≪産業の直面する課題について≫ |
<国の目指す農政に向けての取り組み> |
農家の経営基盤対策として、来年度から新しい農業施策が始まろうとしています。極論を言うと、これまでのつくらない農業に金を払う政策からつくる農業に金を払う農政に転換されて2年たちますが、さらに農業の競争力、体質改善を図ることを目指し、地域ごとに人・農地プランを作成し、農地集積を促進するため、農地集積に協力した農家に協力規模に応じた協力金の支払い制度や農業者年金を受給するため、生前贈与の一括制度を活用している農家への納税猶予の特例が創設されています。
簡潔に言えば、農地集積に向けての支援策は一歩前進したということだと思います。ただし、鳥取県の農業の実情を考えると、多くの課題を抱えています。
2010年の農林業センサスによると、鳥取県内の農業者平均年齢は68.3歳と、まさに待ったなしの高齢化の現状で、地域に目を転じると、集落内に担い手のいない集落、そして山を開墾したような梨廃園地、さらには形状の悪い中山間地域の農地が多い我が県では、農地の集約どころか次の借り手さえ見つからない現状などが大きな課題としてありますが、国の目指す農政に本県の実情をいかにして適合させていくのか、今後の対策について知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●農林水産部長答弁 |
国のほうから新たな農業政策として、新規就農者の定着を支援し、将来の人材を確保するという考え方で新しい政策が出てきたところで、県としても、県が進めた方向とほぼ一致するということで高く評価しているところです。今回、今議会にも提案している、みんなでやらいや農業支援事業ということで、地域の農業振興プランを検討することに、国の、人・農地プランの検討もあわせながら、農地、担い手の行政を進めていきたいと思っているところです。県下でも新しい動きは出てきており、西部のほうの岡野農場さん、農業法人さんですが、この法人は今160ヘクタール、西部中心に耕作してこられましたが、さらに県下全域に新たに100ヘクタールを耕作したいという希望を持っておられ、今、担い手育成機構が間に入り行政のほう、市町村のほうと調整を図りながら拡大していきたいと思っているところです。
あわせて、JAみずからが耕作放棄地を再生するという動きも出ており、JA中央さん、JA西部さんというような動きが出ていて、これもまた推進していきたいと思っているところです。
また、中山間地域のほうの岩美町、智頭町、日南町、日野町では、新規就農対策に積極的に取り組み始めているということで、さらに進めていきたいと思っているところです。
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<国の目指す農政に向けての取り組み>2 |
今、全国的に生活保護を申請される方がふえています。新たな傾向として、農家の生活保護がふえていると聞いています。一昔前までは考えられないような実態が進行していることに、私たちは改めて考えなければならないと思っています。
国会で年金問題が議論されていますが、それはそれとして、蓄えの少ない高齢者だけの農家では、農地があっても他の用途として活用できない。地形的な理由などから、農地そのものの評価が低いなど、さまざま要因から容易に売れるわけでもなく、高齢者のため十分に農業も行えず、収入も限られ、年金が主な収入源となっている状況でも、電気、ガス、電話等と、生活する上での必要経費はそれなりにかかります。さらに、土地改良負担金、水利組合負担金、固定資産税など、農地を所有し続けるために負担が重くのしかかり、やむなく生活保護を申請されているようです。これまで、農地をどれだけ所有しているかが本当に農家の皆さんの誇りでした。残念なことに、今では年老いた農家にとっては、農地があること自体が老後の生活を脅かす大きな負担になっています。この現実について、知事の所見をお伺いしたいと思います。
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●知事答弁 |
この辺は、それぞれの農家の実態、我々としても現場のお話をよく伺って、市町村やJAなど関係機関とも協力をして方策を見出していく必要があるだろうと思います。特にこのたびであれば、農地を手放すと踏み切っていただいた場合には、新しい政策として30万円、50万円、70万円というふうに国として補償金を出すという制度が平成24年度から走り始めることになります。こういう新しい制度もできますので、ずっと無理して持って、先ほどお話にあったように、例えば水利の管理費などもあります。そういうものを払い続けたりするのであれば、むしろ転用先をあっせんして、農地の流動化を進めていくというのが本来なのかなとお話を伺いながら思いました。個別の事情を我々としてもよくお聞きしながら、農地や人対策とあわせて、県独自の施策も組み合わせて、おっしゃるような未利用農地による苦しみから解放されるような環境をつくっていきと思います。
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