平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.10

≪県内スポーツの強化育成について≫
<体制・組織の見直し>

 鳥取県では昭和60年にわかとり国体、平成7年に全国高校総体、平成16年に全国レクリエーション大会、平成18年に全国スポレク祭と、巨額な経費を使い大きな大会を開催してきましたが、開催することによって鳥取県にまず何を残してきたと思うのか、教育長に総括をお伺いしてから質問に入らせていただきます。
 他の全国大会にあってもそうですが、義務的に全国を順に開催するケースがほとんどで、大会前は地元開催ということで競技普及や選手強化策などが行われるものの、後はすばらしい大会でした、終わってよかったということで、余り何も残らなかったということが実態ではないでしょうか。
 一部の競技を除き、大半が現在までつながっていないと思います。そして、各種の全国大会で低迷する鳥取県の状況の中で、この議会でも多くの議員が議論してきました。しかし、結果としてその議論が現場に反映できていないのが実態ですので、その原因について教育長にお伺いします。
 競技スポーツ並びにスポレクに、少しなりともかかわりを持たせていただいた私としての感想を述べさせていただきます。
 わかとり国体以降、競技スポーツの強化については県体育協会に丸投げの感があり、県教育委員会としてのかかわりが希薄になったように思います。わかとり国体は地元開催ということもあり、成年選手については上位入賞が即期待できる県外選手の勧誘等が積極的に行われたこともありましたが、地元中心の少年の部については選手強化に目をみはるものがあり、想像以上の活躍と結果を残し、鳥取県の総合優勝を支えてくれました。
 当時の選手強化は体育協会依存ではなく、県教育委員会体育保健課がその中心となり、みずからの陣頭指揮で取り組みが進められてきました。したがって、教育委員会の職員は担当する競技団体の強化合宿等を足しげく訪れ、選手強化の状況を把握するとともに、競技団体とのコミュニケーションをとりながら強化策が取り組まれてきました。
 しかし、現状では先ほど国体強化選手の先生が突然体調を崩し入院したことを申し上げたように、国体入賞可能な強化選手の状況すら把握していないということが今の教育委員会の実態をあらわしているものと思います。
 教育委員会は、国体強化について絶えずしっかりやっていますが口癖でしたが、教育委員会の選手強化に対する熱意が競技団体には伝わっておらず、冷めた関係のように感じるのは私だけでしょうか。
 私は、まず競技団体としっかりコミュニケーションがとれる体制、組織に見直し、競技団体と一体となって目標をしっかり共有することが喫緊の課題と思いますが、教育長の所見をお伺いします。

●教育長答弁
 
 私はまず、全国で最も人口の少ない県でありながら、どの大会においても関係者だけでなく多くの県民がボランティアなどで参加し、心を一つにして大会を成功に導いた点が大きいと思います。特にわかとり国体では、質素な中にも真心のこもった国体を目指して、多くの県民が大会にかかわり、また大きな力を発揮して総合優勝を果たしました。県民すべてが小さくてもやればできることを実感し、県民としての誇りを共有できたと思います。また、スポーツが県民にとってより身近なものとなり、スポーツに対する関心が大いに高まったこと、それから、県内各地にスポーツ施設が整備され、県民のスポーツ活動を支える環境が充実してきたことがあると思います。
 人口10万人当たりの体育館設置率は、本県は日本で1番です。また、成人を対象として週1回以上スポーツを実施している率を見ると、本県は全国平均を大きく上回っています。例えば、全国でいうと平成12年度37.2%だった週1回以上スポーツをする率が、平成21年度では45.3%になり、8%上がっています。ところが本県では、平成12年度34.8%だった実施率が平成21年度には51.7%と17%上がっており、全国平均の倍の伸び率、実施率になっています。生涯スポーツとかニュースポーツが普及していることもあると思いますが、全国大会開催の効果も大きいと考えています。
 一方で、大会開催の成果がその後うまくつながっていない面もあります。特に競技力の点では、大会開催に向けて集中的に行った強化策で大きく高まった競技力がその後維持できていない点は議員御指摘のとおりです。今後、これらの成果や課題を具体的な施策として生かし、本県のスポーツの振興につなげていくことが大事だと考えています。
 これまでの議会の議論の中では、指導者の育成、確保だとか、あるいはジュニア期の育成策に関することが多かったように思います。本県では、子どもの数が減少して教員の採用数が大きく減少したり、あるいは社会人の受け皿となる企業が少なかったりすることなどがあり、わかとり国体前後の指導者の年齢が高くなる中で、指導者をいかに確保し、あるいは育成していくのかというところにとても苦心してきたところです。
 このようなところから改めて課題を整理して、スポーツ施策をより体系的に行っていこうということで、平成21年に鳥取県スポーツ振興計画を策定しました。競技力の向上を図る上で、ジュニア期に一貫した理念や内容で組織的、計画的に指導していくことはとても大事だと多くの競技団体が考えています。一方で指導者の間では、これまで十分に指導方法などについて共通理解とか、あるいは意思統一がなかったのではないかと考えています。今年度からジュニア期の本格的な一貫指導体制に向けて、小・中・高の各段階の指導方法について、各競技団体が育成プログラムを作成して、このプログラムに基づいてジュニア指導者講習会の開催や合同練習会を開催することとしました。これについては、昨年度からホッケー、ハンドボール、バドミントンの3競技でモデル的に取り組んでおり、久々に国体に出場したり全国高校総体で入賞したりするなど、成果が出てきていると思っています。
 今年度から実施している競技の中で、例えばサッカーでは小学校6年生と中学校1年生合同の講習会をすることで、今まで小学校の指導者は小学校のことしかわからないということがありましたが、小学生期から中学生期にうまくつなげていくための具体的な指導方法を学ぶことで指導の系統性が理解できたと、非常に好評です。
 また、先日の斉木議員の代表質問にもお答えしましたが、指導者の確保についても、強化が急がれる競技を念頭に置き、例えば県体育協会に常勤の体育指導員を2名増員すること、あるいは私立高校が指導者を教員として採用する場合に3名分の費用を補助しようということとか、あるいは、県教育委員会に配置しているスポーツ指導員を1名増員して5人体制にするなどをこの議会にお願いしているところです。
 今年度は、ジュニア期の一貫指導を進めていくために多くの予算を認めていただきました。そして、取り組みが少しずつかみ合って、大きな歯車が回り出したように思っています。来年度は競技力向上のための指導者の確保に力を入れたいと思っており、ジュニア期の育成と指導者の確保を大きな柱として、競技力の向上に取り組んでいきたいと思います。
 続いて、議員から、県教育委員会が体育協会に丸投げの感がある、また、教育委員会の選手強化に対する熱意が競技団体に伝わっておらず、冷めた関係のように感じるという御指摘をいただきました。そういうふうにとられているのなら、非常に残念なことです。
 競技力向上に関しては、ジュニア期の一貫指導体制をつくっていくこととか、あるいは指導者を確保していくことなど、県体育協会と教育委員会で役割分担をしながら進めていますが、役割分担をしたことで、結果として県教育委員会が直接に各競技団体とかかわる場面がこれまでより減ってきているのではないかと感じています。議員御指摘のとおり、競技団体としっかりコミュニケーションをとることは競技力の向上を図る上でとても重要なことで、県体育協会と競技団体の話し合いの場、あるいは協議の場にもっともっと教育委員会の職員が出ていって、現場の声を直接聞くなどコミュニケーションを図り、その聞いた声をお互いに競技力向上の目標を設定するとかしながら進めていくことが大事だろうと思っています。要は、もう少し現場主義を大事にせよということだろうと思っています。
 続いて、教員採用試験において、スポーツや芸術の分野に秀でた者を対象とした選考というのは平成20年に実施した試験から行っています。これまで1次試験の合格者はありますが、最終的な合格者は出ていません。この選考の志願者数を見ると、実は年々減少しています。私は、志願者の方がこの選考で志願しても受かるのは難しいと思い始めているのではないかと感じています。私としても優秀な人材を幅広く確保したいという強い思いは持っていますので、今後人物を重視した選考をするなど、優秀な人材を確保できる新たな方法はないか検討したいと考えています。

<体制・組織の見直し>No.2
 
 スポーツ・芸術の分野に秀でた者を対象にした選考制度、教育長は見直しをしたいということですので、これはやはり見直しをしていただきたい。全く機能しない制度を持っていて、これで私はやっていますよと。やっていますではない、それはまさにアクセサリーです。そんなアクセサリーのような制度は早急に見直して、しっかりとした人材確保ができるようにしていただきたいと思います。
 県内には大手企業がなく、企業チームはほとんどないのが現状で、国体や全国大会において大量得点が望める団体競技というのはないわけで、秋の国体でもなかなか上位成績を残すことは現実的に困難な状況です。
 私がざっと成年選手を洗ったところですが、昨年の秋、夏、冬の国体選手のうち、教育委員会所属が4名、教員13名、県職員1名でした。先ほど言われましたが、教育委員会として民間企業に優秀な選手、指導者の確保を要請されているようですが、私は県民に勇気と元気を与える観点から、そしてジュニアの指導者を確保する観点からも、一般企業にお願いする以上は、もっと公的機関での採用というか、そういう枠をもう少し確保されたらと思います。このことについて、知事と教育長にお伺いしたいと思います。


●知事答弁
 
 今でいえば宇佐美選手が教育委員会の所属で、そして今度、世界の空手道の選手権のトップをねらおうというようなことになってきています。こういうように、選手であり、またあるいは指導者でも活躍できる選手というのはたくさんおられるわけです。そういう方々の能力にふさわしいところを、その能力の実証を持って配置をしていくというのは、公的セクターでも十分あり得るだろうと思います。恐らく教育委員会の中とか、あるいは体協のようなところが中心になるかもしれませんが、一定程度そうした採用枠というのが適切かどうかはわかりませんが、人員配置、そのための職員採用ということをやってもいいだろうと思います。私ども執行部としても、そういう動きをしっかりと下支えをしていきたいと思います。
●教育長答弁
 
 スポーツ・芸術の分野に秀でた者を対象とした採用試験の選考ですが、アクセサリーのようなものだとおっしゃいましたが、そういうふうに思われているのだったら少し残念ですが、先ほど申し上げたように、志願者が減ってきています。志願者にとってみればチャレンジが難しくて壁が厚いものになってきているのだろうと思います。
 私は、志願者が減少しているということは、実際に制度は設けたけれども機能していないということではないかと思っており、スポーツ・芸術の両面において見直しをする必要があると考えています。他県でもいろんなことをやっていると思いますので、今後そうした例を見ながら、よい方法を検討していきたいと考えています。
 最後に、優秀な選手の確保について、公的機関での採用ということになると、やはり教育委員会だと教員採用ということになります。この採用については、先ほど申し上げたように採用試験の中でのフレームを少し考えていきたいと思いますが、おっしゃいますように、指導者もそうですが、優秀な選手の確保という視点を入れることも大事かなと思っています。今後採用試験のあり方を考える中、またあるいは体協と協議しながら、そういう視点で少し検討を進めていきたいと思っています。


<体制・組織の見直し>No.3

 
 
きょう私が教育長と議論したかったのは、特にスポーツ関係ですが、体育協会との役割分担、役割分担とこれまでいろんな分野で随分聞きました。役割分担は役割分担でいいのですが、やはり教育委員会としての方針はしっかり持ってほしいという私の思いがあったのです。役割分担と教育方針とはやはり違うということで、これからの取り組みを強化してほしいということをお願いしたいと思います。
 また、学校現場においても、児童・生徒を指導される先生というのは、それぞれ担任とかいろいろな業務プラスアルファですから、大変な負担がかかっています。私生活も当然制約されます。その辺の対応も含めて協議、検討をしていただきたいということをお願いしておきます。これは私の要望です。