平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.19

≪産業の直面する課題について≫
<農作物自由化への支援対策>

 
 農業を取り巻く環境は、TPPやFTA等の自由貿易のはざまで国民の関心も高まっていますので、事前交渉を見守ると同時に、最終判断を見守りたいと思います。同じ農家でも農協頼りの農家の皆さんは反対で、自力で販売網を持ち、農業をしておられる皆さんは賛成と大きく賛否が分かれているように、国民の皆さんも明確な判断ができないのが現状だと思っています。

 その大きな要因として、例えばTPPやFTA等の自由貿易の中身や、締結後の日本のあるべき姿や農業支援のあり方がまだ示されていないなどの不安要素があると思います。さらに、平成5年度のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意締結に基づき、平成6年から農業を保護する対策として6兆1,000億円の巨費が投入されてきましたが、結果的には農業土木や農道、中には温泉ランドや農道空港などに活用され、直接的に足腰の強い農家を育てる農業施策にはつながってこなかったばかりか、地元負担金として農家へ負担が転嫁され、いまだその負担金を払い続けておられる農家もあります。
 いずれにせよ、知事もこれまでの県議会でも答弁されているように、農産物の自由化は既に始まっているのが現実で、TPPやFTA等、国の自由貿易の動向にかかわらず、それに耐え得る対抗策としてどのような政策や支援策が必要なのか、県独自で分野別に検討を始めることも必要ではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
 

●知事答弁

 TPPのいろんな分野での影響が言われますが、例えば米対策、あるいは酪農対策、あるいは豚肉の対策、そうしたいろんな対策が特にTPPで甚大な被害を受けるかもしれないと言われている分野です。そうしたところに対する対策はしっかりと国の施策なども取り込みながら我々として打っていく必要があると思いますし、そういう意味で、農地、人の政策も取り込んでいきたいと考えています。

●農林水産部長答弁

 
 TPPの参加により、本県では316億円ほどの総生産額の減少という試算が出ているように、大きな影響を受けると懸念しているところです。県独自で分野別の検討ということですが、本年度から食のみやこ・やらいや農林水産業プロジェクト会議を立ち上げ、各品目別の振興対策や新規就農対策、ブランド化などについて検討を始めたところで、今議会においても新規予算で提案しているところです。
 さらに、TPPの参加ということになると、やはり規模的な要件、豪州、米国に比べてかなり小さいということで、相当な困難が伴うと限界も感じているところです。ちなみに、事務方のほうで米などについて個別に試算したところ、現在の150万ヘクタールを維持することを大前提にして、価格が米国産の米並みに、約3割以下になるということを考えると、それに伴う費用、今の戸別所得補償制度の価格差補てん、そういうものを活用したとしても約1兆4,000億円の財源が必要になるということになり、今の国家予算の約3分の2ぐらい必要な額が出てくるということで、かなりな難しさが出てくると思っています。あわせて、他国の事例でそういう価格支持制度、直接支払いの制度、フランスのように直接支払い制度というような形になると、農業所得の90%を補てんすると約2兆3,000億円、国の農業予算と同規模のものが必要になってくるということで、国が責任を持って早急に国内農業対策を検討して打ち出すべきだと考えているところです。