平成27年2月定例会代表質問(平成27年2月20日)No.6

≪若者、子ども対策について≫
<子どもの貧困対策について>
 
 我が会派でいつも話題になるのが子どもの貧困対策です。残念ながら、いつも議論はするものの、その具体的解決が出ないまま議論が終わるのもこの問題です。
 我が国は、以前からOECD35カ国の中で9番目、1人当たりのGDPが高い先進諸国20カ国の中でも4番目に子どもの貧困率が高い国と言われ、6人に1人の子どもが貧困に苦しんでいるとも言われています。
 そうした中、平成25年6月に子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立し、この法律に基づき、昨年の8月に子どもの貧困対策に関する大綱が閣議決定されています。
 議論に入る前に、貧困という言葉について稲田流に少し説明させていただきたいと思います。誤解が生まれてもいけませんので、説明しながら共有しておきたいと思います。
 貧困については、国、地域、機関によってさまざまな定義があるそうで、大きく分けて、生活水準が絶対的な意味で低い層または個人を称した絶対的貧困と、生活水準が他と比べて低い層または個人を称した相対的貧困の2つの概念があると言われていますが、本日の議論は相対的貧困を題しての議論です。
 この子どもの貧困対策の推進に関する法律の理念として、1つ、「子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの将来がそのまま生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講ずることにより、推進されなければならない。」2つ、「子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の緊密な連携の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない。」とされています。さらに国、地方公共団体、国民とそれぞれの責務が明確に示されています。中でも法9条には、「都道府県は、大綱を勘案して、当該都道府県における子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努めるものとする。」とされています。
 そこで質問に入りますが、県内の子供のうち、この法律に定める貧困対策の推進に該当する子供の数はどの程度あるのか、またその貧困率はどの程度なのか、平井知事にお伺いしたいと思います。
 さらに前段で申し上げたとおり、「全ての子ども達が夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して」と題した子どもの貧困対策に関する大綱が閣議決定され、その中身を見てみると、子どもの貧困に関する指標が掲げられ、指標の改善に向けた当面の重点施策が明記されています。
 法9条には、努力規定ですが、県においても子どもの貧困対策についての計画を定めるよう明記されていますが、県としての対応は今後どうされていくのか、平井知事にお伺いしたいと思います。
 地方創生の中で一番大きな柱の一つは人材育成でなければなりません。しかし、今日の厳しい家庭の経済状況の中で、進学校といわれる高校に入学して、大学進学できる学力がありながら、家庭の事情で実業高校に進学する中学生があると聞きます。しかし、高校現場では入学してくる子どもの学力の差が大きく、1学級38人の生徒全体の学力を引き上げるだけでも大変で、学力の高い生徒の力を十分に伸ばしてやることができないジレンマがあることを高校の先生からお伺いしました。
 社会の第一線にいち早く出る生徒たちに基礎学力を初め技術の取得、社会人としての教育、政治教育等を短期間で教えるためには、1学級38人では多過ぎるのではないかと思いますが、教育長に所見と今後の対策についてお伺いします。

●知事答弁

 
 まずデータとして貧困対策に該当するお子さんの数等のデータのお話がございましたが、これについては福祉保健部長のほうからお答えします。
 そして、努力規定ではあるが、子どもの貧困対策をどういうふうに明記しようとしているのかということです。
 これについては先般の常任委員会のほうにもお諮りして、原案を示したと思いますが、鳥取県として子どもの貧困対策推進計画を作りたいと思っており、年度末までにまとめようと思っています。これは、その計画本体もありますが、あわせて子ども・子育ての計画、それから母子家庭を中心としたひとり親家庭の自立の計画、さらに若者の自立促進の計画、こうした計画と連動させながら動かしていきたい、取りまとめていきたいと思います。いずれの計画も今年度中の策定を目指しているところです。こういうことで計画としての明記を図りたいと思います。
 そこに今回の子ども貧困対策については、国のほうで教育とか生活の支援、またそうした就業等いろんな経済的な支援なども含めて柱がありますが、その国のほうの示された政策項目に従って、県のほうの推進計画も作りたいと思っています。

●福祉保健部長答弁

 子どもの貧困対策の推進に関する法律の中で言う子どもの貧困率ですが、これは全国数値しか公表されていないというのが現状です。それは各都道府県からある一定の地域を選出して全国数値を集計しているというもので、この子どもの貧困率全国数値、24年度においては16.3%ということでした。これらから鳥取県内では貧困の状態にある17歳以下の子どもの数が1万5,000人程度と推計できるのではないかと考えています。
 ただ、それもなかなか、この鳥取県の実態をそのまま反映しているかというと推計の域を出ないというところです。
 ただ、県で把握できている貧困状況にある子どもを推計するデータ、そのほかのものとしては、要保護、準要保護児童生徒数とか生活保護世帯、あるいはひとり親の家庭の子どもさんの数というものが考えられており、例えば要保護、準要保護児童生徒数については6,842人、14.57%、それから生活保護世帯の19歳以下の人数については1,036人、0.99%ということで、それぞれ全国平均よりも低い状況にはなっています。
 この法律、あるいは国の大綱で示されるにつれて、国のほうでも子どもの貧困に対する指標が実は昨日も出てきた状況ですので、これらの状況も把握しながら、県内の状況についても実態を把握していくこととしています。

●教育長答弁

 
 現在、県立学校の1学級当たりの定員は、普通科では国の基準どおりの40人、専門学科及び総合学科、職業系コースのある岩美高校など、地域産業を担う人材の育成を主体としている高校においては、きめの細かい指導をするために、平成17年度から国の基準を県独自に引き下げて38人としてところです。

 議員からは、1学級38人では多いのではないかという指摘もあったところですが、実は高等学校ではこれまでから県単独の予算で教員を配置していただいており、日々の授業展開の中で、例えば希望する進路別の選択授業とか、技術の習得や課題解決を目指す実習の教科等において、実質的に38人よりもさらに少ない人数で授業を展開しているところです。
 私もよく学校を訪問するのですが、そうしたいわば38人をさらに少人数に分けた授業展開というのは、かなり頻度多く行われているのを目にします。そうしたこととか、さらに議員のお話がありましたが、専門高校等に入学してくる生徒の学力差が今、課題となっており、こうしたことから、来年度から専門高校の基礎学力の一層の向上を図るといったことを目指して、習熟度による少人数の指導だとか、あるいはチームティーチング、2人体制での指導など、きめ細かい指導を行うための非常勤講師の配置に係る予算をこのたびの議会に提案させていただいているところです。
 少人数学級については、先般9月に答申をいただいた育審議会において、学級定員減だけでなくチームティーチングや選択科目の開設、習熟度別などの授業を取り入れることで、1学級当たりの定員を減らした場合と同等の効果が得られる授業形態についても十分に検討すべきという御意見をいただいているところです。
 現在本県では、国に先行する形で教育の質の向上、特に生徒の能動的な学習意欲を引き出して、アクティブラーニングなど、生徒に主体的に考えさせるような授業改革を進めているところですが、学級定員等についてもこうしたこととあわせて検討していく必要があるのではないかと考えています。
 今後、現在行っている少人数指導のほうの成果だとか、また課題など、各学校の状況をよく把握するとともに、関係機関等との意見交換なども行いながら今後の対応についてさまざまな角度から検討していきたいと考えているところです。