<鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の一部改正について> |
提案された理由は、昨年10月の中部地震で、自主避難所の開設、本年1月、2月の豪雪時、立ち往生した車両のドライバーへ沿線の住民が食事を提供し、県民らしい人と人とのきずなを基調とした住民の助け合い、支え合いの重要性が改めて認識されたことにより防災意識が高まっているこの時期に、市町村社会福祉協議会を核として、支え愛マップづくりを全県下に広め、災害時の要支援者への支援を確保するとともに、災害に強い地域づくりを推進しようというものです。
防災マップは、これまでそれぞれの地域に立ち上げられた自主防災会を中心として、県内各地で進められてきました。また、平成24年度から市町村社会福祉協議会を中心に、それぞれの地域においてわが町支え愛マップ推進事業が取り組まれてきたものを融合させ、条例の一部改正がされたものと思います。この事業は、平井知事の肝いりの事業だと推察されます。
私としては、地域防災上の重要性と既存の地域支え愛政策をうまく融合されたことには全く違和感はありませんが、企画立案した県が、事業実施に当たっては社会福祉協議会に丸投げしているという感があり、企画立案した県として、市町村を含め、補助金を出すだけでいいのだろうかと、愛サポート条例をあわせて政策提言している県福祉部の姿勢、存在が見えないことに疑問を抱くのです。
基本的には、防災の観点があることから、鳥取県防災及び危機管理条例に関する基本条例を一部改正し、支え愛地域づくりとして位置づけられたものと思いますが、知事にその狙いについて、考えについて、改めてお伺いします。
現在の災害時における支え愛地域づくり推進事業の取り組み状況と今後の取り組みの方向性、ポイント、何年後にどのくらいの目標を持って取り組みを予定されているのかお伺いします。
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●知事答弁 |
今後の条例改正の目標などの詳細についは、危機管理局長から答弁したいと思います
これは、今回条例のほうに危機管理の条例改正とそれから愛サポート条例と、実は両方にかかったような形で提出させていただいています。その理由というのも、今回の地震、あるいは雪もそうですが、いろいろ効果があったということです。例えば、倉吉市柳町でも、これまでこうした防災マップづくりに取りかかっていなかったのですが、昨年夏にこれにかかられて、問題箇所の洗い出しとか、それから避難訓練などもされていました。マップができる前にそうした作業をされていたので、10月21日の地震のときに非常に機動的に動かれたということがありました。その後、年が明けてマップが完成するということになるわけです。
マップの、形になったものだけでなくて、むしろその手前にある、そのために地域の力を発揮する、その話し合いをしたり訓練をしたり、それから物資を調達して準備をしたり、これが大事で、その辺ができるのがこの支え愛マップのいいところではないかと思います。
議員から問題点の指摘がありました。若干思い当たる節もあり、もともとこれは危機管理のほうでこういうマップづくりをやっていたわけです。それは、この議場でもいろいろ出ていますが、やはり地域でそういうマップづくりをしたりして、情報を共有するのが大事だということがありました。平成23年に東日本大震災があり、そういうマップづくりなどをもっと強化しようと。それまで、実は年々マップの作成地区数もどんどん上がってきたのですが。議会でも数字を求められて、我々は出してきました。今は600カ所を目標にやっていますが、これまでも作成率というのを求められてきたわけです。それをもっと飛躍的に上げようと思い、平成23年に福祉保健部のほうに、これは福祉の情報も大分かかわるので、危機管理局のほうから、内部の話として、それを移管したということがありました。
その後、実は、これは全く別の理由なのですが、支え愛基金というのをつくって、当時鳥取力創造運動などを高めようとやってきました。これは特に地域の支え愛、福祉の関係などにも有効ではないかということで、支え愛の基金事業というものを設定して、そちらのほうで支え愛マップづくりが始まり、社協の方もかねて地域福祉をやりたいということがあって、そのいいツールとしてこれが使われてきたところがありました。
実は、これで地区数の伸びがだんだん鈍化していったのです。多分議員がおっしゃるように、そこで結局県が間接的になってしまって、また行政も社協任せということも出てきて、本来であれば、我々が当初やっていたように、危機管理の中で、災害時に有効ですから、災害時を考えて各地でつくりましょうと広げかけていたわけですが、ちょっとそれが地域福祉の話とややごっちゃになってしまったのです。私は、悪いことだとは思わないのですが、ただ、結果として、スピード感だとか、それから体制として、例えば消防団の人が入ってくるとか、それから、市町村で言えば総務課系統、危機管理系統というものが入ってきてもよかったのですが、福祉の系統とちょっとやり方が違うのだと思うのです。福祉のほうだと、どちらかというと地元でやってください、やるところは補助金もありますし協力します、というような行政のやり方で、そちらが最近はやや先行がちだったと思います。
そこで今回、条例改正を提案していますが、それとあわせて、支え愛マップについては、もう一度その所管を危機管理部局に戻したところです。ですから、今後は危機管理系統それから福祉系統、それが両方入りながら、もっと推進力を上げて、もちろん社協にも協力していただきながら進めていく、それによって今回の一連の災害の中でも有効性が認められた支え愛マップという手法を全県的に広げていきたいと考えています。
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●危機管理局長答弁 |
災害対応は、案内のとおり、自助、共助、公助の組み合わせ、総合力と言われます。そうした中の共助について、先ほど知事が答弁申し上げたように、中部地震あるいは大雪のときに、非常にすばらしい取り組みが県内のあちこちで見受けられたということで、この鳥取県らしい人と人とのきずなに基づく住民の助け合い、これを一層全県下に広げていく、深めていく、そういったことが必要だろうということで今回の条例改正を提案しています。
具体的には、そういった住民の皆さんの助け合いを災害時支え愛活動と呼び、これを広めること、あるいは避難行動要支援者の避難の支援体制を一層促進する。そのために市町村の個人情報保護条例に特別の定めを設けて情報を共有しやすくすることに市町村には努めていただく。あるいは、支え愛マップづくりを一層進めて、それによって、しっかりと地に足のついた支援の体制を地域でつくっていただく、そういったことを進めたいと考えています。
その支え愛マップづくりですが、県はもちろん、市町村の防災、危機管理の担当、あるいは消防団、そういった防災の関係者にも入っていただき、県や市町村の社会福祉協議会だけにお任せするのではなく、マップづくりの支援の実践の経験のある団体、日野ボランティア・ネットワークなど、あるいは震災復興活動支援センター、そういった関係者の皆さんの力を一丸にして、チームワークを深めてしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
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●知事答弁 |
先ほどの安田危機管理局長のほうの答弁でちょっと抜かしていましたので、そこだけ補足させていただきます。
支え愛マップの策定状況は、現在454地区です。それを31年度までに600地区にふやそう。今は大体17%ぐらいの策定率ですので、これを22%程度に、約5%程度伸ばそうというのを今の目標に据えています。そのために、今回議会のほうに提案したモデル事業などの支援策も拡充し、ぜひ向かっていこうという体制をとっています。
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<鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の一部改正について>bQ |
鳥取県の防災及び危機管理に関する基本条例を一部改正する条例については、私もそんなに違和感はありませんが、少しお尋ねしたいと思います。
第7条第4項には、県は、災害時支え愛活動が円滑に行われるよう、市町村に対して必要な支援を行うものとすると新たに挿入されましたが、これまでとどこがどう違う支援をされるのかお伺いしたいと思います。
また、21条第2項に、支援関係者への提供について、避難行動要支援者本人の同意を得てと表記されていますが、同意が得られない要支援者についての対応はどのようにされるのかお伺いしたいと思います。
また、これは答弁は求めませんが、長い長いタイトルである鳥取県民みんなで進める障がい者が暮らしやすい社会づくり条例です。要するに、県民が親しみやすい鳥取県愛サポート条例のほうが私はよかったのではないかと思いますけれども。
また、この中で、私は、前段では福祉保健部の存在が弱いと申し上げましたが、それは、この条例の条文を見ると、危機管理局のほうの一部改正では、県の責務について、行うと明確に言い切られておりますが、俗称愛サポート条例では、県と市町村が同列に併記され、第20条第2項並びに第3項では、県の役割もあわせて努めると、非常に弱い表現になっています。余りにも消極的ではないかと私が受けとめた理由でもあります。改めてこれは検討していただきたいということを申し上げたいと思います。
それと、災害時における支え愛地域づくり推進事業の中心となるのは、災害時において、要支援者への対応をどうするのかが一番大きな柱の一つでもありますが、私は、災害関係だからといって、危機管理局に、そして社会福祉協議会に丸投げの感がしています。
また、一番大切なのは、災害時に県の支援ではなく、あらゆる災害に備えて地域の皆さんが取り組みを展開するわが町支え愛マップ推進事業だと思います。ここでしっかり地域のコミュニケーションを醸成しながら支え愛マップづくりを作成することが最大の課題であると思いますが、福祉保健部としてはどんなかかわりを持たれるのか、知事にお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
愛サポート条例の話だけ簡単に申し上げさせていただければと思いますが、条例のタイトルについては、私どもは愛サポート条例で発注したつもりだったのですが、委員会の皆様、福祉関係者等、具体的には断酒会の関係の方に、この愛サポート条例というよりも、障がい者がみんな暮らしやすい世の中をつくる、そんな条例の名前のほうがわかりやすいのではないかという意見があり、基本的にはそうした流れの中で、我々もそれを受けとめたというもので、わかりやすさのためにということです。
ただ、内容的には愛サポート条例運動の精神を引き継いで、そうした「障がいを知り、共に生きる」という、そのもとに基本条例をつくったということで、何ら内容として変わるものでもありませんし、私どもも通称愛サポート条例で今も呼んでいるという状況です。
表現については、確かに努めるものとするというところも見られて、これも実は経緯を申し上げると、市町村の方も入って、いわば市町村も一緒になって使ってもらうような条例という意味があるので、特に障害者福祉は市町村が基本です。市町村の担当者の方から意見が出る中に、義務づけが余り強烈に出るのは困るという意見もあり、それで努めるという表現が市町村関係のところには多く出てきています。多分、そこから先はちょっと悪乗りかもしれませんが、県のほうの行為の部分についても努めるという表現のところも出ています。私もそこは、細かくは見ていないのですが、最終的にはそういうことで文案を策定しました。ただ、議員に誤解されないように申し上げれば、問題は運用だと思っています。
実は、法制執務の関係では、余り大差はないのです。例えば、何々しなければならないと書いても、ものとすると書いても、議員も行政の中におられたので、どっちかというと表現のスタイルの課題ぐらいにしか一般には受けとめられません。役所は、その努めるものとするか行うものとするかで非常に神経を使って書いているかもしれませんが、実は、どっちもそういうことをやらなければいけませんよという義務、努力義務であれ、あるいは結果責任であれ、課していることは間違いなくて、特にこういう福祉の場面では、なかなか結果責任まで行きにくいものですから、結局努力義務の書き方をしてあるように見えても、実態は、それは行政の責務というのを書いている内容になると思います。
したがって、結果として、今回の愛サポート条例の基本条例でそこが表現上、若干差があったとしても、実は、意味合いにおいては大差ないと思いますし、大切なのは、市町村も含めて、やるぞという決意、それから、私どもがリーダーシップをとらさせていただく立場から言えば、議会と一緒になって、やりなさいという、その行動のほうが大切だと思っています。
ですから、そうした意味で、ぜひ認めていただいて、その運用においては、それが結局尻抜けになるようなことには絶対にならないように、私どもとしては襟を正した運用をしていきたいと思います。
危機管理について、いろいろとお尋ねがありました。色々な工夫をして今回進めようとしています。実は、福祉保健の系統と危機管理の系統と、従来からちょっと仕事のやり方の違いがあって、危機管理のほうは、どちらかというと、指揮命令系統が消防団風にある程度あって、それがまた市町村レベルでもあって、結構スピード感を持って動いたり、周りを巻き込んでいく力もあるわけです。福祉のほうは、どちらかというと、社会福祉協議会などの組織もあり、民間レベルでじわじわじわじわとやっていくというところはあるし、補助金で引き寄せてということもあると思います。
ただ、もともと生活弱者、障害者とか高齢者とか、そうした世帯に対するアプローチとしては、こちらの危機管理系統よりは、そういう福祉的な手法のほうが入り込みやすいし、実は情報も持っているということがあります。ですから、この2つをドッキングさせながら進めていくのがよいのではないかと考えており、そういうようなてこ入れをこれからしていきたいと思います。
そういう中で、従来とは違ったこととしては、例えば、自主防災組織の人材育成のためのブラッシュアップ研修をやるとか、それから支え愛マップづくりという面でも、消防団の関係者も入ったり、町内会の関係者も入ったり、それから福祉の関係者も入ったりして、従来は、社協ベースの研修とか会議だけだったのですが、それをベースを広げて、そういうマップづくりのセミナーをやろうとか、また、モデル事業を支え愛マップでもやって、単にマップをつくるだけではなく、資機材整備もできるようにする。議員も行政で経験があるのでおわかりだと思いますが、ちょっと資機材整備も絡めながらやると、結構進むもので、その辺を我々も経験値として考えて、入れています。
また、防災危機管理交付金の中でも、例えば、支え愛避難所という自然発生的に出てくる今回の公民館のような避難所の整備等についても、県で2分の1を支援する交付金の対象に拡充したりしているところです。
議場でもこれまでたびたびこうした要支援者対策で問題になったのは、行政情報である要支援者の情報をどうやって現場のほうで活用していくか、これが個人情報保護条例との関係で、非常に困難があったわけです。個人情報保護条例では、実は切取り線がつけてあり、個人情報保護法もそうですが、それは、本人の同意があった場合というのと、条例だとかでそこを変えている場合、また、それと関連するのですが、これを個人情報保護の審議会のほうにまた判断を委ねている場合もあるのですが、そういう個人情報保護審議会のほうでの手続でその情報共有が図れるようにする。ですから、原則と例外とがありますが、例外的にこういう危機管理の関係などを考慮して、地域で情報を共有し得る道というのはもともとあるわけです。ただ、これがわかっていてもなかなか進まないということがありました。
それで、今回の危機管理の条例改正のほうでは、そういう条例で情報共有できるようにするなど、その情報の共有化に努めなければいけませんというのをあえてうちの条例で書いて、市町村のほうでもしっかり検討してもらおうとしているのが一つです。
もう一つが、任意で地域で共有することは、これは条例の対象外のところになるので、任意で共有する支え愛マップというのを広げていく、これが2つ目の道で、この両方を今回の条例改正や予算の中で出させていただいているところです。
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<鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の一部改正について>bR |
愛サポート条例の、行うと努める、知事はそんなに変わりないと言われますが、やはり行うと努めるは違うと思うのです。やはり努力義務とね。危機管理条例は、行うと全部明記してあるのです。愛サポート条例も県と市町村を同列に書いて、併記しているからおかしいのです。県は行う、市町村は努めるものとするという表記になっていれば、私も納得するのです。県と市町村は、となっているから、私は違和感を感じたわけで、そこのところは、知事はそんなに変わりはないと言われるから、知事の言葉を信じたいと思いますが、私自身はなかなか納得できない。
先日この愛サポート条例について、この議場で浜崎議論が行われました。本当に聞いていて、すばらしい議論であったと思っています。
本来なら、もっと簡潔な愛サポート条例になるものを、住民の皆さんに一番近い市町村で、それぞれの市町村の事情に合わせた条例を策定することによって、市町村議会でばりばりの議論をしていた、そのことが住民の皆さんにも理解していただけるし、住民の皆さんの関心も高めていくことができるだろう。やはりそれを市町村によって、その福祉関係者、それから例えば防災士を市町村はどこも地域の中でつくろうとか、そういうことを本当に議論していただいて、市町村独自の取り組みをしていただくというのが、私は一番大切なのではないかと思っています。
県と市町村とは同等の立場ではありますが、何とか理解をしていただいて、県下の市町村にやはり防災危機管理条例のような幅広いものではなく、防災対策も明記した、もう少し簡易な愛サポート条例というか、そういうものを設定していただくように私は働きかけをしたらどうかと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
先ほどの条例の文言については、肝に銘じ、きょうの議論がこれからの運用に生きてくるはずですので、しっかりと運用して、尻抜けにならないようにさせていただければと思います。
市町村との関係は、確かに対等ですし、条例制定権は、まさに市町村議会のことですので、私どもで踏み込むべきものではありませんが、市町村でも実はそうしたことに近い工夫をしているところはあります。例えば、鳥取市でも安全で安心なまちづくりの条例というものをつくっておられますし、日吉津村でも自治基本条例の中で、障害者について、条文を割いて書いているということもあります。もちろん予算措置だとか、色々な制度などで、議員も赤碕や琴浦も御案内のように、それぞれの地域でもちろん障害者対策の体系もあって、条例がなくてもやっていることはいっぱいあります。
ただ、特に今、指摘されるような危機管理のことなどは、多分、新しい視点だと思いますし、今回一連の災害の中で私たちが学び取った部分でもあろうかと思います。我々の愛サポート条例案も、その危機管理関係に関する災害時の障害者の支援というのにかなりの条文を割いています。特徴のある条文になっていますし、その辺はよく市町村にも伝えて、今後のその条例だとか諸制度をつくる上での参考にしていただければと思います。特に要支援者情報の共有については、今までハードルというものを感じておられて、市町村もなかなか取り組んできていなかった面もあるので、この機会にしっかりと我々もアピールさせていただきたいと思います。
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