平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.5

<グリーン化税制の影響について>


 経済危機対策並びに環境対策の一環として、自動車取得税の時限的軽減措置が平成21年度から23年度にかけて実施されることになりました。
 これは、一定の排ガス性能、燃費性能を備えた自動車については、平成21年度から23年度までの間、新規、継続車検時の際に自動車重量税が減免されるとともに、この間に新車を購入した場合には、あわせて地方税である自動車取得税が減免されるものです。政策的には全く違和感はありませんが、ただ地方財政を考えるとき、大きな不安を抱いています。
 自動車取得税は、地方にとっては大きな固有財源です。県で収納した自動車取得税のうち66.5%が市町村に交付されており、19年度決算では、取得税15億 9,500万円のうち10億 6,400万円が市町村に交付されています。しかし、地方財政計画では自動車取得税交付金の減収を補てんする減収補てん特例交付金として、向こう3年間 500億円ずつ交付される計画になっていますが、減税に比べて補てん策は十分ではなく、地方財政に少なからず影響が出るように思います。この点について知事はいかがお考えかお尋ねします。
 こういった地方税に直結する税制改正については、それぞれの団体の執行部、議会で議論されてしかるべきと思いますが、現状ではそういう仕組みになっていないように私は思います。これは地方分権の観点からも問題と思うのですが、知事の所見をお伺いします。
 

●知事答弁
 
 私は、まだ始まったばかりなので、正直なことを申し上げればしばらくウオッチする、経過をよく見て国に対してもし不足があれば求めていくべきだろうと思っています。
 私は、市町村のお話もあったように、自動車取得税は市町村のほうにも、全部県が取りきりではありませんので、一部市町村に回します。ですから、市町村のほうもエコカー減税で減った分があって、その分は 500億円ずつ毎年入れるということになっています。これが足りるか足らないかということを検証する必要があるというのが問題意識だと思います。ただ、県のほうもそうで、自動車税が片方であり、エコカー減税で自動車がふえれば自動車税がふえるのではないか、だから、自動車税がふえた分だけは都道府県のほうにもメリットがあるだろうから、都道府県のほうはエコカー減税で自動車取得税が減ったとしても補てんはしませんというのは国の考え方なのですが、果たしてそううまくいくだろうかと私は思うのです。
 現実問題、今見た感じでは、この4月の段階の状況では対前年で30%ほど、3割ほど自動車取得税は減っています。それから車の数も 1,000台程度のものが 700台程度に減っています。ですから自動車税が果たしてふえてくるかどうか、単なる買いかえであれば、逆に自動車税は減るわけで、税率が下がりますので、だから私は、そこはちょっとおかしなところがあるのではないかと思っています。ただ検証が必要ですので、経過をよく見て国のほうに訴えかけるべきものであれば訴えかけたいと思います。
 そして、地方財政に直結する税制改正については、議会でも議論されてしかるべきであると、そうした仕組みになっていないので、これは分権の観点からも問題があるのではないかという御指摘、私はもっともだと思います。
 今回の自動車取得税の大幅減税は、財政局からすると確かにそんなには大きくない部分もあります。鳥取県ですと2%弱、1%台の税収になります。ただこれが、さらに自動車税のほうにも影響してきますが、自動車税のほうは大体県税収の6分の1ぐらいを占めています。30%ほどが個人の住民税関係で、大体2割強ぐらいが法人関係。それとあと、もう一つの大宗が自動車税です。ここに影響するような税制改正というのは非常に注意しなければならないわけで、国のほうで政策的に取り決める前に、我々地方団体側にも十分な協議があってしかるべきではないかと思います。その辺も問題意識を持って、これから向かっていく必要があるだろうと思います。
 フランスの場合は、政策的に地方税の減税を行うという場合は、全部国が財政的に補てんをするというのがルールで決まっています。我々も本来はそういうことをすべきではないかと思いますが、交付税でそこはあるからいいのだという、そういうロジックが時々浮上するわけですが、私は十分でもないと思います。