも対応できるものは対応していただきたいと思っていますし、特に梨などは摘果しても規格外が出ますので、それらの販売のあり方、そういうものについても改めて協議に乗っていただきたいということをお願いしたいと思います。
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●知事答弁 |
梨については、確かに今後規格外のものが収穫時期に出るなどがあるかもしれません。この辺はこれまでの経験もあるので、以前も例えば県庁で即売会をやったりして、そうしたものの流通に少しでもお役に立とうということをしました。これはもう収穫時期の状況によると思います。その状況を見ながら、この辺も関係者と臨機応変に対応させていただきたいと思います。 |