平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.20

≪産業の直面する課題について≫
<電気自動車工場操業に向けた動き>
 
 平成22年3月29日、ナノオプトニクス・エナジー社が米子の日本たばこ産業米子工場跡地で電気自動車の開発・製造に着手するとして、同社と鳥取県、米子市の間で調印が行われ、県民こぞって大きな期待を寄せました。その後、予定が変更され、平成23年1月21日には、平成24年には量産体制に入ると常任委員会で報告されてきたところです。その後、NANOモデル、SIMモデルが発表される予定でしたが、私たちに余りその動きが見えてきません。やっと2月中旬の新聞報道によって、3月から小型の3人乗りの電気移動体の試作車の製造を開始し、来年から量産体制に入る計画と知りました。当初、ナノオプトニクス・エナジー社により示された計画よりかなりおくれが生じているように思われますが、世界的な競争が始まっている分野でもあり、企業戦略もあると承知はしていますが、操業予定の電気自動車工場のその後について、どのように推移していくと見込まれているのか知事にお伺いいたします。

●知事答弁

  
 先般、ナノオプトニクス・エナジーの藤原社長とお話をさせていただきました。その状況を申し上げれば、必要な自己資金の調達はできたので操業のめどは立ちましたと断言をされました。恐らくこの春からということが念頭にあると思いますが、3月に向けて試作車の製作をやっていこうと。そのために米子高専だとか若い人たちにも入っていただいて、ノウハウを共有しながら試作車づくりをやっていきたいという具体的な構想が述べられています。
 また、e−モビリティーという移動体をつくるわけですが、それの小型版としてのセグウェイという世界的に出ているものがあります。これも米子の工場敷地の中で使うことで、一般の方々にもそういう移動体に対して親しんでいただく機会をつくっていきたいということでした。
 実際つくる乗り物ですが、当面3人乗りの小型車を目指したいということです。これは、要は自動車という定義ではなくて小型のものになるということになるので、例えば保険だとか、いろんなところでも有利性が出てくるのかなと思います。目指しておられるのは、都市内などの域内で非常に身近なところの行き来をするような、買い物とか、そうしたところで使っていただけるようなすてきな車をつくりたいと、そういうイメージのようです。地元としてもぜひ精力的に応援して、雇用の場としても展開されてくるように支えていきたいと思います。


<電気自動車工場操業に向けた動き>2

 
 知事は鳥取県の喫緊の課題は雇用の場の確保だとして、1万人雇用を大きなテーマとして、県政全般でその施策を進められています。したがって、雇用の場が少ない鳥取県では、電気自動車工場の操業は多くの県民の皆さんが大きな関心を持ち、期待されています。いろいろな課題もあるでしょうが、県としても後押しをしながら、ぜひとも軌道に乗せる努力をしていただきたいと思います。これに対して、知事の所見を改めてお伺いしたいと思います。

●知事答弁
 
 ナノオプトニクス・エナジーの取り組みを支援してはということで、これはぜひ我々としても進めていきたいと思います。
 いろいろと関連する動きも出てきています。例えば米子では善五郎蔵のところだとか、福祉施設のところで電気自動車を貸し出すという社会実験を始めました。やってみるといろんなことがわかってくるもので、結構評判もあって使われる方もおられます。今は実験なので無料でやっておられますが、そうやって流している中で充電するのと、実際にそこでは太陽光発電もありまして、そういう発電するとのバランスをとりながら、できれば燃料自給ができるかどうかという実験をやって、今のところでは、冬場ですのでしようがないと思いますが、需要過多のほうになっていて、発電したもので全部賄えるということではないのですが、ただ、いろいろとデータも出てきているということですし、社会モデルとして広がり得るものかなと思います。
 EV、電気自動車はいろんな使い方があるわけで、VtoHと言いますが、ビークルから、電気自動車から家のほうに電気を賄うと、そういういわば動く蓄電池として非常時などにも活躍し得るような面があります。また、VtoGと言いますが、自動車からスマートグリッドのグリッドのほうに、地域のほうに電力を供給する主体ともなるわけで、いわば調節弁の役割を果たすというような面もあります。そんな意味で、スマートタウンの構想とも深くかかわるものだと思っています。

これから本格的に動き始めることになりますが、地域の事業者の皆さんと一緒になって研究会を本格的にスタートをさせようと。一つのテーマとしては、部品の製造です。部品の開発や斡旋ということが大きな関心事です。また2つ目には、社会的な影響、スマートグリッドということ。こうした2つの観点でよくよく話し合いの場をつくっていきたいと思います。
 今おかげさまで鳥取県は、今回の工場もですが、こうした電気自動車の親和性の高い地域として全国から驚かれている状況があります。週刊誌などの報道も始まっていますが、今、急速充電器でいくと、人口当たり、それから世帯当たり、また、ガソリン車も含めた自動車の台数当たりの急速充電器の数は全国ナンバーワンが鳥取県です。今までのイメージだと隣の岡山県が三菱自動車もありますし、県の政策としては随分力を入れてやってこられたので、そのイメージがありますが、道路延長当たりなどでも岡山県を抜いています。すべての指標において抜くぐらい急速充電器の普及が今進んでいるような状況です。
 このような土地柄ですので、今回のナノオプトニクス・エナジーの事業化に向けて、議員の御指摘もありましたので、我々としてもしっかりと支援を行っていきたいと思います。


<電気自動車工場操業に向けた動き>3

 昨年の3月9日、ナノオプトニクスの藤原社長には農林水産商工常任委員会に出席していただき、当時としては精いっぱいの計画をお話をしていただきました。そのときの印象が深いのですが、そのときに、石にかじりついてでもやりますという非常に力強いお話をしていただきましたが、今思えばリーマンショックの後であり、ベンチャー企業にとってはこの間自己資金を確保されるのに大変苦労されたと想像します。それはやはり県民の皆さんとの約束を果たしたいという強い思いだったと私は思っています。本当に厳しい自動車業界の中ですが、新しいジャンルの挑戦ですし、世界的にも我が国においてもスマートタウン構想が進む中、大きな可能性を秘めていると私は思っています。そういう部分を含めて、知事はぜひとも可能な限りの応援をすべきだいうことをお願いしたいと思います。