平成26年9月定例会一般質問(平成26年10月7日)No.2

<職員給与と人材育成について>

 地方創生に関するテーマに関連するわけですが、県職員の給与と職員の育成についてお尋ねします。
 本日は人事委員会の曽我委員長に答弁をお願いしましたところ、大変お忙しい中、あえて御出席いただき、2年ぶりに曽我委員長と議論させていただきますこと、大変感謝し、お礼を申し上げます。
 8月27日、人事院は国家公務員の給与を4月にさかのぼり月例給を 0.3%引き上げ、一方で給与制度を総合的に見直すとして、特に地方勤務の公務員賃金を抑えるため、鳥取県を初め、地方の12県に勤務する国家公務員については、4月から2%、最大で4%引き下げ、在京の公務員は逆に2%かさ上げされました。一時金については勤勉手当を0.15月引き上げる勧告が行われました。
 そこで鳥取県では、という議論をしたいところですが、あす県の人事委員会勧告が行われるということで、多くの職員の皆さんはその勧告内容に大きな期待をされ、必ずやその期待に応えられる勧告だと思いますが、きょうはあえてその問題には触れず、職員給与の構造的な問題、全国一低い国公ラスパイレスと職員の育成について順次お伺いします。
 まず、ラスパイレス指数が全国最低で、このままでは92を切るのも時間の問題だと、2年前の平成24年12月7日の県議会で曽我委員長と一般質問で議論させていただきました。当時、県民の視点に立ち、県議会での議論、労使の意見等を総合勘案の姿勢で臨むという教科書的な答弁でしたが、3月25日、総務省から発表された平成25年4月の各都道府県のラスパイレス指数、東日本大震災による賃金カット前の比較ですが、鳥取県はさらに下がって91.6%、次の大阪が93.5%、お隣の島根県が97.5%です。
 人事委員会として議会での議論、さらには平成24年12月17日、国公ラスパイレス指数の全国都道府県順位も40位台で全国最低の水準にある。この状況が続くと職員の士気、県の将来を担う優秀な人材確保等への影響が懸念されることから、人事委員会として県民の理解と納得を得ることを前提に、職員の適正な給与体系のあり方を明確にすべきであるという県議会決算特別委員会の口頭指摘がなされたわけですが、こうした経緯を踏まえ、人事委員会としてどんな議論をされてきたのか。また、なぜ鳥取県だけがこんなに低位な国公ラスの状況にあるのか。また、低位のままでよい、仕方ないという理由を曽我人事委員会委員長にお伺いします。
 また、過去の議論から、県職員の給料表は県独自で作成されていると私は思っていましたが、そうではなく、人事院が作成した国公の給料表に県独自の指数、今年度分適用なら1000分の 964を掛けたものを適用されています。まさか人事院が作成した国公の給料表を引用されているとは正直驚きました。今年度適用分なら、県独自の指数1000分の 964が掛けてありますが、その指数の根拠について曽我委員長にお伺いします。
 ところで、官から民という大きな流れの中で、県においても現業職を廃止し、民間委託等が進められていますが、今後どこまで現業職の廃止を行われるのか、平井知事にお伺いします。

 
●知事答弁

 

 私どももこのたび職員の採用試験等々をやっていますが、決して意欲が落ちている感じではなく、一定の受験者もあります。職員の皆さんも給料だけで仕事をしているわけでもないわけ、それは職員の名誉のために言っておかなければいけないと思いますが、給料が安いから仕事をしないということは全然なく、むしろやりがいを持ってふるさとに当たれるかどうかということだと思います。
 現業職を鳥取県庁として廃止するのかどうかということについては、職場の皆さんとも話し合いを重ねてきました。実は全国的な号令としては現業職を廃止すると、全廃するというのが大きな流れなのだろうと思います。これはマスコミでも随分キャンペーンがあったのですが、民間と比べて公務員が優遇されていると。特に現業職場がそうであると言われまして、その辺を正していかなければならないという動きの中で、中国各県では鳥取県以外は現業職廃止の方向が既に決まったり、実行済みとなっています。
 鳥取県では現場主義で考えようということでアプローチをして、ここ数年やってきました。そういう中から、例えば農業技手だとか畜産技手、林業技手といったような特殊な技能というものを持っておられる、現業職場については、なかなか民間に委託するということの道が現実にはないのです。こうした職場については残していく。しかし、そういう一部を除いては転換を図っていく。こういうことで進めてきました。ですから、現業職を全廃するのかということであれば、それはいろいろと職場とも話し合い、我々も冷静に分析しながら、必要な職については残していくという方針でやっていこうと考えています。

●曽我人事委員会委員長答弁


 本日は、伊藤保議員からさまざまな御指摘をいただくだろうと知りつつ、あえて出頭させていただいた次第です。
 あえてと申しましたが、我々の機関、公正さと理屈に基づいていろいろな提言をさせていただく機関です。ただ、当然選任過程が直接的な民主的な選任過程を経ていません。議会や知事の選任、承認を経て選任されていますので、議会での御説明、これを通じて我々の判断、あしたなされる勧告も含めて、御理解いただくいい機会をいただいたと思っています。
 また、公正さと理屈で我々の機関の提言が、根拠となるところはそちらですので、どうしても教科書的な答弁にならざるを得ない点もあろうかと思いますが、機関の性質として御理解いただければと思います。
 まず、国公ラスパイレス指数について、それを踏まえて、平成24年12月に県議会の決算審査特別委員会にて口頭の御指摘をいただいた件に関して、当委員会がどのような議論をしてきたかということについて説明させていただきます。
 説明に先立ち、きょうの説明、一応議論を2つの段階で御理解いただければと思います。公務員の給与は当然給与制度、どのような給与カーブを描くかということと給与水準という2つの側面があります。給与制度については、当委員会としては公務としての類似性を重視して、国家公務員の給与制度を基本とするという考え方をとっています。他方、給与水準に関しては、民間給与水準をより反映させた給与水準がよろしいだろうと考えています。県民の方々の御理解を考えたときに、そのような考え方がふさわしいだろうと考えております。
 この考え方は、当然地公法24条3項、これに基づいて、その中での考え方ですし、他の都道府県や政令指定都市においても基本的に同様の考え方をとっています。
 さて、話を戻して、今平成24年12月の口頭の御指摘に関してですが、給与制度に関する話として説明します。平成24年12月の口頭指摘において、極めて低い国公ラス、国の国家公務員と比べて低い水準にあるという背景事情のもと、職員の士気、優秀な人材の確保、県民の理解という観点から、給与体系のあり方をきちんと検討するべきだという御指摘をいただきました。
 これを踏まえて、3点を検討させていただき、昨年の勧告にも盛り込んだ次第です。まず、1点目、当時の本県の給料表の構造上の問題として、行政職5級相当と6級相当の間で昇任、昇格しても給与月額が十分に上がらないという問題がありました。これは当然士気にかかわる問題ですので、こちらを是正すべきだという検討をしました。2点目として、初任層職員の給与について、他の地方公共団体、国と比べて、また民間と比べても、優秀な人材確保の観点からは低い水準にあるのではという検討をしました。3点目として、年齢層別の公民給与差の状況を踏まえた場合に、高齢者層の給与を抑制すべきではないかという検討をしました。
 これらを踏まえて、昨年の給与勧告においては、初任層職員の給与を優遇する一方で、高齢層職員の給与を抑制的としている国の俸給表に準じて、構造的に改定することが妥当だろうということを踏まえて、給料表の改定を勧告した次第です。
 次に給与水準の問題ですが、先ほど説明させていただいたとおり、当委員会としては、地公法24条3項に定める均衡の原則、すなわち職員の給与は国及び他の地方公共団体の職員の給与、2番目に民間事業の従業者の給与、3番目に生活費、4番目にその他の事情、これらを勘案して、考慮して定めなければならない、こういったものですが、これで考慮すべき要素を総合的に勘案して、特に近年は納税者である県民の御理解を得るために、県内の民間事業者の従業員の給与水準の均衡を重視してきました。
 その結果、いわゆる給与構造改革の行われた平成14年度以降においては、平成22年度及び昨年を除いて給与を引き下げるという勧告が続いており、その結果、全国最低水準となっているものと認識しています。この点については当委員会としても、勧告においてその都度非常に悩みながら判断を行っております。
 また、職員の士気、優秀な人材確保等の観点から、または国や他県等の給与水準の乖離状況を踏まえて、そういった状況でありながら特別給の支給月数や月例給の改定、これは据え置きや改定率自体についても総合的な考慮をして、地域民間等そのままではない、そのような勧告もさせていただいている次第です。例えば平成24年、平成25年においては、特別給支給月数の据え置き、それから月例給の公民格差の据え置きを平成22年、25年、月例給の公民格差がありながら改定率について配慮させていただいた年として平成19年、平成21年があります。
 今後も給与水準については県民の御理解をいただきながら、また御納得をいただきながら、全体としては県内民間事業所の従業員の給与水準を重視することが基本であるとは考えています。ただしかし、地方法24条3項の趣旨を踏まえて、総合的な観点から、また公平、中立の立場から、適切な勧告を行っていきたいと考えています。
 次にまず、現行の、これは給与制度の話です。給与制度については先ほど説明させていただいたとおり、国の俸給表をベースにするという考えを我々はとっています。国の俸給表をベースとしながら、なぜ1000分の 964であるのかという点ですが、給与水準について適切な水準を割り出した後、その乗率を算定した結果、1000分の 964になりましたというのが実情です。
 他方、では、国の俸給表をそのまま用いている独自性がないではないかという御指摘でしたが、昨年、現行給料表へ改定する前の給料表においては、最新の俸給表に比べて水準が高い平成18年度当時の国の俸給表に準じた構造となっており、行政職給料表の5級相当以下については給与の月額に1000分の 960を、行政職6級相当以上の級については1000分の 932を乗じて水準調整を行ってきました。当県として望ましい給料表のあり方について当県としても議論して、そのような俸給表になった次第です。
 現状、結果として1000分 964という率になっていますのは、その改定前の給料表のベースを国の俸給表に一定の乗率を掛けた場合に、どのようにしたら水準の調整がとれるのかという観点で1000分の 964という乗率を掛けている次第です。

<職員給与と人材育成について>bQ

 議長のお許しを得て、人事企画課の資料を皆さん方にお配りしていますので、見ていただきたいと思います。
 鳥取県の職員給与の在職状況を見てみると、25年度で1、2級が実に36.4%、都道府県平均が15.8%ですから20.6%も高い。3級で27.4%、都道府県平均が20.0%ですから、 7.4%高い状況です。ほかの中国4県では、1、2級が全て15%以内です。こうしたことから、どうしても鳥取県の国公ラスが一番低い要因であると思っています。
 この要因、なぜできたかというと、平成16年12月県議会において、自由民主党議員により提出された鳥取県職員の給与の適正化に関する決議により、主任、主査などのわたり制度を完全に廃止したことによる結果だと思っています。平井知事、この結果を見てどう思われますか。
 知事の行動から、私は当然だと思いますが、お隣の島根県と比較してみると、知事の給料だけが 118.8%です。職員は軒並み下回り、係長級では87.7%でしかありません。しかも係長になるのに他県より鳥取県は5年以上遅く、まさに採用された若い職員はもう本当に夢も希望もないというのが現状ではないでしょうか。この現状についての所見、そして今後の運用について私は是正を検討すべきだと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁
  
 これについては今、議員の御指摘もありましたが、平成16年にこの議会での議決がありました。その議決の中の項目としてわたりを完全に廃止をすると、そういういわば議会の意思が示されたわけです。私どもは民主主義ですので、議会の考え方を尊重してそれに従って職員団体とも交渉してきました。
 伊藤議員も先刻御承知とは思いますが、職員団体もそういう意味で折り合いながら、順々に話を1つずつまとめていって、今日のような姿にきているわけで、決して執行部だけで決めたわけでもありません。そうやってでき上がってきたところで、今わたりが是正された状態になったと思います。
 あとはどういうポストが2級とか3級だとか、そういうレベルでそれぞれに考え得るのかというところを、もっと現実を見ながら研究していくという、そういうステージに入るのかなと思います。わたりを復活させるということになると、これは職務給の原則に反して、地方公務員法の違反のそしりを免れないと思います。ですから、考え得る方策というのは、他地域あるいは国のほう、あるいは民間でされているような職務を研究して、どういうポストを考えることができるのだろうか。それに張りつくことで例えば3級から4級になる、4級から5級になるということになってくるのだと思います。その辺のちょっと丁寧な検討がこれから必要なのではないかと思います。
 ちなみにこれもおわかりの上でおっしゃっていると思うのですが、私の報酬についてもお話がありましたが、実は47都道府県で給料という名前のものは一番低いのです。今、各県財政危機ということがあって、それに対する給与カットをしています。それで2割カット、3割カットいうことがあって、それで若干その順位は落ちているとは思いますが、それでも全国では低位のほうです。特に退職金と諸手当等を全部ひっくるめて、それを1年ごとに見ていただければおわかりいただけると思いますが、これも全国で46位、三重県がかなりドラマチックに本来のものを切っていますので、それに次ぐところだったと思います。
 これも給与カットの影響はありますが、それでも全国下位のほうに入っておりまして、そういう意味ではほかの職員の皆さんと実は同じ水準で全部計算していますから、そこのところには余り変わりがないということです。職員の皆さんも今の本俸水準からカットしていないのと同じように、私ども議会も含めて今カットしていませんから、そういう意味で本俸のままということになっていると御理解をいただければと思います。

<職員給与と人材育成について>bR

 私が心配するのは、本当に公務員の皆さん方、兵庫県県庁に入る能力、鳥取県にも入れる、岡山県にも入れるという能力があるとすれば、今はもう兵庫県からでも2時間で帰れるのですね、鳥取に。米子に帰るのと変わらないのです。本当にどこに入るのか。やはりあとは待遇なのです。本当に同じ力のある優秀な職員を採ろうとするならば、職員の待遇をしっかり払うものは払うから仕事をやってくれというぐらいの本当に思いで、私は待遇改善をしてほしいと。今だったら若い人は逃げますよ。もう地方創生どころではないと思います。
 次に8月7日、人事委員会が地方の給与を2%下げた勧告を行ったことに伴い、全国知事会、全国市長会、全国町村会が共同でコメントを出されています。コメントの中身を要約すると、地方においては公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多い、官民を通じて地域格差が拡大することになりかねないとして、公務員賃金低下による悪影響を懸念されたものです。
 このことは鳥取県においても同様で、県の外郭団体の職員は、県職員の給料よりさらに何号か下位で運用されているのが実態です。また、民間企業でも参考にされています。
 やはり地方の給料を下げて地方創生はないと思います。地方創生を進めようとする中、知事並び曽我委員長にそれぞれの立場で所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁

 もちろんほかの民間並び、あるいは他の自治体のことも考慮しながら、今の給与体系の保障はやはり貫いていかなければならないところだと思います。その意味で人事委員会の勧告をベースにしながら我々としても適正に、職員の皆さんの生活もきちんと保障される中での活躍の場が与えられるように配慮をしていきたいと思います。

●曽我人事委員会委員長答弁


 本年8月7日に給与制度の総合見直しを含む勧告、これは人事委員会ではなくて国の人事院の勧告ですが、これを踏まえて全国知事会等がコメントしていることについては、おっしゃった御指摘のとおりで、その中身として、我々としてはこういうとらえ方をしています。つまり、地方による国家公務員の俸給水準の引き下げの方向性の勧告が行われたことを踏まえて、都市と地方との格差がさらに拡大しないように、政府にて適切な措置を講ずることを期待するものと捉えています。

 全国知事会などが懸念されているような官民給与の因果関係に関する意見があることは承知していますが、地方公務員法、特に24条3項の中には地方公務員の給与の原則として、そのような事柄を考慮することは直接には含まれてはおりません。民間事業所や外郭団体がどのように給与決定していくのかというのは、それぞれの事業所において労使間交渉等において決まっていく事柄であると認識しています。私どもの勧告に際しては、民間事業所が主体的に決定した従業員の給与をベースに調査した地域民間の実態調査を踏まえ、地公法24条3項の均衡の原則、特にこれは給与水準の問題ですので、地域民間の給与水準をベースとしながら国や他県の状況、人材確保の必要性などを総合的に勘案しながら決めていきたいと思っていす。
 当会としても地方公務員の労働基本権の制約の代償機関としての公正さを旨としながら、今後もさまざまな課題に検討していきたいと思っています。

<職員給与と人材育成について>bS


 本当にお配りしている表を見ていただいたらわかると思うのですが、余りにも全国の都道府県平均と乖離しているのです、鳥取県は。島根県とはラスと給料と実態が違うのですよ、運用状況が。私はぜひともその辺をもう一度しっかりと皆さんにも意識して検討していただきたい。ある市より鳥取県の給与は低いのですよ、県職員の給与は。その辺はやはり是正してほしいと思います。県の職員より市の職員のほうが給料がいいのです。私はどっちが高くなければいけないということは申し上げませんが、実態はそうなのです。本当に人材確保ができるのですかというのが私の思いなのです。若い人の意欲がなくなります。今、給料でなく意欲だけで仕事といわれますが、やはりボランティアではないのですから。もちろん仕事のやる気もそうなのですが、その背景にはしっかりとした生活給は保障するというものがないと、職員も一生懸命汗を流せません。職員の能力を発揮させるためには、皆さんの生活給はしっかり面倒を見ますという力強い知事の後押しが必要だと思います。きれいごとを言ってもやはりまず生活なのです。生活が第一だと思います。その辺を本当にもう一度配慮していただきたいし、職員の皆さんもやはり現状をもっともっとしっかり知るべきです。自分の給料は本当に今の給料でいいのか、仕事と。他県とあわせてどうなのかということもやはり職員の皆さんも気づくべきですし、怒るべきだと私は思います。

 続いて、現業職を次々と廃止されて縮小されていますが、私は大変危惧しております。
 「百合白清2」というすばらしい種雄牛ができたと今議会でも知事も誇らしく、さらなる夢も語られて、大変喜んでおられて、私もその報告を聞いてうれしく思っています。しかし、誰がどんな思いの中でこの「百合白清2」を育ててきたと思われますか。それは畜産技手の皆さんが日々、体を張っての飼育のおかげです。
 ところが、この畜産技手、現業職の見直しのときにどんどん減らされて、さらに退職が出れば畜産試験場での種雄牛の飼育、造成が極めて困難な状況にあります。今後は「百合白清2」の精子の需要も高まってくるでしょうが、精子の採取に当たっては5人の技手が必要です。将来本当に支障が出ることも想定されます。気性の荒い1トン近い種雄牛を日々管理するのは、まさに命がけの大変な作業です。私も隣の村ですから、小さいころからその種雄牛の管理を見て育ってきました。牛からも好かれ、一人前として種雄牛を調教して、そして飼育できるまでにはやはり5年から10年かかると言われています。今後の畜産技手の体制について、また後継者の育成についてどのように考えておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。

●知事答弁


 まず給料についての認識のお話がありましたが、先ほども申しましたように、生活給を保障するというものは地方公務員法の原則の中にも書かれているわけです。それとあわせて人事院勧告のもとになりますが、民間の給与との均衡、それから国や他の自治体とのバランス、こういうことも考えて、それで給与というものは水準が定められるべきだということです。

 鳥取県が少し他地域よりも下がってきている一つの背景は、民間との給与バランス、給与実情を、実態調査をやり、それに基づいて出していることから生まれているわけです。片方で実は鳥取県の給与水準については県民の目もあります。新聞その他でもよく報道されるわけですが、その辺の給与水準について公務員だけ高いのはいかがかという民間の皆さんの御意見が強く、そういうところを勘案すると、今あるような人事委員会の勧告で、鳥取県は非常に真面目に民間の給与水準を調べて、それとのバランスを考えてやっているという面があります。
 民間とのバランスですから、それで生活が失われるというほどのことにはもともとならないものです。あとは職員のモラルとかそれから民間の皆さん、有権者の皆様、税金を払っている納税者の皆様のそうした考え方、そこを踏まえながら人事委員会の勧告という一つの客観的装置を大切にして、運用していくということではないかと思います。もちろんそうした意味で給与の適正化ということを今後もいろいろと知恵を出しながら、図っていくことに異存はありませんので、いろいろと研究させていただきたいと思います。
 畜産技手のお話がありました。先ほどもありましたように、「百合白清2」、それから「白鵬85の3」、平白鵬というすばらしい種牛が生まれたわけですが、これらは全てそうした技手の皆さんの努力のたまものという面があります。
 この辺については、それが十分技術として畜産試験場で継続できるように、職場環境、人員配置についても配慮していく必要があると思います。今後、退職される方がおられたり、いろいろと変遷があるでしょうから、そのときそのときによく実情を踏まえて配慮して、職員配置を図っていきたいと考えています。

<職員給与と人材育成についてまとめ


 いろいろ議論させていただきました。人事委員会を見てみると、私は県職員だけを特別に給料を上げろと言っているわけではないのです。今の議論を見ていると、とにかく低いほうに低いほうに、何かスーパーのバーゲンの低いほうに合わせる競争みたいな状況で、本当にそれで地方に夢がありますかというわけです。若い人が地方に住みますかというわけです。そんなことで地方創生ができますかというわけです。地方だから低くていい、そんな理論をやはり排除しなければ、鳥取県から若い人が逃げます。私はそういう強い思いです。やはりそれは公務職場から直すべきです。
 もう1点、畜産技手ですが、本当に今、彼らは命がけなのです。私の知っている人も何人かが種雄牛を飼育する中で突かれて、半年や1年入院した人もたくさんあります。種雄牛の肥育というのは大変なのです。だから今、畜産試験場には「白鵬85の3」という検定中のすばらしい種雄牛ができています。今しっかりとこの畜産技手を育成しないと、対応しないと、またどこかの団体に預けるのですか。私は心配します。せっかくいい種雄牛をつくっても、鳥取県の畜産場で管理できないから、改良事業団等に預けないといけないことになります。やはり、しっかりと畜産試験場で管理できるようにしてほしいと思います。そのための育成はしていただきたいと思います。