<いじめ防止対策について> |
全国各地でいじめを原因とする自死等の重大事案が相次ぎ、社会問題となる中、国は平成25年6月にいじめ防止対策推進法を制定し、ことしの3月にいじめの重大事態の調査に関するガイドラインが策定されました。県としては、この法律を受け、平成26年に鳥取県いじめの防止等のための基本的な方針という県の方針が作成され、その後、地域や学校の実情に合わせながら見直しを進め、いじめ問題への取り組みの強化が進められてきました。
このほど平成28年度の問題行動調査の結果がまとまり、10月26日に、ことし第2回のいじめ・不登校対策本部会議が開催されました。その会議の中で、昨年度の県内国公私立学校でのいじめの認知件数が過去最多の594件と報告されました。その内訳は、小学校で31件増の301件、中学校が6件増の185件、高校が倍増の68件、特別支援学校が23件減の40件で、全国で少ないほうから3番目でした。また、1,000人当たりの認知件数は9.6件で、これもまた少ないほうから6番目でした。
山本教育長は、この結果をどのように認識されているのか、お伺いします。
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●教育長答弁 |
このいじめについては、近年、社会問題とされており、国民の皆様の大きな関心を呼ぶ課題でもあるわけです。それに伴い、毎日のように新聞報道等でいじめについて痛ましい事件あるいは事案、出来事が登場するわけですが、そうした記事を見るたびに、何とかしてこのいじめをなくして、子ども達一人一人が学校の中で笑顔あふれる学校生活が送れるようにできないものかと、ぜひそうしたいと強く心に思っている次第です。
本県において、いじめの認知件数、先般、文部科学省の調査結果が発表されましたが、過去最多ということです。これは、実はいじめについての定義が平成25年度に見直されたことにもよるわけです。子ども達のことですから、日々学校生活を送る中でいろんな状況が生まれてきて、例えば仲間うちで少しからかう言葉を言ってみたり、悪口を言ってみたりというようなことがあるのですが、以前はそうしたことはいじめと捉えられていなかった。例えば暴力を振るうとか集団で仲間外れにする、そうしたものを捉えていじめと言っていたものを、悪口あるいはからかい、そうしたものでも、言われたほう、からかわれたほうが嫌だなという気持ちになればそれはいじめですよということで扱っていきましょうと改められたことに伴って、いじめというものの認知件数がふえていったということです。鳥取県でもそうした意味で、従来言われていた暴力を振るったり、というようなことが以前に比べてふえているわけではなく、悪口だとかからかい、そうした早い段階で子ども達の状況をつかまえてそれに対応していくことで、より深刻な状況を防いでいきましょうということですので、そうした意味では早い段階でそうした状況をつかまえられるようになっているということで、私どもとしては、その認知件数がふえていることを、悪いことではなく、むしろいいことだと捉えているところです。
ただ、若干気になるのが、そうしたことでふえている中でも、鳥取県の小中学校の中で4分の1の学校が、そうしたことが1件もないと統計上にあらわれていることです。これが本当にそうした状況がない笑顔あふれる学校であれば、それはそれでいいことだなと思うわけですが、それが、本当はそうした状況があるが見逃されているというようなことがあれば、それはまた深刻な状況につながる可能性もあるわけで、早い段階でつかまえる、そうしたことを先生方にも努力していただきたいと思っております。
そうした意味で、先生方がアンテナを高くして、子ども達のささいな状況を見取ってそれに対応していくということが何よりも大切だと思っております。そうした意味で、教育委員会のほうでもいろんな形で、例えばアンケート調査を無記名でやってはどうかというようなことも含めて提案させていただいておりますので、学校の先生方にもよく理解していただいて、子ども達のいじめについてのささいな兆候を早く捉えてそれに対応していく、そうしたことについての取り組みを強めてまいりたいと考えております。
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<いじめ防止対策について>bQ |
このたびの報告書を見てみると、先ほどありましたが、市町村教育委員会や学校によって、認知の意識、程度に大きな差があると私は思っています。県教委として現状について認識はありましたが、その解消、またはいじめの重大な事案を防ぐためには認知した後の対応が大きな鍵になると思いますが、その対応と指導体制について。さらに、いじめを受けた子どものケアは誰が主体的に行うのか。さらに一番大きな課題は、いじめをした子どもの保護者といじめられた子どもの保護者への対応について、県教委としてどう指導されるのか。以上4点の課題についてお伺いします。
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●教育長答弁 |
認識の差の解消については、先ほど伊藤議員の質問の中にもありましたが、いじめ防止のための基本方針を定めて、それを見直す作業を昨年度末から今年度の初めにかけて行ったわけですが、そのときに学校現場あるいは関係機関からもいろいろお話を伺ったり意見交換をする中で、その認識の差があるということがやはり一つの課題として浮かび上がってきており、そのことについてどう対応するかということを議論してこのたびの改定の基本方針の中に盛り込んだわけです。一つは、担任なりがキャッチしているのだが、それが組織的に共有されていないために報告として上がってきていない例がありはしないかということ。そのことについては、教職員の中にそうした情報をきちっと集約して組織的に対応するための担当を学校の中に定めるということを、この基本方針の中に盛り込んだところです。
もう1点は、できるだけ子ども達がそういう情報を大人に伝えやすい仕組みが要るのではないかいうことで、無記名のアンケート、記名で書くとなかなか書きづらい、だけれども無記名だと話しやすい、そうしたこと、あるいは相談体制についても、これはきちんとしようということ、そうしたことをこの基本方針の中に盛り込んで、学校に求めることとしたわけです。こうしたことを通じて、教員あるいは学校、大人がそうした兆候を見逃さずにできるだけ早くキャッチして対応していくということです。
2点目は、これは初期段階での対応がとても大事ですし、何よりも担任等が1人で対応するのではなく、組織で対応するということが大事だと考えています。そういう意味で学校の中の組織をつくるということをうたっているわけですが、子ども達への対応についても、児童生徒の一人一人の状況を見ながら、誰が対応するのが一番いいのか、養護教諭なのか担任なのかスクールカウンセラーなのか、そうしたこともこの組織の中で議論しながら、適切な人が対応するということで定めさせていただいています。
また、保護者への対応については、子どものいじめは加害側も被害側も本当に保護者の方々は心を痛められる事案だと思っています。保護者の皆様への対応については、学校側もそうした心情をよく理解した上で対応する必要があると思っており、まずは、電話等での連絡ではなくて家庭訪問等をして、必ず対面でいろいろお話をするといったこととか、その時点でわかっている事実をきちんと説明した上で、対応方針についてもあわせて説明をする。その際に、気になることがあったら学校に何でも相談してくださいということをお願いするといったようなポイントがあるかと思いますが、そうしたことについて、実はいじめ防止のガイドブックというものをつくってそれを学校のほうに周知していますが、引き続き周知を図りながら適切な対応ができるように行っていきたいと思っています。
いずれにしても、早い段階でいじめの兆候をキャッチして組織的に適切に対応するということが大事だ思っていますので、引き続き、市町村、学校とともに取り組んでいきたいと考えています。
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<いじめ防止対策について>bR |
悲しいながら、人は生きていく中で、相手より優位に立ちたい、他人に厳しくみずからには優しくというのは人間としてのさがであり、なくしたいけれどもなくならないのはいじめと差別だと私は思います。したがって、絶えず学習することによって、相手の立場、いじめられた側の立場を理解するたゆまない努力を継続する中で不適切な発言やいじめを解消するしかないと私は思っています。
いじめについていえば、いじめの定義の熟知と認知する意識をどれだけ研ぎ澄ますかが、いじめを早期に認知し、いじめの被害を最小限にとどめる手段だと私は思っています。また、小さないじめが原因で不登校まで発展することもありますし、特に小学生のときに不登校になると、学年が上がっても引きずる傾向にあります。さらに、不登校からひきこもりへとつながっていくことがまた心配されるところですが、改めて、やはり小さないじめでも見過ごすことなく認知し、早期に指導することが大切だと私は思います。教育長にもう一度改めて所見をお伺いしたいと思います。 |
●教育長答弁 |
議員の指摘のとおりだと私も思います。教職員がいじめの定義について熟知して、アンテナを高くしていじめの芽を早期に幅広く捉えて、それに組織的に的確に対応していく、そうしたことが、例えば不登校につながったりするようないじめに起因する深刻な事態が防がれることにつながっていくのだろうと思います。
また、いじめはどこでも起こるという認識のもとで、いじめは決して許されない行為であること、あるいは相手の気持ちを考えて行動することが大切だということなど、人権教育あるいは道徳の時間などを通じて子ども達が継続的に学習し、また子ども達、保護者、地域と学校との信頼関係、これを日ごろから築いておくことが大切ではないかと思っています。
全ての学校で積極的にいじめ防止対策が講じられて、児童生徒が笑顔あふれる学校生活が送れるよう、県としてもいじめ防止対策に取り組んでいきたいと考えています。
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