平成21年6月定例会代表質問(平成21年6月12日)No.6

<国直轄事業の負担金について>

 
 国直轄事業負担金とは、国道整備や河川改修工事などで国が実施する公共事業費の一定の割合を都道府県など地方自治体が負担する制度であり、地方財政法及び道路法等、各事業法で負担金の支払いが義務づけられています。この直轄負担金については、全国知事会は地方分権の趣旨に反するとして廃止を強く要求していますが、国は公共事業で利益を受けるのは地方と主張し、双方の言い分は平行線をたどっています。
 本件について平井知事は、5月8日の記者会見で、国から21年度の直轄事業の負担金の内容が示されたが、詳細が物になっていない。国庫負担金の適正を求めていきたいといった趣旨で発言されているようです。
 私も国からの文書の写しをいただき、その内容を確認しましたが、例えば河川関係経費として庁舎・宿舎の補修費 800万円強のほか、国土交通省の出先機関の人件費等4億円強など、直接工事に関係ない経費も多額に上っています。
 なお、地方財政法第12条第1項では、地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律または政令で定めるものを除くほか、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならないと規定されており、幾ら道路法等で維持管理費の一部を都道府県負担とすると規定されていても、国が今回示した道路そのものではなく、国の機関の設置、維持及び運営に要する経費まで含めるのは、法で規定している範囲を超えていると思います。この点知事はいかがお考えか、お伺いします。
 もし、法の規定の範囲を超えているとお考えであれば、地方財政法第25条の規定に基づいて、国にその返還を求めるべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 

●知事答弁
 
 現在、道路法とか河川法とかそうした個別の法律で国直轄事業の負担金が定められています。ですから我々のほうで年々歳々それを国のほうにお納めして、国がそれを使いながら事業を進めていくということになっているわけです。これは法律で決まっていますので、我々地方団体ではそれに反することはできない、ですから納めざるを得ないというのが現実です。
 法律問題だけで申し上げれば、例えば道路法の中で、国は道路の新築、改築を行うときは、その事業費について地方に負担を求めるというように書いてあるわけです。そのときの新築、改築についての事業費、この事業費というものの定義が、有権解釈権がこれは道路法ですから国土交通省にあって、国土交通省が解釈するとおりに我々は従わされているというのが現状なわけです。これは法律なので、解釈権は向こうにあるといえばそのとおりで、我々も従わざるを得ないということで、今までは唯々諾々として払ってきたわけです。今これだけ議論が浮上してきて、私たちはスクラムを組んで、都道府県でこの際是正を求めるべきだと思っています。
 一つには、透明性を高めるべきだということですが、このたび出てきましたが、必ずしもまだ十分でないところでやりとりをしています。それから負担すべき経費についても、鳥取県でも中海の事務所について負担が入っていました。 1,100万ぐらいだったと思いますが、3年間ぐらいでそういう負担が入っていました。それから国の職員の退職金も 2,200万入っていたのがありました。こういうようなところは、確かにそれは、国はここまでは事業費だというふうに解釈して、請求してきたということかもしれません。ですから、それは法的に追及するのはなかなか難しいところもありますので、返還してとまでは言えないかもしれませんが、ただ、今後のこととしてはやはりおかしいのでルールをつくりましょうと、これはスクラムを組んで求めていきたいと思います。
 さらに、維持管理費については、県は県道の維持管理費は全部自分たちで負担しています。ただ、国の直轄国道については国が負担するのですが、地方にも負担を求めるというのはアンバランスですので、これは是正すべきではないかと思いますし、行く行くは、将来的には、国と地方とはそれぞれが道路整備をするというように整理していくべきではないかと思います。いずれにせよ単県でやりますとどうしても力が弱まるので、今回はせっかく各県の共通理解も深まってきたので、知事会として共同で行動すべきだと思います。
 
<国直轄事業の負担金について>No.2

 
 非常にそれぞれ都合のいいように解釈し、関係法令もたくさん分かれていますから、整合性を持ってというわけにはなかなかならないと思います。それはこれからの将来課題になるかと思います。ただやはり県と市町村の関係の中にも国の直轄事業と同様なシステムとして、県道負担金や畑総総合整備事業負担金などが存在しています。

 市町村負担に関する県の文書を確認しましたが、事業名と事業費だけであって、市町村側から見ると、到底中身を精査できる内容でない状況だと思っています。ですから、改革を国に働きかけるだけでなく、県としてもみずからの意味をただすともに、やはり地方分権、知事からも申し上げておりますが、市町村に適切な情報を提供していくということが大切ではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。

●知事答弁
 
 確かに、県でも県営事業の負担金を市町村からちょうだいするものがあります。ただ、国の直轄事業と違うところは、ほとんどは実は国の補助金をもらうような事業、そういう事業で国の補助金もらいながら県営事業をやりますが、その一部を市町村に負担を求めるということです。ですから、例えば事務費とか、今問題になっている人件費だとか、庁舎を建てるとか、ああいう大盤振る舞いができるような仕組みになっていません。国の補助事業の制度の枠組みの中でしか我々は事務費を使っていません。
 ですから、例えば県道事業でいえば2%とか3%とか、せいぜい事務比率はその程度です。しかし、国のほうの国直轄事業だと、河川だったら11%ぐらい鳥取県の場合事務費の負担があり、こういうことでいいのだろうかというのは今の問題意識なわけです。ですから、県と市町村との間でそうした過度な人件費負担、例えば退職金の負担を求めるとか、そういう環境にはないことは事実で、そういう意味で問題は少ないとは思っておりますが、ただ片方で、議員がおっしゃるように、県と市町村との間で信頼関係を持ってお互い車の両輪で議論をしていき、事業をしていかなければならないものですから、市町村に対する情報開示をきちんとやるべきだと思います。
 現在、県のほうから示しているのは、事業費の総額若干の内訳程度で、例えば人件費にこれほどは入っていますとか、これはこういうようなお金ですというような説明が賦されているわけではありませんので、市町村のいろいろな御意見もお伺いしながら情報開示のあり方を改めていきたいと思います。今、我々は国のほうから情報開示をもらったものがありまして、そういうものもベースにしながら、ちょっとこれは事務的には手間が要りますのですぐにはできないと思いますが、秋ぐらいまでには内訳を市町村側に示すようにさせていただきたいと思います。