平成12年9月定例会代表質問(平成12年9月22日)No.14

<教育用コンピューターの整備について>

 今、私たちの身の回りでは、IT、情報通信技術を用いた情報化が進み、IT革命というべき時代に突入しました。そうした社会情勢を反映して、情報教育を一層促進するため、公立学校における教育用コンピューターの整備について、国は平成6年度から11年度までの間、小学校では児童2人に1台、中学校では生徒1人に1台の教育用コンピューターを整備するよう、国の交付税措置がなされてまいりました。そして、平成12年度から平成17年度には、小学校のコンピューター台数も1人1台として整備される方針に転換されたのを初め、インターネットへの接続、校内LANの整備へとIT革命時代を反映して、次の情報教育機器の整備への段階に入りました。
 ところが、国の交付税措置がなされているのにもかかわらず、県内の公立学校における教育用コンピューターの整備状況は、小学校で達成率が71.9%、中学校で86.7%と、特に小学校では低いようですが、県教育委員会として今後の対応をどう考えておられるのか、有田教育長にお伺いします。
 今まさにIT革命の時代と言われながら、将来必需品となるコンピューターの整備がおくれていることは、整備されていない町に住む子ども達は大変不幸であると思います。また、国の交付税措置がしてある中、教材が整備されないことは、現実論として、市町村において教育委員会に財政権のない弱さだと思います。教育の裁量権は教育委員会の専権事項であるといつも片山知事は答弁されておりますが、市町村におけるこうした実態を片山知事としてはどう思われているのか、御所見をお伺いします。

●知事答弁
 IT革命の時代になったのに、市町村でちゃんとコンピューターを学校に配置していないではないかということで、私も、今日の情報化社会、コンピューターネットワークの時代において、子どもからお年寄りまで情報社会を活用できる、情報社会で生き抜くすべを身につける、そのための教育というのは大変重要だろうと思います。先般もアクションプログラムの中でリテラシーの向上、情報活用能力の向上ということを一つの柱にしているということも御紹介しましたけれども、特に子ども達の教育は大切だろうと思います。
 その際には、しかし、パソコンを設置するという機能の整備、使い方の学習と同時に、マイナスの面、負の面もありますから、その辺もよく認識をしてもらうような総合的な教育が必要だろうと思いますが、その上で、ともあれ県内の市町村の学校にコンピューターがちゃんと導入されるということは、私も大切なことだろうと思います。そのために、基準を決めて交付税を配分しているわけです。
 ただ、交付税どおりに使うか使わないかというのは、これはやっぱり市町村の判断で、県が使いなさいと言って指示をするわけにはいかない。これはやはり地方自治、地方分権の時代になれば特にそうだろうと思うのです。ちゃんと整備するかどうかは、ある意味では市町村の責任であり、市町村の見識のあらわれだろうと私は考えております。ただ、私が市町村長ならちゃんと配置すると思います。そういうものだろうと思います。
 配置していないところはどういう事情なのか、私もちょっと伺ってみたいと思うのですが、そもそも学校の現場や保護者の皆さんの間でそういうものをしなくていいというような雰囲気があるのか。それだったらしようがないと思うのです、不必要ですから。しかし、現場では必要性を感じているけれども、どうも町長さんの予算の編成の中に盛り込まれないということがあれば、どこかにずれがあるのだろうと思います。それは伊藤議員御指摘のように、町村の教育委員会が非常に弱腰であるということかもしれませんし、議会が機能してないということかもしれません。いろんな問題があるのだろうと思いますけれども、私は、議会でもぜひよく議論をして、住民や学校現場の声が町村の財政にも届くような構造改革、体質改善が、これはコンピューターの問題に限らず必要ではないかということを考えております。
 こんなことを申し上げても、もし県立の高校に基準に達してない状態があるなら私も恥ずかしいわけですので、もしありましたら、ぜひ教育委員会の方からお知らせをいただきたいと思います。手当てはしたいと思います。
 それに関連して、私も実はこの間、町村の教育長会議の総会に出まして、そこでいろんな意見交換もしたのですが、どうもやはり伊藤議員が御指摘になられましたように、少し弱腰といいますか、控え目といいますか、遠慮がちなところがあると思いました。従来、市町村でもやはりハード先行、ハードを重視するという行政の中で、教育委員会というものがちょっと遠慮ぎみになったというきらいはあると思います。特に国や県の補助制度があるからやる、なければやらないというような体質が強く見受けられるような印象を持ちました。 しかし、これからの時代というのは、子ども達の教育というのは本当に大切なことだと私は思います。次代を担う子供たちを今育てるという大切なことですから、現場で必要な予算、子ども達を生き生きと育てる予算というものは、市町村においてももっと十分に予算化されるべきだろうと思います。したがって、この間の町村の教育長さんの総会でも、教育長の皆さん方に、ぜひ遠慮しないで、いい意味でずうずうしくなって、もっともっとみずからの主張をすべきではないですかというお願いをしておいた次第です。
 
●教育長答弁
 お話にもございましたが、11年度末の鳥取県内の市町村全体のコンピューター整備計画の達成率は、全国平均を上回ってはおります。県内の約4分の3の市町村が達成しておりますが、4分の1の未達成の市町村がございます。内訳を少し紹介しますと、12年度、今年度中に小中学校すべて整備するというところが5つの町村がございます。さらに13年度予定が4市町村、そして14年度に1市ということで、14年度にはすべての学校で整備計画を達成される予定のようですけれども、できるだけ早く整備目標を達成できますように、関係市町村に対しては、この整備による子ども達の教育上のメリット部分、そういったものも個別に十分に御提示しながら、個々の対応をしていきたいと考えております。
 なお、こうしたコンピューター整備とともに、特にインターネット接続につきましては、その大容量化、高速化ということが今非常に強く求められており、私ども教育関係者として、一日も早く高速化につきましての整備もお願いしたいと考えているところです。

<教育用コンピューターの整備について>No.2

 先ほど申しましたが、教育用コンピューターと学校図書館とは基本的には同じだと私は考えております。どこの市町村も、子ども達の教育用コンピューターや図書は規定どおり整備してやりたいという気持ちは同じであろうと思います。しかし、気持ちがあっても現実的に整備できないことは、それだけ財政状況が厳しいということでしょう。確かに市町村は、将来を担う子ども達を生活が苦しい中でも積極的に投資してでも育てていくか、それとも便利さを求めて事業を優先させていくのかという厳しい選択を迫られる中で、あれかこれかという投資の優先順位をつけるわけですが、厳しい財政状況の中では、どうしも教育関係の予算は先送りされる傾向にあるかと思います。
 また、こうした学校図書の現状打開策の一つとして、今、県内の公立図書館でコンピューターのネットワーク化が進められております。いつでも、だれでも、どこでも、県内の公立図書館の所蔵情報が入手できるようになりますが、県内の小・中・高等学校の図書館からも公立図書館の所蔵情報が入手できるよう、ネットワーク化を県独自でも推進することが必要と思いますが、このことについて有田教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
●教育長答弁
 私ども県としましては、現在公立図書館同士のネットワーク化を進めております。例えば県立図書館におきましては、本年の7月にとりネット上に図書データを公開しました。したがって、市町村立図書館も順次ネッワーク化に努めていただいておりまして、数はまだ少ないですが、こういう状況が一方で確保されれば、学校からは現在、鳥取県内の学校94%はインターネットを接続しておりますので、ここから図書情報の検索は可能であるという状況にございます。
 すべての公立図書館がこのネットワークに早期に参加していただきますように、関係市町村教育委員会に働きかけたいと思いますし、さらには、お話の大前提にあると思いますが、市町村で、公立の図書館をつくりたい、つくろうという機運が非常に早くから醸成されてでき上っているところと、いまだに何ら動きのないところと、こういった大きな違いもございます。こういう違いが住民の方々、とりわけ子ども達にどういう影響を与えているかというようなことも可能な限り情報提供しながら、先ほど言いましたように、最終的には首長さんにこの必要性がよく理解できるような努力も、私どもの役割として引き続き努めなければいけないと思っております。
 なお、国の新しい情報機器の整備計画によりますと、平成13年度までにはすべての学校がインターネットに接続をし、17年度までには学校の図書館を含めた特別教室にもコンピューターを整備するという計画がございます。私ども鳥取県内にでも、できるだけこうした計画が促進するように努めながら、お話にありました子どもと読書、この関係が一層充実するように努めたいと考えております。

<教育用コンピューターの整備についてについて>No.3

知事と教育長の見解はずれているようですが、いずれにしても、教育現場は本当に厳しい状況ですので、市町村も確かにそれだけの財力、また人的交流の問題もありますし、そういう部分を本当に検討していただき、また市町村の声を聞いていただいて、前向きな検討をしていただきたいと思います。