平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.12
<20世紀梨の行く末について> |
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●知事答弁 |
二十世紀梨再生促進事業は、平成13年度から17年度までさせていただきました。そのきっかけとなったのは、片山県政の始まった後、ナシの値段が下がってきました。そしてナシ農家が離れていったので、そのナシ生産を再生しようではないかということで始まったわけです。そのコアとなるのは、大規模なナシ団地をつくろうではないか。それはおさゴールドを中心として、そうした二十世紀ナシをもう一度つくり直す。そのいい圃場というか、ナシ園地をつくって、そこに入植者を求めて、新規の就農者もつくっていってはどうだろうか。さらに幼木を育てて、それでおさゴールドなどを頒布していく。従来、樹齢がだんだん重なっていたので、それを若返らせることによって、生産力のあるナシづくりをやろうではないか。このことがコアだったと思います。 これでやってきたわけですが、正直、現実としてそれでナシ生産が復活をしたかというと、そうは言えなかったというのは、残念ながら真実だろうと思いますので、私も就任して早々にナシ農家の方々からいろいろと提言、意見をいただきました。話し合いの場もつくらせていただきましたが、もっと、二十世紀ナシにとらわれるのでなく、いろいろと消費者にとって魅力のあるナシづくりをやらなければいけないのではないか、新品種のことも積極的に取り組んではどうだろうかという話がありました。 そう考えてみると、従来の平成17年度までの施策というのは、供給サイドの意識が強かったのかなと思うのです。もっと消費者側のほうで売れるもの、高く売れるものというものを考えていかなければならなかった。二十世紀ナシだけで勝負をしていいのだろうか。他産地でいえば赤ナシ系とかいろいろなものがあって、そうした新品種などにも取り組んでいくことも視野に入れるべきではないだろうか。いろいろと変革が必要だったと思うのです。それで、新しい鳥取県梨産業活性化ビジョンというのをつくったわけです。いわば二十世紀ナシ以外にもいろいろな品種がありますので、そうした品種を入れて、シリーズ化して、この秋を中心とした季節に次から次へといいナシを送り出していく。そういうことでナシ産地としての力をもう一度復活をさせてはどうだろうかというのが、今回の眼目なわけです。 例えば、大山のほうに米沢さんという篤農家がいらっしゃいまして、二十世紀ナシ以外にも、例えば王秋とか、秋栄とか、いろいろなナシをつくっておられます。今、県のほうで推奨し始めたこのビジョンに基づくなつひめとか、あるいは新甘泉、これも生産していただいています。結局、お話を伺うと、高く売れるナシを、自分らも努力しなければいけないのだし、つくっていこうと。それに尽きるのかなという気がします。 そういう意味で、ナシの生産についても、市場だとか消費者のニーズをとらえながら、我々のほうでも産地として変わっていくこと、これを目指そうではないかというのが、今我々が追いかけている鳥取県梨産業活性化ビジョンです。 |
<20世紀梨の行く末について>No.2 |
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●知事答弁 |
この二十世紀梨再生促進事業ですが、先ほど申したように、ハード面でいわばモデル圃場をつくろうということや、あるいは幼木を供給するということが中心の事業でした。実際にモデル圃場に入られた方は10名おられて、この10名の方は定着されておられます。中にはこちらで結婚されて、女性の方が結婚されて、別の作物も手がけられて、業態を拡張されている方もおられます。そのように、よき後継者として定着されている面では効果があった面もあると思います。 しかし、この時期に入植されたり、あるいは担い手となられた方が大体18名ぐらいですね、この事業の関連でもあったと言われていますが、現実にはその間に同じ時期にナシ農家をやめていかれた方が 800人以上いて、差し引き勘定したら、一体これでよかったのかなというのは結果として残るだろうと思います。そういう意味で、人数が減るのはある意味高齢化もあって仕方がないかもしれませんが、そのナシ農家として生産に当たっておられる方々が、誇りと生きがいとやりがいを持ってやっていける、そういうナシ農家の環境をつくっていかなければならないと思います。 もう一つは、 500円の奨励金をつくった今回の予算について、これは消費者に選ばれるための政策としてのメッセージではないかということ、それから二十世紀ナシの販売戦略をどういうふうに構築していくのかということです。 詳細は農林部長から申し上げますが、この新しい取り組みは、最近の、去年ですかね、JA鳥取中央が中心となり、完熟ナシを出そうという試みを始められました。その名も「美味・熟っと梨(びみうっとり)」というナシですが、「うっとり」の「う」のところは熟成するという「熟」ですが、「り」は「梨」と書いて、「美味・熟っと梨」という、こういうナシのシリーズを出しました。大体 300円相当ぐらいの相場ですが、これは 500円ぐらいで売れていますので、そういう意味でかなり評価を得たと。やはり議員もおっしゃいましたが、本当に食べておいしい時期に出すということをやってみようではないかという試みだったわけです。 今まではやや早目に出していたわけで、それを山を後ろにずらすために、今回 500円のこうした、いわば県としても関与しながら、新しい今までになかった形態の促進制度をつくらさせていただきました。 同じようなことで、新品種の新甘泉など、これも 500円を優に超え 580円とか、そういうようなレベルでの取引になっていますので、こういう高く売れるナシを市場に出していく環境をつくっていくことが、これからのナシ農家に対する最大の応援になるのではないかと思っています。 |
●鹿田農林水産部長答弁 |
今回の取り組みは、ナシ品種のシリーズ化によるしゅんのナシづくりということで、おいしいナシを市場に出していこうという取り組みの一環です。そのため、二十世紀ナシについては本来の時期の9月の上旬から中・下旬と、そういうときに出していこうという話で、その前になつひめ、新甘泉という新品種も出していこうという話です。 新品種については、まだこれから量的なこともあるので、その辺の売り出し方もあるのですが、その後に控える二十世紀ナシ自体が高い評価を得ないと、これから市場に打って出れないということもあるものですから、今回生産者と一緒になってそういう取り組みをしようということで、これについては、生産者自体がどういう販売戦略を持ってやるかということが重要になるので、生産者との話し合い、後は消費地のほうの量販店等で9月のころにきちんとしたおいしいナシを置いてもらえるような形に取り組まなければいけないものですから、そういう量販店さん御理解をいただくような取り組みを、農業団体の生産者と一緒にしていきたいと思っているところです。 |
<20世紀梨の行く末について>No.3 |
ナシの問題は言いましたが、やはり農業全般に言えることですが、食糧自給率の向上を考えるときに、やはり価格政策中心から、農業所得政策に重点を置いた政策に切りかえる時期に来たかと思っています。私自身、高い航空運賃を払ってドバイに重たいスイカを売りに行くということが話題となっていますが、話題づくりとしてはいいでしょうけれども、ドバイが欲しがっているのは本当にスイカかなということです。私はドバイが欲しがっているのはスイカでなく、スイカの栽培技術だと思っていますよ。私はそれよりどうやってこのおいしい二十世紀ナシを売り込むのか。おいしい時期に消費者の皆さんにどうやって買ってもらって食べてもらうか、そういうことの対応策のほうが急がれると思います。 |