平成27年2月定例会代表質問(平成27年2月20日)No.5

≪高齢化問題について≫

<超高齢化時代に備えて>

 
 最近、消滅自治体とあわせ、2025年問題という言葉が話題になっています。俗に言われている第1次ベビーブームの皆さん、つまり団塊世代の皆さんが75歳を迎える2025年にピークを迎えるということで、少子高齢化が進んでいる鳥取県にとっても他人事でなく、医療、年金、介護、認知症対策等あらゆる部分で多くの課題が出てくることが想定されます。
 現在は騎馬戦の状況で、つまり3人で1人の高齢者を支えていますが、近い将来到来する高齢化社会では肩車、つまり1人で1人の高齢者を支えていかなければならないと言われています。75歳以上になると大病を患いやすい年代になり、医療費や介護費がかさむことが想定されています。果たして、進行する少子化の中で本当に高齢者の皆さんを支えることができるのかということです。
 遠い先の問題と思っていましたが、あと10年と迫ってきました。県としても市町村と協力しながら施策の検討がされていると思いますが、あらゆる視点で2025年問題への取り組みを本気で展開すべきと思います。平井知事の所見をお伺いします。
 とりわけ2030年ごろから、御主人と死別された高齢単身女性が急激にふえるとも想定されています。そうした中、居住の継続が困難な状況にある低所得高齢者、とりわけ低所得高齢単身女性に対し、安心して暮らせる住環境整備の確保等が想定される課題でもあります。
 基本的には先ほど申し上げたように市町村の業務になるかと思いますが、介護、住宅、孤立、孤独死、交通対策など、県が総括的なリーダーシップをとり、対策を進めるべきだと思いますが、平井知事の所見をお伺いします。

●知事答弁

 
 2025年には75歳以上の人口は、本県でも1.2倍ぐらいになると言われています。つまり、それは要介護の方々もふえることになり、要介護認定を受ける方も2割程度ふえるだろうと見込まれています。ですから、それに対する備えをしっかりとやっていかなければなりません。
 これについては、ただ全国と比較すると鳥取県は先に走っているのです。つまり、先ほど1.2倍と申し上げましたが、同じ指標を見ると全国平均は5割増しになります。埼玉県のようなところでは倍になります。ですから、そちらはもっと急激に2025年問題を迎えるということになります。
 今まで徐々にこの後期高齢者の比率が上がってきているところで、私どもは、それに対してインフラとして高齢者福祉の施設や介護施設などを整備したり、またそういう技術を育成してきたところです。ですから、そうしたことに本気で今後も取り組んでいけば、他地域よりは比較的緩やかに進みますので、体制を組むことはでき得るだろうと思います。そのためには、その次の課題、低所得の高齢単身女性の孤立の課題がありましたが、こういうことも含めて、地域に対する総合的な医療、介護のサービス体制をつくっていく、それがキーポイントになるのではないかと思います。いわば、支え合っていけば単身の女性の高齢者の方も地域の中で安心して暮らしていけるようになるだろうと思います。
例えば認知症対策なども重要ですが、琴浦町は先進的に判定事業などを進めたりして対策を進めておられます。3月2日には鳥取大学がこの認知症医療のセンターになることが決まっています。こういうような拠点をつくる、また認知症の専門医を育成していく、認知症のサポーターをふやして展開していく、こういうような総合戦略をやっていく必要があると思います。
 特に本県は、藤田和子さんという認知症ワーキンググループの日本の取りまとめをされているお一人おられます。私もその藤田さんとお会いし、合意したのは、これから若年性の認知症についてもそういうサポート体制や理解の輪を地域で広げていこうということで、新年度にはそうした全国的な動きとも一緒になって、認知症対策の強化充実を図っていく必要があるのではないかと考えているところです。
 また、そういう単身の高齢女性を支えていく支え愛のシステムですが、地域の中のいろんなネットワークをつくっていくことが大切ですが、琴浦町では72の高齢者クラブをつくっておられるなど、支え愛の動きが広がっているわけで、こういうDNAを他地域にもっともっと広げていく必要があるのではないかと思います。
 もちろん高齢者を支える特養とか介護施設などを充実していくことも必要ですが、今、在宅で暮らしていけるような体制づくりが急務になってきています。市町村が中心ですが、県としても積極的に役割を果たしていきたいと思います。

<超高齢化時代に備えて>2

 県内でも高齢化社会がどんどん進んでいます。介護が必要な高齢者はまさにふえる一方で、既に県内でも昨年の8月1日現在で入居待機者は480人あります。
 今後もさらに増加の一途をたどると思いますが、こうした待機者がふえる一方で、全国的に問題になっているのが無届け介護ハウスです。
 無届け介護ハウスは、行政の監視や指導がないため、衛生的にも居住スペース的にも、火災の場合でも多くの問題を抱えており、また、多くの高齢者が亡くなるなど、社会的な問題も起きています。
 しかし、在宅ではどうしても介護できない家庭の事情があるため、行き場を失った高齢者の受け皿となっているのが全国的なケースです。
 そこで、県内における無届け介護ハウスの実態について、県として把握されているのか知事にお伺いしたいと思います。
 
●知事答弁

 全国的に今、例のいろいろな問題があり、例えば本県でも明らかになった、雑魚寝のような状況でデイサービスがお泊まりをやっていたりして、こういうことについて適正化しようと、議会での議論も踏まえてガイドラインをつくったりしているわけです。
 高齢者の在宅等のサービスが強化され、サービスの総量がふえてきているという、大変に評価できる部分はあるのですが、実は国のほうの介護保険制度で一つ大事なことは、その制度自体がいわば継ぎはぎ、パッチ的につくってあるので、間に入り込んでくるものがあるわけです。
 今回の無届け介護ハウスも、結局在宅サービスを集中して入居者に投入していくことで、実質上安い料金で経営できるような介護ハウスができてしまう。ただ、これが法の網の目をくぐり抜けたような格好になっていて、本来であれば有料老人ホーム等のほかの制度に乗るべきなのですが、そちらに乗らずに、施設基準等のことも満たしてないものが事実上でき上がってしまって全国に広がっているという状況があります。
 これは本県でもそういう実態が起きないとも限りませんので、今後も関係者とよくネットワークで警戒していく必要があると思いますし、本来であれば有料老人ホーム等の基準に満たすものを設置すべきで、そうしたことを指導していきたいと思っています。

●福祉保健部長答弁


 報道とか、国からの通知を受けて、本年1月に県内の全部の地域包括支援センターとか病院の地域連携室、あるいは市町村等、あるいは詳細によくわかる訪問介護サービス事業所などに個別のアンケート調査をしました。その結果、県内には今回問題となっている無届け介護ハウスについては存在が認められなかったというのが現状です。
 ただ、お泊まりデイサービス事業の中のガイドラインを策定関係もありますし、その遵守については指導を行ってきているところです。デイサービス事業所の中にはそのガイドラインになかなか沿えないところもあって、いち早く届け出をして有料老人ホームに変わられるところもあったりしています。しかし、施設基準というものがあるので、指導しているところですが、こちらの目の届かないところでそういうことがないように、市町村さん、あるいは包括支援センター等と十分な連携をとりながら今後も注視していきたいと考えています。

<超高齢化時代に備えて>3

 無届けが確認されなかったということで、安心しました。
 そういうお泊まりデイサービスが必要とされている家庭は非常に多いわけですから、ただ排除の方針でなく、でき得るなら受け入れがきちんとした法令の中でできるように、県としても支援しながら、指導しながら受け入れ可能な形をつくっていただきたいと思っています。
 
●知事答弁


 これは議会での議論も踏まえて、我々としてガイドラインをつくりました。国のほうが追っかけて私どもの話を追認するような形で、国のほうとしての方針が示されたわけです。法律として禁止はしていないけれども、そういうガイドラインのような形で適正化を図っていくという方向性で、我々としてもそういう国の大方針もついてきましたし、私どももちょっと厳し目のガイドラインになっていますが、それをきちんと守っていただいて、事業者の方が適切なサービスが提供できるように、また、必要とする人には必要とするなりのサービス提供が受けられるように適正化を図っていきたいと考えています。