平成27年11月定例会一般質問(平成27年12月4日)No.3

<海外誘客戦略について>
 
 我が国の今年度の訪日外国人の数が 1,631万人を超えたと報道され、全国的に、まさに海外観光客の誘致合戦があれやこれやと行われています。我が県でも、日本海側に面した地形を生かし、東アジア諸国からの観光客の誘致を目指し、韓国との国際便DBSの就航、さらには、台湾、香港とのチャーター便の就航に取り組まれているところです。特に境港が2011年に日本海拠点港に指定されて以来、大型外国クルーズ船の寄港が年々増加し、海外の観光客の来県が多くなり、ことしの2月補正予算では、国の経済対策を活用し、外国人観光客受入推進事業として 7,050万円を計上し、消費税免税店舗開設支援を初め国別外国語対応のガイドマップの作成、さらには、 4,880万円の予算で外国人誘致のための旅行商品の造成、広報宣伝が行われているところです。財政規模が少ない我が県にとっては並々ならぬ予算措置でしたが、その結果と今後の課題について平井知事にお伺いします。
 
●知事答弁

 
 地方創生の呼び声もかかる中で、観光が非常に注目されていますし、鳥取県のように人口が少ないところは交流人口をふやすことでないと経済のパイは膨らまない宿命にあります。そういう意味で、国内外の観光客を引き寄せる、それが私たちのテーマです。そんな意味で考えると、海外から誘客を図る戦略的なアプローチは大切で、今回、私どもも国の施策を活用して、例えば免税店の設置とか Wi-Fi環境を整えるとか、それから二次交通をつくっていくとか、また、海外の皆様のためのパンフレットなどのPR素材を用意するなどをやったところで、こうしたことが予算の執行として蓄積ができたと思います。今申し上げたようなPR資材だとか、それから海外へのアプローチなどは、いわば積み重ねですので、そういう意味ではステップアップにつながったと思いますが、ただ、まだまだ東京や大阪、さらには九州のような、そういう観光地としての認知が海外で確立したわけでもありませんし、課題も多いというところです。
 しかし、そういう中で手応えも出てきているのも事実です。例えば、きょうDBSクルーズフェリーさんがこちらのほうに来られていたわけですが、臨時便としてもう1往復、というトライアルを近々やろうというようなことがあったり、また、アシアナも11月は78%台ですか、その前の月よりは落ちていますが、それでも高い、しかもまだ乗り切れないということがあるわけです。それで、このたび2月の6日、8日、10日と、同じアシアナなのですが、アシアナがチャーター便を出すと。それで、火、金、日で今飛んでいるところに、その間の日にもう3便飛ばすということをやって、それを韓国の観光会社がチャーターした形で、それでお客さんを運んでくると、これは全部インバウンドですから韓国人です。こういうように、海外での認知がやはり集中的に今PR活動している中で広がってきているのも、また事実であろうかと思います。そういう意味で、課題はなお残るわけですが、やはり一歩一歩階段を上がっていかなければ、国際リゾートとしての鳥取県の確立はできないわけで、今後とも関係者と行動をともにしながらチャレンジをしていきたいと思います。

<海外誘客戦略について>bQ

 我が県もそうですが、海外観光客というよりも、例えば為替に左右されたり、国家間の外交により存続が大きく変化するために、これまで県の観光政策を見ていると、どちらかというと、その対応に追われていたという部分が私はあったと思います。やはり県としては、そろそろもう鳥取県として全国一律の観光誘致の競争でなく、どんな海外観光客を呼び込むのか、焦点を絞りながら取り組みを重点化するということが必要ではないかと思います。確かに爆買いと言われる観光客は経済面では大きな魅力がありますが、この鳥取県で恒常的な魅力になり得るのか、また、一方で、いつまで続くのかという疑問も私は持っています。県では、ことしの3月に、平成30年度までの向こう3年間の鳥取県観光振興指針、ようこそようこそ鳥取県取組運動指針が改定されました。何かオーソドックスな名前ですが、海外観光客の誘致対策について情報発信中心の取り組みです。私としては、海外観光客が鳥取県の何に魅力を感じ、何を求めて来られるのか、もう少し目的、対象、ターゲットを絞りながら誘客対策を進めたらと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
●知事答弁
 

やはり観光客の目線が大事で、国も違えば、趣味も違います。そういう方々が行きたいと思える素材がうちに何があるか、ここからやはり掘り起こしていかなければいけないのだと思います。アンケートをとってみると、鳥取に来られた外国人の方、概して好評です。何がよかったかというと、やはり自然、これが1つある。それからそれに続いたところで、人情というか、おもてなし、ホスピタリティー、あわせて、どこも同レベルで食、こうした感じが鳥取県のところなのです。それに漫画とかアニメの魅力なども付加されて、鳥取の一つの観光の素材ということになるのではないかと思います。
 現実に、最近の新しい傾向として出てきているのは、自然の中で体を動かすものに共鳴されるアジア系の方々がふえてきていることもあり、ついせんだっては、上海の旅行社の方が、小原工選手の指導を受けるという形でマラソンを鳥取でやるというツアーをつくられてこちらのほうに来られたこともありました。また、韓国からキャンプを大山の山麓でやると。これも今シーズンは結構お客さんを伸ばしています。東部でいうと、浦富海岸、もちろん砂丘が一番人気なのですが、浦富のカヤック、これは必ずしも外国人ではありませんが、おととしは 1,600人、去年は 2,300人で大変伸びていると議場でも御報告申し上げたと思います。今シーズンが終わりましたが、 4,000人です。うなぎ登りにふえているのです。また、例えばダウンヒルサイクリングもそうで、去年は 1,000 人でしたが、ことしは、この日までのタイミングで 1,200人、その前の年が 700人だったのですから、これもだんだんと伸びてきて、おと年の倍ぐらいになるのではないでしょうか。そういうようにやはりヒットするものが出てきているわけです。
 議員も海外に行かれるとわかると思いますが、向こうで例えばコナンの話をするとか、そういうことを絡めると、物すごく食いつきがよくなってくる。そうしたところを考えると、そうした形で重点化をしながら引き込んでくるのが多分一番効率もいいし、当県としては戦略的なやり方ではないかと思います。今週末も「名探偵コナン」にちなんだ鳥取砂丘コナン空港のリニューアルをすることにしていますが、こうしたニュースが入った関係で、例えば中国の北京のほうから旅行のファンツアーがこの機会にやってきて、これは多分その後の商品造成につながると思います。これは山陰を鳥取砂丘コナン空港でそこを楽しんで、そこから西へ向かっていくというツアーを組もうとしているようです。また、例えば中国で言えば中央電視台ですね、そうした非常に有力なメディアもこの週末鳥取入りして、鳥取砂丘コナン空港の取材をされるということになってきています。こうしたことで、我々も戦略的に重点的に取り組んでいきたいと思います。
 

<海外誘客戦略について>bR

 11月1日にグラウンドゴルフ発祥地である湯梨浜町の潮風の丘とまりでグラウンド・ゴルフ国際交流大会YURIHAMA2015が開催されました。この大会には、台湾からの68名を初め、中国からも68名、遠くはスペインからの4名など、国内外から10カ国、 184名が参加し、とても賑やかに開催されました。グラウンドゴルフ1点だけでこうした国際交流大会が開催されたことは、私は、新たな観光の視点からも本当に意義ある大会だったと思っています。知事も閉会式に参加されたようですが、知事の感想をお伺いしたいと思います。
 なお、県内にはそれぞれ有数の温泉地があり、宿泊受け入れ数、キャパ自体は大変大きなものがありますが、そのほとんどが和室で、同室タイプが中心です。ところが、こうした海外から来られた皆さん方は、プライバシーを重んじたり、洋室を希望されるお客さんが多くて、このたびの大会でも中部地区で受け入れがままならず、鳥取に宿泊されたという方も多くあったということです。やはり今後のいわゆる県として海外観光客の誘致に当たり大きな課題になるのは、この宿泊施設だと私は思いますが、県としてこの課題にどう対応されるのか、改めて知事にお伺いしたいと思います。

●知事答弁


 11月1日に湯梨浜町で行われたグラウンドゴルフの国際交流大会は、私は大成功だったと思います。もちろん手づくりの大会ですので、華やかさというと、いろいろ評価はあるかもしれませんが、集まった人数は、外国の選手で 160名、さらにそれに随行の皆さんだとか、それからサポーターだとか、そういう方をいれると 198名、 200名ぐらいになりました。これは町のもくろみを大幅に上回っています。それは、やはり海外にグラウンドゴルフというスポーツが知れ渡っていることだろうと思いますし、本気でやっておられる国々がふえてきているということです。日本国内では、ゲートボールはちょっと減少傾向です。グラウンドゴルフは隆盛ですが、さすがにもう会員数も頭打ちになってきています。ただ、海外というマーケットを考えれば、これはまだまだ伸びるところだと思いますし、もとはといえば、もう今から30年くらい前ですか、旧泊村で考案されたニュースポーツでして、これの聖地ということにもなるわけです。
 私は、閉会式のほうで参りましたが、各国のそれぞれのお国柄を出しながら閉会式を楽しんでおられました。台湾チームの強さが光りましたが、韓国の理事長だとか上海の選手だとか、それぞれに強さも発揮されて、思い出を残しながら帰られたのではないかと思います。そういう意味で、こういう国際大会としてのグラウンドゴルフを新年度さらにクローズアップして、町と話をしながら展開してみたらどうだろうか、また、周年を通じて海外からグラウンドゴルフを楽しみに来られるお客様、そういう商品造成もあるのではないか、こういうように思います。そんな活用を考えさせていただければと思います。
 また、あわせて、議員も御指摘がありましたが、特に中部なのですが、和室の数とベッドの数とのバランスが東部、西部とはちょっと違っています。したがって、今回の大会でも、結果としては東部に泊まられるお客さんとかが意外に多かったわけです。海外のお客様の場合、相部屋で、それで畳に布団引いて寝るというのを楽しまれる方も確かにおられて、これは決して無視もできませんし、そういうお客様がむしろ今ふえてきている、それは事実です。ただ、他方で、これは東洋も含めて、個室のベッドで寝るという習慣の方々も多いわけで、特に観光旅行でなくてスポーツで来れられる方は日常生活の延長上にあって、ふだん住みなれた環境、使いなれた環境のほうがいいという選択もあるわけです。
 そうすると、和室からベッドを設置する、そういういわば居室の改修などもこれからの国際観光という戦略では必要なのかもしれません。当初予算に向けてどういう対策がとれるのか、関係者ともよく話し合って検討してみたいと思います。