平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.16
<教育支援センターについて> |
県内の中学生 100人当たりの不登校出現率が平成10年度に3.28人、平成11年度に3.37人と全国で最も高くなったことに伴い、それまで設置されていた東・中・西部の教育支援センターに加えて、郡部ごとに教育支援センターを設置し、不登校児童への学習指導や自然体験活動を通じて、小・中学生への復学を基本目標としながら取り組みが進められてきました。 その後、不登校出現率が全国並みに改善されたことから、平成17年度のサマーレビュー、いわゆる全庁的な事業見直しですが、この中で県を主体とする事業形態を改め、平成19年度以降は市町村を主体とし、運営費の2分の1を県が助成する形態で今日まで運営が続けられてきました。この助成制度も今年度が最終年度で、仄聞するところ、先日の教育長会議で制度存続を強く望む意見があったようにも伺っています。 不登校問題について、教育長の認識並びにこの補助制度を今年度限りとしていることについてどう考えておられるのか、教育長にお伺いします。 |
●中永教育長答弁 |
最初に、本県における不登校の状況ですが、議員もお話しになりましたが、中学校においては出現率が平成10年、11年の辺で全国で最も高いという状況になりました。その後、いろいろな取り組みがなされて、現在では出現率が下がってきました。全国平均よりももっと下がってきた状態になっています。一方、小学校のほうですが、これは中学校よりは数は少ないのですが、率としては少し上がってくるような状態になっていて、今全国平均より少し高い状況です。いずれにしても、非常に危機感を持っていますので、県の重要な課題として取り組んでいかなければいけないと認識しています。 私は、どんな子ども達も基本的には学校に行きたいと思っています。学校に行って勉強したり、友達と遊んだり、いろいろな活動をしたいと、どんな子も思っていると思っています。そういう意味で、不登校という状態をゼロにしたいという思いは強く持っているところです。 市町村の教育委員会の協力も得ながら、県の教育委員会としてできることとして、例えばスクールカウンセラーの配置の支援だとか、それから子どもと親の相談員の配置だとか、教員を加配していくとか、そういうこともしています。 今、市町村に設置されている教育支援センターへの県の補助についてのお尋ねがありましたが、これは申すまでもなく、学校復帰を支援する施設で、県内に今10カ所設置がなされているところです。毎年、この10カ所のところに子ども達が全体で80人から90人くらい通っています。そして、毎年20人から30人くらいの子ども達の学校復帰がかなっているというようなことを市町村からは聞いているところです。 この教育支援センターの経緯ですが、平成3年から5年ぐらいにかけて、市町村の取り組みを促すという意味で県が先導的に県の東・中・西部各1カ所ずつに設置しました。その後、鳥取市、倉吉市、米子市、境港市の4市が独自に設置をされました。これが平成9年から11年くらいです。その後、県は、町村、あと、市のほうではなくて町村のほうの取り組みを促すために郡部の6カ所に平成13年度に設置しました。こうした中で、中学校の不登校の出現率が少し下がってきたということ、それから市町村立の小・中学校の子ども達のことですので、基本的には設置管理者である市町村のほうの役割であるというような整理を、以前行いました。そういう意味で、県が設置する教育支援センターは平成18年度末で廃止したというところです。 ただ、いろいろな状況がありますので、激変緩和という意味も含めて、平成19年度以降3年間ですが、19、20、21と今年度まで、19年度以降、市町村が新たに設置するところ、あるいは拡充したりするところについては運営費の2分の1を3年間に限って補助するという形をとってきたところです。ちなみに、21年度の県からの補助は、総額で 1,738万円余です。 以上、経緯を申し上げましたが、この補助制度の継続の要望というのは、お話もありましたように、設立、当時から市町村のほうからも出されていますし、それから先般、市町村の教育長さん方と意見交換を行いました折にも多くの市町村から継続の要望をしていただいたところです。財政的なこともあるので、県の教育委員会だけで判断することは難しいと思っています。今後、市町村の教育委員会の意見を聞きながら、どうするのか検討していく必要があると考えています。 |
<教育支援センターについて>No.2 |
不登校問題について、私自身はそんなに解決していないと現状を分析しています。なぜなら、先ほどありましたが、小学生の不登校出現率は16年間全国平均を上回っており、高どまりの現状と申し上げてよいと思います。中学生での不登校出現率が改善されたからといって、一喜一憂している場合ではないと思います。 このような現状の中で、今日まで市町村が運営している教育支援センターを、より充実した支援で継続すべきではないかと思いますが、教育長の所見をお伺いします。 |
●中永教育長答弁 |
小学校のほうの不登校の出現率がずっと高いとおっしゃいましたが、最近全国平均より少し高くなっていますが、この10何年間、全部高かったのではないのではないか、と私は思っていますが、ただ最近上がってきています。それはきちんと受けとめなければいけないことだと思っています。 さっき言ったように、小学校ではそういう状況ですが、中学校のほうでは少し少なくなってきました。少しというか、全国平均よりかなり少なくなってきたということは、これは本当に皆さんが努力してくださったおかげだろうと思っています。市町村の教育委員会や学校や地域の方々がみんなで支えてくださったおかげだと思っています。 県の教育委員会の対応策ですが、さっきも言いましたように、スクールカウンセラーを、中学校全部に配置できるように市町村と一緒になってやっていますし、それからスクールソーシャルワーカーの配置などもこれから進めていくことになると思います。それから、不登校対応の教員も加配しているところですので、これを継続していきたいと思っています。 ただ、私いつも申し上げますが、この対症療法的なことだけではなく、問題なのは、一番元の、どういうふうにして不登校にならない子ども達を育てていくかというところが極めて大事です。そういう意味で、学校のほうでも、学校がとにかく勉強がおもしろいとか、仲間がちゃんとできるというような環境をつくるということが大事だということですので、市町村の教育委員会、学校とよく話をして、わかる授業だとか仲間づくりをやってくださいということを言っています。それから、家庭でもやはり小さいときから、いつも言いますが、役割を与えていただいて、あるいは手伝いをさせていただいて、家族の中で自分はきちんとした役割を持って本当に大事な人間として認められているのだということを一つずつ積み上げていくということも私は大事だと思っています。それから、自然体験だとか、今地域の活動がいろいろありますが、子ども達はこのごろ地域の伝統芸能的なことにかなりかかわらせていただくようなことも出てきました。おやじの会だとか、いろいろな方の力もあります。そういう意味で、地域のいろいろな行事とか体験活動に出ていって、そして力をつけて不登校にならないような、何と言うか、基本的なものをつくっていただきたいと思いますし、そういうことを県としても頑張って市町村と一緒になってやっていきたいと思っています。いろいろなことをしながらやります。 支援センターの継続については、先ほど申したように、財政的なことなどもありますので、これからもう少し市町村の意見も聞く機会がありますので、聞きながら、本当にどうするのかという検討をしていく必要があるだろうと思っています。 |
<教育支援センターについて>No.3 |
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●知事答弁 |
今日では子ども達を取り巻くいろいろな環境が変わってきていますし、それに対する研究も深まってきたと思います。学習障害ですとか、あるいは発達障害だとか、そうした事象が、どういうわけかよくはわかりませんが、年々ふえてきているというのは我々経験値でわかるようになっています。 学校のいろいろなあり方についても、どうしても学校に適応できない子ども達がいることも事実で、議員のほうから指摘がありましたが、小学校の場合だと、全国と鳥取県とでは平均的には鳥取県のほうがちょっと上回るようになってきたと。かつて平成12〜13年ぐらいですか、大分鳥取県が上を行きまして、全国一不登校が多いというレッテルを張られた時代があって、それを克服してきたわけですが、その際に教育支援センターが果たしてきた役割は十分あったと思います。問題は、それをどういうようにファイナンスをするか、地域として県と市町村の役割分担を図っていくかということです。 私は、率直にこれから市町村と教育について、教育委員会や首長さんと議論をしていく時代に入らなければならないと思います。今までは県は人事だけをやる、教員の給料を払う、それから施設のほうは、小・中学校は市町村がやります、市町村の教委がそれを監督していくのですよというような仕組みだけがありましたが、それがばらばらで統合できていなかったと思います。もっとこれからは、県とか市町村とかいうことでなく、地域の子ども達を、幼稚園、小学校、中学校、高校、そして大学へと育てていくわけですから、一貫した話し合いをやっていくべきだと思いますし、それぞれの役割分担を果たしてもいい時代ではないかと思います。 このたび、例えば少人数学級など、いろいろな議論がありまして、議会でも大議論をしたときにも申し上げましたが、そうした意味で市町村とよくこの問題についても話し合っていき、少人数学級を今後どうしていくかという議論はまだ残っていますので、その問題とあわせて解決を図っていきたいと思います。 |