平成12年9月定例会代表質問(平成12年9月22日)No.5
<財政問題について> |
平成12年度の国の財政状況は、長引く景気低迷を反映して、国税の大幅な減収に伴い、交付税会計は出口ベースが22兆円余りに対して、入り口ベースは15兆円弱と厳しく、不足分は借入金で対応する極めて不安定な状況にあります。政府税制調査会からの中間答申は総選挙後の7月の上旬になされ、税体系の見直しが提言されているものの、国会ではまだ具体的な審議はなされておりません。収入の37%を交付税に頼っている脆弱な鳥取県の予算を考えるとき、早期に税制の検討を進め交付税会計の財源確保を行うか、国と地方の財源配分を見直してほしいと祈るものです。 そうした中、昨年の9月定例議会において鳥取県の中期財政見通しの見直しを強く要望したところ、平成12年度予算の編成に合わせて、平成17年度までの中期財政見通しが発表されたところですが、その中身としては、交付税が現状ベースの場合と厳しくなった場合を想定した2つのケースで作成されております。 また、県の財政は、予算規模を上回る県債残高を抱える中、毎年度の収支は赤字で、11年度末に1,014億円あった基金を取り崩しての対応で、平成17年度末には基金残高が3分の1から6分の1に減少する予測です。中でも問題なのは、借金の返済に充てる公債費が県税収入を上回る実態にあることです。いずれにしても、こうした単年度赤字を17年度まで続ける見通しです。現実問題として、このような単年度赤字の会計を基金がなくなるまで実際に続けていかれるのか、片山知事の御所見をお伺いします。 また、他県がいち早く基金の底を突いたとき、鳥取県はそれなりの基金があり、交付税不交付団体から、交付税のウエートが高い鳥取県が裕福とはけしからぬというような声が上がったことがありましたが、片山知事としては、鳥取県の予算規模からして幾ら程度の基金が理想と考えておられるのか、あわせてお伺いします。 |
●知事答弁 |
財政ですが、中期財政見通しのことに触れられまして、基金についてのお話がありましたが、その際に、基金がなくなるまで漫然と財政運営を行うのかという御指摘もありましたが、決してそんなことはありません。基金があるからそれを使い切るまでやるというのは、見直しをする前の中期財政見通しはややそういうことになっていたわけです。ですから、私は、その中期財政見通しはおかしいということで、つくり直しもしたわけです。 現在の中期財政見通しで示したのは、現状程度の一般財源、例えば税と交付税ですが、現状程度の一般財源がずっと続くとすれば、先ほどの大規模プロジェクト、美術館とか砂丘博物館とか、そういうものを仮に見込まなくても、やはり基金が減ります、ということを示したわけです。したがって、大規模プロジェクトを行えば見通しよりもさらに基金は減ると、こういう単純な結論になるのでありますけれども、そういうことを示した上で、そうした見通しを踏まえてこれから各種プロジェクトの見直しも行わなければいけないし、既存の事業についても厳しくチェックをしなければいけない。そのための一つの判断材料として中期財政見通し、わけても基金の見通しというものをいわば機械的、客観的に出したわけで、あれをそのままずっと使っていくべきだとか使っていきたいとか、そういうことで示したわけではありません。今のままずっと続けていけばこうなりますよということを単に示しただけです。 その基金について、適正規模はどうかということでありますが、私は適正規模というのは余りないような気がします。多ければ財政を預かる者としては非常に安心ですが、そうはいっても多々ますます弁ずというわけでもないと思いますし、これは積立貯金とは違いますので目標額があるわけでもありません。その辺は、私はある意味では融通無碍に管理していくべきものだと思います。融通無碍というのはむちゃくちゃにという意味ではなくて、柔軟にという意味でます。 毎年の予算編成でこれは崩すか崩さないか決めるわけですけれども、その崩すか崩さないかというのは、要はその基金を崩してまである事業をやる必要があるのかどうかということを吟味して、本当に必要で基金を崩してまでやる必要があるということになれば、そういう合意が形成されれば、私はある程度崩すことは必要だろうとは思いますし、そこまでする必要がないのではないか、先伸ばししてもいいのではないかということであれば基金を崩すことはない。それはまさしく予算編成の過程、予算の審議を通じて議論し、合意を形成して一つ一つ決めるべきことだろうと思います。それぞれの状況に応じてその都度判断せざるを得ない問題だと私は考えております。 |
<財政問題について>No.2 |
財政の基本は、いつも知事がおっしゃっておられるように、歳出を決めてから歳入を決めるのが本筋です。それが理想であるわけですが、現実的にはある程度予想がされる歳入、特に自主財源を頭に置きながら歳出を確定する形が一般的であろうと思います。 そこで、鳥取県でも、あれもやりたい、これもやりたいという思いは限りなくありましょうが、今の自主財源、さらには交付税会計の諸情勢を考えるとき、新年度予算の編成に当たり、歳出削減を図るため、大枠としてキャップをかぶせるとか、何か特別な編成計画を考えていかなければならないと思いますが、片山知事の御所見をお伺いします。 また、鳥取県は予算額の割に他県より基金があるというものの、基金の中身を見てみますと、それぞれの目的を持った基金ばかりで、余り自由になる基金がないのが現状です。いざというときは目的外使用を含めて基金の活用を片山知事としてはどう考えておられるのか、お伺いします。 |
●知事答弁 |
予算の編成に当たって、一般財源のことを念頭に置いて、例えばキャップ制のようなことを考えてはどうかという御提案です。そういう考え方もあると思いますが、私は長年財政問題に携わり、予算の編成などを行ってまいりましたが、将来と申しますか数年先まででも、機械的に決めてしまうというのは余りよくないと思っております。といいますのは、毎年毎年やはり財政の事情が異なりますし、歳入も変わりますし、特に歳出につきましては、今年は特にこういうことをやらなければいけないとか、来年はそうでもないとか、各年事情が違うわけで、その事情をきめ細かく見ながら予算編成はやっていくべきものだと思います。 もちろん全体の姿を見通して予算編成をしなければいけませんから、予算を編成する場合には、まずは伊藤議員がおっしゃられたように一般財源が一番大切ですから、一般財源がどうなるのかということをまず推計します。税と交付税がどうなるのか。あくまでも推計ですが、その推計に基づいて、おおよそ予算の各年の規模というのは見当がつきます。それを念頭に置きながら、個別の予算の要求というものを整理していくということをやっている、これがいわゆる予算の査定作業であります。こういうことをやっております。 でき上がった予算の原案は、議会に提出しますが、その際にも、きちっと一般財源の見通しというものをつけて出しております。この一般財源の見積もりというのは、時々多少狂うことがありますが、そんに大きく狂うことはありません。この一般財源の見通しもあわせて予算の提案の際に出しておりますので、それらを見ていただいて、議会でもその一般財源に対応する全体の歳出予算がこれぐらいでいいのかどうかということは、マクロでもその都度管理といいますか、チェックをしていただければと思います。 先ほど言いましたように、キャップ制でありますとか、従来シーリング制というのがありましたけれども、それなりに意味がないわけではありませんが、私は、総じて機械的・硬直的な予算編成になってしまう、かえって弊害の方が大きいという認識を持っております。 そこで、またお願いですが、私どもがいいと思って編成した予算についても、見方を変えればむだだとか、もっとスリムにできるのではないかということもあると思いますから、これからの各年の予算につきましては、細部にわたってもぜひ吟味していただいて、不用なものと判断されるものがありましたらその都度御指摘をいただく、そのことが予算というものを生き生きとさせて、そしてむだのないものにすることになると思います。キャプ制よりはそっちの方が、個別・具体的に吟味していただく方が有益だろうと思います。 基金についての御質問で、鳥取県にもいろんな基金があります。それぞれ目的のある基金がほとんど、財政調整基金以外はすべてと言っていいかもしれません。全部目的を持っております。そうしますと、一般的にはお金がなくなったのに目的のある基金にはお金がある。この辺を何か有無相通ずるといいますか、借用できないかというような御趣旨だと思います。 もし万が一、これから本当に財政がもうにっちもさっちもいかなくなってしまったような状態のときには、背に腹はかえられませんから、基金の目的外使用といいますか、基金の目的を変えて使用できるようにするということもあり得ると思います。もちろん条例にそれぞれ基金の目的を書いているはずですから、その際には条例の改正が必要になるだろうと思います。当面は今そういう状態にありませんから、基本的には現行の目的の中で運用したいと思いますが、もし万が一にっちもさっちもいかなくなったというときには、合意を得て条例を改正して、目的を変えてほかのことに使うということはあり得ると思います。命あっての物種ということだろうと思います。 |