平成24年2月定例会代表質問(平成24年2月27日)No.7

≪人材育成について≫
<幼保一体化施設のあり方>


 知事のマニフェストに基づいた英断で、24年度から小学校3年生から6年生、中学校の2年、3年生で35人学級と少人数学級が拡大されることになり、知事の英断に多くの県民が称賛しています。平井知事が掲げられた子育て王国が政策として大きく前進するわけですが、私自身は少しすっきりしないものがあります。
 知事も御存じのとおり、これまでの県議会において、子育ての根っこに当たる幼児期の教育の重要性が多くの議員から指摘され、議会でも議論されてきました。鳥取県では保育所における保育士の配置基準は、国基準が1〜2歳児で6対1のところ、1歳児については4.5対1の配置基準を行う場合には県単独で支援されていますが、4歳・5歳児の30対1、幼稚園児の1学級35人以下は国基準のままです。
 地域主権改革の中で、就学前の子どもに幼児教育、保育を提供する機能と地域における子育て支援を行う機能を持った認定こども園が、平成23年度に県内で4園開園しています。認定こども園制度が始まっても国の配置基準は見直しされることはなく、基本的には地方自治体の判断に任されています。地域主権一括法により、児童福祉施設等の設置・運営基準が県条例に委任されることとなりました。県としてもいろいろ意見聴取を始めておられるようですが、保育所並びに認定こども園の保育士等の配置基準をどのようにまとめようとされているのかお伺いします。
 また、以前と異なって保育所・幼稚園の現場は、社会の多様化に伴って子育て家庭の多様化、子育て環境の複雑化で、ただ単に保育現場だけのかかわりだけでなく、園児の家庭までかかわりを持って子育てをサポートするところまで保育士・幼稚園教諭に求められるようになりました。したがって、幼稚園教諭の配置基準35対1などは、現場を全く理解していないむちゃな数字であると言わざるを得ません。
 将来を担う子ども達の人生のベースをしっかり措置できる環境につくり上げることは、私たちに課せられた未来への責任でもあると思います。厳しい財政に課題を転嫁することなく、知事には真正面から向き合っていただき、平井知事らしいリーダーシップを発揮していただきたいと思います。知事の所見をお伺いします。

●知事答弁
 
 詳細については子育て王国推進局長からお答え申し上げたいと思いますが、今条例制定に向けての検討を始めており、保育所とかこども園の検討をしています。その過程で、例えば子ども家庭育み協会とか市町村に意見を聞いています。つい先月も皆さんに集まっていただく中でいろんな御意見をいただきました。例えば1歳児においては、鳥取県独自で4.5人に1人という保育士の配置を補助制度で行っています。これを条例化すべきではないかという御意見が保育所の関係者のほうからは寄せられます。しかし、逆に市町村のほうからは待ってくれと。条例化されると義務化されますので、それが年度中途のことなども含めて保証できるかどうかというと自信がないという趣旨だと思いますが、いろいろ相対立した御意見が出てきています。そういう中で、県は独自に例えばゼロ歳児は3対1、1歳児は4.5対1というふうにやりました。2歳児、3歳児、4歳児、5歳児とだんだん年齢が進行していきます。2歳児が6対1で3歳児が20対1と6対1から急に20対1に引き上げられるわけです。これが階段が急過ぎると。現場は非常に厳しいという意見が結構聞かれました。これを緩和しようと思うと、ではいっそ条例で15対1に制限してしまうとかということでいいのだろうか、あるいは、条例とはいわず補助制度として考えるのかどうか、このようなことも俎上に上ってきたかなと思います。
 そのほかにも、例えば設置基準の関係でいえば感染症対策とか熱中症とか、いろんな対策が今出てきています。片や単なる基準のことでいえば消火訓練のことばかりで、やや時代錯誤的なのです、国の基準というのも。だから、そういうのとは違った我々なりの基準というのも設けられるかなという話もあるところです。
 幼稚園については、議員からも御指摘のように、35対1ということになっています。これは文部科学省の世界では一貫しているのです。文部科学省の世界では、小学校1年生を40人学級から35人に引き下げたと胸を張っておられるわけです。我々は実は30人学級にしてきているわけですが。ですから、35人と30人と、鳥取県はむしろ階段をおりるような形になりますけれども、文部科学省の世界では、幼稚園も小学校も一貫して35人でいいではないかと、こういうことをやっているわけです。
 実は、この分野は条例に委任されていません。したがって、ここは我々としていかんともしがたいのですが、ただ1点、こども園が要は幼稚園と保育所が同居するような制度になっているので、これの調整を図るところで条例に委任されてきたところがあります。そこでどうするかということはあろうかと思いますが、これも同じようなレベルで今関係者の間で議論をしていただいており、解決策を考えて新年度に、9月議会ないし遅くとも11月議会、早ければ9月議会ぐらいに提案させていただけるようにしていきたいと思っています。

●子育て王国推進局長答弁

 
 地域主権の関連の一括法により、保育所等の設置の基準を県の条例で定めるということになっていて、それぞれの個別の団体からの意見、要望をいただき、先ほど知事がお話をしたとおり、団体、市町村の方にお集まりいただき意見交換会を実施するなどしています。
 職員の配置基準については、県のほうで保育所の1歳児のところを重点配置、加配をしている部分を基準としてぜひ条例にすべきではないかという意見と、市町村の現場からは年度中途にそういう条件になかなかならないので、一律にされるのはちょっと困るというような意見をいただいているところで、引き続きアンケートをしたり、次の意見交換会を開くなどしていきたいと思っています。
 今のところ、保育士等の配置基準については、条例ということで義務的に一律にどの市町村でもやっていただかないといけないわけですが、そういった基準にすべき部分と、補助によって政策的に誘導していく部分というのはある意味分けて考えていかないといけないのかなと考えています。1歳児のところの加配の補助、それに加えて、先ほど知事が申されましたが、3歳になると急に配置基準が6対1が20対1ということで手薄くなってしまいます。そういった部分についても例えば補助でやっていくかというようなことについても、これから現場の実情、それから皆さんの御意見を聞きながら、条例化の基準とあわせて検討していければと考えています。
 次にお話しのように、幼稚園の基準は全国一律で1学級35人以下を原則とするということになっています。県の条例として基準にすることはゆだねられていないわけですが、実は県のほうでも非常に工夫をして補助を使ってやっている例とか、現場のほうでも手厚い取り組みをなさっている例があります。
 県の補助をやっているという例についてですが、これは実はチーム保育をやっています。児童一人一人の発達に合わせたきめの細かい保育、幼児教育というのが必要になってきますので、複数の職員による配置、つまりクラスの担任を複数つける、副担任をつけるというケースとか、無任掌というか、フリーの教諭を配置するようなチーム保育を行っている私立幼稚園に対して運営費、人件費部分ですが、これを補助するという取り組みをやっています。             昨年度の例で見ると、私立の幼稚園が28園ありますが、そのうち23園でチーム保育に取り組んでいただき、92人の配置をしておられるところです。公立の幼稚園7園については、設置される市町村のほうですべてチーム保育がなされています。
 また、現場での取り組みという意味では、1学級の人数についてはそれぞれの園で工夫されていて、少人数の編制をしているあって、私立の幼稚園であれば1学級30人未満という取り組みを28園中23園で実施をされていますし、公立の幼稚園についてはすべてが1学級30人以下という組みをしています。
 条例にゆだねられている認定こども園の幼稚園部分についてですが、これは保育所の基準とあわせてこれから関係者の皆さんの意見を集約して、条例化に向けて検討していきたいと思っていますが、関係者からの意見を1〜2紹介させていただくと、35人以下の基準、下げる基準とする場合には、年度により入園する園児数が変わってくるので、教室をふやさないといけないのですぐすぐ対応は難しいという意見だとか、35人以下の学級編制のままでも複数の担任、チーム保育でやっていくほうが子ども達のためにはいいのだというような意見も伺っているところです。いずれにしても、いろんな意見を伺いながら、条例化に向けた検討をしていき
たいと思っています。

<幼保一体化施設のあり方>2
 
 子育ては大変お金がかかる問題ですが、やはり子ども達の将来を考えると、財政問題が厳しいからということで転嫁しないように向き合っていただきたいと思っています。