平成27年6月定例会一般質問(平成27年6月17日)No.1

<プレミアム商品券について>
 地域の消費喚起並びに生活支援対策として、鳥取県だけでも20%プレミアムつき商品券を総額24億円、とっとりふるさと旅行券1億 4,000万円、多子世帯応援クーポン券として 8,810万円、低所得者向け灯油等購入助成として 2,075万円、さらには新橋ふるさと名物振興券として 600万円などと、7億 8,600万円の税金で27億円余りの経済対策が取り組まれています。県下の市町村でも、鳥取市のプレミアムつき商品券の10億円を初め、全ての市町村で同様の取り組みが行われているわけですが、県として地域の消費喚起並びに生活支援対策としてどの程度の経済対策が実施されているのか、把握しておられたらお聞かせください。
 さらに、県としてはどの程度の経済波及効果があると想定されているのか、またその効果について何らかの検証を予定されているのか、平井知事にお尋ねします。
 また、ふるさと旅行券がインターネットでオークションにかけられていると報道されましたが、想定の範囲内であったのか、平井知事に所見をお伺いします。
●知事答弁

 
 県については、御指摘のあったように27億円余りの事業をやるわけですが、ほかにも低所得者対策として灯油助成の制度支援も行うことにしています。また、市町村のほうの状況は、総額で44億円の事業が行われる運びとなっており、39億円のプレミアムつき商品券と言われるもの、さらには鳥取、米子、湯梨浜、三朝といった温泉地を抱える市町村で、2億円のプレミアム旅行券が発行されるところです。そのほかの独自事業で3億円余りで、合計すると44億円ぐらい、また予算額ベースでは、県のほうは8億円ぐらいですが、市町村は11億円と、県を上回るベースとなっています。これらは国の地域経済の活性化や生活支援といった交付金がこのたび特別に出て、それに幾つかメニューが示された形の中でこの取り組みをしているというところです。
 経済効果については、例えば商品券でいえば、県のほうの予算は大体4億円ということになりますが、大阪など先進地、既にこうした商品券を発行しているところでの消費誘発効果、大体3倍ぐらいが相場です。それからすると、通常12億円程度にはなるか、というのが一般的な見方かと思います。予算額以上にそうした効果はあると言われます。特に今回、プレミアムつき商品券でいうと、私どものところで県外の方にわざわざ売りました。それは、県内に旅行したときの消費を喚起するということで、これは全く新規消費喚起事業ということになろうかと思います。これが大体冊数で1万 1,000冊ぐらい売れており、1億 3,000万円余りの誘発効果がそうした面でもカウントできます。
 また、プレミアムつき旅行券については全国でも話題になりましたが、4分で売れてしまったということでしたが、5月の連休時の旅館さんなどのお話でも、それを持ってこられる方が少なからず見られたということです。アンケート調査をしており、それから出てくる情報からすると、このプレミアムつき旅行券がなければ鳥取は旅行先として選択されなかったというお答えも、少なからずあり、そういう意味では一定の効果はあったかなと思います。これらは国全体でとった手法で、国全体でのこういう地域経済の活性化対策、いろいろ評価もあるかと思いますが、現実の数字として表れたり、お声としても表れていると思っています。
 また、何らかの検証をする予定かということですが、今、旅行の話を申し上げましたが、プレミアムつき商品券が予算額的には結構ありますが、これについては今アンケート調査を実施しています。どういう効果があったか後ほど検証して、今後のこれは多分、国全体でも政策に生かしていくという意味だろうと思いますが、そういうものです。そういう中には、ふだんより高価なものを購入したとか、中には耕運機を買ったとか、それから住居費に充てた、これはつくるほうですが、自宅の内装工事に充てた方もあったりして、そういう意味ではいわゆるリバレッジといいますが、その出したお金以上に効果のほうが膨れた面も認められるかと思います。いずれにしても、私どもも検証したいと思いますし、国全体でも今回の政策の成果については検証されるだろうと思います。
 ふるさと旅行券がインターネットでオークションにかけられたということですが、これは、実は鳥取県に限らず、今、全国でも同じような事象が起きています。鳥取県が最初に売ったことで、鳥取県から当然そういう動きが出ましたが、その後続いた徳島県とか、最近も茨城県とか、いろいろなところで同様の課題が出て、政府としてもその辺について、こういうことはやめてもらいたいという呼びかけをしているところです。これについては、私どもで今把握している限りということですが、25件の事象があったと考えていますが、最近はそうした件数もおさまってきているようには思います。
 そういう中で、今回このふるさと鳥取に来てもらいたいという旅行券を出すときのもくろみですが、メニューにこうした旅行券ということは示されていましたので、恐らく全国で同じことをやるだろうと。そういう意味で私どもは最初に売ってしまおうと。それがいろんな旅行をこれから考えようとしている人たちに届くだろうということで4月1日発売ということにして、全国初になったわけですが、JTBともかけ合ったということでした。
 そのとき実は内部でも大分協議をしました。私もこういうことがオークションに出るということはあり得るのではないだろうかと。それで庁内でも大分議論をして、職員とも大分詰めたわけでますが、JTBという旅行会社の全国ネットのコンビニエンスストアに入るシステムを使うということでの制約がどうしてもあり、それがほかの県でも同じことが起こっていることだと思います。
 ただ、本県の場合、そういう意味でやったこともあって、券面の上には、これは営利目的の転売は禁止しますと明記しています。また、使用される方の名前とか、住所の県の名前、県名ですね、これを記載して使っていただくということにしており、そういうデザインにしているところです。こうしたサイトへの掲載があるたびに、オークションサイトのほうに私どものほうから、即刻取り下げていただきたいというような要請をしたり、いろいろと手を打っているわけですが、法的な限界もあって、この辺が精いっぱいのところという状況です。これは政府も他県も同様のことになっているところです。
 そういう意味で、これから始まる第二弾として、ウェルカニキャンペーンの中でもこうした旅行の促進策をとりたいと思いますが、同様の手法はとらずに、別途工夫をする必要があると今考えているところです。

<プレミアム商品券について>bQ


 インターネットオークション、話題性をつくることに事欠かない平井知事ですので、想定の範囲内と思っていましたが、そうではなかったということですね。わかりました。このプレミアム商品券、一般の家庭では生活費として経常的に使われている経費の上乗せとして利用していただければ、県内の消費に大きなプラスが期待されますが、生活費の一部として取り込まれてしまったら、その期待感が殆んどないものになってしまうということです。いずれにしても、この商品券、貯金ができないですから、財布にしまわずに使っていただければよいと思っています。しかし、県内の自治体が大盤振る舞いされたこのたびこの政策ですが、県内の経済がよくならない限り、また働く皆さんの賃金が上がらない限り、逆に年末にかけて消費の冷え込みという反動も心配されるところです。県としても今後の経済対策を進める上でも、この巨額な消費が限られた期間内に先食い的に行われるので、やはりその動向をしっかりと注視する必要があると思っています。

 私もこの質問をするのに県にも聞いたのですが、それをまとめる課がない。まとめて集約して、この対策をどうするのか。このたびの県内のプレミアム商品券の発行額も、多分財政の皆さんが大変汗をかいて情報を集められたと思うのですが、この情報すらつかむところがなかったのです、つかまれているところが。そういう意味を含めて、今後の動向にどう注視されるのか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 また、少子化対策としてもう一人子どもを産もうという意識の促進、多子世帯の生活支援及び地域の消費の喚起に資するため、多子世帯の世帯主に対して1万円のとっとり多子世帯応援クーポン券を交付するとされています。つまり18歳未満の子どもさんがいる家庭に対してですが、現実この1万円のクーポン券でのもくろみどおり、もう一人子どもを産もうと、4人目を出産される方は本当にあるのでしょうか。もう一人子どもを産もうというキャッチフレーズは何か詭弁であって、その主目的は、本当はやはり生活支援だと私は思います。生活支援を目的とするなら、夫婦で3人の子どもさんの家庭も大変でしょうが、3月には貧困計画をつくったでしょう、鳥取県は。貧困対策を。もしそれと連動して考えるなら、ひとり親家庭で2人のお子さんを育てておられる家庭は同等か、それ以上に生活も大変だと私は思うのです。やはり 5,000円ぐらいのクーポン券でも交付すべきでなかったかと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 
 

●知事答弁
 
 昨年に比べて直近のデータで大型の小売店など、4〜5%ぐらい上がっているのは事実なんですが、ただ、消費税前の駆け込みのころとか、いろいろな要素を除くと、今までから必ずしも完全に回復している消費ではないと分析されるのではないかと思っています。ただ、賃上げについては、4月になりますが、連合鳥取さんが公表されたところでは、 4,796円の賃上げということで、昨年よりもその幅は大きくなっているようですし、例えば鳥銀さんがベースアップをしたとか、いろいろと今までにない要素も生まれてきているとは思います。
 ただ、議員もおっしゃるとおり、プレミアム商品券のロットは経済全体からすると余り大きなものではないので、これで消費税のときのような消費の冷え込みとかいうことには一概にはならないと思いますが、ただ、プレミアム商品券を扱った店舗などにも今後も聞き取りをして、注意深く動向を見守りたいと思います。
 とっとり多子世帯応援クーポン券についてですが、これは全国で大体 700の自治体が同様のことをしています。政府のメニューの中にも多子世帯の応援というのがあり、この商品券方式というのが想定されていたこともあって、鳥取県でも行ったわけです。私もちょっとこれは気がつきませんでしたが、キャッチフレーズに、私は現物を見ていないですが、もう一人子どもを産もうと書いてあったということですが、それは少々行き過ぎではないかと私も思います。私も中で議論に当然参加していましたが、子どもの数がふえてくると、当然それに対する生活費、教育費、養育費、いろいろとかさんできます。ですから、若い世代を応援する必要があるのではないか。特に今、正規、非正規という問題もあって、そういう若い世代の方々の生活を支援するというところに重点を置いて、その際、政府のほうの用意した経済対策の交付金の額にも制限があるので、ある程度実感が持てるような施策ということで今回そうした多子世帯対策として採用させていただいたというのが実情です。ですから、議員がおっしゃるように、生活支援と考えていただいて結構かと思います。
 低所得者対策とかひとり親家庭の問題などがありました。私どもが最後の議会でも大分議論をしました。それで鳥取県は低所得者対策などの計画を作りました。実は今回の予算の中にも入っていますが、あそこで議論したような教育のフォローアップ支援ですね、そういう補習のような形、これを市町村への補助金として今回盛り込むなど、私どもとしても議員がおっしゃるような趣旨で別途、別のお金を使って別の事業を立てています。これまでもひとり親家庭対策では研修の支援をしようということで、浜田議員の質問だったと思いますが、託児所がないということへの支援策とか、県独自のそうした支援策も組みました。今後もいろいろな機会があるかと思いますが、仮にこういうような経済対策等々があった場合、そういうきめ細かい対策についても検討したいと思います。

<プレミアム商品券について>bR

 
 盛りだくさんのテーマについて議論しました。私はいまだ納得できないものがあります。やはり行政と政治というのは、時として公平公正を求めながら、一方では質問したように、プレミアム商品券にしてもふるさと納税にしても、お金持ちの皆さんにとっては極めて手厚い政策になっています。例えば、県の商品券、最大で15万円ですね、3人のセットでね、3セットで15万円。それに市町村の分10万円すれば、25万円でね、商品券を買えることで5万円もうかるのですよ。
 県民の皆さんの中には、納税という国民の義務を果たしながら、日々ぎりぎりの生活をしておられる方や、お買い得と思ってもこのプレミアム商品券すら買えない人は、その恩恵にあずかることはできないのです。ふるさと納税制度は、高額納税者に対する恩典としか思えてなりません。皆さん、どうでしょうか。
 しかも、県の規定で、個人住民税を右から左に動かすこと、つまり県に50万円以上のふるさと納税をすれば、篤志家として感謝状まで贈ることができる制度もあるのです。あえて寄附するのではないです。税金を動かすことで現実的には困難かもしれませんが、肺炎球菌の自己負担額をプレミアム商品券の財源を充てたとすれば、本当に多くのお年寄りの皆さんがもう少し余生を健康で楽しく、それぞれの人生を全うできるかと思います。お金持ちがより潤う政策より、政治と行政は極めて慎重に向かうべきであるとこれらの政策を通じて私は痛感しました。知事はどのように考えておられるのかお伺いします。

●知事答弁


 このプレミアム商品券や旅行券などを今回出されたのは、アベノミクス三本の矢が地方に届いていないという批判の中で、政府が先導して全国での展開を図ったものです。ですから、その政策の当否はもちろん国全体であろうかと思いますが、鳥取県内でもそうした同じようなことを展開して、県外からのお客さんを呼び込むとか、県内での新しい消費を喚起して、今、消費が冷え込んでいる中でそれを立ち直らせていく、その一つのよすがとしたいという政策目的です。