平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.17

≪県民への安全・安心対策について≫
<広域農道の耐震対策>

 
 平成7年の阪神・淡路大震災で橋脚の倒壊を初め橋げたの落下など、甚大な被害が発生したことを受け、平成20年9月定例会において、防災幹線道路ネットワーク第3次ルートに指定されている農道の橋梁の耐震補強について質問したところです。その後、順次耐震補強が進められ、大山広域農道にかかる橋梁9橋のうち2橋については完成し、残る7橋についても来年度にはすべて完成の予定で、関係者の努力には敬意を表したいと思います。

 ところが、広域農道でも既に市町村に移管されたものについては手つかずのままのものもあります。全国的に震災が相次ぐ中、幹線道路のネットワークは安全が保証されたものでなければ意味のないものと思いますが、知事の所見をお伺いします。
 平成5年4月に当時の農林水産部長から、鳥取県土地改良財産の管理及び処分に関する要綱が出されています。その要綱に基づいて、工事が完了したときには土地改良区並びに市町村へ財産の移管が進められてきました。広域農道、農免道路、ふるさと農道は、これまで工事施工中のものも含め94路線が整備され、そのうち60路線が財産譲与されています。さらに、平成8年の耐震基準改定後に財産譲与されたもののうち、橋梁がある28路線では防災幹線道路ネットワークに指定されているわずか2路線しか耐震補強はされておりません。残りの路線は既に移管されていますから、基本的には市町村の責任とされています。
 しかし、当時、市町村が本当に望んで広域農道等の移管を引き受けたのかというと、県から一方的に押しつけられる形で、どの市町村とも嫌々引き受けたのが実態で、しかも耐震基準が改定される前の話です。財政規模が小さく、財政力が弱い市町村に安全が担保されていない農道を譲与されているわけですから、改修に当たっての負担は、やはり移譲元である県が誠意をあらわすべきものと思いますが、知事の所感をお伺いします。

●知事答弁

 詳細は県土整備部長からお話したいと思いますが、これについては、防災幹線道路ネットワークの第3次ルートに当たるようなところ、農道について、県としての整備を進めていきたいと思います。さらに、町道化しているところもありますが、そういうところについても、我々として何らかの支援を考えていきたいと思っています。

●県土整備部長答弁

 
 
防災幹線ネットワークのうち、第3次ルートに指定の、議員のほうから指摘があった区間のうち、農道に関するものが大山広域農道と中部広域農道の2路線あります。この2路線で、15m以上の橋梁で耐震補強が必要なものが14橋あり、この14橋のうち県が実施することにしているのが9橋、町のほうで実施するのが5橋となっています。これはもともと市町村のほうに管理移管していますが、平成20年の定例会での議員からの御指摘も踏まえて、市町村の負担を軽減するという観点から、町道として管理しているものは市町村でやっていただきますが、まだ町道として認定されていなくて農道のまま管理されているものについては、県のほうで一定整備するということにしています。ですから、この第3次ルートに指定しています橋梁のうち、県が指定するものについては既に2橋が完成していて、残り7橋についても近々、来年度完成予定です。しかし、5橋についてはまだ市町村の財源の問題もあり、なかなか進んでいないというのが実情で、ただ、こういう防災幹線道路ネットワークというのは災害時にどうしても必要な道路ですので、県としても町のさらなる財政負担を軽減するために、かさ上げ補助などの検討を行い、できるだけ早く耐震化を促進していきたいと思います。
 さらに、譲与道路そのものの改修費の負担については、農道事業はそもそもつくる段階で最終的には市町村のほうで管理するということを合意した上で進めているものです。これまで94道路を農道事業で進めていて、そのうち90路線については完成、4路線については現在事業中です。この90路線はすべて市町村のほうに管理移管しているところで、そのうち60については譲与も進んでいるところです。
 そういった中で、基本的には橋梁の耐震補強についても、管理者である市町村がやるべきものであると認識していますが、先ほどの例えば防災幹線道路ネットワークとか、こういった広域的な観点、あるいは県の施策上必要なものについては、県のほうでも応分の負担をしながら、そういった耐震補強が促進されるように努めていきたいと思っておるところです。


<広域農道の耐震対策>No.2
 
 市町村へある程度の助成はしていただいておりますが、市町村が事業主体で広域農道等の耐震工事を施行する場合、社会資本整備総合交付金を活用しての耐震補強工事になるかと思いますが、市町村の負担分が40%必要となります。仮に合併特例債を充当すれば実質の市町村の負担は13.4%と少額ですが、市町村合併した市町村では住民の生活に直結したインフラ整備の標準化、例えば庁舎の建設とか防災行政無線の整備等への合併特例債の活用がまず優先されます。橋の耐震補強に合併特例債が活用される順位は、どうしても低いものになってしまいます。合併特例債の枠がなくて市町村負担分を一般公共債で賄えば、市町村の負担は32%とさらに高額なものになってきます。県が事業主体になって広域農道を整備する場合は地域自主戦略交付金を活用しての整備になるわけですから、これに合併特例債を活用した場合で8.375%、一般公共債を使った場合でも20%と、負担が極めて少なくて済みます。
 現実、道路の維持は、市町村も移管されて本当に大変な状況です。通常の維持管理は市町村に任せても、せめて橋梁の耐震補強については県が事業主体で取り組む耐震補強工事並みに助成の推進をしていただいたらと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。


●知事答弁
 
 農道でいえば中部広域農道と大山広域農道があるわけで、ここにかかっている橋をどうするかというのがまずは重要なことですが、これらの橋については、県として自分たちの事業としてやろうということで整理をしたいと思っています。もう一つは、同じネットワークの中に係るところで釛上野線でしたか、町道に今振りかわっているところがありますが、その振りかわっているところについては、町がやらざるを得ないのが現実だと思いますが、議員のほうから今具体的な償還後の最終負担のお話もありました。そのことも参考にさせていただいて、最終的な償還後の負担がどうなるかというレベルで、一定程度防災を進めるという観点で、第三次ネットワークに絡むようなところに限っては一定の方策を検討してみてもいいかと思います。これは具体的には琴浦町が対象団体となるかと思いますので、話し合いをさせていただきたいと思います。