平成26年関西広域連合議会一般質問(平成26年8月28日)No.1

<山陰海岸ジオパークの再認定と今後の活性化>
   (1)世界ジオパークネットワーク再認定の見通しについて

 

 関西広域連合では、東西110km、南北最大30km、京都府、兵庫県及び鳥取県の3府県に及ぶ広大なエリアの中で、地質の博物館とも言われるほど変化に富んだ地質や地形を有する山陰海岸ジオパークについては、広域観光連携のモデルとして、今日までその活動の推進に鋭意取り組まれてきたところです。この度、その山陰海岸ジオパークが、世界ジオパークネットワークに加盟認定されてから4年目を迎えるにあたり、さらに、そのエリアを西側に10km拡大された上で、8月3日から6日までの間、再認定に向けた現地審査を受検されたところです。この審査結果は、9月19日から22日にかけて、カナダ・ストーンハンマーで開催される「第6回ジオパーク世界ユネスコ会議」で審査結果が発表される予定です。再認定の受検にあたっては、周到な準備の上受検されたことと思いますが、実際の受検の様子や感触等を踏まえ、再認定の見通しについて平井委員にお伺いします。また、受検にあたり、審査員から指摘された事項があったのか、あったとすれば、今後のその対応についてもあわせてお伺いします。

●平井委員答弁

 

 山陰海岸ジオパークについては、この度国際的な審査が行われることになり、マウリツィオ・ブルランド氏とジン・シャオチー氏が、イタリアと中国から来られ、つぶさに鳥取県、兵庫県、京都府の順に、そのスポットスポットを見て歩かれました。最後に、これは決定ではありませんが、記者会見などにより、感想を述べられたところです。その中では、まず前回の審査の時の宿題については、きれいに対応ができているというコメントがありました。また、新しい拡大の地域については、例えば、北丹後地震の時の郷村断層のように鳥取地震における鹿野断層がありますが、こうしたエリアなどが含まれており、理解出来るものであるというようなコメントでした。また、「住民の活動のこうした一体的な取り組みを進めていて評価できる、そういう意味で、総じて非常にポジティブな印象を持った」というのが総括的なコメントであり、大きく手応えを感じることができたと思います。
 ただ、問題点の指摘がありました。それについては、外国人の方への対応が十分であるかということ、それから、ジオパークの一体性が果たして認識されうるものであるかということでした。外国人については、例えばWi-Fiを整備をしていくとか、ガイドさんなどの研修をもっともっと進めるなどの対策が考えられると思いますし、さらに一体性のことについては、ロゴマークを使った取り組みを、従来よりも推進していくことなどが考えられると思います。いずれの点についても、審査員のほうからは、より高みのある、そういうジオパークを目指すためのコメントであるということがあり、我々としても前向きに地域をあげて取り組んで行ければと考えています。

<山陰海岸ジオパークの再認定と今後の活性化>
   (2)山陰海岸ジオパークの認知度向上について
 

山陰海岸ジオパークの認知度アップについては、関西にある地質景観スポット「地質の道」として提案・PRすることで、関西広域観光の幅を広げ、外国人観光客の関西圏周遊を促進することとして取り組まれているところですが、国内において「地質の道」の認知度が、あまり高いとは言えない中、外国人に対するPRの効果が上がっているのかと疑問も感じています。逆に、PRの幅を広げることによって、山陰海岸ジオパークなどそれぞれの地域の景観スポットの存在感が薄くなり、認知度向上をかえって阻害しているのではないかと、一方では危惧するところです。関西広域連合では、これまで取り組んでこられた「地質の道」のPRの効果をどのように評価したうえで、引き続き取り組もうとされているのか、また、今後、一つの観光スポットとして、山陰海岸ジオパークの認知度向上のため、国内外でどのような取り組みを検討されているのか平井委員の所見をお伺いします。


●平井委員答弁
 
 関西広域連合としては、「地質の道」を売り出そうと、一体的な圏域の取り組みをさせていただいており、これについては「Good Luck Trip」という外国人向けの冊子でのPR、あるいは海外におけるプロモーション活動の中での周知を行ってきているところです。こうしたことなどが成果を上げて、徐々に認知度が高まってきていると思います。
 確かに広域的に捉えすぎると、一つ一つがわかりにくくなるという面があるかもしれませんが、折しも今日、南紀熊野のジオパークが日本ジオパークに認定をされるかもしれないというタイミングを迎えています。南紀熊野については、プレートの沈み込みによる付加体、それから海盆のところの堆積物だとか、火成岩だとか、そうしたものが非常に良好ということが言われているわけです。それは、山陰海岸のほうでも豊岡市の玄武洞により名前がついた玄武岩だとか、それから火成岩的な流紋岩、さらにはアジア大陸の時の記録の残る花崗岩、こういうものがありますし、温泉だとか様々なリフレッシュのポイントもあります。こういうものをつなぎあわせていくことで、ダイナミックな旅をつくることができると考えており、今後とも「地質の道」のPRをしっかりとやっていきたいと思います。
 さらに、山陰海岸ジオパークの認知度向上に向けては、首都圏、あるいは関西エリアでのキャンペーン、さらに写真コンクール等をしており、また来年は、アジア太平洋ジオパークネットワークによるシンポジウム・国際会議が、9月16日から20日まで、この3府県のエリアで開催されることになっており、海外にアピールする絶好のタイミングだと考えています。
 こうした様々な機会を捉えて、広域的な観光の一つのシンボルとして、圏域を越えた、県の境を飛び越えた、そうした観光ルートのPRをしていきたいと思います。