≪平井県政とマニフェストについて≫ |
<鳥取環境大学の今後について>
|
4月から公立大学に生まれ変わる鳥取環境大学の入学試験が行われました。昨年の9倍を上回る受験生があり、幸先のよい出発となりそうです。このように受験生が急増したことは、厳しい経済状態が続き、公立大志向が高くなる中、大学の授業料が国立大学並みの53万円台と、私立大学時代に比べて約半額となったことと、経営学部が新設されたことによる影響もあると思います。しばらくはこの状態は続くものと思います。
公立大に大きくかじを切ってきた鳥取環境大学、もう失敗は許されません。もはや方向転換する方向もありません。経営陣も教授陣も命がけで、新たな大学をつくり上げる決意をしてほしいと願います。
そこで、何点か知事に質問をします。
まず1点目、新たな公立大学として再出発する鳥取環境大学の経営に、出資者である鳥取市と鳥取県はどのような形で参画されるのかお伺いします。
2点目、新しい大学になっても江原道立大学、ウラジオストク国立経済サービス大学、吉林大学等の海外大学との交流は継続されるようですが、これまでの交流を一歩前へ進め、学生が現地に留学している間は授業単位が認められるようにして、国際的にも活躍できる人材育成に努められたらいかがかと思います。
3点目、新生鳥取環境大学の中期目標によると、来年度からは交付税措置額のほうが必要経費を若干でも上回りそうな計画です。そうなれば、必要経費を上回った交付税部分は基金として積み立てし、将来に備えたらと思いますが、知事の所見をお伺いします。
|
●知事答弁 |
詳細は企画部長からお答え申したいと思います。
経営については、毎年予算があります。また、法定の協議会ができました。そこで大学の経営に注文するということで今現実に運営を始めておりますし、これを慣行として続けていきたいと思います。中期目標を設定しようと今皆様のほうに議案として提出させていただいています。これに基づいて、事業の執行状況だとか経営状況を毎年毎年チェックしていくということでかかわっていくことになります。大学ですので一定の自治はあるかとは思いますが、これからは公立化されますので、民意を的確に反映してもらえる、そういう手法を工夫して展開していく必要があると考えています。
単位互換の前提として、今急速に海外の大学との交流を深めてきています。一昨年の5月にはウラジオストクのサービス経済大学のラザレフ学長とお会いして、環境大学と交流をしていこうと、公立化を念頭に相談を始めさせていただきました。今では交流に育ってきています。また、江原道立大学も昨年学長さんが来られました。私もお会いしましたし、当然環境大学も訪ねていただき、姉妹交流をしようということを始めています。吉林省に県議会の皆さんも行かれましたが、私も行った折にちょっと皆さんと離れて吉林大学のほうに行って、王勝今副学長とお会いしました。そこの約束に基づいて、この春に大学同士の学術交流の締結が行われる見込みになっています。
ただ、私自身もそうした初動でタッチをしていますが、単位互換はややハードルが高いようで、そういうときに話を持ち出すのですが、まずは大学同士の教員の交流とか学生の交流、サマーキャンプ的なものから始めてみようというのが大半で、大学同士の交流というのはそういう手順を踏みながら進めていくのかもしれません。
中期的な目標を定めて基金を積むということについてですが、私は必要額をきちんと見ながら議会と相談し、鳥取市とも協議をして毎年の交付金をつくっていくというのが本来だと思います。基金としての持参金は12億円ほどでしたか持たせるようにしていて、そういうところである程度自由度を持ったこともできるかと思います。毎年9億円規模の交付金ということになろうかと思います。それで、できる範囲でやっていけというのが議会の総意だったと思いますので、その辺をきちんと見きわめながら進めていきたいと考えています。
|
|
まず最初に、県として、設置者としてどのように参画をしていくかということです。
いよいよ4月に新しい鳥取環境大学が再生する。あと一月ちょっとという段階まできました。新しい大学としてまず求められるのは、多くの学生に支持されて、安定的で持続可能な大学となっていくということで、県または鳥取市とともに、設置者としてそのことを十分に認識して、その責務を果たしていかないといけないと考えているところです。
昨年、議会のほうにも認めていただき、鳥取市と県との間で環境大学の運営について管理していくための法定協議会、新生公立鳥取環境大学運営協議会というものを年末に立ち上げたところですが、地方独立行政法人法の中で、例えば今議会にも諮っていますが、中期目標の策定とか中期計画の認可とか、さまざまな法定の権限があります。そうしたことについて、この運営協議会の場で鳥取市のほうとしっかりと交渉をしていきたいと考えていますし、また、日ごろの運営についての設置者と大学当局側の率直なやりとりというか、意見交換をきちんとして、県民の皆様の思い、また議会の皆様の思いを大学運営に反映させていくことができる、そういうことが大変重要だと考えています。この法定協議会を、例えば次年度の予算の策定に向けての時期とか、評価委員会の評価についてお聞きするような時期とか、事業計画の策定の時期とか、今後そういう節目節目に開いて、大学当局のほうときちんとした運営ができるようにしていきたいと考えています。
2点目、知事のほうからも御答弁させていただいていますが、ウラジオストク経済サービス大学のラザレフ学長さんとか、江原道立大学の金総長さんとか、また吉林大学の王副学長さんとか、知事のほうで直接面談して働きかけをしていただき、それぞれ、吉林大学はこの4月になりますが、ウラジオストク経済サービス大学、江原道立大学とは既に交流協定を締結したところです。まさに、これから交流協定の締結に基づき実質的な交流が始まろうとしている段階です。
議員御指摘のとおり、授業単位の交換が認められることになれば学生の留学がさらに活発なものになると考えていますので、ぜひそういう方向を目指していきたいと考えていますが、ただ、例えば言葉の問題、現地での言葉、言語の中で、授業についていけるだけの語学力をまずは学生につけさせないといけないというような課題があるほか、また、授業の単位互換ということになると、先方の大学のカリキュラムの内容などと照らして、学問分野の水準的に相互に認定できるようなものなのかどうかなど、一つ一つきちんと固めていかないといけないという課題もあります。まずはできることからきちんとしていきたいと思い、短期の学生とか教員の交換、語学研修、やれるところからどんどんやって、また、御指摘いただいたような授業単位の交換という課題についても、積極的に実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。
3点目、環境大学の財政面での運営について、基本的には交付税の枠内という大原則を堅持しつつ、大学の安定的な経営と発展的な魅力ある大学づくりが今後継続していけるような経営環境を提供していくことが大切であると考えているところです。
今まさに船出をしようという段階のところで、将来的には施設整備の改修とか、今後必要になってくる経費も見込まれるところですし、知事も答弁しましたように、大学のほうでも12億円余の基金を持っていて、そうしたところも魅力投資に向けての活用ということもあり得るかと思いますので、今後の実際の経営状況とか、また運営状況などを見ながら、交付税措置額と必要経費の差額の取り扱いについては検討させていただきたいと考えています。
|
<鳥取環境大学の今後について>No.2 |
いわゆる鳥取県と鳥取市出資で、今度は非常にウエートが高くなるのですが、例えば人的配置はどうされるのか、どういうポジションに、例えば環境大学の役員クラスに県から突っ込まれるのかどうなのか、そのことをまず1点お伺いしたいと思います。
それともう1点、さっき余計な話だと思われるような提言もしました。けれども、基金の状況を見てということなのですが、やはり他の大学にはないような国際人を育てるということに将来基金を使っていく。やはり多くの企業から卒業生の受け入れ希望が上がるような、そういう環境をまず整える、そういう人材を育てるということをしていけば、私はこれから環境大学の新たなる道が開けるのではないかと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。 |
●知事答弁 |
県からの役員派遣という言葉を使いましたが、今回は公立大学法人ができ上がります。その中に、理事長兼学長として古澤学長が就任することが既に内定しています。そのほかの職員構成について、今鳥取県と鳥取市、さらに大学側も入り、やりとりをしています。最初からエキスパートの大学教育関係職員というのができればいいと思うのですが、なかなか現実はそううまく回らないようで、少なくとも当座は私ども県、市からも職員を事実上補うような形で進める必要があるかなと考えています。トップマネジメントに近いところも県と市のいわば関与ということもありますので、今の話し合いの状況から申し上げれば、副理事長というポストは県のOBの職員に事実上なってもらう、その適任になるような者をお互い探していきましょうという話し合いをし始めたところです。それから、事務局長兼理事と言うべきポストには、市のほうから派遣するような形をとろうかと。こういうように、県と市が混在するような形で一定の影響力というか、県民の声、市民の声というのを反映させる仕組みを確保したいと考えています。
あと、事務局の中でも、我々としてはすべて引き揚げて、実際に大学側のこれという人材をどんどん育ててもらいたいと思いますが、当面なかなかそうもいかないようで、県として優秀な人材も協力させていただいて派遣しようということを話し合っています。いろいろまだ流動的な面がありますが、当初から実のある事務局をつくり上げるように、最大限の努力をしていきたいと思います。
基金の活用ということですが、これについては、先ほど申しましたように事実上持参金のような形で基金を当初から持っていただく想定をしています。あと、議員のほうからお話があった年々の交付税との差額のような形で、それをどう付加していくかということについては、まだ経営者側である市と鳥取県との間では特段の話はありません。今後の課題として、大学の運営状況も見て、そういう最初の持参金的なお金を活用していく様子も見ていきたいと思います。
ただ大切なのは、今議員のほうからもお話があったように、大学が伸び伸びと発展的な教育を行う土俵をつくらなければならないことだと思います。その点は年々の交付金の措置の中、それから基金の活用、両面でアプローチをしていく必要があると思います。例えば国際人を養成するということで、英語村をつくろうという構想があります。これも基金だとか県と市からの交付金を活用しながらソフト・ハード面での整備をしていくということを今後やっていくことになろうかと思います。あるいは人事交流、あるいは卒業後の就職先の確保に向けた運動展開、それぞれ遺漏のないようにやっていきたいと思います。
県や市がある程度支えながら、一定のフレキシビリティー、余裕ないし裁量権というものを大学側に持たせたほうがいいと思います。そのある程度の余裕は持っていただく素地を年々の交付金の中で考えたいと思いますし、基金の活用についても話し合っていきたいと思っています。
|
<鳥取環境大学の今後について>No.3 |
海外の大学と授業の単位を交換するというのはやはり相互の信頼がないとできませんから、かなり時間がかかると思います。しかし、私は冒頭に言いましたが、環境大学は本当に方向転換する方向はないのです。ですから、やはりもっともっと大きな目標を持って大学改革を行っていただきたい。例えば、同じ公立大学で秋田の国際教養大学。最初は地方の不便な大学と言われていましたが、逆に言うと、不便がゆえに大学の授業に専念できる環境で人材を育てて、今では日本を代表する大学となっています。東の国際教養大学、西の鳥取環境大学と言われるような、大きな志を持った大学にしていただきたいと思います。
|
●知事答弁 |
基金が少ないから動かないということにしてはいけないということは、全くそのとおりだと思います。正直申し上げて、これまでの10年、来し方を見ると、やはり機動性を失ってしまった、そして非常に傷つきかけていた大学の実情というものに沿った改革が打ち出せなかったというのが反省材料ではないかと思います。
その意味で、同じ轍を踏まないように、基金の有無だけで、あるいは単なるその年その年の財政のプラス・マイナスのことだけで全部を判断してしまうことでもないと思いますので、ある程度の柔軟性を持って、未来に向けて評価されるような大学へと育てていかなければならないと思います。
その意味で、単位の互換の話もありました。国際的な連帯というのは非常に重要なことだと思います。例えば鳥取大学と海外の大学とで、単位の互換ではないですが両方の学位を同時に取得できるような制度を導入しているようなことがあります。もちろん単位互換については、一定程度お互いの認証をしっかりやって、要は評価をし合って、それぞれのカリキュラムに対して評価できるということでの単位互換を行っている大学は公立大学でもありますので、そうしたところを我々も参考にさせていただいて、国際的な研究、教育の連携が図れるようにしたいと思います。
今、秋入学の議論がにわかに高まってきました。そういうこともこうした世界的な人材育成の流れと向き合わなければならないことを示していると思います。鳥取環境大学も今は過渡期なので十分な議論ができないでおりますが、当然ながらいろんなそうした検討は進み始めてもおかしくない。その中で単位互換のようにいっそ1年間よその国の大学で履修をしてこちらへ帰ってきて、一つの一貫したカリキュラムになるようなことも考えられるような大学もあってもいいのではないかと思います。そんな意味で、いろんな新しい大学の形を模索して、議員がおっしゃるように国際教養大学、秋田県と比類されるような大学へと発展させていきたいと考えます。
|