<非正規職員について> |
知事部局における正規職員、非正規職員の推移を見てみると、正規職員がこの4年間で 107人減少し 2,770人、減少率は 3.7%、非正規職員が23人減少し
697人、減少率は3.19%です。知事のマニフェストで3%のスリム化を行うという公約に基づいて削減されてきたものですが、きちんと目標がクリアされています。
3期目のマニフェストでは、1%のスリム化を行うと明記されていますが、その根拠と、どれくらいの人員を削減されるのか。また、その人的補填として、非正規職員の充当を考えておられるのか知事にお伺いします。
社会生活が多様化する中にあって、多様な働き方はあっていいと思いますが、一方で、国税庁の平成26年度分民間給与実態調査によると、正規職員の年間給与は
478万円、非正規職員が 170万円と相も変わらず 300万円以上の差があり、しかも少しずつですが、その差が拡大しています。森議員との議論において、平井知事も県職員の正規職員と非正規職員との格差が大きな問題であると認識されているものの、法制度上の壁が大きく、今後も国に物申したいとのことであったかと思います。
私は、常日ごろ、国家公務員法と地方公務員法が余りにも随所に差があり、大きな違和感を持ってきました。
一つの例が、国家公務員は個人の賠償責任は問われないが、市町村公務員はポケットマネーで損害賠償請求がされるということ。非常勤職員にしても、国で働く非常勤職員は国家公務員給与法の中で一時金を出すことができるが、地方公務員では認められていません。同じ非常勤職員でも、一時金の支給に区別をつけなければならないほど仕事の質が違うのだろうかと、私は大きな疑問を抱きます。
安倍総理は、同一労働同一賃金と声高に叫ばれているものの、結局はこのことが障壁となり、本質的には何も変わっておらず、鳥取県庁で同一の仕事をしていても職員間の格差が同様に生まれ、約
700人もの非常勤職員の皆さんは、厳しい生活をせざるを得ないのが現実です。
一方で、 700人もの非常勤職員の皆さんがいなかったら、県庁の業務自体回らないのも事実です。県でもいつごろからこんなに非正規職員がふえたのか定かではありませんが、多様な働き方に対応した雇傭のあり方を考えた政策ではなく、正規職員を削減し、人件費を圧縮しようという為政者として極めて安易な政策導入で、結果的には、低賃金の中で生活を余儀なくされた官製ワーキングプアといわれる状況をつくられてきたのでないかと想定しますが、平井知事の責任ではないものの、知事の所見をお伺いします。
当然、人口減少が進む中、いつまでも同じ定数を維持しろと申し上げているのではなく、当然、業務の縮小、見直しに伴い、定数の削減はあり得ると理解しますが、従業員の生活を守るという社会的責任が問われるのは企業の社長ばかりでなく、任命権者である知事にも問われているものと思いますが、知事の所見をお伺いします。
こうした非正規職員が増加し、就労人口の大半を占める社会になれば、地方公共団体は税収が減少し、一方では社会保障費が増大する中、県としても市町村にしても、安定的で健全な公共サービスの提供さえ厳しくなることが容易に想定され、その一つの例が、国民健康保険会計が市町村では維持できず県に移管されることで、既に心配される社会に突入しているものと思います。したがって、知事の今任期中のマニフェストに掲げられている正規雇用1万人チャレンジ計画は、低所得の非正規職員が急増し社会問題となる中、大きな意義があり、県庁総力挙げて取り組まなければならない最大のテーマであると思います。
この計画は、県だけでなく市町村ともその意義を共有しながら取り組まなければならないテーマだと思いますが、知事の所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
このこともこの議場でたびたび議論させていただいています。今のお話で、非正規職員が増えてきているということですが、それは平井の責任ではないとあえておっしゃったわけですが、現実は何が起こっているかというと、これまで最近の経済の動向があったことと、それから国の政策があったことです。一番引き金を引いているのは国のほうで緊急雇用制度という制度をつくられて、緊急的に雇用をする非常勤職員で、それが地域の役に立つような仕事をするという制度をつくられました。
また、これは民主党政権の関係ですが、東日本大震災のときに東日本大震災から避難された方とか、東日本大震災の後、経済が悪化するということがあり、その後職を失った方に対する措置として緊急雇用制度がやはり設けられています。本県だけではありません、これが全国各地で、どこの自治体でもそうした非常勤の方の数が急増した原因になっています。
私はこれが必ずしも悪いことではないと思えるのは、例えばリーマンショック対策とか、あのころにもう一度頭を戻していただければと思うのですが、どうやって雇用からあふれてしまった人たちの受け皿をつくるかと。ワーキングプアをつくろうと思ってやっていたわけではなくて、ワーキングプアどころか、本当のワークレスプアになっていた人を、とにかく働く場をつくって、そこで働きながら次の職場を探してもらうというワンタッチの仕事として、公的にも雇う、ということを地方自治体に求めてきました。鳥取県もある程度それを積極的に採用しながら、年末、仕事もないという方々を含めて緊急に職員募集をやったわけで、その分が乗っかってきているということです。
しかし今、大分経済状況も変わってきていますので、実は鳥取県の場合は、この非正規職員が全体の職員の中に占める割合、それでいくと、平成25年から27年にかけて2%ほど割合が低下しています。よくわかりませんが、中国5県で言うと、ほかの各県は全てふえていますし、今鳥取県が2割台ですが、国も34%ぐらいで非常に多くなっています。ですから、国、地方を通じて、まだそこの傾向は続いているようですが、鳥取県は議場での御議論もあるので、若干そこを抑制ぎみにさせてきていただいているというのがつい最近の状況です。
その意味で、それを1%のことと絡めておっしゃいましたが、これは大体 3,000人ぐらいの職員規模ですから、1%というのは30人ぐらいということの意味合いですが、今の業務の効率化を進めて、そういう筋肉質の県庁づくりに今後も続けますよという意味で、ミニマムな表現として1%ということを言ったところで、このような行財政改革は今後も続ける必要があると思っています。
ただ、そのマニフェストで書いたところを取り上げていただいたわけですが、よく読んでいただければ、これは県庁の仕事のお役所仕事の無理無駄をなくし、1%の定数抑制ということを書いているわけで、非常勤職員に振りかえてということを全然意図していません。むしろ県庁の組織を改めるとか、それから無理や無駄を減らすということでつくっていこうと。現実にも鳥取県の場合、今改善運動ということをやっていて、平成24年から27年までで、合計で1万
7,000時間減らしているところです。
こういうことだとか、あるいはシステム開発を通じて予算決算の仕事を減らすとかして、ちょっと驚かれるかもしれませんが、この非常勤職員がふえて、それで正職員が減っていると言われますが、その間、超過勤務はかつての18時間ぐらいから12時間ぐらいに減っているのです。ですから、県庁全体の仕事の合理化を図りながら、全体としての組織を改め、定数を管理しているという進め方をしている、非常に難しい努力をしていることは御理解いただけると思います。官製ワーキングプアをつくろうという意図でやっているわけではありません。
これについては、やはり議場でも議論がありましたが、鳥取県は非常勤職員について5年間にわたって昇給させるということを成績評価のもとでやっているわけで、これも実は議場での議論に基づくものです。そのレベルから言っても、他県よりも処遇的には改善をされてきているところだと思います。
ただ、議員もおっしゃったように、地方公務員法の限界というものありますので、本当はいろんな多様な働き方を認めるような、そういう職員制度を国がつくってくれればいいのですが、そこが正職員一辺倒のものになっていて、結局、そこからわずかでも外れると急に崖から落ちたような形になってしまうという制度自体に無理があるということだと思っていて、この辺については今後も国に対して改善を求めていきたいと思います。
そういう意味で、議員のほうから任命権者としての責任もあるのではないかということですが、議員からもお話いただいた職員給与の問題についても12月の県議会に諮らせていただいたように、民間の給与水準と合わせてというルールに基づいて、このたびは引き上げるという形で、これは国の伸び率を超えるような形で引き上げているわけで、今後ともきちんと暮らしていくという生活者の視点を持ちながら進めていきたいと思います。
最後に、1万人の正規雇用のチャレンジについて、市町村と共有して進めるべきではないかと、こういうお尋ねでございます。
これについては、おっしゃるとおりで、実は市町村長とも思いは共有しており、1万人のチャレンジを進める会議にも入っていただき、それぞれにも実践していただくこととしています。それは3つの局面があると思いますが、1つは、優良な職場というものをつくっていく。働く場をつくるための経済の活性化がありますし、正規職員を採用してもらう、その働きかけであると思いますし、移住によってそうした優秀な人材を引っ張ってくる、こういうことも含めて市町村にも取り組んでいただいています。
わかりやすい例で言えば、最近鳥取市のほうで私どもがやっている高度な職工さんをつくるというようなプロジェクト、鳥取市内に就業される方にはお一人10万円を県の施策に加えてプラスしていこうということを打ち出されたり、また、湯梨浜町でも県のほうの未来人材育成基金がありますが、あれに基づく奨学金の返還免除の仕組みがありますが、それにさらに湯梨浜町は上乗せして町内への正規職員での就業を促進しようというようなことに向かわれたり、市町村でも最近なかったような雇用政策も出てきているところです。
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<非正規職員について>bQ |
非常勤職員の皆さんが今の待遇で採用されて、22歳から60歳まで働き続けた場合を想定し、年金機構のシミュレーションで試算したところ、受給できる年金額は月額9万 6,700円。これが目いっぱいの金額で、勤務年数や受給額が下がれば、当然、受け取り年金額も下がってきます。
今、老後の生活を送るには最低限12万円〜13万円は必要と言われていますが、この年金で本当に豊かな老後を過ごすことができるのだろうかと私は心配しています。まさに、現役世代はワーキングプア、老後はシルバープア。この数字と現状について知事としてどう認識されているのか、改めてお伺いしたいと思います。
それと、国の今の制度改革を本当はしっかりとしていただきたいという思いはあるのですが、今、国の制度の中で1つ気になるものがあります。
非常勤の皆さんのこうした現状を改善する一つの選択肢として、任期つき職員制度があるかと思います。この制度は、本格的業務に従事する者として位置づけられ、県の非常勤の区分では正規職員が有しない知識、技能等が必要な専門性、特殊性のある職、正職員と同様に一定の事務の処理に担当者として従事する職とされており、総務省も活用をPRされています。まさに、今の県庁の業務を担っている非常勤職員の皆さんの仕事そのもので、欠かすことのできない本格的な業務かと思います。したがって、この制度の活用について、検討されたらいかがなものかと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
詳細については行財政改革局長からお話したいと思います。
その処遇のことですが、この議場でも大分議論があり、非常に法律的な限界もあり、難しい課題ではありますが、私どもとして、できる限りの知恵を絞ってきたのも現実です。
国のほうも鳥取県を実は追っかけてきているような、そういうことになってきており、私どもが導入したような昇給の制度とか、独特の取り組みというものも進めていく必要が今後もあるのかもしれません。
実は、他県ではまだ臨職さんがたくさんいらっしゃるのです。本県の場合は、臨職さんとなるとやはり身分が不安定であるとか、処遇面での問題もあり、特に昇給ということは考えられませんので、5年まで更新できるという制度改めたわけで、このようにして、従来のどこの役所でもあるような臨職さんがたくさんおられてという職場よりは改善はしてきていると思いますが、まだ道のりは遠いものがあると思います。
そんな意味では、任期つき職員の活用だとか、そのほかの何らかの知恵だとか、今後もそうした工夫を検討していきたいと思いますし、現場の実態をよくお伺いして進めていきたいと思います。 |
●行財政改革局長答弁 |
非常勤職員の年金等のお話ですが、議員御指摘のとおり、計算すると大体9万 6,700円と、生涯、生活をしてそれくらいになるという計算になります。ただ、この非常勤職員の処遇については、あくまでも現在の法律の中でいくと業務や任期を限ったものということが基本で、それらの条件を踏まえて、やはり希望の生活やそのあたりを勘案しながら就業していただくことが基本だと思っています。
ただ、そういうような条件の中ですが、県として、先ほど知事も申したとおり、給与については他県の水準とか、類似の業務に従事する正職員等の給与の均衡等を見ながら給与水準等を定めていますので、今後とも引き続きそのような取り組みを進めていきたいと思っているところです。
また、任期付き職員の活用についても、これまでも公文書館の専門員だとか、IT統轄監等で取り組みは進めてきていますが、これからも仕事の中身等を見ながら、任期付き採用職員の活用についても活用を考えていきたいと思っているところです。
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<非正規職員について>bR |
一般企業ではブラック企業と世間でも大きく話題になりましたが、全国の自治体の中でもやはりブラック自治体と言われるようなところもあります。財政が厳しい中、非常勤職員、臨時職員を多くして、職員の給料も下げたりしながら自治体運営を行っているようなところもあります。
鳥取県の場合は、本当に知事が率先して前向きに対応していただいて、全国的にも非常にいい勤務状況をつくっていただいているのですが、やはり県下の市町村を見ると、まだまだ臨時職員と、特にこの前、興治議員が議論しましたが、保育現場などはまさにそうなのです。資格もない、昨日まで子どもを保育所に連れてきていたお母ちゃんが、翌日は、今日はおはようございますと子どもを受け取る。それが実態です。ですから、本当にそういう意味で、県としてやはり市町村のモデルになるような、非正規職員の職場環境をつくっていただきたいと思っています。
それと、県下の非正規職員、いろんな職種があります。例えば畜産試験場など、肥育技師というような肥育の仕事があります。これも非正規職員なのです。しかし、今の職員さん、もと肥育農家で、県でも、肉牛共進会でトップをとられた方、非常に肥育技術の高い人が今入っているのです。しかし、これも同じ賃金です。しかし、その職員が入ったおかげで、今畜産試験場の牛が肥育に出したとき物すごく高い、すばらしい値段で売れるのです。やはりそういう実績等も考えながら非正規職員の働き方、待遇を考えていただきたいということをお願いしておきたい。
非正規職員の皆さんの中でも非常にいろんな特殊な技術を持っておられる方もありますし、それからフルに働きたいという方も多いと思います。いろんな働き方のあり方についても、やはり国の法律等でなかなか規制があるのですが、幅広くできれば対応できるような、多様な働き方をモデル的にも知事には考えていただきたいということを、これもお願いしたいと思います。
最後になりましたが、いつものように間もなく新しい新年度が始まり、多くの非正規職員の皆さんに新たにそれぞれの職場で仕事をしていただきますが、非正規職員の皆さんの老後を含め将来を考えたときに、私自身が年金受給年齢に達した一人として老婆心から質問に向き合いました。
知事は、全国で一番早い地方創生のロケットスタートを切ると宣言され、すばらしいスタートを切られました。以前にも申し上げましたが、ロケットのエンジンは職員であり、非正規職員の皆さんです。しかし、私からするとロケットのエンジンのオイルが切れかけているように思えてなりません。もっと、非正規職員の皆さんを含め、職員の皆さんの目がぎらぎら輝く職場、知事もエンジンを噴かすばかりではなく、たまにはエンジンの調子も見ながら、人口が少なくても生き生き生活できる、そんな鳥取県をつくるために、平井知事にはその先頭に立っていただきたいという思いで、あえて質問に立たせていただきましたので御理解をお願いします。
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