平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.14

<競技力の向上について>

 
 スポーツ振興法の規定に基づき、今後10年間のスポーツ振興の目的や方向性を明らかにする鳥取県スポーツ振興計画が策定され、今年度からその実行に入ります。このスポーツ振興計画は、学校体育・スポーツ、生涯スポーツ、競技スポーツと大きく3つの区分に分け、それぞれの課題、方向性、目標達成のための施策の推進が具体的に明記されています。本日は競技スポーツに的を絞り、議論したいと思います。
 策定されたスポーツ振興計画には、県民に夢や感動を与え、スポーツ活動の意欲を喚起し、全国や世界で活躍できる選手の育成を図り、国体において総合成績30位台の定着を目指すとされています。近年、国体の成績は、19年度が43位、20年度は46位と下位を低迷しています。
 確かに、昭和60年に鳥取県で開催したわかとり国体では地元開催ということもあり、総合優勝しました。当時、国体の得点は、全競技にフルエントリーできる開催地に有利なシステムであったこと、得点が確実に確保できる青年男子の補強等、余り具体的には申し上げませんが、地元優勝が当然のようなお祭り的な雰囲気で、逆に総合優勝できなかった場合のプレッシャーのほうが強かったように記憶しています。
 一方、平成7年の高校総体は、高校生の進路や進学がかかったまさにガチンコ勝負の大会で、大きな感動もありました。出場選手は一生懸命ですが、このように大会によっていろいろな特色があり、決して国体をむげにするわけではありませんが、国体の総合順位だけを目標とするのは、私自身いかがなものかと思うのです。
 なぜなら、鳥取県は高齢化率が高い上、全国でも人口最少県です。さらに大量得点に結びつく団体競技を抱えている企業、競技優先的に人材を採用する企業は皆無といっていい状況で、現実的には大企業が多くの選手を抱え、得点の高い団体種目で勝負している他県と同じ土俵で勝負しようということは無理な話です。しかし、その中でも好成績を残したチームに対しては、しっかり県民の皆さんが称賛を送ればよいと思っています。ただし、小・中・高校生の皆さんの中で、すばらしい素質を持ち合わせた青少年は県内にも多く、宝石でいうと、原石をどう見きわめ、どう磨き上げるかであると思います。
 したがって、鳥取県としては、青年の強化は強化として継続しつつ、県内のジュニア養成強化に最重点を置き、今まで以上に指導者の充実、指導者の支援、さらに財政的な支援をすべきかと思いますが、教育長に所見をお伺いします。

●中永教育長答弁
 
 伊藤議員さんですが、聞くところによると、以前鹿児島国体に 100メートルで出場されたということを聞きましたし、その後、中学校のほうでもご指導をいただいたということです。敬意を表しますし、お礼を申し上げたいと思います。
 本題に入りますが、議員のお話の最初あった、県でこの3月に策定したスポーツ振興計画ですが、ここで国体の順位のみを掲げているのはいかがなものかというような指摘がありましたが、これはあくまで、一つの競技すべてに通じる目標を掲げてそこに頑張っていこうということですので、この振興基本計画の中には、中学生、高校生も全国大会等でしっかりいい成績を上げられるように頑張っていこうということもあわせて書いていますので、御理解をいただきたいと思います。
 ジュニア養成強化についてですが、私もこれは同感です。競技力の向上のためには、一つにはすそ野を広げることが大事だと思っていますし、また御指摘のように、資質のある子ども達を早い時期から力を育成していくこと、これが大切だと思っています。そういう意味で、今までもジュニア期の子ども達への育成ですね、それとあわせて指導者の方の確保ということも大事だと考えて努力しているところです。
 具体的に少し申し上げますと、例えば各競技団体等が取り組んでいる強化事業に対して助成をしています。ジュニア期からの選手養成強化に重点を置いてやっています。あわせて、小・中・高の指導者を対象とした講習会を持ったり、また国内外のすぐれたコーチを招くということもしています。そうして優秀な指導者の育成や指導力の向上に努めているところです。
 ただ、ジュニア期からの子ども達の育成ですが、どうしてもやはり中学校、高校の先生方が中心になるということは御指摘のとおりだと思っています。ただ、教員としての指導者の確保ですが、少子化等で教員の採用数も少なくなってきていることもあります。そういう部分については、外部の方の指導者をお願いして、中学校、高等学校に行っていただいて指導していただいています。今年度、中学校のほうに指導者として入ってくださっている方は87名です。高校で56名です。大変にお世話になっているところです。
 県としての外部指導者への財政的な支援は、平成18年度から始めていますが、その一部について、謝金の額とか遠征費について昨年度見直しを行ったところです。あわせて、競技力の向上と学校の活性化ということをねらいとして、各高等学校の運動部を強化部というふうに指定しました。幾つかしています。そこには遠征費などの活動経費の一部を助成する、そういう支援も行っています。今後も引き続いて御指摘のようにジュニア選手の育成、養成強化について支援をしていきたいと考えているところです。

<競技力の向上について>No.2


 
中学、高校の部活の指導者の状況を見ると、少子化という現象の中で、先ほどありましたが、専門競技を指導できる教員が激減し、やはり子ども達の思いを十分に受け入れて指導ができる学校現場でなく、その多くは、先ほどあったように、外部指導者に頼るしかない現状です。しかし、中学校は、子ども達が初めて専門競技に触れ合う時期であり、子ども達の学びたい思いをしっかり受けとめ、できる限り専門的な指導を受けることができる環境をつくることが、義務教育に課せられた責任でもあると思っています。教育長にその責任についての所見、並びに将来に向けての対応についてお伺いします。
 

●中永教育長答弁
 
 おっしゃるとおりです。学校の教育の中の一環ですので、中学校でもちろん体力もつけますし、自主性とか、協調性とか、礼儀とか、マナーとか、こういうものもつけると思っています。おっしゃるとおりで、入門期で大事なときですので、できるだけ専門的な知識、技能を持っている方に入っていただき指導いただくのが大事だと思いますが、さっき申しましたように、採用する教員が少しずつ減ってきています。専門的な競技に全部が習熟しているわけでもありませんので、そういう意味では外部の方に力をかりるということが現実的ではないかと思っているところです。

 この中学校の部活動、義務教育の一環ということですので、基本的には市町村の教育委員会が同時にされるべきものだと思っていますが、県の教育委員会としても外部指導者の方の力を発揮するような支援、例えば1人年間10万円ぐらいを上限に補助させていただくだとか、あるいは専門性のある教員を学校の要望に応じてできるだけ配置させていただくとか、そういうことでの努力する必要はあると思っていますし、これからも努力していきたいと思っています。

<競技力の向上について>No.3
 
 本県の競技種目ごとの指導、育成状況を見ると、サッカーのようなピラミッド型の育成指導システムはまれで、大半の競技が外部指導者の手腕をよりどころにした個人頼りがその現状でもあります。私は外部指導者を否定するわけではありませんが、私も外部指導者として6年余り中学校の指導に入っていた時期がありましたが、仕事をしながら中学生を指導するため、いろいろな時間の制約や大会に向けての調整など、本当にいろいろ大きな問題もありました。外部指導者として、やはり一番つらかったのは、個々の生徒の学校での生活実態が十分把握できなかったということです。外部指導者は、部活に出てきた生徒だけを指導するわけですから、幾ら部活だけまじめに取り組んでも、学校での生活、家庭での生活など、生徒一人一人の生活を把握しておかなければ的確な指導ができないということがみずからの経験を踏まえた思いでもあります。

 したがって、外部指導者、非常に多くの皆さんにお世話になっているわけですが、やはりそういう指導者と学校側、保護者の皆さんとの密度の濃い連携が私は必要かと思いますが、現状と今後の対応策についてお聞かせください。

●中永教育長答弁

 
 御指摘のとおりだと思っています。私も、運動部活動は、学校の教育活動の一環として行われますから、学校としては保護者の方や外部指導者の方と連携しながら、そういう観点から児童生徒の状況を把握しながら一緒にやっていけるような環境をつくるということは必要だろうと思っています。
 一般的なことですが、学校においては、聞いているところですが、年度当初に外部指導者の方に対して学校長のほうから、これは学校によって若干違いはあるかもしれませんが、学校の方針を説明されると。そして、部ごとの保護者会を開いて、外部指導者の方の指導についてこういうことを理解してくださいねとか、そういう話をされることがあると聞いているところです。
 運動部活動ですが、外部指導者の方だけにお任せすることは、学校教育の一環ですので好ましくありませんので、必ず一緒にやらせていただくことを基本にして、教員も顧問としてかかわりますので、その指導をする上で外部指導者の方と一緒になっていろいろな話をしたりしますので、その中で情報交換をして連携を深めていると学校のほうからは聞いているところです。
 県の教育委員会としては、そういう意味で、部の顧問とか外部指導者の方を対象とした研修会を県の体育協会と一緒に毎年開催しています。外部指導者の方の指導力が発揮できるように、連携の必要性を求めていますので、今後もそういう形をしていきたいと思っています。