平成26年9月定例会一般質問(平成26年10月7日)No.3

<危険ドラッグへの対応について>
 
 
 一般的な表現が脱法ドラッグから危険ドラッグへ統一された危険ドラッグの対応について質問します。

 薬物の乱用防止に関する条例、まさに今議会の大きな目玉の政策であり、今議会でも何人かの議員が質問で取り上げ議論されてきましたが、平井知事に条例改正への認識を改めてお伺いします。
 当初、この問題については一昨年の9月議会で、いわゆる脱法ハーブ等の薬物の不正使用を誘発する図書類の販売等を自主規制の対象とするための一部改正として、青少年健全育成条例の一部改正として提案するということでした。啓発程度の意識しかありませんでしたが、提案された後、一般質問で薬物の規制条例を整備すべきではないかという私の提案の中で、昨年の2月、県議会において薬物乱用の防止に関する条例が提案されました。
 ところが、今議会においては、全国で初めてと言われる危険ドラッグを包括的に違法と規定する条例を、これまでより、より積極的に改正されるに至った知事の思い、さらに意気込みについて平井知事にお伺いします。
 マスコミの情報によると、隣の兵庫県でも薬物の乱用の防止に関する条例がこの9月議会に提案され、10月6日に可決、成立。京都府においても規制条例の制定が検討されていると報道されています。したがって、関西広域連合に加盟している7府県のうち6府県で何らかの規制条例ができるということになり、危険ドラッグへの包囲網が広がりつつあります。こうした関係府県との連携について今後どのようにされていくのか、知事にお伺いします。
 一方で残念なのは、この中国地方では我が鳥取県だけであり、できればこの中国地方でも足並みをそろえて包囲網をつくり上げる必要があると思いますが、その呼びかけも含めて知事の所見をお伺いします。
 
●知事答弁

 

 これについては、鳥取県の議会での議論が火をつけ、今全国にこちらの議会で議論されている危険ドラッグの改正案が広がり始めています。今、議員もおっしゃいましたが、昨日、兵庫県議会で薬物の取り締まりの条例が成立しました。これは前も申し上げましたが、実は鳥取県のコンセプトが入っています。8月の末に京都とか兵庫とかいろんな知事さんと話したときに、鳥取県ではこういう工夫をしていますよという話をしたら、あっという間に向こうの議案になって、向こうはうちよりも1週間遅く開会して提案したのですが、うちはまだ1週間あるのですが、向こうは議決してしまった。いかに鳥取県議会が熱心に討議されるかという、そのシンボルかなと思います。兵庫県はまだ開会の途中みたいです。セッションの途中なのですが、途中であえて先に通したのではないかと思います。余り先陣争いをしても意味がないのですが。ともかくそういうことでうちのコンセプトがよそへ広がり始めているということがあります。
 それはやはり社会がそれを熱望しているからだと私は思っています。国を挙げて心配していたのは、危険ドラッグが危ないものであるのに違法になっていない、取り締まりの対象になっていない、それが問題であるということです。それに対する答えを、本来は麻薬やアヘンなどと同様に国が始末をつけるべきものですが、一向に腰を上げない中で、それなら現に鳥取県内でも事件が起こっているので、我々から旗を立てていく必要があるだろうと。冷静に考えると、罪刑法定主義にも反しない範囲内で十分条文の設定は可能ではないか、こういうふうに考えて違法であると、鳥取県内において危険ドラッグは違法であるというコンセプトを初めて打ち出したわけです。
 兵庫県はうちとは若干中身が違い、うちが多分最初に使用だとか販売だとか製造だとかが全面的に違法として禁止する最初の県ということに事実上はなると思います。一部兵庫県のほうが先に走る部分はありますが、大きな網をかけるという意味では、うちが11月中旬施行ということになりますから、先に走ることになるかと思います。いずれにしても、そういうことをやはり問題提起をしていかなければならないと思います。ぜひこうしたことを他のところにも広げていただければと思います。
 また、今回、違法であるということで抑止力を働かせようというのが最大の眼目ですが、それとあわせて実効ある取り締まりにつなげようというのもあります。従来我々、議員からも指摘があり、薬物取り締まりの条例というものができたわけですが、その条例の中であるのは知事指定薬物というものです。これは成分分析でやるものです。これが結局今、問題になっているイタチごっこの原因になっています。
 それだけでなく、製品名で指定してしまうと。これはビッグデータという技術があり、インターネット上でどういうものが危険ドラッグかを疑わせる蓋然性が高いという、推論をさせるデータがあるわけです。それを分析するなどにより、製品名で薬物の成分分析の前に指定をしてしまうということをやるわけです。これを今回新たに導入しました。さらに、それ以外にも何かちょっとわからないけれども、これは危ないというものについては、知事指定候補薬物として、これについては販売店などに届け出をさせるということを入れさせていただいたわけです。
 このようにして単に違法だと書くだけでなく、実効ある取り締まりにもつながるように条文を書かせていただいたところで、ぜひこれによって撲滅を図ることができればと思います。鳥取県では違法なドラッグであるというメッセージが伝われば、インターネットでの鳥取県への販売も含めて、危険薬物の脅威が県民のところに及ぶことは格段に減るのではないかと期待しています。
 次に、その包囲網をつくっていくことですが、議員がおっしゃるように、まず関西広域連合の議論がありました。これは8月28日に、伊藤議員の関西広域連合議会の中での質問で、こういうものに対する取り締まりをしっかり連合としてもやっていくべきではないか、道筋をつけるべきではないかというお尋ねがありました。
 それを受けて、広域連合のほうでも厚生労働省や内閣府に向けて要請書を緊急につくり、きょう提出しているはずです。徳島県の飯泉知事が我々を代表して上京して提出していると思います。また、緊急アピールも関西広域連合のエリアの皆さん向けも含めて出させていただきました。とにかくこうした社会悪を正していかなければならない。それも広がりを持ってやる必要があります。
 先般、智頭のトンネルの中で起きた事件において、これは危険ドラッグの使用があったということで裁判所が認めました。もともとはその前には兵庫県の稲美町で事件を起こしていて、その流れで車を運転されてきてこっちに来て、こっちで車を奪ったということでした。これも兵庫県内から起きているものです。ですから、狭域的な取り締まりだけではどうしてもいかないわけです。ですから、広域的に対処しなければならないわけです。
 中国地方としてもこの問題を取り上げるべく、今月開かれる中国地方知事会に鳥取県からも提案をさせていただこうと思います。そして撲滅を地域挙げてやっていくことにしたいと思います。ちなみに今同時並行で進んでいる岡山県議会において、伊原木知事が鳥取県同様に危険ドラッグの撲滅のための条例制定を検討することを表明されました。このようにだんだんと鳥取県が放った矢があちこちに届き始めていると思います。
 また、あともう一つ、包囲網をつくる意味では、県内での包囲網も大切です。単に条例ができたから、行政が動いたからだけでは撲滅はできません。警察のほうの呼びかけで宅建協会のほうが応じていただき、こういう危険ドラッグの製造とか販売とか集団での使用、こういうものについては退去させる、契約を解除する、貸し家のそういう契約をしようということで、協会が呼びかけることとなりました。このように県内でも県民運動を起こしていかなければならないわけです。この辺は稲田議員の御質問の中にもありましたが、単に法律ということだけでなく、法律以前の問題でそうした輪を広げていくことが実効ある撲滅には重要だと考えています。

<危険ドラッグへの対応について>bQ


 条文の詳細については、稲田議員とのやりとりの中で大半の課題は明らかになりましたので、私はあえていたしません。確かに国の法令が定まっていない中、いろいろな課題があると思いますが、ことしに入って危険ドラッグにかかわる交通事故は3件発生するなど、県民の命と生活を守るためには、稲田議員にはお気に召さないかもしれませんが、国が動かないなら先送りすることなく県独自で整備することも大切と思います。もし運用する中で課題があるなら、また見直せばよいと思います。
 県民が今なぜ鳥取県でこの条例が必要なのという部分が私は非常に弱いと思います。皆さんに報告しますが、法に抵触しない重大事案に発展していない等の理由から公になっていないものもあると考えて、県内の危険ドラッグにかかわる事案として、県警が把握している件数を尋ねたところ、平成24年で8件、25年で14件、26年、ことしで既に5件と報告されてきました。実にこの2年半余りで27件の危険ドラッグに関する事案を県警でも把握されているのです。だから私はいろいろな問題はあるかもしれないけれども、この条例の成立を急ぎ、私は県民の皆さんの命や生活を守るべきだということを強く思っているところです。
 したがって、完璧ではありませんが、そういう強い意味を含めて成立を急ぐべきだと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁
  
 私も全く同感で、そういう意味で今回この議会に上程させていただいたところであり、ぜひ御審議いただき、そうした県民の皆様が危険ドラッグの危険にさらされることのない地域社会を実現していただければと思います。
 議会と私ども、首長、執行部は共同責任を負っているわけで、県民の皆様、地域にどういう社会を約束できるか。その有力なツールが議会の議決による条例という手段です。これを制定することについて私たちは躊躇すべきではないと私は考えていますし、現にそれを期待するかのごとく、兵庫県がきのう成立をさせたという動きも出てきました。
 過ぎてかえらぬ不幸を悔やむ者は、そうした不幸、さらに不幸を招く、そういう近道となる。これはシェークスピアの「オセロ」に出てくる言葉です。ここでやはり将来のことを考えて、起きてしまった後で嘆くのではなくて、起きてしまう前に抑止力を働かせる、そういう条例を制定することの意義をぜひとも皆様にも御理解いただきたいと思います。

<危険ドラッグへの対応について>まとめ

 本当は本部長に意見を伺いたかったのですけれども、この条例が成立したときには県警でもしっかりと県民の皆さんの生活、命を守るために危険ドラッグへの対応をしていただきたいと思います。