平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.15

<幼児保育について>

 
 教育の重要性については、この議会においても多くの議論がされてきました。ところが、子ども達の教育状況について現場の皆さんにお尋ねすると、高校生の先生は、中学校はもっとしっかりしてほしい、中学校の先生は、小学校はもっとしっかりしてほしい、小学校の先生は、保育所、幼稚園はもっとしっかりしてほしいと言われ、結局行き着くところは、保育所、幼稚園です。

 このように、人づくり、教育の基礎を担うのは、保育所、幼稚園ですが、現場を担う公立保育所の保育士の実態について私が調べたところ、保育職員の構成は、正規職員は36%、臨時職員が35%、残りは嘱託職員、またはパート職員等となっています。加えて保育士の資格のない職員が1割強と、無資格の保育士が保育に携わっておられる現状にあり、子ども達の初めての集団生活を受け持つ場として、きちんとした対応ができるのか不安に思います。
 人づくりを県政の大きな課題と掲げられている平井知事は、この状況をいかにお考えか所見をお伺いしたいと思います。
 

●知事答弁
 
 保育の実際の状況とか我々で今行っていることなど、福祉保健部長からお話しますが、今の保育の現状で一番大切なのは、子ども達が十全のケアを受けられること。それからその後の長い人生があります。特に幼児期においては、頭の中では脳細胞が急速に成長する時期です。また、他人とのコミュニケーション、さまざまな年齢の人たちとのコミュニケーションを通して、人間としての素養、社会力が形成されてくるわけです。学童期に入るこの前の段階が、そうした意味で、言葉の獲得から始まって、非常に重要な時期ですので、この時期の周りの教育とか保育のあり方、これは決定的な人生を左右する力を持っていると思います。ですから、私たちとしては、ここで人材育成のためにも保育の現場を強化していくことを目指していかなければいけないと思います。
 現実の保育士の構成については、これは三位一体改革など、地方分権の仕組みづくりの中で、国が撤退していってしまったのです。もともとは国が保育士としての基準についてお金も含めて強力なリーダーシップを発揮していたわけですが、その辺が市町村のほうに任されてきたわけです。
 ただ、片方で、市町村、ではサボっているのかということではなくで、むしろ多様な保育ニーズが広がっています。乳幼児保育だとか、障害児保育だとか、そうしたことに対応するために、加配、すなわち人をふやすことをやっているわけで、苦しい財政との妥協の中で、非常勤の方だとか、いろいろなタイプの保育士、保育に携わる人たちをつくり出しているというのが現実です。保育サービスをよくするためにやっている面もありますので、一概に否定することはできないと思いますが、そもそも国全体として子育てにかけるお金が今程度でいいのか、この基本から本当は我々は考え直していかなければならないのではないかと思っています。

●磯田福祉保健部長答弁

 ただいま知事が申し上げましたが、確かに幼児教育、大切です。県内の保育所は、最低基準というのは優にクリアいたしていまして、必要以上に保育士を手厚く配置しています。単県での加配等も措置しています。そこの条件が、正規職員であるか非正規職員であるかは問うていませんが、手厚く配置はしていますが、その中でも、確かに私どものほうでも調べたところ、正規職員は少なく、議員の御指摘のとおりのような数字でした。

 しかし、幼児教育は大切です。利用児童の処遇を低下させないよう、正規職員とペアで保育させたり、園内研修を実施、それも土曜日とか日曜日に研修するなど工夫しながら、保育の質を確保しているところです。
 県としても、保育、幼児教育の向上のためには、継続的にこのようなことを責任持って実施していきたいと思いますし、こういった実態を踏まえて、保育士の配置基準の改善とか、実態に合った配置に必要な財源措置を充実するよう、この4月にも国に要望したところです。根本的には市町村のほうで取り組んでおられるところですが、県としても専門性の高い保育士が養成できる体制を強化し、未来を担う子ども達をはぐくむ基礎づくりを推進していきたいと思っています。

<幼児保育について>No.2
 
 保育所の保育指針が改正され、ことしから新たな保育指針に基づいて保育が行われています。また、制度改正により、幼稚園においても2歳児を受け入れることができるようになりました。このように、幼保一元化に向け、少しずつですが、制度の見直しがされているわけです。いずれにしても、保育所、幼稚園での生活は、先ほどありましたが、子ども達にとって人生における集団生活の第一歩を踏み出す大事な局面であり、受け入れ体制並びに幼児教育の充実強化は重要な課題であると思っています。
 幼児教育の推進のため、幼児教育専任主事が東・中・西の教育局並びに県教委に1人ずつ配置されていますが、保育所、幼稚園の数が多くて、1年に1回施設を巡回するのが限界で、施設からの指導要請に対して十分対応できていない状況があります。また、保育の資質の向上を図るため、子育て支援総室に保育指導員が1名配置され、保育所、幼稚園を訪問し、保育内容の技術指導や専門的な指導助言を行うこととなっていますが、1人で県下全施設を対象にというのは、とても満足できる環境ではないと思っています。まさに幼児教育専任主事及び保育指導員の充実が必要ではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
 特に、やはり先ほどありましたように、無資格者の保育士とか、今の経済対策でどうしてもいろいろな人が保育現場に入っておられます。やはり保育の質を上げるためにもどうしても必要ではないかと思います。本当に人づくり、幼児教育のありようを考えるとするなら、特に保育指導員については市町村に1人の配置が本当は必要だろうかと思いますが、各市町村への配置は現実的には無理ですので、幼児教育専任主事のように東・中・西の福祉局に配置するなど、指導助言をやはり強化すべきだと思いますが、知事の所見をお伺いします。
 
●知事答弁
 
 鳥取県の場合は幼児教育で専任主事を設けています。これは教育委員会の協力をいただいてやっていて、よその県にはない特徴的な事業だと御理解いただきたいと思います。これらの方は、幼稚園だけでなくて保育園も幼児教育の舞台として考えていただき、巡回していただいています。今おっしゃった保育指導員は、そういう幼児教育プラスあと保育のほうも組み合わせてやっていかれる方ということになっていて、私どもでは知事部局のほうに1人いるわけです。
 現実問題、保育リーダー養成とかして、市町村ごとに配置していこうということも別途やっていますが、なかなか設置がままならないところもあります。これからちょっと1年間、せっかくの御提言もありましたので、市町村ともよく協議させていただいて、このあり方をどうするか考えていきたいと思います。
 
●磯田福祉保健部長答弁
 
 ただいま知事も申し上げましたが、鳥取県というか、余りないのですけれども、幼児教育指導主事と保育指導員と連携して保育所、幼稚園等回っています。けれども、確かに近年は発達障害のある子どもさんだとか、家庭環境に配慮の必要な子どもさん等の対応等、課題がたくさんあって、保育園の指導等、たくさん求められています。そこの支援を強化することが重要になっています。
 その中で、県としては、市町村のほうに交付金で子育て応援市町村交付金、ことしから設置していますが、そちらのほうで独自に配置していただくシステムをとっていますが、議員のおっしゃるように、なかなか進みません。そこで、知事も申し上げましたが、県で各福祉保健局に配置する等もこれからまた検討していかないといけないと思いますし、いろいろな方法で保育所の体制を整備し、保育リーダー等を整え、いい子育て環境を整えていくことが求められていますので、また保育所の支援対策とか連携方法について取り組んでいきたいと思います。

<幼児保育について>No.3


 やはり私は人づくりということが、知事のマニフェストにもあるのですが、全国で幼児保育は、幼児教育は鳥取県だと、鳥取県の幼児教育、幼児保育は全国で最高だと、私はそういうものをつくっていただきたい。それができるのは、逆に言うと、人口が少ない鳥取県だからこそできると思うのですよ、逆に言うと。私は本当に全国に誇れるものを知事につくっていただきたいという思いを持っています。ぜひともかなえていただけたらと思います。


●知事答弁

 
 私も、人間としての発達の初期である幼児期は大切な時期であり、ここで温かみのある地域、家庭、そして保育所や幼稚園という環境ができ上がることが子ども達にとって必須だと思います。

 私たちの鳥取県は、コミュニティーが小さいがゆえに、例えば小学校と保育所とほぼ一貫してやっていけるようなところもあります。ですから、他地域にはない差別化した幼児教育のあり方、保育のあり方は可能だと思っていますので、ぜひそうしたモデルを鳥取で育てていきたいと思います。