平成27年2月定例会代表質問(平成27年2月20日)No.6

≪若者、子ども対策について≫
<若者対策について>
 
 地方創生として、今この地域の活性化を含め、将来のあり方について県を初め市町村でその計画づくりが進められています。現実としてこの地域の将来を担う若者の声を十分に反映させたものでなければならないと思いますが、余り若者の声が反映されていないように思います。
 確かに若者にまつわる就職、子育て等の施策は積極的に取り組まれているものの、県内の若者が何を考え、どんな地域を望んでいるのか、もっともっと若者の声を聞く必要があるのではないかと思います。
 一昨年、東郷臨海公園のほとりに、議会での議論を経てスケボーパークをつくっていただき、昨年は仕事帰りに、また夜間にスケボーが楽しめるよう照明設備が整備されたところです。スケボー関係者の皆さんにお話を聞くと、我々には縁遠いと思っていた県が、我々の思いを受けとめ整備をしてくれたと手放しで喜んでいました。思うような練習場がなくて公共施設から追い出され続けてきた彼らにとっては、縁遠いと思っていた行政が彼らの思いを受けとめてくれたことに、県の存在が随分近くなったようです。
 このように、県内の若者が地域で生活する中で何を望み、何を求めているのか、改めて県としても担当部署を明確にするとともに、もっともっと若者の声を聞き、施策の立案に生かすべきだと思いますが、平井知事の所見をお伺いします。
 また、そう遠くないうちに投票権が18歳まで引き下げられます。今でも若者の政治離れ、投票率の低下に大きな課題がある中、投票年齢が引き下げられたことにより、さらに低下する心配もあります。
 以前、森議員から指摘があったように、学校現場における政治教育の必要性がより高くなってきます。より政治が身近なもので、日常生活にかかわりが深いものであることを教育すべきと思いますが、山本教育長に今後の取り組みを含め、御意見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁

 
 スケートボードのスポーツパークについては、おかげさまでこの4年間で実現することができました。若い方の声を先ほど御紹介いただきましたが、私も思い起こしたところです。
 最初にその皆さんとお会いしたのは倉吉のイベントのときで、スケートボードなどのそういう若者スポーツができる場所をつくってもらいたいと、そういう署名活動を進めておられたところでした。そういうところで初めて、こういう必要性の点について認識させていただいたわけですが、議場でも取り上げていただいたり、いろいろと要請活動の輪も広がったりして、現実には二転三転しましたが、湯梨浜町のほうでそれを整備するということになったわけです。
 このように鳥取県としては、若い方々にもきちんと門戸を開いて、若い方々が必要とする政策もこの議場での議論をもとにつくって実現をしていくような、そういう筋道を立てていかなければならないと思います。
 県民参画基本条例に基づき設置した県政のパートナー会議については、若い方々が中心で入っておられます。これはオブザーバー委員としてですが、高校生も入っておられます。それから、子ども・子育てのための子育て王国とっとり条例をつくりました。その条例に基づいて子育ての会議をつくっておりますが、子育て王国とっとり会議の主要メンバーは当然ながら子育て世代で、若い方々が中心です。また、県政参画基本アンケート、こういう電子アンケートでも若い方々に参加していただいています。こういうチャンネルをもっと上手に使い、活用の度合いを深めていく必要があろうかと思います。
 とっとり創生といわれる地方創生については、若い方々が決定的なものを持っていると思うのです。何が必要となるか、それを肌で認識しておられる方々だと思います。ですから先般、小谷県議の質問のときにも申し上げたように、県庁内にもそうしたチームを立ち上げることにしたいと思っていますし、またそういう意味で地方創生、とっとり創生を話し合うような、とっとり創生次世代円卓会議とでもいうべきものをつくって若い方々、例えば商工団体の青年部の方々、農業者、子育ての方、学生さん、そういう方々の地方創生を初めとした地域づくりに対する意見を出していただく場を、この地方創生の総合戦略づくりの中で考えてみたいと思っていたところです。そのようなことを進めて、若い人たちの声に基づく政策の立案を進めていきたいと思います。

●教育長答弁
 
 国民投票など投票年齢の引き下げもかかわり、学校現場における政治教育の必要性はより高まって、政治が日常生活にかかわりの深いものであることを教育すべきという考えについては、私も同感です。若者の政治参加を促進するためには、若者が政治に関心を持つような仕掛けづくりが必要であると考えており、現在、県立高校では、いわばシチズンシップ教育の一環として、専門機関等と連携して模擬投票とか模擬裁判などを初め、社会参画の仕組みを学ぶ取り組みを全ての県立高校で実践をしているところですが、政治を身近に感じさせ、日常生活とかかわりが深いということを学ばせる上で最も効果的なものは、身近な地方自治についてしっかり学ばせることではないかと考えています。

 地方自治は民主主義の学校という言葉もありますが、高校生が地域を調べて、そこに課題を見出して解決策を探ったり、議会での議論の様子を傍聴したり、あるいは高校生議会のように自分の意見がどのように反映されていくかということを実感を持って学んだりするといった取り組みは、政治を身近に感じさせる観点からも有効であると考えており、各学校において取り組んでいるところです。
 例えば鳥取中央育英高校では、地元北栄町と連携して、地域探求学習を通じ、将来地域に貢献する志の高い人材の育成に取り組んでいるところですが、この取り組みの一環として、先月、生徒が高校生議員として直接町長への質問を行う高校生議会というものが開催されたところです。町内の空き家を活用して民宿をつくり、活性化につなげていってはどうかといったこととか、コナン通りにイルミネーションや樹木を設置してにぎわいを創出してはどうかといったような高校生の提案を受けて、町が前向きな取り組みを始められたというものもあり、生徒からは、町長と直接意見のやりとりができたのはいい経験になった、地域の活性化にもつながると思うので、今後も続けてほしいといったような声が聞かれ、体験を通じて高校生が変容する様子を感じておるところです。
 このたび与野党の合意のもとで、選挙権年齢を18歳以上へと引き下げる公職選挙法の改正案が今月内にも今国会に提出され、早ければ平成28年夏の参議院選挙から適用されるのではないかといった状況もあります。私も先般開催した県立学校長会において、主権者教育とか選挙に関する理解推進に積極的、戦略的に取り組むように指示をしたところです。
 今後も政治を身近に感じられるような体験的な取り組みを通して、生徒が主体的に地域にかかわり、社会参画、政治参画の重要性についての自覚を深めさせることができるよう、模擬投票の実施なども含めて取り組んでいく所存です。

<若者対策について>No.2

 
 
実業高校の生徒さんというのは、3年間で子どもから大人にまさに脱皮させなければならないのです。ですから、本当にその3年間というのはかなりいろいろな技術の取得とか、人間性、大人になるための準備とか、社会人としての準備、本当に凝縮された3年間になると思うのです。そこのところはしっかりと県教委は受けとめてほしいし、ぜひとも現場等の声を聞きながら取り組みを進めてほしいということです。
 それともう1点、この前も鳥取の工業高校の生徒さんがなかなか取れない資格取得をされたということなのですね。やはりそういう実業高校の皆さんが、資格取得をしたいという部分については、ぜひとも県が助成してでも、お金がかかってもいいと思うのです、しっかりと技術を身につける、そのためには県も教育委員会も支援するという体制を改めてもう一度検討してほしいと。今、確かに助成制度はあるのはあります。それをもっともっとしっかりと充実してほしいと、これは要望にとどめますので、お願いしたいと思います。
 子どもの貧困計画、2月13日開催の常任委員会の予備調査の中で、突然、鳥取県子どもの貧困対策推進計画の策定に係るパブリックコメントを求める提案が報告されました。突然の提案で、私も委員長として本当に驚きました。
 昨年の6月県議会において、我が会派の坂野議員の、子育て王国条例に盛り込んだらどうだろうかという質問に対して、知事は、条例づくりの中での議論で考えていきたいと言われました。私はてっきり条例の中で位置づけされるのかなという思いを持っていました。当然それまで常任委員会にそれらの報告は一切ありませんでした。ところがこのたびなぜ突然外出しのような形で子どもの貧困対策推進計画をされたのか、お伺いしたいと思います。

●知事答弁

 
 貧困の家庭の問題、これは非常に重要な課題で、まず貧困率のお話があって、議員の御認識のとおりだろうと思います。
 特に貧困の連鎖が起こる、これを断ち切らなければならない。いわばチャレンジできる社会として日本の国を立て直していかなければならない。そういうことだと思います。
 これに思いがあって、国のほうでも年末までに閣議決定がなされて、国としての総合的な計画というものがつくられました。その計画に基づいて、計画を参考にしながら、県のほうでも、それは努力義務ですが、計画をつくるべしということが明記されたところです。
 問題はその実質をつくることです。この問題については、議会ともお話させていただきながら、子どもの貧困対策というものに対するアプローチを地域社会としてどう構築していくかが大切で、それを具体的につくり上げていこうと努力をしてきました。
 私どものほうでは、子育て王国の会議も相談をかけながら、その盛り込むべき内容について議論は進めてきたところです。年末から年明けにかけて、内部でも大分議論をしたのですが、まず、ひとり親家庭の自立の計画があったり、それからさらに若者の自立促進の計画がありました。これらの計画をつくることで作業を進めてきたわけですが、これに子どもの貧困という観点が入っていなかったのです。これは我々のほうのお互いの連係プレーがうまくいっていなかったところがあります。そこのところの重要な課題は、年末以降、子どもの貧困対策というのが出ており、それはひとり親家庭の自立促進でも、若者の自立促進でも重要ですので、そちらにもその趣旨を入れていかなければならないだろうということで見直しをします。
 また、子ども・子育ての計画のほうでも、そちらに書こうかという案もあったのですが、むしろこれはきちんと国のほうの、貧困家庭の子どもの貧困対策の推進の計画というものをつくりますので、県として中心的な計画は一つきちんと別につくったほうがいいだろうと。それと連動させながら、子ども・子育ての計画についても必要な記述をしておく。そういうふうに一つの中心的な部分は幾つかの計画にまたがるところですので、子どもの貧困対策推進計画というものをちゃんと個別につくった上で、子育て、それから若者の自立、ひとり親家庭、これも同時並行的に3月末を目指して作成中だったのですが、それはそれでぶら下げるというか、横につなげるような形で計画をつくる、そういういわば4層構造にするほうが県民の皆様にもわかり易く思いますし、実効性も上がるだろうと判断したところです。
 なかなかちょっと議論があっちへ行ったりこっちへ行ったりして、このたびの2月県議会の開会のころまでずれ込んだ感があって、戸惑いがあったのかもしれませんが、私どもはそういうことで、できるだけ精度の高い、効率性とか実効性のある計画をつくろうと努力したところです。

<若者対策について>No.3


 先ほど最初の質問の中で申し上げたように、貧困率、要するに要保護とか準要保護についてはある程度把握できるのだが、本当の実質貧困率、要は国がパーセンテージが16だから云々と、その程度しかないのかというのです。それで計画をつくるのですかというのが私の思いなのです。計画をつくるなら、鳥取県の実態がどうなのか、ひとり親家庭がどうなのか、準要保護は何人あるのか、どういう状況に置かれているのか、何が貧困家庭なのか、そこのところをしっかりと情報を収集して分析して、それから初めて貧困対策推進計画なるものができると私は思うのです。

 きょう議論を聞いていて、知事、思いはわかります。少し順序が違うと思います。もっともっと県内の実態をきちんと把握して、把握したものから分析して、何が必要だからどういう支援をすると。そのことによって負の連鎖をとめたいという思いがあってほしいと私は思うのです。それについて、知事、答弁をお願いしたいと思います。

●知事答弁
 
 今、議員がおっしゃるように、この負の連鎖をどうやって食いとめていくのか、これはいろいろなアプローチが必要なわけです。例えば就業の問題とか、子どもの教育の問題とか、それからおっしゃるようにひとり親家庭の問題とか、また、最近の若い人たちの自立ということとか、いろいろな局面があり、それぞれの課題を整理しながらアプローチしていく必要があると思います。
 今回、国のほうの事業も片方であり、それから市町村の事業もあり、県のほうでは間をつなぐような形で計画をつくった感が確かにありますが、その辺は実態のデータも今後よく検証していく必要は当然あるだろうと思います。
 実は、先ほど松田部長のほうから申し上げましたが、本県の貧困率がどうかという直接のデータはありませんが、それ以外のさまざまなデータはあります。
 例えば私どもで言うと、貧困の対象というようなことです。進学率のデータとか、それぞれのところの就業率とか、いろいろなことがあります。私どもは、データの中で、ある程度他の地域よりは状況は平均以上にいいのが多いのですが、そういう中でちょっと悪目な、そういう対象のほうのデータが少しあります。それは原因を調べてみると、子どもを抱えて離婚される世帯の数が比較的多目だというのが本県の状況のようです。ですから、その辺が一つのアプローチなのかもしれません。
 ただ、ひとり親家庭ということになってしまうのですが、本県はひとり親家庭で育てる場合でも、幸いなことに、その有業率、女性の就業率が高いですから、その辺がいいほうに作用して少し埋め合わせているような感があります。
 ですから、本県は本県なりのアプローチが、国全体の平均的なところと比べると若干偏差があって割れるところもあろうかと思います。ただ、やるべき政策については、従来我々がやっているような施策プラスアルファのところをまずは投入していって進めていくのがいいのかなと。そんな意味で、今回、計画としての素案をパブリックコメントに出させていただいたところです。
 ただ、これが完結形だとは思いません。多分国もそうだと思います。貧困の連鎖をとめることは、そう簡単な話ではなく、特に県の場合には手段が限られています。
 一番の根本問題は所得のことですので、国がその所得、特に若い人たちの就職のことなどをしっかりと考えなければなりません。また、家庭のあり方などもかかわるところで、一つの市町村とか県で始末できる範囲を超えているところものもありますから、国の役割が恐らくこれは大きいです。そういう意味で、国のほうでも政策をさらにバージョンアップしていく必要があると思いますし、我々も現場でできることを丁寧にやっていく、そういう姿勢が求められると思います。
 伊藤議員がおっしゃるように、これについては本県の実情というものをもう一度正しく捉えながら、今後アプローチを深めていく必要があると思っています。

<若者対策について>No.4

 県内でも派遣労働者や非正規労働者の形態の労働が非常に多くなってきていますし、ひとり親家庭というのが非常に多くなっています。厳しい生活環境の中で多くの子ども達がそれぞれ頑張っているものの、親の経済格差が子ども達の望む進路や就職を阻む結果にもつながっていくと思います。
 一昨日、代表質問の中で、少子化対策で第3子以降の子どもの保育料の無償化を公約に盛り込みたいと、知事からありました。私は、そのこと自体評価はします。しかし、そういう実態を踏まえて、せめてひとり親家庭の子ども達については無償化するというのもぜひ知事には盛り込んでいただきたいと私は思いますが、知事の改めての所見と、それからこうした親の経済格差が負の連鎖にならないよう、市町村とも連携しながら取り組みを進めていただきたいと思います。最後にこの問題について、知事の改めての決意をお聞かせいただきたいと思います。

●知事答弁

 負の連鎖を断ち切るためにさまざまな実行可能な手段をとっていく必要があると思います。
 保育の問題については、これは市町村との共同作業になりますので、いきなり県だけで突っ走ることも難しいところはありますが、ひとり親家庭については、例えば今までも特別医療費助成制度、これも適用させていただき、18歳というようなことでやってきていますし、そのほかにもひとり親家庭の支援事業というものを組んできました。
 例えば学習支援として、2団体で進めていきましたが、これをまた新年度はふやしていこうかということをしています。
 そういうように、いろいろな意味で我々の現場でできること、一番根本は、多分国が所得の格差を減らすとか、さっき派遣労働者のお話もありましたが、そういうことが最終的な政策手段なのだと思いますが、私どものところでも地域のセーフティーネットという観点でできることは考えていきたいと思います。