平成29年2月定例会一般質問(平成29年3月15日)No.1
<県産品の販売戦略について> |
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●知事答弁 |
海外も含めて農林水産品の売り込みについて、「食のみやこ鳥取」という旗を掲げてもう10年になります。考えてみると、この10年間で一歩一歩でしたが、今振り返ってみると、前には考えられないようなことも我々として成果として得られるようになってきました。梨ですが、例えば新甘泉については、普通の梨の倍ほどの単価、キロ当たり500円台が定着してきていますし、これは覚えやすい名前ということがあったり、話題性もあったということもあると思いますが、全国での一つのブランドに確かに認識されてきています。そういうものが千疋屋だとか有名百貨店、そうしたところでも柿も含めて取引されるようになってきました。 |
<県産品の販売戦略について>bQ |
非常に鳥取県の産品はそれぞれ評価が上がっているわけですが、やはりこれを何とか農家の皆さんの所得に結びつけるということを我々は考えていかなければならないと思っています。 私は県産品のブランド化の取り組みや大都市圏におけるPR、宣伝については決して否定するものではありませんし、試行錯誤の繰り返しであり、その試みを続けることは必要だと思います。しかし、ただ単なる単発花火で終わってしまうもの、つまり後に続かない取り組みについては精査が必要であると私は思いますので、知事の所見をお伺いしたいと思います。 それとブランド、一般的には高級感のある聞こえがよい言葉ですが、ブランドを確立するために、例えばあの有名な夕張メロンにしても、厳しい栽培管理、厳選がされた選果等、生産者側にも大きな負担を強いるわけですが、全てがブランドとして出荷できるわけでなく、選別から漏れた規格外は廃棄処分され、厳選されたものだけしか流通しないので、夕張メロンとしてのブランドが保てていると聞いています。 したがって、ブランドというイメージも、厳選された中でのブランドと知名度が先行する中でのブランドと、色々なブランドの確立の仕方があると私は思っています。したがって、ブランド戦略といっても、その狙いにより戦略も取り組みも大きく変わってくると思います。県としてはブランド戦略をどのように考えておられるのか、改めて知事にお伺いしたいと思います。 また、この議場でも6次産業化の議論がたびたび行われ、中には余ったものを6次産業化へという加工のような感じのニュアンスで議論があります。それはそれであえて否定はしませんが、そもそも余ったものでするのではなく、やはりよりよい原材料で6次産業化に取り組まないとよい商品ができない、売れる商品ができないという理念をベースに取り組むべきものと思います。知事の所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
実は全く同感で、私自身は意識しているところです。一口に言っていますが、ブランド戦略には2つあると思うのです。一つは、私が就任したころ、鳥取の食べ物で、おいしいものはいっぱいあるのですが、鳥取でこんなものをつくっているということすら知られていないというのがありました。ですから、まずは知名度を上げる、そういう意味でのブランド戦略。鳥取でつくりましたよというシールを張って出すとか、それから市場のほうに行き、ことしも梨のシーズンですよ、とれとれの梨ですよといって売る、そういう売り方のブランドの戦略が一つあると思います。これはまず一次的に必要なブランド戦略だと思います。やはり知ってもらわなければ買ってくれる人はいない。ウェルカニキャンペーンというのも蟹取県だとか言いながらやっていますが、あれも観光と食を組み合わせたキャンペーンなわけです。確かにあれをやって、カニのイメージは北海道だとか北陸だったけど、鳥取もカニだよねと最近むしろ言われるようになってきたわけで、そのように、知ってもらうというまずはブランディングのキャンペーンがあると思います。 あともう一つは、その中の上位ブランドをつくっていく。だから、単に安かろうで買ってくれるだけでなく、これは飛び切りのものだから、同じ梨でも違う梨だから、鳥取の梨は、それは高値で買いましょうと、ここまで持ってくるような、そういうトップブランドとしての戦略があると思います。 実は意識的にこの2つの両方を使い分けながら今も展開しているわけです。例えば花御所柿などもそうだと思うのです。古い品種です。しかし、多くの花御所柿は実っても捨てられてしまう。先ほど夕張メロンのお話がありましたが、厳選した上で出す。新甘泉、なつひめといったものもそうです。こういうようなことで厳選して糖度を高めて、高い糖度のものを、確かにいつ買ってもおいしいと言ってもらえるようなイメージをつくって、それで初めて商品価値というのが固定化されてくるのだと思います。 従来は、これだけ高いものだから、あるいは高くしてつくったから、手間をかけたから売れるだろうというところもあったと思うのです。ゴールド二十世紀とか、そういうものを同じ梨でもつくっていった時代もありました。では普通の二十世紀梨よりは高く売れるかというと、必ずしもそうでないわけです。ただ、つくっているほうは、これはすごいものだからと思ってつくっているわけですが、マーケットのほうの評価がついてこないといけない。そのためには、こちらのほう、生産者側もそこを意識して変わっていかなければいけないというのもあると思うのです。 五輝星というブランドを取り入れるときも、実は議論はあるわけです。それは、五輝星に選ばれるのはほんのわずかのカニで、それ以外のところは目ききの方が振り分けてしまう。そうすると、多くのカニに関係なくなるわけで、こういうトップブランドのカニをつくるというのにどれほど意味があるのかなという議論は当然あるわけです。ただ、ふたをあけてみたらおわかりいただけたと思うのですが、こういう高いカニができて、これがニュースになり、鳥取のカニというのはそんなに高いものかというようなイメージができると、ほかのカニの値段にも影響してくるわけで、トップブランド戦略をやることが知名度を上げるブランド戦略のほうのレベルでもきいてくるというのがあるわけです。議員のおっしゃった考え方は私も同感で、そうした感じでこれからもそこは意識的に戦略、ストラテジーを組んでやっていく必要があると思います。 これは加工品においても言えることで、議員がおっしゃったように余ったもの、使えないものだから加工品に回す、というだけでもないのではないかということです。それはジュースとかケチャップとか、いろいろと使い道もあるし、それはそれで私は評価もしています。最近鳥取という安全・安心のイメージができているので、そうした手づくりのものが結構値段的にもいい値段で取引される。大山のジャムなどもそうです。しかし、それ以上のものを狙っている方々もいて、この辺も注目に値しますし、応援もしていかなければならないところです。 例えば前田農園さんというのが北栄町にあって、もともと長芋をつくったりされてきて、そういうリーダーとして私もお会いしていたわけですが、最近は前田農園さんというブランドで甘麹醤しおという、こういう小さな瓶、これを入れると何でもおいしくなるという魔法の瓶みたいなものです。こういうものをこれは米子の伝説の料理人、松下銀次郎さんという方がいらっしゃって、この方の御指導も得ながらされておられるわけです。実は松下銀次郎さんは、最近はいわゆるトップシェフを生み出していて、日本人では初めてフランスで賞をとった料理人は、もともと家はいただきをつくっている家ですが、自分は一念発起してフランス料理のほうに行かれて、今東京駅のところで、先般も特集番組に出ていましたが、そういう星野リゾート系のシェフを任されている、その方を生み出したのも銀次郎さんです。これと組んで、つくるなら本物をつくろうということでされているわけです。 こういう取り組みというのも議員がおっしゃるように必要なことで、ものすごくいいものをつくって、それがまた鳥取の関連のものというのは、これを買うだけで食卓が豊かになるなというような加工品を目指すという方向性もやはりトップブランド戦略として考えていかなければならないと思います。御指摘を踏まえて、加工品も含めたブランド化を今後も追及していきたいと思います。 |
<県産品の販売戦略について>bR |
今日の社会、カタログギフト冊子で全国各地の特産品を販売する時代になり、主に日常的には冠婚葬祭用の返礼品によく使われています。このカタログギフト業界、リンベル等大手の企業が軒並み全国シェアをおさめ、冠婚葬祭用の返礼品として活用されています。議員の皆さんも執行部の皆さんも、冠婚葬祭から数カ月後、いや応なしに接する機会が多くあると思います。ところが、物があふれた今日の社会、あえて選ぶものがないのが現実です。ついつい家庭で眠らない食品関係を利用される方が多いかと思います。ある肉好きな同僚議員は、うちの冷蔵庫には米沢牛がたまっていると話しておられましたが、多くの皆さんが選ぶものがないから仕方なしに選ばれているのが現実ではないでしょうか。 余談になりましたが、残念ながら送られてくる返礼品のカタログギフトの中に県産品が一つもありません。販売戦略の一つとして、返礼品のカタログギフトに県産品を掲載していただく戦略を検討されたらいかがかと思いますが、知事の所見をお伺いします。 |
●知事答弁 |
最近、いろいろとカタログで送られてきてその中で選んでいく。選ぶ楽しみもあるし、そこに県産品があると大変に喜ばしいものです。以前はなかなかこれがありませんでした。実は、「食のみやこ」ということを掲げ私自身も出かけていったものです。例えば阪急百貨店とか、あるいは大丸さんだとか、三越伊勢丹グループだとか、そうしたところで高級カタログの例えばお中元だとかがあります。ああいうところに売り込みに行ったこともあります。それでいろいろ各社さんのほうでもつないでいただいたりして、大分ふえてきたことはふえてきました。大山ハムさんなどは定番で、各カタログでも扱ってくださるようになってきているし、水産物や干物とか、またあるいは果物とか、いろいろと扱っていただけるようになってきました。東京のアンテナショップでもお歳暮品とかお中元品を取り扱うわけですが、特にお中元のほうは鳥取のスイカなどは人気があります。商品力はあるのだろうと思います。 今議員が話されたリンベルというのは大手のもので、実は我々がよく知っているいろいろなカタログショッピングの裏をやっておられる、そういう屋台物のような会社ですが、ここでも最近は鳥取市内の海陽亭さんのものを扱ったりされているようです。議員のお話もありましたので、そういうデパート等でなく新たなところ、冠婚葬祭も手がけているリンベルさんのようなところも含めて、ちょっと売り込み、攻勢をかけさせていただければと思います。 また、地元で手づくりでやるような可能性もひょっとしてあるかもしれません。今、県の商工会連合会で美味だより「とっとり自慢」という各地の産品をカタログ化して、これを販売に使ってくださいということで毎年刷るようになりました。たしか最初は議場で議論があったのではないかと思います。それを応援したりしてこういう形になってきているのですが、そんなような例もあるので、議員がおっしゃったような形のカタログの拡大、拡充を図っていきたいと思います。 |
<県産品の販売戦略について>bS |
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●知事答弁 |
結論から申し上げれば、研究させていただきたいと思いますし、関係のいろんな向きがあるので、どういうことができるのか、あるいはできないのかも含めて、ちょっと相談してみなければいけないとは思います。 今は亡くなられましたが、長田吉太郎さんという先代の方が「米子ええもん噺」という、そういう…カタログ販売をやろうと思い立たれて、これは今、中海の物産振興の枠の中で今も引き継がれている伝統があります。例えばああいうようなものかもしれません。先ほどの商工会連合会でやっている美味だより「とっとり自慢」のカタログだとか、今おっしゃるようなふるさと納税だとかがあると思います。これはもちろんそこに載せる方がいなければいけませんし、そのカタログを取りまとめて実際にはがきが送られてきて、そのはがきどおりに注文を差配する人がいなければいけませんので、どうしても仕組みが必要です。どこかの会社なりでやってくれたり商工会でやってくれたりすれば意外に簡単にできるのかもしれませんが、ちょっとこれは関係者と話し合ってみる必要があると思います。 |