≪県民への安全・安心対策について≫ |
<久本砕石採石場災害復旧行政代執行に係る不納欠損処分について> |
智頭町市瀬の採石場から土砂が崩落し、千代川をせきとめる事故が平成14年と16年に発生し、総額112億円をかけて既存の国庫補助事業等を活用し、災害復旧工事が行われました。この災害復旧工事は原因者である久本砕石が本来行うべきものだったわけですが、被災住民の生命、財産を守るため、速やかに工事を執行する必要性があったことから、県が肩がわりをして工事を行う行政代執行を行ってきました。
この2回の災害復旧工事に係る工事で原因者に求めてきた負担分と行政代執行経費は19億5,800万円余りで、そのうち収納できたのは差し押さえた預金と有価証券はわずか2,130万円余り、残り19億3,700万円は回収できていないままになっていますが、その後の回収状況について知事にお伺いします。
19年11月には平成14年分の行政代執行に要した費用5,015万円が、2008年には平成15年分の行政代執行に要した費用3億7,056万円余り、平成21年4月には6億2,600万円余りについては既に時効が成立し、地方税法第18条の2に基づき、回収不能として不納欠損処分とされています。
21年2月県議会で私がこの問題を取り上げたとき、ぎりぎりまで責任を追及していく、以後も不納欠損等については議会に説明していくとありましたが、本当に責任を追及され続けてきたのか、県議会での説明を継続的にされてきたのか、知事にお伺いします。 |
●知事答弁 |
県土整備部長からお答えしたいと思いますが、この問題については謙虚な姿勢でこれからも対処していく必要があるだろうと思います。かなり大きな公金がかかわることですので、慎重な運営を求められていると自戒させていただきたいと思います。
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●県土整備部長答弁 |
これは議員の御指摘がありましたように、トータルでは千代川の対策で原因者負担として9億円、それから行政代執行として10億円、全体で19億円の予算が当時使われたわけですが、そのうち約10億円については時効になり、不納欠損処分となったところです。したがって、現在の債権は、今有価証券の差し押さえにより時効が中断している原因者負担金の8億8,900万円余りと、役員個人に対する損害賠償に係る約1億円ということです。これらについては、まず久本砕石自体が平成19年5月に清算結了を迎えており、この会社のほうからの原因者負担金に係る債権の回収については、極めて困難な状況になっているというところです。さらに、役員に対する損害賠償についても、役員のうち2名が年金生活者で他の1名は自己破産しているというような状況の中で、現時点では回収が非常に厳しい状況になっているところです。
こういった中、21年2月の議会でも御指摘を受けた後、常任委員会で一定の説明をさせていただいたところです。また、その後も直接的に納付を求めに行ったり、あるいはその間新たな財産を取得されていないかどうか、そういったことを確認するために、役場あるいは自宅周辺に足を運び財産状況を確認して回っているところですが、確認できた財産、あるいは御本人からの納付の意思表明等が何らなかったことから、その後の議会での説明も行っていないところです。
いずれにしても、今後、個人に対する約1億円の損害賠償請求等がありますので、直接訪問して納付交渉をしたり、あるいは早期に納付を促すような書簡を再送付するなどして、わずかでも回収できるように努めていきたいと思っています。
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<久本砕石採石場災害復旧行政代執行に係る不納欠損処分について>No.2 |
この大きな工事を行政代執行で決断された当時の皆さんの大半は既に退職されて、残された莫大な債権の経過を知る人もだんだん少なくなってきました。確かに行政代執行経費を回収する担当者は大変だと思いますが、今の状況を見ていると、やはり何か早く時効を迎えることや不納欠損処分にすることをただひたすらに待っておられるように私は感じます。努力しているということでしたが、私はそういうふうに感じます。
財産の取得または処分は7,000万円以上で議会の承認が必要ですが、10億円近い負債を不納欠損するのに、果たして知事だけが決裁する紙切れ一枚の調書で本当にいいのでしょうか。本当に知事が責任をとれる金額なのでしょうか、私は疑問に思います。私は、地方自治法の規定と同様に、7,000万円以上の不納欠損処分は議会の議決を得るようにすべきと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
法的なことの詳細については行財政改革局長からお答えしたいと思いますが、これは非常に悩ましいことです。まず、多くの公金が費やされていますので、原因者、あるいは損害賠償の対象となるような不法行為を行った対象者について、とことん追及していく必要があるわけです。ただ、現実問題、法的に進行してくるいろんな手続もあり、それとの関係でどうやって物事を決めていくかということです。
先ほど、平井のほうでそうした責任を全部負って不納欠損処理をするということがいいのだろうかというお話がありました。実は不納欠損処理自体は、法的な時効だとか、そうしたこととの関係で地方自治法上自動的にせざるを得ないもので、どちらかというと私のほうに裁量権があるものでもありません。もし不納欠損処理ではなく議会の承認を得て処理をするということだと、不納欠損処理に至る、つまり時効完成前の段階で議会に債権放棄を諮るかどうかということで、これもまたナンセンスなのではないかと思うのです。したがって、本当に悩ましいのですが、なかなか法的に難しいのが今のシチュエーションかと思います。議員のほうでも何かお知恵があればいただきたいというのが正直なところです。
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●行財政改革局長答弁 |
今回御質問があった久本採石場の災害復旧に係る行政代執行の費用については、行政代執行法の規定に基づいて発生した経費ということになっていて、これについては、行政代執行法の第6条により、国税滞納処分の例によりこれを徴収することができると。いわゆる税に準じた強制執行権が付与されているものです。
このようないわゆる公の債権については、地方自治法の第236条の規定により、5年間これを行わないときは時効により消滅すると。同法同条第2項により、この時効については時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないということで、時効完成後にこれを放棄することも禁止されていると、このような債権です。
先ほど知事からも答弁しましたが、このような債権については、実質的に時効の経過を待って自動的に消滅するものですので、放棄も禁じられているという規定もあわせると、実質的に裁量権の余地がないものと、考えているところです。
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<久本砕石採石場災害復旧行政代執行に係る不納欠損処分について>No.3 |
知事からアイデアがないかということでしたので、御希望に従いアイデアをお話ししたいと思います。
ただ、久本の問題は、あくまでも風の便りですが、原因者の生活ぶりをお聞きすると、そんなに厳しい生活ではないようにお伺いしています。原因者に誠意が少しでもあるなら、少額でも継続的に償還を迫るなど改めて私は対応していただきたい。多くの県民の皆さんは、いろんな事情を抱えておられますが、それを乗り越えて多くの皆さんはまじめに納税しているのです。1,000円でも2,000円でも納税をしておられるのです。私はそのことを考えれば、本当にもう少し厳しく原因者に対応すべきだと思っています。例えばもし償還ができない場合は、アメリカのようにボランティアを義務づけるとか、やはりそういうことも私は考えていくことも大切ではないかと思います。これが私の知恵です。コメントがあればお伺いします。
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●知事答弁 |
大変傾聴に値するお知恵をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
1つ目でのお話のように、原因者に対して少額でも追及していくべきだということは、お説のとおりだと思います。我々としても、先ほど資産調査の話もさせていただきましたが、それをやりながら、先方のほうにも弁済を求めるということをしてきています。ただ、これは粘り強く継続的にやっていかなければならないことだと思いますので、非常に厳しい交渉状況ですが、私どもとしても最善を尽くして当たっていきたいと思います。
また、2つ目にボランティアなどの役務の提供を求めるべきではないかというアイデアもいただきました。弁済のやり方として、どういう弁済のやり方があるかということでお互いの話し合いがつけば、金銭によるもの以外での弁済の方法ということを選択し得なくはないかもしれません。ただ、正直な話を言えば、今の交渉状況からすると、実は前回県議会でこういう議論がありました。2年ほど前でしたか、その議論の結果を踏まえて、県議会の考え方はこうだし、私、平井としてもこういうように考えると、ぜひ弁済すべきだと、賠償に応ずべきだという話を持っていっているわけです。実は判決では我々は勝っているわけですから、どうしようもない話で、普通であれば応ずるということですが、先方は文書を受け取るつもりもないと。そして、払うつもりもないと、こういうところから始まるわけで、なかなか厳しいというのが現状で、私どももやはり県民の思いを背に受けて動かなければなりませんので、最善の戦略を整えながら、今後も向かっていきたいと考えています。
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