平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.10

<観光鳥取の魅力発信について>

 ことしのゴールデンウイークは、高速道路の 1,000円効果で、全国の高速道路が大混雑するほどマイカーによる大移動がありました。この期間中、県内の道路も大変混雑し、至るところで渋滞も発生するほど、多くの県外者であふれていました。
 県外者が殺到したのは、砂像フェスティバルが開催されていた鳥取砂丘の28万 3,414人で、1日平均2万 3,617人、境港市の水木しげるロードの24万 5,003人で、1日平均2万 416人、1日平均の来場者数の推移を見てみると、鳥取砂丘が4年前に比べて1.77倍、水木しげるロードが1.28倍と、この両観光地は増加の一途です。
 一方、この間の花回廊など県内の主要観光施設等の入り込み客数を見てみると、トータルで21万 9,623人、1日平均の来場者数の推移を見てみると、3年前に比べて7割の来場者数と、逆にここ数年低下の傾向にあります。また、県内温泉地の入湯者数も近年下降ぎみです。つまり、トータルで鳥取県を訪れる観光客はふえてはいるが、県内の主要観光施設はかなり苦戦しているのではないかと危惧しますが、知事はここ数年間の県内の主要観光地の状況をどう分析されているのか、お伺いします。

●知事答弁
 
 このたびのゴールデンウイークは、もちろんそれぞれの観光地の努力もありますが、先ほど指摘のあったように、高速道路の通行料金が一律 1,000円になったことで、非常に遠くからのお客様が来られるようになりました。今までは高速道路自体が関所のような役割すら果たしていたわけで、すなわち、行こうと思うと高い料金を払わなければいけないのでやめた、となるわけですが、それが 1,000円でどこまでも行けるというように変わったので、インターネットを見るかのごとく、同じ感覚でいろいろな地域へ行けるという話になったわけです。これは鳥取県には、今、当面プラスに作用していると思います。
 議員が御指摘のとおり、このゴールデンウイークも、水木しげるロード、また鳥取の砂像フェスティバル初め砂丘地域は大にぎわいでした。水木しげるロードも過去最高の24万 5,000人という入りになりましたし、砂丘のほうも28万とか、これもいい数字になってきました。大渋滞も起きました。それぐらいにお客さんが出てきたわけです。その一方で、厳しい観光地もないわけではなくて、私どもが経営に関与している花回廊など、入園者の減少も見られました。
 このように、いわば、だごへごの状態ではありますが、見逃してはいけないのは、大きなふろしきで考えていただければ、この鳥取だとか山陰に来ていただくお客さんのパイはこの連休中は広がっているということです。ですから、我々のほうで上手に情報発信をしたり、いろいろな観光地同士のオーガナイズをしたり、それからもてなしの心だとか、魅力づくりをしていくことによって、観光地として鳥取県の存在を高めていくチャンスの時期に入ってきたことは言えるだろうと思います。そうした意味で、今回、ようこそようこそ鳥取県観光振興条例を提出させていただいています。
 この観光地の最近の状況を見れば、やはり戦略的なPRだとか、今はメディアの時代ですので、メディアで取り上げられる機会が多いところとか、そうしたところが伸ばしているように思います。例えば水木しげるロードでいえば、そっくりさんコンテストだとか、また妖怪のブロンズ像をオーダーメードでつくっていく、そんなことを始めたとか、このように毎年毎年話題づくりをしていくことが奏功しているように思います。
 砂丘についても、地域での熱心な自然環境保護の活動が評価されていることもあり、この鳥取県の本会議場から誕生した鳥取県日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例といったような話題性のある動きもあった、また砂像フェスティバルもある、そうしたことが折り重なって耳目を集めることになったのではないかと思っています。
 温泉地もいろいろと浮き沈みがありますが、例えば吉岡温泉のように、もうターゲットは学生の合宿に絞り込んで、布勢のコカ・コーラウエストスポーツパークを活用して合宿を呼び込むと。これで実際に入湯客の定着、拡大を図っているところもあります。
 ですから、そういう意味で、これからは観光が一つの大きな産業として成長していく時代ですので、鳥取のいい素材を磨いていくこと、そしてもてなしの心をつくり育てていくこと、こういうことを通じて鳥取県の観光地のよさを高めて集客を図っていくことが必要ではないかと思います。今まで我々の鳥取県内の観光地の努力とその成果を検証していけば、出口も見えてくるのではないかと思っています。

<観光鳥取の魅力発信について>No.2
 
 間もなく姫鳥線も開通が予定されているものの、高速道路が開通すれば観光客が大いにふえるという認識は払拭しなければならないと思います。要するに、選ばれるための差別化、戦力化が欠かせないと思っています。このたびの経済対策で巨額の国費が高速道路にあてがわれているようですが、選ばれるための観光地づくりにしても、やはり今もガイドの育成等がありますが、やはり現地で同行しながら説明できるガイド、以前私ども県議会の仲間の皆さんが石見銀山に行きましたが、そのときでもきちんと現場で説明していただけるガイドがいたから、視察に行っても全然行った意義が違うのです。したがって、そうした現地で説明できるガイドの育成とか、来県者にもっともっと丁寧に案内ができる案内所とか、そういう当たり前でない、何かもう少しもてなしの心というか、そういうものに力を入れるべきだと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 
●知事答弁
 
 石見銀山でのガイドの例があったように、選ばれる観光地となるためには、ガイドの育成とかもてなしの心づくりが重要ではないかということです。
 確かにそうで、我々も旅をしてみて思うのですが、感激するのは、確かにその歴史を感じさせる建物だとか、また人間として一つの生き物として圧倒されるような自然の景観だとか、そういうものであることは間違いないと思いますが、では一度見てしまって、例えば写真を撮ってしまって、もう一度行くかというときは、むしろそこでどういう人たちと触れ合って、どういう心、もてなしの心を感じることができたか、居心地のよさを感じて、だからほかの人も連れていきたいということになる、ここのところがむしろポイントではないかと思います。
 鳥取県の中でもいろいろな観光地があって、それぞれ工夫はされてはいますが、もてなしの心という意味では学ぶべきところは多いと思います。例えば、琴ノ浦まちおこしの会がありますが、これがあの辺の旅館とか、あるいは古い住宅とか町並みだとかを生かして、また地域の魅力を掘り起こして観光地づくりをやっていこうではないかと取り組んでおられます。私ども県のほうでもその応援をさせていただきましたが、昨年の夏にはボランティアガイドの育成講座を開かれ、金沢市から講師を呼んで、金沢の場合もああいう非常に古い町並みがあります。それから、すぐれた魅力や文化があります。それを紹介されるガイドがおられるのですが、それを実地に呼んで研修をされたわけです。また、実際に自分たちでまちづくりをしながら観光地の魅力を伝えていくためにも、子ども達、小学校の生徒たちに町の宝を教えるようなことをしたり、「へるんツアー」をしたり、いろいろと取り組んでおられます。こういうような町の中で息づくようなもてなしの心醸成事業を私たちは育てていかなければならないだろうと思います。
 このたびの条例、もし可決していただけたら、それに基づいてもてなしの心づくりをしっかりとやっていきたいと思います。

<観光鳥取の魅力発信について>No.3

 
 先日、ある会合で広島に行きました。すると、同席していた広島の市会議員さんいわく、連休に家族連れで鳥取砂丘の砂像フェスティバルに行きましたと。砂丘はとても壮大できれいでした。しかし砂丘までが大混雑で、大変で疲れましたと。でも、駐車場から出るとき、警備員さんが、またおいでくださいととても丁寧な対応で、道中込んでいたわけでが、その疲れも吹っ飛び、逆にさわやかな気分になれました、また行ってみたいですとお話しになっていました。それを聞き、私もついついうれしくなりました。私は勉強不足で知らなかったのですが、折しも、ようこそようこそまた来てね!鳥取県キャンペーンが実施されていたようです。
 よく考えてみれば、どの施設とも歓迎には非常に力を入れていますが、お客様を一番最後に見送るのは駐車場の警備員です。その警備員の対応によって、お客様が気持ちよく帰られるのかどうなのか、かかっているわけで、改めて考えさせられました。やはりこのことは、リピーターをふやしていくためにも大変大切なことです。しっかり県内各地の関係者がこのことを念頭に置いて取り組みを展開していただきたいと願うものですが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。また、何かあればお聞かせいただきたいと思います。
 

●知事答弁
 
 私も率直に言って同じ気持ちです。このたび自分自身も車を運転して家族と一緒に砂像フェスティバルに行きましたが、なかなかの難行苦行で、私は道を知っているので、するするっと渋滞をよけて、福部の旧の役場のところからバスに乗って行きましたが、もうずっと渋滞の列の中に取り込まれた方々も多かったと思います。だからこそ、そういう意味で、現場でもてなしの心でお迎えいただくということがないと、悪い印象だけが尾を引いてしまうことになると思います。
 県内でも、例えば岩井温泉で、お帰りになったお客様にお一人お一人丁寧に手紙を書かれるおかみさんがおられます。こういうことはやはり大事だと思うのです。我々は当たり前だと思いかけていますが、山陰の旅館は、気がきいたところはお帰りになるときに従業員の皆さんが手を振って送り出してくださいますが、そういうことが山陰の旅館の、定着するお客さんを引き出してくる要因になっていると思います。こういう当たり前のことのようであるけれども、やはり心と心が通じ合って本当の意味の人間としての満足を感じて帰っていただける、そういう観光地でなければならないのだと思います。
 もてなしの心を醸成するために、いろいろとこれから条例の枠組みの中で考えていきたいと思っていますが、今の議員の御指摘もありましたので、そういうちょっとした隠れたもてなしの心というのを感じさせてくれるというか、そういう意味では人の模範になるような、たとえ無名とも言うような方であっても、そういう方を表彰するような制度があってもいいのではないかと思います。地域としてもてなしの心の推進員といいますか、そのマイスターであるというような表彰制度だとか、あるいは研修のあり方だとか、その辺をしっかりとシステムを考えてみてはどうかと思います。
 先般、近畿知事会をして、一番皆さんがびっくりした印象を持たれたのは、鳥取砂丘で一本の棒の上に立ち、それで馬車の観光の案内をする女性でした。これは兵庫県から来られている方ですが、橋下大阪府知事が非常に興味を持って、そうして何時間立っているのですかと聞くと、5時間ほど立っていたこともありますと言っていました。それもすごく快活に出迎える、ちょうど砂丘の玄関口のところですから、そうしたちょっとしたことが観光地全体のイメージになっていくのだなと痛感しました。もてなしの心の醸成の事業、ぜひこれからバージョンアップして検討していきたいと思います。