平成12年9月定例会代表質問(平成12年9月22日)No.17

<21世紀人づくり施設県民提案事業について>

 昨年度は、「21世紀の人づくりと教育のあり方を考える会」で提言をまとめられたところですが、今年度は、これらの提言を県民ワーキンググループでさらに具体的検討を加え、予算化を伴った事業の実施を計画されているようです。私としましては、混迷をきわめる時代にあって、人づくりについて活発な議論をすることは大変重要なことであり、多くの県民の皆さんの声を聞くことは、これからの県政を進める上で大変重要なことであると思います。
 ただ、これまで片山知事は、事あるごとに教育の裁量権は教育委員会の専権事項であり、教育委員会の決定を尊重すると答弁をされております。21世紀の人づくり施策県民提案事業の推進に当たっては、教育問題を切り離して語るわけにはいかないと思います。しかし、県教育委員会としても昨年度から21世紀鳥取県教育への提言を募集されるとともに、21世紀鳥取県教育のあり方検討委員会を設置され、座談会やアドバイザー会議等を開催される中、21世紀鳥取県教育ビジョンが策定され、決定されたところです。
 そこで、同じような検討委員会を知事部局と教育委員会で並行するかのように進められておりますが、この2つの委員会の提言なりビジョンをどうリンクされるのか。また、あくまで別々に進められるのか、片山知事に御所見をお伺いします。

●知事答弁

 21世紀の人づくり、教育委員会でも21世紀教育ビジョンをつくられ、知事部局、企画部にやってもらったのですが、21世紀の人づくりと教育のあり方のビジョン、両方があって、どういう関係になるのかという非常にもっともな御質問ですが、実は教育委員会の方が教育ビジョンをつくられるということで、これは私は大いにやってくださいと。教育委員会みずからが県民の皆さんの意見を聞いてまとめるというのは非常に大切なことですから、やってくださいと申しましたが、あわせて、幾つかの理由により、教育委員会とは別の場で人づくりの問題を考えるということも必要ではないかということで、企画部に指示をして、21世紀の人づくりと教育のあり方を考える委員会というものを設置しました。
 その考え方というのは、1つは、人づくりというのは必ずしも教育の分野だけに限られない、そういう性格があるだろうと思います。それは例えば人づくりでいいますと、大人の社会のあり方、大人の物の考えようというのもあるわけで、そういうのは必ずしも教育委員会の中だけでできるものではありませんので、教育委員会のほかの分野、これも含めて考えなければいけないという、これもこの委員会をつくった1つのねらいです。
 もう1つは、これは多少教育委員会の人は耳が痛いかもしれませんが、教育委員会にもやはり外から刺激を感じていただいて、いい意味で教育委員会というものを揺さぶるという面も必要ではないかという考えも持っておりました。もちろん教育委員会も、みずからの教育ビジョンをつくるときに外部から意見を聞いておりますけれども、どうしても教育委員会の設営した土俵の中で出てくる意見というのは、おのずから制約があるといいますか、幅があるのだろうと思います。例えば教育委員会にとって耳の痛い話とかメンツにかかわるような話は余り出てこないでしょうし、一生懸命聞こうと思っても長年の習慣がありまして、聞くチューナーの範囲というのがちょっと狭まっている可能性もありますので、そういう意味では、教育委員会の外でいろんな人の意見を聞くということも大切だろうと思いました。
 もう1つは、どうしても専門の部局ですと、制度上障害があるようなことはなかなか検討対象にならないのです。今法律がこうなっている、したがって、いろいろ意見を言われてもそれはだめですということで、そこで捨象されてしまうということがよくあります。これは教育委員会に限りませんけれども。しかし、今の現行制度上どうにもならなくても、今我々が将来の教育にとって考えておかなければいけない問題というのはいろいろあるだろうと思うのです。そういう問題を酌み取るのも、やはり教育委員会以外の場がいいのではないかと、こんな考え方を持って取り組んだわけです。
 教育委員会の21世紀教育ビジョンもいいできだと思いますが、企画部でまとめていただいたビジョンも、読んでみますとかなり味わい深いものがありまして、例えば教師の採用方式見直しの提案ですとか、社会人や民間の方をもっと教育の現場で活用するのが生きた教育になるのではないかとか、教育の現場でもっともっとディベート、議論といいますか論争、そういうものを取り入れるべきではないかとか、いろんなことがこの提言には出ております。私もなるほどと思いますし、これからの教育を考える場合には、ぜひ検討しなければいけない課題だと思います。
 教育委員会にとっては、この企画部でやりましたビジョンというのは、ちょっと迷惑かもしれません。部外者が余計なことをして大きなお世話だと思っておられるかもしれませんけれども、私は、このしゃばの意見というのは、外部の方の辛口の意見というのは、ぜひ謙虚に耳を傾けていただきたいと思うのです。文部省の方ばかりを見るのではなくて、こういう外部の、時には辛口で耳の痛いこともあるかもしれませんが、そういう意見にもぜひ耳を傾けていただいて、これからの教育の中に反映させていただきたい。両者の関係はそうあってほしい、こう思っております。これこそが地方分権時代の教育にふさわしいやり方だと考えております。