<中部地震と復興について> |
今日は、琴浦町の船上小学校の6年生の皆さん27人が、今年も社会科授業の一環として、県議会の傍聴に来ておられます。
したがって、今日も少し易しく質問をしたいと思いますので、平井知事も簡潔でわかりやすい答弁をお願いします。
まず、中部地震と復興について質問します。
10月21日午後2時7分、鳥取県中部において最大震度6弱の地震が発生しましたが、被災されました皆さんにお見舞いを申し上げますとともに、中部地区選出の県議会議員で結成している中部地区振興議員連盟としても、政党、会派の枠を超え、しっかりと連携しながら震災の復旧・復興に取り組んでいきたいと思います。
ところで、鳥取県中部地震発生当時、私は会派の皆さんと一緒に、隠岐の海士町で地域活性化の取り組みについて話を聞いている最中でした。
突然、議員全員の携帯から緊急地震速報を知らせるアラームが一斉に鳴り、その直後、大きな揺れに襲われました。隠岐で震度5の揺れでした。
その後、震源地を確認すると鳥取県中部とのことで、視察を中断し、現地から情報収集に努めたことを思い出します。
幸いなことに、私たちが帰りに乗船を予定していたフェリーおきは、既に給油されており、予定どおり出航し、その日のうちに帰ることができましたが、地震発生以降の隠岐航路は、給油施設が損傷したということで、翌日も全て欠航になったそうです。
本日、傍聴においでの船上小学校の皆さんも、初めて経験した大地震で、まさにみずからの命を守る行動として小学校のグラウンドに避難し、保護者の皆さんに迎えに来て頂き帰られたとのこと。けが人もなくて大変よかったと思います。
このように、このたびの中部地震、県内の学校現場において、避難の最中に転倒してけが人があったものの、一人の犠牲者も出すことなく、多くのけが人が出なかったことに安堵します。その一つには、県内の小・中学校、県立高校で耐震補強が精力的に取り組まれた結果であり、大きな意義があったものと思います。
また、震災翌日、中部地区の町の対策本部、中部総合事務所の県の対策本部を訪れました。震災後、結果論としていろいろな批判もありますが、私自身としては、どことも初めて経験する震災という中にあって、比較的素早い立ち上げと対応がなされていると思いました。特に中部総合事務所の県の対策本部では、発災から24時間を一つの目安として、ボランティアセンターの立ち上げを初め、あらゆる対応ができる初動体制がとられていました。また、震災直後から各町に県職員を配置し、県との連携がとれた活動には、市町から多くの称賛が送られていたことを改めて申し述べるとともに、知事には前代未聞の素早い補正予算の専決に敬意を表したいと思います。
また、震災直後、県、市、町との間でテレビ会議システムを使い情報把握、情報交換等なされていましたが、大変有効だったと思いました。
ところで、このたびの地震の特徴は、マグニチュード 6.6、震源の深さが11キロと浅かった割に、九州から関東まで広く揺れたことは、瞬間的な揺れの強さを示す加速度が
1,494ガルと大きなことによるものなのか、改めて県としての認識と見解について、小学生の皆さんにもわかりやすく説明をお願いします
さらに、震災対応の陣頭指揮をとられ、詳細に被災現場を見て回られた平井知事として、このたびの地震についての対応状況、見えた課題、今後の復旧・復興への思いをお聞かせください。
また、多くの学校現場では、子ども達が訓練ではなく、本当の大きな地震に遭遇し、避難をしたわけですが、このたびの地震における現場での行動について、教育長としての見解並びに課題をお伺いします。
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●知事答弁 |
伊藤議員初め議員の皆様にも、発災当初から非常に精力的にそれぞれ役割を果たしていただいたことに、この場をおかりして感謝申し上げたいと思います。
船上小学校の皆さんも今回地震を経験されたわけですが、これから恐らく長くこの記憶を後世へと伝える役割を果たされると思います。こうした子ども達への今後の防災教育や今回の経験を生かすことも含めて、私たちは対応していかなければいけません。
去年ですか、おととしですかね、田植えや収穫等々、献穀田の行事がありますが、そのときに学校が統合されて間もない船上小学校の校歌を伺ったことがありました。その清らかで透き通るような皆さんのハーモニー、そういうハーモニーが私たちの地域を変えていくのだと思います。
震災というのは、非常に不幸な出来事でした。しかし、不幸な出来事をいつまでも引きずっているのではなく、これを乗り越えていくことに皆が一丸となること、その力が未来への原動力になるのではないかと思います。今後ともしっかりと復興を進めていきたいと思います。
議員もおっしゃるように、隠岐島も結構揺れたということでした。御指摘のとおり、かなり広範囲で揺れを感じるに至りました。今回、地震動自体は 1,494ガルと、非常に大きな加速度を生じたわけですが、何が起こったかというと、三朝の地下構造の中で崩れが生じて、ずっと倉吉のほうに向けてそれが伝導していくわけです。いわばこう断層が広がるような形で、それがずれているわけです。今回は左横ずれ断層という、断層になったことは、この間も申し上げたとおりです。こういう断層が山陰の一つの特徴で、東西から押される力がじわじわと加わります。ただ、このじわじわと加えられる状況は、東南海とは比較にならないぐらい小さいものですが、それも積もり積もって、あるとき一定程度放出しなければならない、そうしたタイプの地震が起こり得るのが山陰の特徴です。
今回、その地震の断層の幅に沿って、10キロぐらいの幅で結構被害が激しい区域がありますが、その断層と十字になるようにして被害の広がりがあります。ただ、三朝など横に広がるほうについては、縦に広がるほうに比べると被害は若干軽微になる傾向があります。これは地震に伴い地下が崩れてくる、壊れてくる、これが連鎖的にこう壊れていくわけです。東日本大震災のときは、あるところで海溝のあたりで崩れたものが、それが広がり、最終的にマグニチュード9ぐらいの大きさの崩れになった。今回は、その広がりがマグニチュード
6.6の地震の大きさにつながることになるわけですが、崩れながら振動が伝わるものですから、例えばジェット機が通過するときのように音が組み合わさって、波が大きくなって先に伝わるように、今回、北栄町あたりで結構大きな被害が出ているのは、断層の先のほう、むしろ断層を縦に延ばした方向に被害が強く出る傾向もあるとも言われています。今そうしたことをいろいろと分析をしているわけです。
今まででわかっていることからいくと、かなり小さな波動が起こりました。これも地域によって違います。倉吉市役所のあたりは 0.4秒ぐらいの周期の波動が結構強く出ています。その強さはかなり強いもので、ああいうふうに窓ガラスがパンと割れたり、それから議場が使えなくなるのはそういうことでした。
倉吉の町なかのほうに行くと、もう少し長目の周期の波動が目立つわけです。それで白壁土蔵群など崩れがあり、北栄町のほうに行くと、またこれも地域によって違いますが、選択的に家が倒れるような形になりました。これはやはり家の構造として、古い家など構造的に弱いところが狙い撃ちされるかのようにゆっくりとした波動が起きる、そういう地面の上に建っている場合に、かなり増幅された形で被害が発生したと考えられます。
なぜ広範囲に広がる波が起きたのか。今回は遠く九州や関東のほうでも揺れが観測されています。マグニチュード 6.6なのに大き目、広目に広がったわけです。特に長周期波動については、当日の観測状況からすると、大阪とか兵庫等でもかなり強い長周期の波動が観測されているわけです。これはいわゆるS波、P波というふうに言いますが、最初に来るP波、それから2番目に来るS波、いわゆる縦揺れ、横揺れと言われるものですが、これはその波自体が地面の中を伝わる、そういう実体波と言われるものです。それとあわせて、別の地震波も起きます。マントルと、それから地表との間の、ここの部分の層が山陰の場合比較的浅目になっている。これがこうはね返りながら伝わっていく、そうした波が起きるわけで、これが表面波と言われるのですが、LG波と学者さんが呼んでいる波です。これで長周期の6秒周期ぐらいの波がわあっと遠くまで広がるのです。これが山陰の地震の特徴で、マグニチュード以上にもっと広範囲に、このLG波という形で波が伝わっていく。それで広範囲で観測されたと解説をされているところです。
今回の地震に対する対策については、今、議員のほうから御指摘をいただいたとおりで、市や町も非常に厳しい状況の中で、初動から何とか住民の皆様、それから地域の状況を把握し、できるだけそれに寄り添った対応をしようと奮闘されました。また、正直役場だけでは足りませんので、県の職員も初動から投入し、最初から県外の自治体のほうに呼びかけをして広範囲に参集してもらい、その力をかりることで、初動はかなり、前の地震に比べると倍というようなスピードで進んだと思います。
また、議員の皆様の格別の御理解もいただいて、発災から5日目にして予算をつくることができ、ここで住宅支援の対策など、その後の住民の皆様の復旧・復興の目安となる施策を打ち出すことができました。こうした形で、さまざまに初動においては一定の収穫を上げることはできたのではないかと思います
その間、私自身も毎日被災地のほうに通い、常に首長を初め現場の皆様と意見交換をしてきました。だからこそ状況に即した対策を打つことができたと思いますし、私のみならず、職員もそうですし、中部の総合事務所の職員も頑張ってくださったと感謝をしているところです。
ただ、私たちだけでもどうしようもないことがこれからたくさん出てきます。例えば、住宅を直すということ、何せ今、罹災証明の届け出申請が出ているだけでも1万
5,000あるので、既に罹災証明が出たところ、これが 5,000カ所を超えているわけです。だから一気に住宅の修理ということになりますが、地元の職人さんだけでなかなか手が回らない。そうすると何年も何年もかかってしまうということになります。
そこで、12月2日の日に住宅修繕支援センターをつくろうと、これは業界の皆様にも格別の御協力をいただき、中部の建設業協会の中に設置させていただきました。この運営経費は県のほうで支弁するという形にして、いわば公設民営的な形で、その民のところ、協会の皆様が親しく相談に乗っていただき業者のあっせんをする。これによって先へ先へと進めていくことにいたしたいと思っています。
これは一つの例ですが、例えば保健衛生のことをとってもそうですし、それからまちの商業の活力の復興をとってもそうですが、企業だとか住民の皆さんだとか町内会だとかといわば同じ方向を向いて、前を向いて一緒に取り組んでいかないと復興がなかなか、人口が少ないところですので、うまく進まないということになると思います。その辺は今後もよく県としてもフォローアップをしていく必要があると、気を引き締めているところです。また、施設の復旧や道路等の復旧にも本格的にかかり始めており、今月には災害の査定も各地域に前倒しで入ってもらうということになります。また、未来中心では、12月15日に梨の記念館、さらには一部のセミナールームや練習場等々、一部で開業を再び始めるとことになります。このようにいろいろと工夫をしながら、できるところから機能回復を図っていきたいと思います。
厄介なのは、白壁土蔵群のような文化財です。これも文科省へ私も直接かけ合いに行きましたが、前倒しをしながら災害対策を進めていただける方向になっているところですが、例えば白壁倶楽部や夢蔵という障害者のアートの施設が土蔵群の中にあります。こちらもそれぞれ被災をして、新聞、テレビでもよく出たところですが、これについては今、日本財団さんの支援を仰いで、もう既にその復旧に着手をするということになりました。
こういうように、各方面のお力もいただきながら、速やかな復旧・復興を進めていきたいと思います。
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●教育長答弁 |
本当にこのたびの地震では、避難訓練ではなくて本物の地震ということで、子ども達は本当に緊迫した中で避難行動をとったと思っています。そうした中で、一部例えば慌ててしまって机の下に避難する際に頭をぶつけてしまったり、先ほどのお話のように、校庭に逃げる際に芝生にちょっとひっかかって転倒して手の骨にひびが入ったといったような児童生徒の方が数名ほどいらっしゃいましたが、大きな人身事故もなくスムーズに避難ができたということは、本当に日ごろの避難訓練等のたまものだったのではないかと思っています。
また、避難の際に、実際には個々いろいろお話を伺ってみると、例えば避難のための放送を行うに際して突然停電になってしまったということで、ハンドマイクで連絡をしようと思ったが、いざというときに電池が切れていたとか、それから防火扉というのがありますが、ふだんは火災でないと閉まらないはずなのだが、この地震の揺れの加減か、誤作動して突然閉まってしまったということで、避難の際に通路が一部ふさがれたような格好で、防火扉の横についている小さいドアで避難をしないといけないというような、多少の混乱はあったというお話も伺っています。
また、校庭に避難した後、保護者の方に引き渡すという状況の中で、例えば仕組みとして一斉メールを送って連絡をとるというような方法をとっておられる学校について、一部そのメールの宛先が最新の情報になっていなかったり、登録されていなかったりということで、保護者の方に連絡がなかなかとれない場合もあったというようなお話も伺っているところです。そうしたことについて、やはり日ごろの備えが大切だということだとか、いろんな場合を想定して訓練をやっていくことが必要ではないかなと思っています。
このたびそうしたさまざまな事例も各学校の教訓としてあったかと思いますが、それを広く学校現場で情報共有して今後の対策に生かしていくことも、一方では必要ではないかと思っています。今、県の教育委員会のほうが音頭をとって、各学校現場あるいは教育委員会に少し振り返って課題等を洗い出してもらうためのアンケート調査を実施することを予定しています。そうしたことで一旦情報を集約して、それをまた学校現場のほうにお示しすることで、情報共有しながら今後の防災対策に生かしていくことを進めていきたいと考えているところです。
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<中部地震と復興について>bQ |
このたびの震災から、小規模災害については知事の政治的判断で5万円から1万円の見舞金制度が創設されました。その財源は寄附金で、予算額はこのたびの補正予算を含めて3億
6,000万円で、財源はふるさと納税です。もしふるさと納税が期待どおりに集まらなかった場合、その財源をどう補填されるのか、知事にお伺いします。
また、さきの代表質問で、来年度は 300億円の基金を割り込むかもしれないが、任期の最後には 300億円の基金は確保したいと答弁されました。26年2月、一般質問で私は、地方交付税が不安定な中、基金
300億円にこだわらなくてもいいのではないかと申し上げました。しかし、知事はかたくなに歯止めをかける一つのめどとして 300億円にはこだわりたいと答弁されていました。確かにこのたびの震災では、公共土木、農林土木の被害が思ったより少なくほっとしているものの、西部地震並みの被害なら到底そんなことは言っておられる状況ではなかったはずです。改めて知事の認識をお伺いします。
特に来年度は、交付税の歳出特別枠の廃止を財務省が声高に主張していますが、もし廃止になれば、県としてどの程度の影響が想定されるのか、お伺いします。
また、被災者住宅再建支援制度ですが、創設されたものの、私たちの任期中に本当に使うことがあるとは、私も想定外でした。聞くところ、20億円の基金と運用益を合わせて21億
4,292 万円から、取り崩し額の11億 9,200万円を引くと、9億 5,000万円余りとなるわけですが、今後も基金の目標額を20億円とされるのか、または増額を検討されるのか、さらに基金の積み立てを来年度から開始されるのか、知事にお伺いしたいと思います。
また、先ほど申し上げましたが、来年度は社会保障費の自然増の20億円のほかに、公債費の償還がピークを迎え、今年度より45億円増、消費税の先送り、さらには交付税の歳出特別枠が廃止されれば、かなり厳しい財政運営を強いられるわけですが、新年度の予算編成に当たり、新たなる予算編成指針を出されるのかお伺いします。
ただ、来年度を乗り越えると公債費の償還額が大幅に減ることが想定されるので、来年度が近年にない我慢の年になるかと思います。あわせて知事の御感想をお伺いしたいと思います。
このたびの震災で、県内の保育所、小・中学校とも、ほとんど校庭や近くの広場に避難されたわけですが、幸いに天候がよく避難に支障がなかったわけですが、小学校では保護者に子どもを引き渡すまでの1時間から2時間の間、だんだん寒くなり、子ども達の体調を心配したとお聞きしています。災害はいつも好天時ばかりでありません。暴風雨の日、また雪の日は避難先を変えるとか、テントを立てるとか、避難時の飲み物は、防寒対策はなど、二次的被害を防ぐことも含め、命を守る行動、避難のあり方について、学校現場に任せるだけではなく、しっかり検討すべき課題が浮き彫りになったかと思います。
そこで、保育所の避難のあり方については知事に、小・中学校については教育長に、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
今現在で大体 8,500万円ぐらい寄附が集まっていますが、議員がおっしゃるように、まだ到底その額に達するようではありませんし、今後どういうふうに被害の把握が進むのかによっては、もっと目標額も修正して上に上げていかなければなりません。ですから、多くのふるさと納税を集める必要も片方であるわけで、例えば石浦関に今、協力をいただいて、ふるさと納税、小さくても頑張れる、勝てるという、鳥取を応援してください、そのような呼びかけも始めようとしているところです。
さまざまな形でそうした寄附を集める努力はしますが、先ほども申したように、なぜ発災5日目でこういう予算を組んだかと言うと、それは住民の皆様に家を修繕するモチベーションを持ってもらうことです。そのための指針を与える必要がある。ですから、こういう支援が今回出ますよというのを早い段階ではっきりさせておく必要があるということです。
ですから、当然ながら、今までの役所のルールからいえば、そんなことをその段階で決めるわけでもなく、今もって熊本地震の被災地でそうした一部損壊も含めた対策が明らかになっているとも言えない状況も続いています。こういうことではなく、最初に明らかにするというためにわざわざ予算という形をとったわけです。
議員も御案内のように、予算があれば支出権限が生まれます。したがって、市町で受け付ければ、その予算は執行して補助金を出します。それによって住民の皆様には、そのための額というものが確保できるということになります。その際、財源は、これはあくまでも財源の見込みであって、財源がその特定財源であれば、それが足らなければ、それに至るまでは一般財源で補填するというのが予算執行の原則です。この仕組みを私なりに上手に活用すべきではないかと考えたところです。
全国の状況を見ると、そうした義援金等を充てている自治体が全国の傾向として熊本など出始めている。だからこういう仕組みは援用させてもらいますが、最終的にはあえて県の予算という形をとって、その執行を保障し、住民の皆様に安心を与えたい、この思いでした。したがって、もし集まらなかった場合、集めようと努力はさせていただきますが、その場合には議員各位にも一般財源を活用させていただくことを御理解いただきたいと思います。
基金の 300億円の確保についてお尋ねがありました。今回の震災対策で、今現在でも70億円ぐらい見込んでいますし、また、今後さらなる事業費が当然ながら発生してくるだろうと思います。そういう中、できるだけ有利な財源を選択して、一般財源に負担がかからないように、
300億円の基金の確保につながるように最大限努力をしていきたいと思います。ただ、そういう中ですので、来年度の当初予算で一時的に 300億円を切り込んだ姿に予算上見える形になることは、ある意味やむを得ないかなと思っていますが、ただ片方で、県民の皆様の思いとして、小さな鳥取県だけに財政が健全であってほしいと願う心は人一倍強いと私は感じています。したがって、最終的に我々、お互いの任期が終わる出口のときには、
300億円の基金を確保していければと考えており、そこに努力を傾けたいと決意を申し上げたところです。
300億円というのは、例えばあの地財ショックがあったとき、あのときの本県影響額が 288億円でした。ですから、あれ並みの制度改正、我々は地方交付税の改正が一番大きく響きます。あのような改正というか改悪というか、そういうのがあったときでもたえ得る貯金というと
300億円ぐらいかと思います。また、教科書的には、大体標財規模の10%から15%を確保すべしとも言われていて、そういう教科書的理解でいうと、
2,000億円の標財に対して 300億円というのは15%です。ですから、この辺は徳俵として私どもも確保していくべきだと思いますので、その辺の御理解をいただければと思います。
交付税の歳出特別枠の廃止の影響ですが、これは試算上29億円と弾かれます。また、そのほかの地方財政対策が今後決まってくると思います。今のいろいろ巷間言われているスケジュール見込みでは、19日に国・地方協議があるのではないだろうか。また、そのときに総務大臣や財務大臣によるいわゆる地財折衝、地方財政対策という我々の地方財政の大枠が決まるのではないかとも言われています。これまでも働きかけをしてきましたが、国・地方の協議など、地方六団体としてもしっかりと財源確保を働きかけていかなければいけないと思います。
次に、住宅再建のための基金ですが、取り崩しがあるわけですが、今後その増額等をどうするのかということです。これはまた近々、この基金についての協議会を招集して、その役員の市長さん、町長さん、そして私ども県の間で今後の方向性を話し合ってみたいとは思います。ただ、現状は、まだ災害が落ちついていません。したがって、どこまで基金が取り崩されるかということもはっきりしません。また、正直な話を申し上げると、新年度当初予算でまた基金を積み直すという余力が県や被災した市町にあるかどうかというと、疑問があります。もう一呼吸置いて、今回の被災の状況も見て、そして今後の方針も来年度いっぱいで決めて、そして再来年度の当初予算ぐらいからもう一度積み直すかどうかを考えるのが、恐らく穏当な方向性ではないかと思います。
今回、一部損壊というのが視野に入りました。従来の半壊で実は20億円という規模をセットしていました。一部損壊という今回のやり方を今後も継続するかどうか、これは話し合わなければいけません。仮にそれを継続するとなると、基金規模も膨らますのかどうか、例えば30億円とか、そうした規模に膨らますのかどうかということにもなるでしょう。それを毎年例えば1億円積むのか、あるいは1億
5,000万円積むのか、あるいは 5,000万円なのか、その辺はお互いの余力の範囲で、また積み立ての目標年次というのも考えながら決めていくということになろうかと思います。
いずれにしても、これは将来に向けての積み立てで、これに携わるところは、その発災の年に、市や町と協力して県も解決していかなければならない新たな財政需要になるということで、前もって積んでおくのか、その年に執行するのか、その辺の違いということになろうかと思います。
次に、今後の財政見通しとして、来年度非常に厳しい状況ではないか、それを乗り越えると変わるのではないかということでした。先ほど申したように、今回、今のところだけでも70億円ほどの震災対策がある。さらに積み上がる可能性もあります。その中で一般財源を充てなくてもいい事業費、財源をどう確保するか、この努力が求められるわけです。
ただ、いずれにしても、そうした財政の歳出圧力が発生すると思いますし、社会保障の自然増もあるでしょう。それに加えて、消費税は先送りになった。30億円ほどの財源が失われている。ここに来て、新年度が起債、地方債の償還ピークになる。ですから、いろんなことが重なり合っていて、来年度の予算編成は非常に難しい場面であることは間違いありません。ただ、これは今までも努力してきていることの延長で解決していかなければいけません。選択と集中だとか、それから事業の組み直しだとか、工夫が求められるところだろうと思います。
また、来年、起債の償還のピークを超えればそれで安心かというと、多分、中・長期的には、今度は地方財政の一般財源総額の制度的な課題というものが同時に浮上してくる可能性があります。ですから、そちらのほうに気を配りながら、あとはゆっくりできる、ということではなく、やはり気を引き締めた財政運営が必要だと考えています。
子ども達の震災対策について、先ほど教育長がおっしゃったわけですが、一斉メールなどは非常に役に立ちました。こういうことは今後の教訓としてみんなで共有していく必要があると思います。例えば、新年度の保育士の研修とか、そうした場面で、こうした知恵を生かしていきたいと思います。
また、避難をするに当たり、必ずしも園庭が全てではないわけです。天候のこともあります。そうすると、いざというときの代替の場所をどう確保するのか、これはあらかじめ相談しておく必要もあるかと思います。
また、保護者の方が直接来れないという状況のときに、ではかわりにどなたかということも、例えばあらかじめ登録していただいて、連絡手段なども確保しておく。今回の震災の経験も生かして、そうしたフォローアップをしていかなければいけないと思います。
また、もし必要な備品等があるのであれば、これもそうした保育所の支援事業もありますので、これを活用してということになろうかと思います。
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●教育長答弁 |
今回の場合、幸いに先ほどお話ありましたけれども、天気が比較的よかったということ、あるいは道路などに被害が生じなかったということで、迎えに来られる保護者の方も比較的スムーズに学校に来ることができたということで、本当に幸運だった部分もたくさんあると思っています。そうしたことについて、先ほどもお話ししましたが、いろんな場合を想定した備えというのが必要ではないかと思っています。
例えば、他県では、校庭に避難するということが決まっている場合でも、ふだんから防災頭巾にかわるようなものを座布団として使う。その中に例えば家庭用のごみ袋と新聞紙が入っているといったようなことで、避難するときにそれを持っていけば、ある程度頭も保護することができ、いざというときに風よけ、雨よけにも使えるといった工夫をされているところもあるとお伺いしています。そんなことも含めて、いろんな工夫だとか、今回の教訓だとかをそれぞれの学校現場で共有する、そんな取り組みをこれから行いながら今後に備えたいと考えているところです。
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<中部地震と復興について>bR |
このたびの震災で改めて注目されたのが、防災士です。防災士は、阪神・淡路大震災の教訓から、災害から被害を最小限にとどめ、日ごろから地域の防災、減災を担う民間の資格者です。ところが、県内の有資格者は、男性が
362人、女性が16人の、 378人いらっしゃいますが、全国的には2番目に少ないのが現状です。県として、この防災士の育成を含めて、認知度とそれから周知をどう高めていくのか。そして地域防災の中で連携をどのように検討されていくのか、知事にお伺いしたいと思います。
また、鳥取県では、企業誘致に当たり、地震の少ない鳥取県をうたい文句に企業誘致に取り組んできましたが、方向転換されるという報道がありました。また、アメリカの次期大統領がトランプ氏に決まったことから、TPPの締結も困難となれば、我が国の産業形態から大きく経済の方向も見直しを迫られるのではないかと思います。そうした状況の中で、県として改めて東アジア圏との経済交流の促進等、成長戦略の見直しをせざるを得ないと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
また、地震による災害で住家や家財などに被害を受けた場合、所得税で定められた雑損控除の方法と、災害減免法に定められた税の減免、免除の方法があります。どちらも有利なほうを選択することで、所得税の確定申告の際、所得税の全部または一部を軽減することが可能です。県として既存の制度を被災者にしっかり周知することが、見舞金以上の効果があると私は思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
まず、防災士ですが、議員がおっしゃったように 378名県内にいらっしゃいますが、必ずしもその総数が多いとは言えない状況です。したがって、これは早速養成の研修をしようと実は計画をしていたところです。
また、本県の特徴として、 810名余り、防災士に準じた防災の指導する方々、これを市町村が市町村版防災士として養成をしておられます。こうした方々を含めると、そこそこ人材はいるような状況かもしれません。
今回の地震でも、防災士協会の皆さんが倉吉や北栄町のボランティアセンターに入っていただき、その差配や運営のかなめとなっていただいたことを感謝申し上げたいと思いますし、あるいは、例えば宮川町2丁目の山田さんという方は、これは消防のプロでいらっしゃいますが、この方も防災士として活躍され、あるいは円谷町の金田さん、これも何か新聞に出ていましたが、そういう方々もやはり防災士の経験を生かし、その知識を生かして、初動から避難所の設営、物資の取りまとめ、そうしたことに当たっておられました。やはりこうした存在は地域で大きいと思いますので、今後も養成を進めていきたいと思います。
次に、国際情勢の変化に伴う経済戦略の見直しが必要ではないかということです。
けさも、この週明け、円が1ドル 115円という水準をつけたり、また1万 9.200円といった株価に上昇したり、トランプ効果が日本の経済にも影響を与えているようで、ある意味で来年に向けた、就任に向けた期待感がマーケットでは加熱してきているのかとも思えるところです。
ただ、片方で朴槿恵大統領の弾劾が決まる、それからまたイタリアでは憲法改正が否決されるなど、EUの情勢も流動化しそうだとか、大分来年に向けては国際情勢が大きく変わってきて、経済にも影響しかねないという状況です。
本県としてもしっかりと今育ち得る産業というものを育てなければならない。そういう意味でIoTやあるいはロボットなど先端的な産業を育成するであるとか、農林水産業とブリッジをかけながら、そうした方面で地域の強みを生かしていくとか、そういう戦略を練り直していく必要があるのではないかと思います。
そういうわけで、私どものほうで未来の成長戦略を練ってきたところであり、実行中ですが、これも改定を目指して進めていきたいと思います。今、震災の状況等もありますし、こういう国際情勢の変化も出てきているので、新年度中にその経済戦略の見直しをさせていただきたいと思います。
次に、所得税の雑損控除等についてですが、これは議員がおっしゃるとおり大きな効果があると思います。ちょっとした補助金よりも税金がこれだけ負けられるということは大きいと思います。また、あわせて県のほうの事業税だとか、個人住民税、不動産取得税、こういうものだとか、また市町村の固定資産税等、いろいろと地方税の中でも減免項目があります。例えば不動産取得税でいえば、被災したものの大体の部分については免除される部分もありますし、またおっしゃるように雑損控除と、それから災害減免法では所得税の控除の仕方が違いますので、この辺もいわば有利なほうを選択してやらなければいけません。雑損控除であれば、3年にわたって損害の繰り越しができますが、災害減免法のほうでは全免が可能ですが、それは単年限りになりますので、どっちが有利かというのは、その被災状況によって違ってくるわけです。
こうしたことは、税務署とも連携し、あるいは役場等とも連携して、よく周知を図っていかなければいけないと思います。これについて説明会を今日開催しているところですし、年が明けると税務署が確定申告もあって、各地で説明会や相談会を開催されます。そうしたところに相乗りしながら、住民の皆様に周知を図っていきたいと思います。
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<中部地震と復興について>bS |
是非とも所得税などを減免ができるように、しっかりと周知をお願いしたいと思います。
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