平成29年11月定例会一般質問(平成29年12月7日)No.1

<鳥取県星空保存条例について>

 
 きょうは、朝早くから船上小学校の6年生の皆さん24人が、社会科授業の一環として議会の傍聴においでいただいています。したがって、小学生の皆さんにかかわりの深い問題、関心がある問題を中心に、易しく、3点の課題について質問したいと思います。
 まずは、星空保全条例について質問します。
 近年、平井知事は、行政に駄じゃれを活用することで全国一小さい鳥取県を全国にアピールする手法を取り入れられていますが、このことは、これまでにない新しい行政手法です。中でもヒットしたのは、鳥取県にはスタバはないが砂場はあるで、スタバがない鳥取県の知名度が一気に上がり、北海道や沖縄でも知られていることに驚いたことがありました。そのほかにも、鳥取県をもじって蟹取県、そして今度は星取県、単なる駄じゃれでなく根拠に裏づけされた中での駄じゃれで、これまでにないイメージ戦略であると理解しています。
 このたびの条例は、この星取県を単なる駄じゃれに終わらせることなく実効性のあるものにしたいと制定されようとしているわけですが、平井知事の条例制定への思いと所見をお伺いします。

●知事答弁

 
 本日は、船上小学校の皆様がお見えだということです。「忘れめや よるべもなみの荒磯を 御舟の上にとめし心を」。後醍醐天皇が以前詠まれた歌が今にも伝えられているわけです。船上山を仰ぐところで、この国が変わっていくその原点になったのがあの地域だろうかと思います。その後醍醐天皇が、地元の人々が助けてくれて、大改革、国を改めていく、そういう大偉業をなし遂げようとされたことを胸に刻み込んでおられるのがこの歌で、船の上、ずっと隠岐からこちらに迎えられ、そして船上山へと行き、行宮をつくった、そういう歴史を私たちは忘れてはいけないと思います。
 伊藤県議も、地元赤碕、琴浦の人として、ふるさとを思い、さまざまな改革をしてこられました。さらに子ども達、これから大きくなって、その道を継いでいっていただくことを願ってやみません。
 その船上山も美しい星空が広がるところです。議員のほうから、第1点目として、条例制定、星空保全条例についてお尋ねがありました。
 何か駄じゃれのイメージをおっしゃいましが、私は、キャッチフレーズで物事をいろいろとアピールするための道具として言葉を使わせていただいています。先ほど御紹介があったような砂丘のこととかカニのこととか、いろいろとひっかけてお話をさせていただいているわけですが、このたび星を一つのモチーフとして売り出そうと、いろいろと苦労しているのも事実です。
 実は、この星取県ということですが、星空をみんなでもう一度検証して、私たちのかけがえのない財産であることを分かち合いながら、観光とか、それから学びだとか地域振興、さらには自然環境の保護、推進等々、さまざまな角度からアプローチしてもいいのではないだろうか。鳥取県はその一番先頭に立ってやる資格があると思いますし、それだけの美しい環境もここにはあるのだと信じているところです。
 実は、こうしたことを始めたのは、2年ほど前に庁内でも商工労働部の皆さんなど若手の方々が中心になり、星空をモチーフにして、それで地域活性化ができないかということをいろいろと検討し始めたことでした。と言うのも、私も当時注目していたのですが、長野県で、スキー場を利用して、星空が見えるということで泊まりがけのお客様を呼び込む、そういう地域活性化をされていたわけです。そういうことにあわせて、本県でいえば例えばHAKUTOがプロジェクトとして月面に行こうということが出てきたり、それから、大切なのは現に星が見えるということで、これは新聞報道でも何度もありましたが、全国一の星空というふうに、さじアストロパークなどが重ねて顕彰されていたところでした。天の川が全市町村で見えるというのもなかなかない、そういう環境です。それは、まだ使われていない地域資源なのかもしれないし、また、そういうことに私たちが関心を持って暮らしていくことで、ふるさとの豊かさ、大切さというのも広く共有できる、そういう素材ではないだろうかということでした。
 ただ、正直そうした先進地があり、私どもは後発です。ですから、アイデアはいいのだが、では、そこでどうやってアピールしていくかということで悩ましく思っていました。そのときに職員の皆さんと議論する中で、今から追いつくのだったら、蟹取県ではないけれども星取県ぐらいで勝負しますかというようなことを言ったのが、記録ははっきりしませんけれども、きっかけなのかもしれません。
 ただ、実はこの動きは若い方々でまた広がっていて、鳥取商工会議所の青年部の皆様が勉強会を重ねられて、こういう星取県ということに挑戦しようではないかと運動を始められたのです。実はこの運動は全国的にも評価さて、全国の商工会議所青年部の中の全国表彰を受けるに至っています。その表彰理由は、条例の制定を目指す、そういうことも含めた活動、これは明記されていましたが、この星をモチーフにして、そうしたさまざまな、いわばないものからあるものをつくっていく、そういう運動を起こされたということで、その実践活動に評価が与えられていたものです。
 その皆さんが勉強された結果をもとに私のところに要請に来られました。その中に幾つかポイントがありましたが、当然ながら観光の活性化ということはあったのですが、環境教育にこの星空を生かすべきだということ、若い方々ですから、そういうことだろうと思います。それから光害防止条例を制定すべきだと、そういう提案を持ってこられました。
 この光害の防止というのは、実は全国的にもなかなか手がつけにくかった面があっただろうと思います。若干得体の知れないものですし、新しい概念ということだろうかと思います。でも、美星町を初め、そうしたところは他にもないわけではなかったですが、県レベルで正面からそういうことを捉えたところはなかった。こういうことをやることで、私たちは本気で星を大切にする、そういう地域づくりを進めましょうと、片方でそれが地域の活性化につながるのではないかという皆さんの情熱に私も向き合ったところでした。それで、庁内でそうした条例検討をするようにと、その場ではもちろん研究させてくださいとしか言っていませんが、庁内で検討してもらったところです。
 自来、日にちは大分かかっていますが、その間、星空推進会議を設け、そこでもやはり専門家の方々から条例などの法規制をぜひやるべきだというような声も上がり、常任委員会等にも随時毎月のように報告させていただきながら検討状況を申し上げていたところです。そのようなことでこの提案に至ったというのが本当の経緯です。
 今回の条例制定で、当初、光害防止条例でお話はいただいたのですが、ただ、規制だけの条例というのはいかがかなという思いがありました。そこで、星空を保全する、そういう県民運動を起こすのが第一ではないだろうか。別に取り締まるということを目的とするものではなく、みんなで星空のすばらしさを認識し、また県外の人、世界中の人にも知ってもらうべきではないかということです。ですから、観光振興とか、それから環境教育、そういうことにも今回条文をつくらせていただいています。
 また、規制の内容も、かなり広範な光害防止ということはあえて避け、サーチライトが一番悪さをするということですので、必要最小限そうしたものは全県的に規制をかける。ただ、光害防止で言われるようなそれ以外のさまざまなことは、それを推進しようという地域の皆さんの意向を尊重して、そういう地域指定をしながらやっていく。その範囲での規制をかける。このように2段構えにさせていただいてはどうかというアイデアでした。
 その後、皆様方のほうからも、罰則が刑事罰は重過ぎるのではないかとか、いろんな御意見がありましたし、また、1日限りのイベントはいかがかというような御意見も聞きました。したがって、提案までにそうした点については修正した上で、今回、条例制定をお願いしているところです。ぜひ御審議を賜り、実りの多い結果をいただけることを願ってやみません。

<鳥取県星空保存条例ついて>bQ


 知事は法制の専門家で、議論しても負かされるのではないかと思いますが、私はあえて星空条例について議論したいと思います。
 そもそもこの条例は、鳥取市のさじアストロパークは星空が見えやすい環境でたびたび全国1位になっていたことから、鳥取県の環境のよさをアピールしようということだと先ほど知事からもありましたが、私もそう思います。そのこと自体、私は違和感は全くありません。逆に、そういう発想に敬意を表したいと思っています。知事も、駄じゃれはないと言われましたが、何か吉本興業にいろいろ研修に行かれたようで、かなりその後いろんなアピール、駄じゃれが出てくるようになって、その成果かなと思っていますが。
 それは置いて、ただ、星空が美しく見える環境を維持したいということから人工の光を制限しようということですが、人工の光を制限すれば本当に星空が美しく見える環境が維持できるのでしょうか。星空が見える環境の第一は、空気が透き通ってきれいなこと。つまり、大気に汚濁がないことが一番ではないでしょうか。なぜ大気の汚濁については明記せず、二次的作用の人工の光だけの制限なのか、私には理解できません。私は、人工の光だけの制限をこの条例自体に盛り込むには、少し違和感を覚えます。平井知事の所見をお伺いします。
 結論から言うと、私自身、この条例は、過料や罰則を規定しない理念条例で十分だと思っています。理由として、まず一つは、条例の本来の目的は、県内外の皆さんに、鳥取県は星取県というくらい星がよく見えるのですよ、だから県民を挙げてその環境を守りますよということであり、制定の趣旨はアピールすることにあると思います。2つ目に、県民の生命、財産及び公的財産に侵害の危惧が及ぶと想定される事案が見込まれる場合は過料や罰則規定を設けることが必要だと思いますが、人工の光については、現状ではそこまで危惧が及ぶおそれがあるものではなく、もし危惧される事実があったり想定されるなら、それは人工の光自体が公害に該当するもので、今既に県にある景観形成条例または公害防止条例に、公害防止の一つとして明記すればよいと私は思います。ただし、砂丘の落書き防止条例の場合は、国立公園地内であり、既存の法令を補完する意味で過料はあってもよいかと思います。
 以上の観点から、私は理念条例でよいと思いますが、平井知事の所見をお伺いします。
  

●知事答弁
 
  伊藤県議がおっしゃるような、そういう一つの考え、立法論というのは、私はあり得るものだと思います。ただ、色々な考慮のもとにこうした一連の条例案を策定したことを若干説明しなければいけないのかなと思います。
 まず、大気の問題が大切だというのは、まさにそのとおりです。ですから今回の条例にも、前文、そして第1条において、順番としては清浄な大気、それと光害の少なさ、これが美しい星空を形成しているということを述べています。
 ではなぜ規制の方で大気のことが出てこないかということですが、それについては法律と条例の関係があって、法律において大気汚染防止法で一連の体系があり、この中では1年以下の懲役または100万円以下の罰金にまで、罰則もつけた強制力のある一連の法体系があります。
 したがって、例えばここで私どもが上乗せや横出しをする必要があるかという事も吟味しましたが、星空という観点だけで上乗せをするのは正直なかなか難しいと判断しました。それは、たった一つの行為で、それで星空が阻害されるほどの大気汚染防止ということを規定できるかというと、正直、立法論的には、多分そこまでの影響力はないだろうと思います。
 ただ、今回典型的な例としてサーチライトを書かいている光害のほうですが、サーチライトは、たった1本のサーチライトで、それは指向性も強く、照度も高いものを使うので、それが大気中の色々なちりにより乱反射されて、空全体が明るくなる。そもそもサーチライトで照らすと光の線が見えます。なぜ見えるかというと、そこにそれを反射するちりがあるからです。これは別に鳥取県が汚いからということではなくて、ある程度のちりは当然、地球上どこにでも大気の中にはあるわけです。それに乱反射されて、その光の束がさらに広がった形で空全体が明るくなってしまう。これは、たった一人のサーチライトを照らす行為で生じてしまうわけです。これについては規制する法体系は今のところありません。
 確かにおっしゃるように、景観条例等、ほかの条例で書けば当然書けなくはないのですが、片方で、星空を保全するための環境教育なども含めた一つの条例案を宣言的にもつくるというのであれば、当然その条例の一体系として、景観条例に書くよりは星空保全条例に書いたほうがベターな法制度ではないかと私は思います。
 そういう考慮を色々としながら、悩みながらつくってきた条例であるということで理解いただきたいと思います。

<鳥取県星空保全条例ついて>bR

 
  大気を汚濁するといえば、先ほど大気は国の法律ということなのですが、星空が見えやすい環境を保全するために一番厄介なのは、海を越えて中国からやってくるPM2.5、さらに懸念されるのは、さじアストロパークと山岳地帯を走る姫鳥線との直線距離はわずか6キロ。今、工業団地が東部で次々とつくられています。ディーゼル車もかなり通行量が増えてきました。これらから排出される排ガスによる大気汚染のほうが、私は光害よりとても心配です。知事の所見をお伺いします。
 さらに、私が納得できない課題の何点かを申し述べたいと思います。
 一点は、全県的な投光器等の規制については、その実効性に少し疑問があります。例えば数日間の一時的な催しで投光器やレーザーを上空に向けて使用されたとしても、使用されたことを県が現地で確認しない限り、勧告や命令を出すことはできないし、撤収されてしまえば勧告、命令を出す意味もありません。また、1日を超えない催し物で知事に届け出た場合は規制の対象外のようですが、知事に届け出ずに行われても処罰の対象にはなっていないため、催し物が終わってしまえば勧告や命令を出すこともできません。これは実効性が担保されておらず、いわゆるざる規制ではないかと思います。悪質な場合は氏名の公表等のペナルティーも必要ではないかと思いますが、実効性の確保について、平井知事の所見をお伺いします。
 また、過料を納めても撤去命令に従わなかった場合は、県は行政代執行まで行うつもりなのか、知事の所見をお伺いします。
 もう1点、条例による規制を実効性のあるものにするためには、一定程度の監視体制を整える必要があると思います。第9条第1項で星空保全地域を指定できると思いますが、県としてどこに想定されているのかわかりませんが、もし県東部地域だとすると、鳥取市の中核市移行に伴い、条例による県の監視指導業務を担う部署が県から鳥取市へ移管されることが想定されますが、実効性のある監視体制について、平井知事の所感をお伺いします。

●知事答弁

  まず、PM2.5や、ディーゼル排ガス等の問題ですが、これらについては、先ほども申し上げたとおり、大気汚染防止法に基づいて規制が可能です。ディーゼルについて、結局車両としての性能にもさかのぼることもできますが、それは車両の設備の規制も含めて一連の体系の中で規制を行う、今これは罰則も対象になっています。ですから、これは条例をつくるまでもなく法律のほうで対処されていると思いますし、PM2.5もそうですが、そもそも中国からやってくるとか、あるいは他地域から流れてくるということになると、これはなかなか県の条例で規制するわけにはいかない類いで、政府として例えば日中韓の3カ国環境大臣会合などで議論していただくという類いのものになるかと思います。
 また、実効性の問題ですが、先ほども申したように、今私どもがするべき事は、要はこの星空をみんなで守ろうという運動だろうと思っています。それを阻害するような、悪意も若干あって意図的にそれを破壊するような行動に出ている、そういうものについては、これは一定の抑止力を持ってやめてくださいと言う必要があるだろうと。それが今回、必要最小限として私どものほうで最終的につくらせていただいた一連の勧告、命令、そして過料という行政罰。刑事罰でないものということにさせていただいたところです。
 これは結局、仮に何か投光器で反復してやっているとします。そうすると、勧告に行って、やめてください。いや、私はそんな事は聞かない。それで今度は命令で、もう撤去してください。それでも聞かないというときに初めて過料というものですから、議員がおっしゃったように歯がゆい面はあるかと思いますが、反復、継続して空を阻害する、夜空の景観を阻害する、そういう行為については、基本的には最終的に抑止力がつけられていることになります。1回ぱっとやってぱっと逃げてしまったとき、確かにそれはけしからん行為だと県民みんなが思うかもしれませんが、ただ、それについて、その後また静ひつな夜空が保たれるなら、やはり反復が防止されるという意味で、抑止力は一定程度有効に機能していると考えるべきではないかと思います。
 また、中核市の問題がありましたが、今回条例や連携協定で提案している中核市への移行は、保健所行政と連動するものが基本ですし、その保健所行政のほかにも、法定で中核市のほうへ移行すべきものとされているものと、それに付随するものです。
 今回そういう意味で県全体での対象として県のほうで引き続き権限行使、行政執行するのは、例えば環境影響評価の法律や条例に基づく手続とか、あるいはきれいな水を保とうと言う水資源の保全のための条例手続とか、そういうものは一連、私どものほうで引き続き保留させていただいているところです。環境については、やはりいろいろ地域全体にかかわるものですので、公益的な自治団体で所管するということで別に差し支えないと私は思っています。例えば隣町で非常に大きな光線が上がったとして、それで影響を受けるのは、町境を越えたこちら側の町でもやはり同じ光が見えて夜空が阻害されるということですから、もともと一つの狭域的な市町村レベルの問題ではないだろうと思っています。
 したがって、中核市に移行するときにこの事務を引き継ぐということはないと考えており、引き続き私どものほうでも、天文協会だとか専門家も入る、そういうような知見も交えながら適正な執行をしていくことになるのがよいのではないかと思っています。

<鳥取県星空保全条例ついて>bS

 
  行政代執行までされるというようなことをさっき発言されましたから、それなりの意気込みだなと思っていますが、基本的に言うと、光害、これは県の事務所掌にもないのです。中核市への移管業務の中にもない。そういうことで、実際どこでこの光の害の事務所掌をするのかということも、私も少しわからなかったので先ほど質問しました。ただ、市町村も含めていろんなイベント行事をするときに今心配されているのが、うちのイベントもひっかかるのではないかということで、やはりかなり心配されています。琴浦も白鳳祭などでレーザーを出していますから、そういうことでかなり心配して私のほうに電話がありました。
 ただ、知事の思いというのはよく理解しました。今、鳥取市の中核市移行に伴うその中には入らないということがありましたが、監視という業務も入ってくるわけです。だからそれらの問題がまだ我々に、どこまでどういう線引きをされるのかわからない。今、議会で条例を審議されていますが、鳥取市の皆さんも多分まだまだ理解されていないと思うし、県と鳥取市がどこまで協議されてこの星空保全条例を出すということで了解されたのかわかりませんが、我々としては何か少し、すっと落ちないというか、まだ受け入れることができない条例ではないかなと思っています。
 冒頭に申し上げましたが、私は、県としては理念条例を定めて、保全を指定された地域の市町村が規則が必要なら地域の実情に合わせて、本当はそれぞれの市町村で条例をつければいいと思います。したがって、今議会で提案されましたが、まさに政調政審だけで、常任委員会の担当のところは少し説明を受けた議員さんもおられますが、多くの議員さんは2回の政調政審だけなのです。だから今議会を議論の出発点として、県民の関心も高めながら結論を出していくのも一つの選択肢かなと私どもは思っています。知事の所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁

 
 
伊藤議員の非常に深い考察、私もぜひ今後の参考にさせていただかなくてはならないと思いながら伺っていました。
 これについては、最終的には、本当にけしからん人がいた場合、県民みんなが見て、もういいかげんにやめさせないといけないというときに過料を科したり、あるいは行政代執行の対象にもなる。そういうことの担保をある程度持ちながら、ただ、処罰が目的ではないので、みんなで星空を盛り上げていきましょうと、そういう趣旨の条例であることはぜひ御理解いただければと思います。
 確かに一つの市町村で制定することも可能だと思いますが、広域団体がつくった方が、多分実効性が上がりやすいだろうと思います。そういう意味で県の方の一つの新しい枠組みとしてさせていただき、監視の体制についても、専門家も今回大分入っていただいて進めていますが、そういう専門家の知見もいただきながら実効性ある措置をとっていければと思います。
 何せ全国都道府県では初めてこうした星空保全条例を制定してということになるので、各方面にいろいろ教示もいただきながら進たいと思いますし、不具合があってはいけませんので、市町村あるいは住民の皆様とのコミュニケーションも十分とりながら地域指定などを進めていくことになろうかと思っています。
 これは鳥取市がどう考えているかということですが、実は鳥取市の方々も、条例制定も含めて星空の保全を進めていく星空推進会議に入っていただいています。なぜなら、さじアストロパークがあり、いわば一つのメッカになっているからです。この条例制定の議論が始まったのは、たしか今年の3月に青年団体が来られたとき、新聞記事にもなっていましたが、そのころから条例制定の動きが出て、たびたび常任委員会で報告したり、私も記者会見で質疑させていただいたりしました。そのようなことがたびたび報道されて、実は、鳥取県が今こうした検討をしていることは全国にも広がっています。台湾でも報道されています。
 そのくらい注目を集めるようなになってきていて、星空の保全の価値ということ、それから鳥取県のすばらしい星空ということについての理解が広がるきっかけにはなったのだろうと思っていますが、この星空の条例の検討が始まったことで、実はさじアストロパークがにぎわっているわけです。彼らが言っていましたが、鳥取市の皆さんもこういう経済効果が出たということで喜んでおられるのとあわせて、自分たちがかねてからすばらしいふるさとと思っていたことを、地域指定も含めてぜひ動いてみたいというような意見は先方からもいただいています。ですから、これからそうした対応を進めていければと思います。
 地域指定に興味を持たれているのは、実は日南町さんも出席されている中で興味を持たれているわけです。「夜毎の星闌干たり 四季を問わず凛々たる秀気渡る ああここ中国山脈の稜線 天体の植民地」。井上靖さんの書かれた文章は、今も野分のところの資料館の中に残されています。井上靖もこの星空から着想を得て「通夜の客」などを著したことも、みずからの著作の中で述べています。そういうすばらしい財産があることを、孫や、さらにその次の世代、次の世代へと伝えていくことが、今まだ非常にすばらしい大気が私たちのふるさとにはあり、余り都会化されていないので、ちょっと光線を上に当てることを我慢すればこれが良好に引き継がれるという、権利の制限にも余りならない、そういう状況ですので、これを残していくのは全国の中でも鳥取県の特権であり、また私たちの責務ではないかと考えています。
 いろいろと議論があることは重々承知していますが、御理解いただきますようお願い申し上げます。