平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.15
≪県民への安全・安心対策について≫ |
<東郷池の氾濫対策> |
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●知事答弁 |
詳細な分析等については県土整備部長からお話を申し上げたいと思います。 東郷池は、このたびの台風災害で増水して、20戸余りの浸水というようなことが出ました。同じようなことからいえば、昭和62年の台風19号災害、このときも床上浸水だけで200戸を超えたのですか、大変に大きな災害になりました。それに比べると今回は大分小さくなっていますし、避難の迅速さもあり、事なきを得たということになったと思います。ただ、これをどういうふうに総括するかということは、災害を踏まえて、これから住民の皆さんと一緒にやる必要があるだろうと考えています。 宇坪谷川の上流の東郷ダムが平成16年3月に完成しました。また、八橋川のほうも昭和62年災害の後、緊急の整備もあわせて平成3年度までに一応の整備もしました。その効果も今回上がったという報告を受けております。ただ、完全ではないと。現に浸水をしたということもありました。 ではこれをどうするかですが、県庁の中のまじめな技術者からすれば、すぐにでも対策を打たなければならないということになるわけです。何が有効な対策かということになると、東郷池の周りにすべて堤防を建てると。そうすれば絶対に浸水はしないということになります。果たして、ではそれが観光とか、今の時代に合うかどうかということになるわけです。私は懐疑的な御意見にも接しています。例えば旅館さんのほうからすれば、そこに何か建てられてしまうとうちの商売ができなくなってしまうと。あるいは、シジミの成育からしても、せっかくの砂浜が、これがいわば揺りかごのような状態で稚貝を育てるということになるということもあります。ですから、何を許容範囲として何を許容できないこととして、それに対するどういうような対策を最小限で考えていくのか、ということからアプローチしていくのかと思います。いずれにしても、河川整備計画の改正がいずれ必要になっていますので、その中で住民の皆様の御意見もしっかりと聞きながら、方向性を考えていきたいと思います。 |
●県土整備部長部長答弁 |
東郷池がある橋津川水系の治水上の問題点は、これは海に近いために河川の勾配が非常に緩やかで、洪水の流れる速さが遅くなってくるという現状があります。それから、河川と東郷池の沿川、あるいは沿岸の土地の高さというのが非常に低いので浸水被害も起きやすいという現状があります。そういったことから、昭和62年、台風19号の際には、床上で259戸、床下で501戸という甚大な浸水被害が発生して、これを契機として本格的な治水対策が今進められているところです。 具体的には、下流の橋津川の断面積をできるだけ大きくとることによって洪水を流れやすくすること、それから、山間部のほうにダムをつくり、一時的に洪水を貯留するなどして、低平地に対する洪水の負荷をできるだけ下げるということ、そして、あとは河川と東郷池の周りに堤防を築いて、洪水があふれ出なくする、こういった3つの方策を複合的に組み合わせて現在は進めているところです。 これにより、平成3年、激特事業によって、橋津川については一定改修が済んでいますし、東郷ダムについても平成16年度末に完成したところです。ただ、御指摘の東郷池周辺についてはまだ堤防の改修が終わっていない状況で、今回、昨年の台風12号で浸水被害が再び発生してしまったという状況です。 こういったことから、抜本的に東郷池の浸水を軽減するための一番の方策としては、池の周りに堤防を築いていくことですが、これに対しては眺望、あるいは景観、それから親水性という観点から、それ一番適切なのかどうかという、さまざまな意見も出ていると聞いています。今後ここの治水対策を進めていく上では整備計画をつくる必要がありますが、この議論を今まさに行っているところで、いずれにしても、地域の皆様方の御意見を十分に踏まえながら、治水対策について進めていきたいと思います。 また、それとあわせて、今回の台風で東郷ダムの検証ですが、東郷ダムについては、今回最大で毎秒22立方メートルの洪水がダムに入り込みました。約8割をダムでカットして、残りの2割を下流に放流すると。これが最大のときですが、それ以降も常に洪水の量を10トン以下に、毎秒10㎥以下に抑えるという東郷ダムが持っている洪水調節機能を発揮して、結果的に約20万㎥の洪水をダムに貯留して、下流の浸水被害の軽減に働いたと認識しているところです。 |
<東郷池の氾濫対策>No.2 |
東郷池河口の断面積を大きくしたということでしたが、東郷池の浸水の原因の一つとして、要するに東郷池と海水面の差異がないという地形的なものがあります。私と興治議員が訪れた9月4日の昼前はまさに満潮と重なり、東郷池と日本海の海水面の差は1cm、橋津川の河口にも行きましたが、東郷池の水が全く海に流れない状況で被害が拡大していったと思っています。 こうした地形的な課題がある中で、抜本的に浸水を防ぐ対策が本当にあるのかと素人ながら危惧するところです。改めて、差のない海水面への対応についてお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
技術的には県土整備部長からお答えしたいと思いますが、いろいろと手だてを尽くして橋津川のことについて、東郷池よりも下流の整備とか、東郷池の上流の東郷ダムの整備など行ってきましたが、残念ながらまだまだ完全ではないと。そういう意味で、さらにどういうような手だてを講ずる必要があるのかを地元の皆さんと、これはいろんな判断があると思いますので、自然保護の観点だとか、あるいは水産業のことだとか、観光の景観のことだとか、また片方で治水上の安全のこととか、いろんな作用がありまして、これらをどう調整して結論を出すかということだと思います。 私どもとしては、やはり地元の思いというのは大切だと思いますので、まずは地元の思いを聞かせていただきながら、技術的に可能なことと折り合いをつけて、整備計画を今後練っていきたいと思います。 |
●県土整備部長部長答弁 |
東郷池の場合、海面との水位差が非常に少ないため流れにくいということで、これは先ほどの答弁のような状況です。この間の台風のときに、今、議員が1cmと言われたのは恐らく橋津川水門の上流と下流側の差が1cmということで、実際にこの間の台風12号のときの水位を見てみると、東郷池と海の潮位を比べてみると、9月3日の午前9時ごろ、東郷池の水位が一番高くなっています。このときの東郷池の水面とそのときの日本海の潮位を比べると、おおむね70cmぐらいの水位差はありました。ただ、この70cmは、おっしゃるように必ずしも急な水位差ではなくて、やはり緩い水位差であるということに変わりないと思います。 こういったことから、先ほど申したように橋津川では激特事業によって一定川幅を広げたり、あるいは川をショートカットして流れを多くしたりするなどの一定の改修が済んでいます。当然、橋津川の堤防では高潮で海面が高くなったときにも川の水があふれ出ることのないように、その高さも一定確保した堤防ができています。超過確率でいうと、大体30年に1回ぐらいの洪水だったら一応流れるような、そういう構造となっています。これは全国の低平地を流れるいろんな河川でもおおむね同じようなやり方をしているところです。 ただ、問題は東郷池のところで、東郷池についてはまだ堤防の整備が終わっていませんので、今後さまざまな堤防を整備するに当たっては先ほど申し上げたような課題もあるので、完全に洪水を封じ込めるのか、それともある程度浸水も許容しながら景観とか環境とか親水性とかも確保しながらやるのか、その辺のところは地域の皆様の意見を聞きながら対策を考えていきたいと思っています。 |