平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.16

≪県民への安全・安心対策について≫
<交通に関する警察施設の拠点整備>

 
 政権交代したときに、早期開通は絶望かとマスコミの皆さんに書き立てられましたが、中国横断自動車道姫路鳥取線が予想を裏切る形で工事が順調に進み、予定どおり平成24年中に供用開始の見込みとなりました。山陰道の赤碕中山インターから名和インターの8.6kmにおいても、平成25年度中に供用開始される予定です。

 このように高速道路が整備される中、平成22年3月には姫路鳥取線の一部が供用開始されたことに伴い、災害発生時の緊急交通路の確保、重大事故発生時の迅速な対応等に対処するため、高速道路交通警察隊鳥取分駐隊が結成され、旧河原町にあるJA研修センターを仮事務所として借り受け、業務が行われています。次々と高速道路が供用開始される中、いつまでも仮事務所で業務することは限界があるだろうと思います。
 特に県東部には、一定の区域を広域的に活動している高速道路交通警察隊、さらには交通機動隊、自動車警ら隊がありますが、それぞれがばらばらに拠点を起き活動しておられます。
 すべての機関に共通しているのは、白バイやパトカーを常用しており、緊急走行等特殊な運転技能が求められている部署であること、そして、県議会でもその対応が求められているところですが、県警職員による公務中の交通事故防止の観点からも、基礎訓練機能を備えた施設が必要な組織です。情報伝達の一元化や情報を共有しながら円滑に業務を進めるため、施設を統合した新たなる拠点を整備し、県民の負託にこたえられるよう、それぞれ業務を遂行すべきと考えますが、本部長の所見をお伺いします。
 また、県警職員の公務中の交通事故防止の観点から、定期的に自動車操作訓練ができるようにすべきで、個々の職員が気をつける運転技能を再認識する研修の機会を設けたらと思います。もし基礎訓練機能を備えた施設の必要性をお考えなら、施設の活用方法等について本部長の所見をお伺いします。

 

●警察本部長答弁

 
 
御指摘のとおり鳥取県内の高速道路網の整備が進んでいるところで、平成24年度には鳥取インターから中国自動車道の本線に直接通行することができるようになるほか、25年度には山陰道の鳥取〜鳥取空港間、名和〜赤碕中山間の供用開始が予定されていると伺っています。
 こうした道路網の整備は、治安にも一定の影響を与えるものと考えています。特に県東部地域においては、鳥取県外から高速道路を利用して県内で連続犯行を行った後、高速道路を利用して逃走する、これはヒット・アンド・アウエー型犯罪と呼んでいますが、こうした広域的な犯罪の増加が懸念されるほか、災害発生時の緊急交通路の確保、交通量の増加による重大事故発生時の初動警察対応の強化を図ることが必要で、警察の機動力を総合的に高めるなどの対策が急務であると考えています。
 また、県東部地域において、事件事故や災害発生時等に迅速、的確に初動対応に当たる組織として、御指摘にもありましたが、高速道路交通警察隊、交通機動隊、自動車警ら隊の分駐隊を設置しているところですが、いずれも施設が老朽かつ狭隘で十分なスペースがない上、高速道路のインターチェンジから離れ、分散した場所にあるという課題があります。
 それぞれの施設の現状、訓練状況を若干申し上げますと、まず、高速道路交通警察隊鳥取分駐隊については、平成22年3月の発足時から、議員が言及された河原町のJA鳥取いなばの研修センターの3階の一部を借り受けて仮事務所としていますが、日常的な事象・事故防止訓練等を行う場所がなく、また、最寄りの河原インターチェンジに近接していないことなどの課題があります。次に、交通機動隊東部分駐隊ですが、鳥取市千代水にある築35年を経過した交通総合センターの2階の一部を使用していますが、敷地や庁舎が狭隘なため、隊員が現場に出動する前に行っているならし運転は、同センターの来客用の駐車場を使用して行っており、十分な訓練ができない状況にあるほか、取り調べ室がないなどの課題があります。自動車警ら隊の東部分駐隊ですが、平成17年4月の発足以来、鳥取市河原町にある築31年を経過した元釜口駐在所を事務所として使用していますが、さきに申し上げた分駐隊同様、施設が狭隘で老朽化しており、日常的な事象・事故防止訓練等を行う場所がないほか、取り調べ室がないなどの課題が生じているところです。
 このような状況を踏まえて、県警察では機動力を持った執行隊各隊が広域的な犯罪や重大事故発生時の初動捜査への対応など、情報伝達の一元化や情報の共有を図ること、それから、各執行隊の抱える課題を抜本的に解消し、それぞれの業務の効率、効果的運用を図ること、こうした必要性を踏まえて、平成29年度に予定されている山陰道の鳥取空港〜青谷間の供用開始に間に合うよう、機動センター、仮称ですが、これの庁舎整備を検討することとし、平成24年度予算で調査費をお願いしているところです。
 庁舎整備に当たっては、これら3つの分駐隊を集約した合同庁舎とすることとか、あるいはならし運転や日常的な事象・事故防止訓練などの訓練機能の付加についても検討していきたいと考えています。こうしたことを踏まえて、総合的に検討していく所存です。
 警察は犯罪捜査、交通指導取り締まり等の特殊な業務に従事するため、より高度な運転技能や判断が必要であり、職員の運転技能の向上とか交通事故防止対策は大変重要であると認識しています。
 このため、日々車両の点検や教養を行っているほか、日常的な事象・事故訓練等を初め、緊急走行訓練等の実践的な訓練を定期的に実施しているところです。訓練の状況ですが、県警察職員の日常的な事象・事故防止訓練は、各警察署の駐車場や敷地内において死角の確認などの訓練を実施しているところです。また、職員の属性に応じた実技訓練や逃走車両を設定した追跡訓練等の実践的な訓練については、湯梨浜町にある自動車運転免許試験場や鳥取市浜坂にある千代川河川敷の白バイ訓練所、あるいは米子市内の自衛隊の自動車訓練所等において実施しています。また、高速での周回走行や急制動危機回避訓練などについては県内の施設で行うことは困難ですので、茨城県のひたちなか市にある安全運転中央研修所に職員を毎年派遣して、高度な運転技能走行の研修を受講させ、運転技能の向上を図っている状況です。
 しかし、自動車運転免許試験場や自衛隊の自動車訓練所は運転免許技能試験に支障があったり他機関の施設であるということなどから、運転訓練に使用できる時間に制限がある、あるいは各所属から離れているといったこともあり、訓練頻度にも限度があるというのが実情です。このため、現在県警察が実施している運転技能向上のための実技訓練、緊急走行訓練等の高度な技術訓練については、今申し上げたような既存の訓練施設を活用して技能の向上に努めていくとともに、平成24年度当初予算で調査費をお願いしています仮称の機動センター、あるいは新たな八橋警察署、こういったところにも一部訓練機能を持たせることも検討していきたいと考えているところです。こうした対応により、全体として必要な訓練がしっかりと行えるように努めていきたいと考えています。