平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.20

≪産業の直面する課題について≫
<林家個々の生活に密着した支援策>
 

 第64回全国植樹祭がとっとり花回廊を式典会場に西部地区で48年ぶりに25年の春に開催されます。現在、その開催準備に向け、鋭意検討されているところです。林業関係者を中心に、ここしばらくは大いに盛り上がってくるものと思いますが、周到な計画策定に向け、関係者の今後の努力に期待したいと思います。
 しかし、林業の実態に目を向けると、この議場でもこれまで林業施策について数々の議論をされてきましたが、既に林家としての個の経営体では、なりわいとして維持していくことさえ現実的に厳しい環境に置かれています。どちらかというと林業施策は森林組合におんぶにだっこという現状で、個々の林家が見えてこない感があります。県として、将来的に目指す林業をどう考えておられるのか、林業施策への基本的な理念について知事に所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁

 

 詳細は農林水産部長から申し上げますが、ぜひ個々の経営体も元気になるような林業経営を目指していきたいと思います。そのためにも、低コスト化とか機械化とか、そういうことも含めて、さらに林家との話し合いを精力的に展開していく必要があると思っています。

●農林水産部長答弁

 
 本県では、戦後の拡大造林期に植栽された人工林の資源が利用可能な段階を迎えつつありますが、間伐等の十分な手入れが行き届かない森林が目立ってきているということも事実で、ただ、複数の森林所有者が共同でやるということもなかなか進んでいない状況なので、このため、低コスト林業ということで、集約化して面的なまとまりを持って取り組もうということで、県としても低コスト林業を進めているところです。
 今回、森林組合のほうが目立つという話で、森林所有者の姿が余り見えないということですが、森林組合等としては、森林所有者の皆さんに今説明会等を行いながらかなり推進しているところで、ちなみに、東部のほうの八頭中央森林組合の事例を申し上げると、ここ2年ほど、毎年4月から5月ごろにかけて集落説明会を開催しています。あわせて、11月ごろから集落座談会ということで、これも大体年間60回ぐらいはやるそうですが、そういうことで森林所有者の皆さんに具体的な施業プランを示しながら、集約化について組合員の皆様に理解を求めているところで、森林境界の明確化の面積もふえてきました。平成20年ごろだと、この関係でほとんど実績がなかったのですが、平成21年では180ヘクタール、平成22年度になると329ヘクタール、23年度は約320ヘクタールを見込んでいるところで、森林所有者の皆さんの同意をもって団地の集約化が進んできているという状況もあるので、さらにこれを進めていきたいと思っているところです。あわせて今森林施業団地化の推進員を配置しているところですが、新年度予算ではその補助員ということで、県のほうが支援して同数の補助員を置いて、連携しながら団地化を進めるということで、あわせて森林組合と連携しながら低コスト林業をこれからも進めていきたいと思っているところです。


<林家個々の生活に密着した支援策>2
 
 以前は農業においても、農産物の出荷といえば農協を通すというイメージがありましたが、直売所が身近なところにできたことにより、少量の野菜でも出荷でき、日々小銭が得られるようになり、それぞれの農家において直売所への出荷は生活の一部として定着し、小規模な圃場も耕作されるようになりました。
 1月24日、エネルギー・雇用促進調査特別委員会で岡山県真庭市の真庭木材事業協同組合のチップ工場を視察しました。このチップ工場は、林地残材、要するに未利用木材や製材所から発生する端材を利活用することを目的に平成20年に建設されたもので、個人の林家から持ち込まれた間伐材を重さで買い上げ、樹種ごとにチップされ、米子の王子製紙に出荷されているということでした。それぞれ1トン当たり杉で3,000円、ヒノキで4,000円、雑木で5,000円の価格で現金買い上げされて、好評だと伺いました。
 個人の林家では、間伐しても少量であれば機械代のほうが高くつき、切り捨てられているのが現状ですが、林家の皆さんが少しずつでも汗をかけば現金となることから、まさに林家個々の生活に密着した政策の一つではないかと思っています。やはり少しでも林家の生活に密着し、その一部が生活の支えとなれば、木材の利活用を含めて、山に少しずつでも手が入るのではないかと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。

●知事答弁
 
 非常に先進的でもありますし、我々として参考にすべきものが多いだろうと思います。真庭の場合だと、例えばトン当たり3,000円、4,000円、5,000円というのを小口のものでも引き取って組合のほうで払うという仕組みがあります。また、銘建工業さんも同じようなことをされていると伺っています。
 鳥取県でもやってみた事例もあります。うまくいって非常に話題になったのは、これは全国でも話題になりましたが、智頭町のほうで杉小判を出されるということにされました。これはトン当たり6,000円ぐらいですか、そういうかなり高い額で、杉小判という地域通貨を出して地域の商店街で買い物するというものですが、これによって個人の林家が軽トラに切り出した間伐材を持ち込んで行列ができるぐらい並んだということになりました。この事業の場合だと、6,000円のうちの半分以上は町の補助など公的な補助のほうで賄うというものだったので、持続可能かどうかというのはあるとは思います。
 ただ、現にやっていることもありまして、例えば中部森林組合さんでも、口径だとか尺の長さなどにより、個人から個別に少量でも買い取るということをされていますし、伯耆町のほうの森林組合もそうですし、幾つかのところでは既にそういうことを始めておられます。額的には先ほどの真庭よりも若干下がるぐらいだと思いますが、それでもお金になるということを持続可能な形で今もやっておられます。ただ、智頭町の杉小判みたいに爆発的にそれが流布していなくて、もっと我々でもPRをさせていただいたり、まだやっていない森林組合さんやいろんな事業体があるので、そうしたところで個別に持ってきたら受け入れますよというような仕組みを整えられるところには整えていただくような手助けをしてもいいかと思います。