平成12年9月定例会代表質問(平成12年9月22日)No.7

<県立施設の管理運営費負担のあり方について>

 倉吉市に来春オープンを目指して建設が進められている倉吉未来中心の管理運営費について質問します。
 倉吉未来中心は、3つ目の県民会館として建設中でありますが、中部では、この管理運営費の負担割合をめぐって大変な混乱を来しております。この問題については、6月定例県議会で長谷川議員が片山知事に質問されたところ、最初から県が100%見るという条件であれば建設に立ち至らなかった、経緯は尊重しなければならないと、さらりと冷たく答弁されたところですが、中部に住む私としても納得がいかないものがあります。
 県民会館的な施設の要望は、過去から東部・中部・西部地区とそれぞれ要望があったわけです。中部地区の場合、昭和54年に国土庁のモデル定住圏計画に指定されたときから、その計画の一環として定住文化センターの建設を要望してきたものであります。米子のコンベンションセンター・ビッグシップにしても、もとは産業経済会館の建設要望でありました。ともに計画としては鳥取県にとっては必要であるという観点から、鳥取県総合計画にも位置づけられてきた事業であります。6月県議会の中で片山知事の答弁としては、はっきり県民会館が1つでよいとか、県都である鳥取市がよいとかいう答弁はされていませんが、県民会館のあり方として片山知事はどう考えておられるのか、御所見をお伺いします。
 もし県民会館が県都である鳥取市がよいと結論されるならば、どの時点で、どのような形の中でその結論が出されたのか、お伺いします。
 東部・中部・西部地区それぞれが県立施設であり、管理運営費が平等に県負担であれば問題はないわけでありますが、鳥取市にある県民文化会館が昨年度管理運営に要した経費は3億2,000万円余りで県が丸抱え、米子コンベンションセンター・ビッグシップでは、事業収入を除いた2億5,000万円弱を県と地元市町村が折半で負担しております。米子市の負担は地元市町村負担分の9割で、約1億2,400万円にもなります。
 倉吉未来中心の場合、事業収入を除いた管理運営費のマックスの見込みは2億6,000万円余りで、地元市町村の負担金は1億3,000万円にも上ります。中部では、この地元負担金のうち5割を倉吉市が持つのか、西部のように倉吉市が9割持つのか、負担割合の決定をめぐって混迷をきわめている状態です。
 いずれにしても、倉吉市は250億円と米子市の半分の財政規模でありながら、倉吉市が地元市町村の負担金の2分の1を負担した場合で6,500万円、米子市のように9割負担するとなれば1億2,000万円もの負担をしなければなりません。例えば倉吉市が地元市町村の負担金の2分の1を負担するとした場合、1カ町村の負担金は平均で720万円余りとなります。ちなみに西部の町村の場合、ビッグシップ近隣の町村で最高が140万円弱、少ないところは13万円余りです。 しかし、中部地区の町村も半数以上が町村独自でホールを抱えており、町村有施設の維持管理だけでも四苦八苦という現状であり、現実的に負担できる状況ではありません。片山知事、もしあなたが中部地区に住む県民でありましたら、こうした2重の負担の現状を素直に納得されますか、一県民の立場に置きかえて御感想をお尋ねします。
 
●知事答弁

 県民会館と中部に今度できます倉吉未来中心の件ですが、県民会館が東部で1つでよいのかどうか、私の考えをということでしたが、これは私がどうこう言う前に、かつて既に決まっておりまして、経緯を申しますと、昭和50年代の半ばであると思いますが、県民文化会館、当時は県民会館と言っておりましたが、県民会館をどこかにつくろうということで議論があって、第4次鳥取県総合開発計画の中で1カ所つくる、事業主体は県であると、こういうことが明記されていたようです。1カ所を県がつくると。したがって、その場でどういう議論があったのか私もよくわかりませんが、とにかく県民会館というものを1カ所どこかに県がつくりますということで合意があったのだろうと思います。
 その後、昭和60年に、今度は第5次総合開発計画でありますが、この中では鳥取市につくる、事業主体は県であると、こういうことが明記されておりますから、この5年の間に鳥取市に県がつくるということのコンセンサスが形成されたものと思います。これが、答えになるかどうかわかりませんが、県民会館が鳥取市でいいのかどうかということの経緯、結論です。
 一方、米子にコンベンションセンターがありますが、これは昭和50年代には商工会議所がつくるということが当時明記されております。事業主体は商工会議所。ところが、昭和60年の5次総になりますと、今度は事業主体は県が先ではなくて、市町村、県、その他となっております。これは西部につくりますと。したがって、当時西部経済文化会館という構想になっているわけです。この経済文化会館は平成2年の6次総のときは、今度は事業主体は逆さまになって、県と市町村と明記されております。
 平成7年度になりまして、私は当時総務部長をやっておりましたが、事業主体は決まったけれども、いつまでたっても場所が決まらない。郊外がいいのか、それとも駅前がいいのかということで何年も時間を費やしていたので、少し強引であったかもしれませんが、なるべく早く合意形成をしようということで、いろいろ手だてを講じまして、平成7年に合意が形成されて、駅前に県と米子市とが共同でつくるということが決まって、それから計画が実施に移されたわけです。
 そのころ、倉吉未来中心、当時は定住文化センターと言っておりましたが、これも早くやろうとこういうことになって、平成7年から機運が盛り上がったわけです。
 この倉吉未来中心、かつての名称で言えば定住文化センターは、昭和50年代のときに定住文化圏のモデル事業として、モデル定住圏計画の中で位置づけられまして、その後昭和60年に中部広域行政管理組合がこの定住文化センター構想に主体的に取り組むということから始まったわけです。
 平成2年の6次総でも同様で、中部広域行政管理組合が主体となって取り組むということで進められておりました。
 ところが、物事は一向に進みませんで、先ほど言いましたように平成7年度に米子のコンベンションセンター、西部経済文化会館構想が動き出したことをきっかけにして、中部についてもこの定住文化センターを米子と同じ方式でやったらうまくいくかもしれないということで、中部から機運が盛り上がって、それから計画が進み出した、そういう経緯があります。
 伊藤議員が言われることは私もよくわかるのです。同じような使われ方をする会館があって、鳥取の場合には地元負担はなし。全部県費でやっております。これは確かです。しかるに西部でも、今度できる中部でも、それぞれ地元負担が求められるのは不公平ではないかというのは、そこだけ見ますとそのとおりだろうと思います。しかし、やはりいろいろ経緯がありまして、先ほど言いましたように、県民会館というのは、鳥取県62万人の人口規模だと1つというのが常識的だろうと私は思うのです。ほかの県で、60万の県はありませんけれども、近い県で3つ持っているところはないはずです。ですから、1つつくろうということで、それで県の役割は一応終えたという認識が恐らく当時あったのだろうと思います。
 しかし、西部にもある程度の規模のものが欲しいし、中部にもということで、その声にこたえる形で、それでは県民会館は1つだけれども、地元と協力してジョイントでやるのならばやれるかもしれないということで、そこから両者が歩み寄っていろんな相談をした結果、ジョイントベンチャー方式でやろうということになって、そこでみんなが納得をして進んだ事業で、私はその経緯は今日やはり尊重されるべきだろうと思います。完成間近になってあれは間違いだったと言うのは信義則に反するだろうと思います。
 もちろん将来県民の皆さんの意識も変わり、また使用・活用の形態も変わって、見直そうじゃないかということはあるかもしれませんが、今の段階で、さあこれからスタートしようという段階で、あの約束はほごにしようというのは、私は余りほめられたことではないという気がします。
 中部だけ損しているのではないかというのは、先ほども言いましたように、気持ちはわかるのですけれども、一つ一つを見れば、そういう矛盾点があるのはほかにも幾らでもあります。私はよく鳥取市長から言われるのですが、例えば湖山池は鳥取市がほとんど周辺の公園整備なんかやっているわけです。東郷湖は県がやっているわけです。同じような池で、どうして県でやってくれないのですかということを鳥取市長さんから言われるのです。それも経緯としか答えようがないわけです。
 中部は流域下水道を県がやっております。莫大な投資をしておりまして、建設の部分に県費だけでも恐らく100数十億つぎ込んでおります。したがって、その分は中部の公共下水道の負担が軽くなっているはずです。鳥取市は公共下水道を全部自分でやっております。そういうのも一々挙げれば、鳥取市は損だということになるのです。
 もっと言えば、東郷湖は県が整備をする。湖山池は鳥取市が整備している。同じ水辺でも米子の湊山公園もきれいに整備されておりまして、私もあそこは好きなものですからよく行くのですけれども、あれも米子市が全部やっているわけです。ですから、一つ一つを取り上げてバランスだけを言うと、本当に不公平が目立つと思いますけれども、県政というのはいろんなものが集合体で行われているものですから、全体をよく見ていただいて、その上で、でも余りにもやっぱりどこかは手薄いとかいうことがあったら、それはそれで私は大いに議論して、それからの方向を変えたらいいと思うのです。一つ一つだけとると、やはり答えにくいことがいっぱいありますけれども、その辺は御理解をいただきたいと考えております。
 

<県立施設の管理運営費負担のあり方について>No.2
 私は、県民の立場からすれば、県立施設であるはずなのに、県民文化会館以外のビッグシップにしても倉吉未来中心にしても、なぜ市町村が管理運営費を持たなければならないかという素朴な疑問を持っている人はたくさんあると思います。東部に住む人も中部に住む人も西部に住む人も、同じ県民税を払っているのになぜと思われている人は大変多いと思います。片山知事の政治方針は「公平で公正な県政」だと思いますが、一部の人だけが、県民税を払った上、さらに運営管理費を二重に負担することが本当に公平で公正なことでしょうか、知事の御所見をお伺いします。
 6月の県議会においても、管理運営費の地元負担方式を将来の検討課題と含みを残された答弁をされたわけですが、過去の経緯は別にして、片山知事自身は問題があるとの認識に立って発言されたと理解していますが、それでよろしいのでしょうか。もし問題があると認識されているならば、地元負担方式を将来の検討課題と先送りにされずに、早急な見直し検討課題として議論の俎上にのせていただきたいと思います。
 といいますのも、大プロジェクトにしても、それぞれの経過の中で計画をされてきているわけです。大プロジェクトだけを見直してという部分、一部のものを見直してという部分で片山知事は見直しをされているわけですが、そこまで認識があって、なぜこの問題を議論の俎上に早急に上げれないのか、お伺いします。
 また、倉吉未来中心は中部地区の皆さんが支えていかなければならない施設であるのにもかかわらず、安全祈願祭というか起工式に中部の市町村長には案内がなく、負担金を払うようになってから出番ということで、感情もいささかこじれているようです。くしくも大きな事故が発生するなど、足並みのそろっていない安全祈願祭であったのではないかと思いますが、このことについて知事の御所見をお伺いします。
●知事答弁
 倉吉未来中心の管理費の話で、私も本質問の際に率直にお答えを申し上げたつもりです。そこだけを、その点だけを今の時点で見れば確かに不公平だと思います。鳥取市にあります県民文化会館は、全部県が整備をして、管理費運営費も全部県が払っております。しかし、その後の米子コンベンションセンター、今度できる倉吉未来中心については、それぞれ地元の負担を求めているわけで、そこだけを見ると不公平という感じは確かにすると思います。
 しかし、先ほど来申し上げておりますとおり、そういうことであってもいいから協力してつくろうではないかというその意思一致、納得合意というものがスタート時点であったわけで、その約束に基づいてみんなで協力をしてきたわけです。それぞれ市町村も財政事情は厳しくなっていると思います。県もそうです。しかし、県は半分出しますという約束をした以上は、今手を引くというようなことは申し上げるつもりはないわけで、お互いやはり約束は信義則に従って守るべきだと私は思います。
 この3つの似たような箱物だけを比べると、不公平感は確かにありますので、その際の解決法としては、例えばこれは極論かもしれませんが、不公平だから全部県が見ろという伊藤議員のお考えもあるかもしれませんが、それだったら、2つは、中部と西部は地元も負担しているのだから、東部の鳥取市にも負担してもらったらどうであろうかと、こういう案だってあるはずなのです。そういう御提案をいただけるのであれば、我々も一生懸命折衝いたしますが、ぜひ広い観点から御提案をいただければと思います。
 鳥取市のために言うわけではありませんが、例えばさっきも言いました繰り返しになりますが、下水道などは中部は県が随分金を投入していると私は思います。米子も鳥取もすべて市でやっているわけで、そういう面の不公平も不公平と言えば不公平になるわけです。
 ナシ記念館が今度倉吉にできます。これは全部県が駐車場も含めて整備することになっていると思います。鳥取市にわらべ館というのがありますが、これは事実上半分は鳥取市の負担管理です。駐車場は全部鳥取市がつくっております。ですから、一つ一つ取り上げればいろんな問題点があるので、それを今全部見直そうというわけには多分いかないだろうと思います。トータルにいろんなことを総合的に判断して、やはりどこどこの地域にはもう少し光を当てなければいけないなというようなことはいずれあるだろうと思います。そういうものは、そういう観点から見直しをしたらいいのではないかということを私は申し上げているわけです。
 その未来中心の安全祈願祭の際に町村長さんは招かれなかった。金だけ払えというのはおかしいではないかというのは、安全祈願祭というのは県がやっているのではなくて施工業者がやっているわけで、この場合も建築工事に当たっておられる業者が主催しているので、私どもにその辺を言われてもよくわからないのです。
 ただ、詳細はわかりませんが、ちょっと念のため聞いてみましたら、町村長さんにも代表の方に案内は出したが欠席であったという、本当かどうかわかりませんが、そういう話も聞いておりまして、この辺は、もし必要でありましたら、ぜひ主催をされました建築業者の方におっしゃっていただいた方が適切かと思います。
 

<県立施設の管理運営費負担のあり方について>No.3

 倉吉未来中心の管理運営費ですが、県が試算している金額はマックスな数字であるということですが、全体で3億700万円となっております。高知県の県民文化ホールが大ホール、小ホールとも同規模で、延べ床面積が少し小さい程度ですが、2億3,300万程度です。私も県議会の最初でも質問しましたが、確かに県と市町村とは器が違うというものの、執行金額の価値観がかなり違うように思われます。市町村は厳しい財政状況の折、紙1枚、鉛筆1本からの積算の中で予算組み立てをし、さらに、それから削減されているのが実態です。この負担金は、建物がある限り払い続けなければならない金額です。人件費にしても、他の経費にしても、もっとしっかり精査をしていただき、マックスな数字ではなくして、現実に近い数字をたたき台として市町村に示すとともに、積算根拠を十分説明して合意形成を得なければならないと思いますが、知事の御所見をお願いします。
●知事答弁

私もそのとおりだと思います。これはかなりの金額になりますし、単年度の予算措置で済む話ではありません。したがって、県でもよく精査をして、これは13年度から開館になりますから、開館に当たっては来年度の予算でよく精査をして、必要最小限になるようにしたいと思います。当然のことですし、現在はまだ推計ですから完璧でないのはやむを得ないと思いますが、現時点で推計しているものについては、積算根拠も含めて十分な情報提供を倉吉市を初めとする市町村に行うべきだと思います。行いたいと思います。
 それについて、市町村においてもぜひよく精査をしていただいて、ここのところは要らないのではないかとか、もっと安くできるのではないかとか、そういう御提言を遠慮なくしていただきたいと思います。県が決めたから不承不承それに従うということではなくて、必要がないと地元で思われる予算がありましたら、経費が含まれておりましたら、ぜひ遠慮なく御指摘をいただきたいと思います。それらを通じて、本当に必要最小限の管理運営費にとどまるように努めたいと思います。