<農業問題について>
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元気な鳥取県をつくるために、農業問題についてお伺いします。
我が国は農耕民族であり、いにしえのころから日本の国を支えてきたのは農業です。そこで、この農業に関連して5点の問題についてお伺いします。
第1点は、片山知事が「紙と鉛筆で農業ができるか」と大胆な発言で見直しを迫られた鳥取県農業基本構想についてですが、どんな点にポイントを置いて、いつごろまでに見直しをされるのか、お伺いします。
また、構想案の段階でしたが、この農業基本構想は専業農家対策中心であり、ふえ続ける兼業農家対策が余りにも希薄であると思いますが、兼業農家対策についても盛り込まれていくのか、お伺いします。
第2点目は、中山間地等直接支払制度についてです。7月18日付で県下の各市町村に中山間地等直接支払制度に係る普通交付税措置について通知されたところですが、中身は各市町村に事前に説明されていた財源措置ではなく、200万円から400万円までの交付税を全市町村に配分となった経過はなぜでしょうか。町村の中には、3,800万円余り交付税措置されるはずが、交付税はわずか400万円で、町村持ち出しの財源が当初を3,400万円余り上回る町村もありますが、この財源補てんは特別交付税ということでしたが、本当に大丈夫なのか、お伺いします。
なお、中山間地域に該当しない市町村へ措置された交付税は返還を求められるのか、それとももらい得なのか、お伺いします。
第3点目は、スイカを初めとする農産物の価格補償制度のあり方についてです。今の農産物の流通制度では、産地で幾らおいしい果物ができても、幾らみずみずしい野菜ができても、消費地の天候を初め他産地のできいかんで、超高値もあれば大暴落もあります。そこで、農家の皆さんの安定的な生活を支える制度として農産物の価格補償制度があると理解をしているわけですが、本当に今の価格補償制度が十分にその役目を果たしているのでしょうか、片山知事の御所見をお伺いします。
第4点目は、平成14年度に県畜産試験場と県中小家畜試験場の2つの畜産試験研究機関が県畜産試験場へ統合すると昨年の暮れに発表されましたが、基本計画をいつごろまでに作成され、統合が予定されている平成14年度までに施設整備を完了される予定なのか、お伺いいたします。
第5点目は、埋設農薬の安全性についてです。昭和45年、本県産のキュウリから基準を上回る残留農薬が検出されたことから、昭和46年から47年にかけて回収した農薬249トンを県内の45カ所に埋設処分されたわけですが、埋設後20年が経過し、水質基準の強化や環境問題に関する関心の高まりの中で、平成7年度から順次掘削回収が進められてきているところです。昨年度までで90.1トン回収され、残りが159.4トンであり、今年度回収が終われば、あとは建物の下とか道路の下とか掘削が困難なところばかりですが、掘削が困難な場所における農薬の回収については、県として今後の対応をどうされていくのか、お伺いします。
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●知事答弁 |
農業・農村活性化構想の見直しについてです。
特に兼業農家にもっと光を当てよということで、これは私も同感です。私も兼業農家に生まれた者の一人です。もちろんこれからの農業をその地域の中核として専業農家の方に頑張っていただきたいということは当然であると思います。農水省なんかの施策を見てみますと、これからは中核農家を中心に農業を進めて、兼業農家は農水省の政策の中ではどちらかというとわきに押しやられたようなところがある印象を私も受けておりますが、しかし、現在、本県もそうですが、農地をかなりの部分を守っているのは兼業農家で、その兼業農家のことを抜きにして、わきに追いやって、これからの農業・農村を語るというのは難しいだろうとは思うのです。
ですから、農水省の政策は政策として、我々は専業であるとか兼業であるとかを問わず、今農業に従事されておられる方々の意向を酌んで、その方々がどうやって元気を出して農業を続けていただけるか、農地を守り、農村を支えていただけるか、そういう観点で新しいこれからの鳥取県の農業の方策というものを考えていきたい。今そのために職員が中心になりまして、現地に出向いて、農業をされている方の生の声、集落の意向、要望などを把握しているところで、これをまとめて、名前は後で決めますが、鳥取県農業農村新生プランとでもつけると思うのですけれども、そういうものに仕立てていきたいと考えております。
いわゆる直接支払制度の交付税措置がでたらめではないかという御指摘ですが、そのとおりです。私も交付税の配分が決まったのを見てびっくりしたのです。これだけ鳴り物入りででき上がった直接支払制度、本当に大きな事業で、みんなが注目している事業です。しかも、これを執行するのは農業県、しかも、町村で言いますと都市部ではなくて郡部で比較的財政力の弱いところが対象になるわけです。ところが、鳥取県でも一番ひどいところは日南町で3,400〜3,500万円ほど穴があく。こういうような財源手当てになるというのは、いかにも大ざっぱ過ぎてずさんだと思います。こういう大きな大切な事業については、もう少しきめ細かく財政措置をやっていただきたいと思います。
そこで、私もすぐに自治省に行きまして財政局長に会って、こういうことでは直接支払制度はもちませんよ、という話を率直にいたしました。とりあえず来年度からは普通交付税の算定方法を変えるということになると思います。そういうことを約束されておりました。きめ細かく配分されるように算定方法を変える。しかし、ことしの普通交付税はもう算定は終わっていますから、当時どうにもならないということでしたから、ことしは特別交付税でその過不足というか、不足分を調整するということになります。特に町村分の特別交付税は知事配分ですから県が決めますので、私が責任を持って、先ほどの日南町の例などは不足が生じないようにしたいと思います。市分は自治省で決めますので、倉吉などが対象になると思いますが、不足のないように、ちゃんと注意をしておきたいと思います。
もらい得のところはそのままかということですが、これはまだ方針は決まっておりませんが、特別交付税で普通交付税の過不足を調整するということはあり得ることです。可能です。やろうと思えば可能です。自治省の意見も聞いてみたいと思います。その上で判断をしたいと思います。
農産物の価格補障制度ですが、農家の方が安心をして農業に取り組めるようにすることは本当に重要なことです。そのことが、今必要な後継者を確保することにも恐らくつながるのだろうと思います。現行の農産物の価格補償制度はいろいろありますけれども、現行の制度には不十分な面も見られることは確かだろうと思います。検討の余地はいろいろあると思います。詳細は農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
次に、畜産試験場の施設整備ですが、現在、畜産試験場の整備については農水部がまず部内で基本計画の案をまとめておりまして、今庁内内部で事務的に検討しているところです。なるべく早く庁内での成案がまとまりましたら、それを公表して、それに対して意見を伺うということもしたいと思います。その上で、今年度中には基本設計に着手をしたい、こう考えております。
順次整備をしていきますが、平成14年度、畜産試験場と中小家畜試験場が統合するということになっておりますが、この14年度までにすべての施設整備が完了するというわけではないと思います。統合した後も、順次必要な施設整備を計画的に行っていくということになろうかと思います。
埋設農薬の回収につきましては、農林水産部長からお答えをいたします。
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●農林水産部長答弁 |
農産物の価格補償制度についてお答えいたします。
この制度は、国民の食生活にとりまして必要な野菜の再生産を促すという制度で、大根、ネギ、キャベツなど、こういう重要な野菜につきましては指定野菜、ブロッコリー、ラッキョウ、メロンなどそれに準ずる野菜につきましては特定野菜に指定して、市場における価格の下落時に価格補償をするという制度です。
その指定野菜ですが、いわゆる補てん率が90%とかなり高いことから、一定の所得も確保されるということで、おおむね役目を果たしておるかなと考えているところですが、特定野菜の方は指定野菜に比べて補償基準、補てん率ともに低うございます。80%ということになっております。そこで、私どもは今年の8月にも、指定野菜と同等の補償基準になるようにという要請を国に行ったところです。
なお、国では、現在対策研究会を設置して、制度全体の見直しについて検討されるというふうに聞いておりまして、その結果に注目しているところです。
次に、もう1点、埋設農薬の回収についてのお尋ねがございました。
これは御案内のとおりです。平成6年以来、昨年までに24カ所、91.1トンを回収して、今年度も4カ所、7トンを回収する予定にしております。これをしますと、現状で回収が可能な、いわゆるAランクというランクをつけておりますが、これはすべて回収を終えることになります。もとより45カ所全部を回収するのが原則ですが、埋設箇所の上に建物があるとか埋設地が非常に深いというようなことで回収が困難な、いわゆるB、Cランクというのがございます。これについては、今後開発行為が行われる際に、あわせて回収するということにしております。
未回収の箇所ですが、その場所については、専門家会議の助言により、平成7年度以来、年2回の水質調査を実施しており、現在までのところ一度も問題があったことはございません。今後も引き続き定期的な水質調査を行い、環境への影響調査に努めるとともに、随時開発行為等が行われるかどうか確認をしてまいりたいと考えております。
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<農業問題について>No.2
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農業・農村活性化構想について伺います。
私は、今の農政は基本的に江戸時代と全く変わっていないと思います。生かさず殺さず、取れるだけ取るといったように、確かに国の方針で田畑は圃場整備され、農道は舗装され、利便性は格段によくなりました。農作業の環境利便は格段によくなったものの、農家の所得は他産業と同じように上がっていったのでしょうか。農家にとって華やかな時代は、昭和30年代から40年代中ごろまでであったように思います。結局、専業農家で食べれるのはわずかであり、大半は兼業農家にならざるを得なかったと思います。この兼業農家も、外で働いて圃場整備の負担金、農道の負担金、金を払い続けているのが現状です。耕作放棄地が問題となっていますが、大半の兼業農家は、もうからないからつくらないのです。かえってつくればつくるほど赤字になるのです。もうかればつくる人もふえるはずです。レジャーで農業をしなさいというのも酷な話です。見直しをされる鳥取県農業・農村活性化構想では、ぜひ兼業農家対策を漠然としたものでなく、兼業農家の視点に立って明確に示していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
農業で兼業農家をもっと重視すべきではないかというのは、先ほど申し上げましたとおり、私は全く同感です。今までの農林水産省の方針、それを受けた県の物の考え方というのも、私は、どうもちょっと現場の実態からずれているのではないかという感覚がありました。といいますのは、何を見ても中核農家の育成ということで、農地も農業の機能も専業農家に集中してしまおうというような考え方であったという印象を受けております。
確かに理想論としては、これからの我が国の農業を効率的に、コストを下げて国際競争力を身につけて生産するということになりますと、そういう形態がふさわしいのでしょうが、今々それが現実のものになるかというと、私はかなり無理があるだろうと思います。現実には、我が国の農業のかなりの部分は兼業農家によって支えられておりますし、今、兼業農家を抜きにしては農地の維持もできない実態にあると思います。そういう意味で言えば、政府も兼業農家というものにもう少し光を当ててもいいのではないかというのは、私はかねてより考え、思っておりました。
今回、せっかくの機会です。せっかくの機会といいますのは、既に進んでいた農業・農村活性化構想を見直しして、やり直そうということを今本県ではやっておりますので、その見直しの中では、農水省の考え方ではなくて、鳥取県の農村の実態に合ったプランをつくりたいと考えております。そうしますと、必然的に兼業農家というものに光を当てて、もっとこれを重視するということになると思います。
今そういうことで現場に出て農家の御意見を伺い、地域の皆さんの意向も伺いながら、それぞれの地域が活力を持つためにはどうすればいいのか、鳥取県の農業をこれから生き生きさせるにはどうすればいいのかという農業・農村新生プランをつくりつつありますので、その中で当然兼業農家の問題を位置づけたいと思っております。
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<農業問題について>No.3
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中山間地等直接支払制度について伺います。
54年度以来、我が国の農業は減反政策として、つくらない農業への措置を中心として多くの離農者をつくり、耕作放棄地をつくってまいりました。こうした中にあって、私としては中山間地等直接支払制度自体、つくる農業への一つの措置対策として評価をしています。しかし、このたびの交付税配分には、いかなる理由があるにせよ、多くの市町村は落胆の色を隠せません。交付税が減額されたことにより、どの程度の市町村で中山間地等直接支払制度を見直した町村があるのか、お尋ねします。
いずれにせよ、市町村にとっては厳しい財政状況の折、特別交付税で対応するとか何とか財源確保に全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。この中山間地等直接支払制度の対象地域は、特定農山村法、山村振興法、過疎法の3法に指定されている地域と知事の特認基準地域の農地となっております。現実的には、3法指定地域であっても、だれが見てもこれが該当するかなという地区や、以前の行政用語で言いますと辺地に指定されていたところなどは、まさに中山間地等直接支払制度の対象地域に指定した方がよいと思われるところがあるわけですが、現実離れしたこの対象地域を見直される考えはないのか、お尋ねします。
また、私としては、耕作放棄地解消に向けたこうした制度の充実も不可欠であると思いますが、村を残すために、中山間地域にあっては、住居の建てかえにあっては農業振興地域内であっても一定の基準をつくり、規制の緩和をすべきと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
こうした対策をしないと、幾ら中山間地等直接支払制度があったとしても、住む人がいないと結果的には優良農地の耕作放棄につながると思いますが、いかがなものでしょうか。
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●知事答弁 |
このたびの直接支払制度で、交付税措置が非常に大ざっぱできめ細かくなかったことによって、その取り組みを見直した市町村があるのかということですが、これにつきましては農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
その直接支払制度の対象地域で、現実離れしたところがあるという御指摘がありましたが、一応国の基準がまずありまして、それには当面従わなければいけない。その国の基準をはみ出したところで知事の特認がありますので、そこは知事が一定の裁量のもとに基準を定めることができるということで、鳥取県の基準も定めております。その基準によって今回適用したわけで、さまざまな事情のある地域を一定の基準でくくってしまいますから、当然ちょっと実情に合わないなというところも出てくるかもしれません。それらはこれから手直しをしていけばいいと私は考えております。特に知事の特認地域については、ある程度の裁量の中で決められますから、実態に合うように手直しをすることに決してやぶさかではありません。
したがって、伊藤議員がおっしゃられた現実離れしているところというのを、もう少し、例えば具体的にどことどこ、どこが入っているのはおかしくて、どこは入れないとバランスがとれないではないかというような事例がありましたら、ぜひ積極的に具体的に教えていただきたいと思います。それらを見ながら、鳥取県の特認の基準も見直したいと思いますし、必要がありましたら農水省の方の基準の見直しについても要望したいと考えております。
農業振興地域制度の運用として、農地転用許可を中山間地の実態に合わせて緩和といいますか、運用をもっときめ細かくすべきではないかという御提言で、これも同感です。法律に制度があって、制度に基づいて運用しなければいけませんから、余りルーズになることはできませんけれども、しかし、運用に当たっては、可能な限り中山間地域の実情を踏まえた運用をしたいと考えております。
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●農林水産部長答弁 |
普通交付税が決まりましてから市町村の取り組みの見直しがあったかどうかということです。
普通交付税の措置の額が判明したのは7月の中旬でした。我々は直ちにそれを市町村にはお知らせしたわけですが、お知らせした後、大体10日ぐらい後、7月の末ごろに、市町村にどういう取り組みされますかという照会をしました。そのときにお聞きしたところ、4つの市と町で見直しを検討しておるという回答を受けたところでした。
ところが、その後、これは8月の2日付ですが、農水省の方から農水省と自治省との協議の状況という知らせがございました。つまり、先ほど知事も申し上げましたように、特別交付税の配慮あるいは来年以降の検討ということですが、それを直ちに市町村にお知らせしたところ、4つの市と町ともに、当初の方針どおり実施することにされて、したがって、結果的には見直しをされた市町村はなかったということです。
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<農業問題について>No.4 |
価格補償制度についてお伺いします。
農業の根本的な問題は、一生懸命家畜を飼ったり、すばらしい農産物を栽培しても、安定した収入が得られないところに問題があります。いつまでも3年や4年に1回もうかればよいという農業では、本当に後継者ができません。農業をするにもかなりの投資が必要であり、今専業農家は、もうかるか倒れるかの大変な時代でもあります。これまでのように価格補償制度はあっても全く意味のない制度では、農家の皆さんの生活が保障されません。今年のように天候に恵まれ、スイカが高値のときこそ、価格補償制度のありようについてしっかり農家の皆さんと協議し、名実とも農家の皆さんのための充実した制度に改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
スイカの価格補償制度の見直しということですが、私も伊藤議員のおっしゃられたことはほぼ同感です。農家の皆さんの収入が安定をするということが、産地の形成にとっても、農家の皆さんが安心をして仕事に取り組めることにとっても重要ですから、この際、農家の皆さん、関係の団体の皆さんの意見もよく聞きながら、この価格補償制度の見直しについて関係機関と協議をしたいと考えております。 |
<農業問題について>No.5 |
畜産試験場の整備についてお伺いします。
これからの畜産農家が生き残れるのは、においと家畜のふん尿の処理にあると思います。最新技術と低価格でできる循環型の施設整備を検討し、環境と共存できる施設整備をしていただきたいと思います。
また、中小家畜試験場と統合されるわけですが、試験研究機関だから当然防疫をする部分も必要でしょうが、すべてがサティアン的な施設でなくして、天気のよい休日には家族連れで小動物と触れ合いができる部分も検討されるべきであると御提言します。
さらに、2月県議会の中で花本議員から、5年に一度開催される第9回全国和牛能力共進会を平成19年度に鳥取県で開催したらどうかという提案がありましたが、県畜産試験場周辺には鳥取県中央家畜市場や農林水産省の家畜改良センターがあり、和牛能力共進会を開催する環境としては最高であると考えます。ぜひこの共進会を改築が計画されている県畜産試験場を核としながら開催されることを視野に入れ、畜産試験場の整備をされたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
畜産試験場のあり方についての御提言をいただきましたが、先ほど申しましたように、現在庁内で基本計画の案につきまして検討しているところですが、その中では当然本来の畜産試験場の任務、これについての機能をきちっと整えるということはもちろんですが、それ以外に、せっかくの畜産試験場ですから、この際、本来の任務から少し外れるかもしれませんが、畜産試験場を訪れていただいた方々に畜産に対して理解と関心を深めていただけるような場、家畜についての広い知識を学習する機会が与えられる場、そういう場というか施設についても、この際あわせて整備をしたらどうかという考えのもとに今基本計画案がつくられております。いずれ、先ほど申しましたように、その基本計画の案は公表して御意見を伺いますので、またその際に御意見がありましたら賜ればと思います。
その畜産試験場を整備するに当たっては、花本議員から提案のあった第9回全国和牛能力共進会の誘致についても視野に入れるべきではないかとおっしゃられましたが、この全国和牛能力共進会の誘致を行うということとあわせて、畜産試験場の整備に当たっても、共進会をぜひ開催したいということを視野に入れて整備を進めたいと考えております。
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<農業問題について>No.6 |
埋設農薬のことについてお伺いします。
鳥取県の場合、当時としては鳥取県農産物のイメージダウンを防ぐための最善の措置であったでしょうが、他県では、国の補助事業としてコンクリート製の貯蔵施設をつくり、埋蔵しているわけで、安全性も高いわけですが、鳥取県の場合、造成や構築物の下になり、埋設場所も特定できないところもあります。逆に、掘り起こし不可能な地域の方が安全性に大きな不安があると思います。
また、鳥取県の場合、掘削回収費が県、市町村、農業団体となっていますが、農薬の安全許可を出した国の負担が全くない。農薬取締法に関係のない市町村が負担するのは筋違いではないかと思いますが、片山知事の御所見をお伺いします。
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●知事答弁 |
確かに鳥取県の場合には、農薬の問題が提起されたときに、いち早く単独で県、市町村、経済連、農協が協力をして埋設をしたわけで、後発の県は、その後できた国の補助制度を使って、ある程度しっかりした埋設をやっているわけで、そういう面では後から取り組んだ方がよかったということになるのでしょうが、しかし、私はそうではなくて、やはり鳥取県の農業のことを考え、風評被害などのことを考えますと、当時鳥取県が国庫補助制度がなくても率先をして取り組んだということは、ほめられてしかるべきだろうと思います。財政負担の問題は別にして、私はよかったと思います。
その後、これは平成6年だったでしょうか、私は総務部長のときに埋設農薬の問題がもう一回出てまいりまして、当初に鳥取県が埋設をしたその埋設の仕方に不安がある箇所があるので点検をすべしということになり、急遽幾つか掘り出してみて、そして、掘れるものはできるだけ掘って回収していこうということにまた改めてなったわけです。
その際に、だれがこれを負担するのかということについては、いろんな議論がありました。当時の記憶を私もひもといておるのですが、埋めるときに県が2分の1、市町村が4分の1、経済連が4分の1という、そういうスキームでやったので、それと同じスキームでやればいいではないかと思っていたのですが、結果的にはいろんな関係機関の議論がありまして、掘る方は県が2分の1、市町村が3分の1、農協が6分の1ということになりました。出てきた農薬の最終処分については、全部県が処理をしましょう、県の責任、負担で処理をしましょうと、こういうことになったわけです。
おっしゃったように、国に農薬の許可とかの権限があって、市町村にはそれが全くない。にもかかわらず、市町村が負担をするのは筋違いではないかというのは、確かにそういう考え方もあろうかと思いますが、それを言い出しますと、県も半分出すのは筋違いなのです。みんなで国が出すべきだといって合唱しても、多分出してくれませんから、そうしますと、じっとしていて農薬の回収というものは行われなかったのだろうと思います。
しかし、鳥取県の環境のことを考え、県民の皆さんに対する不安を除去するために、みんなで協力をしてやろうということで、県も半分出し、市町村も幾ばくかを出し、農協も出すということで、そのときに相談をし、約束をしたわけで、これは先ほどの倉吉未来中心の話ではありませんけれども、やっぱり約束をしてみんなでやっていこうと言ったことは、守っていくのが信義則にかなうのではないかと思います。筋が違うからといってみんなが逃げ出してしまえば、何もできなくなってしまうわけで、今日までもこのスキームで、この負担割合で幾つかの市町村が取り組んでおられるわけで、残ったところも、このルールに基づいてやっていただくのが正しいことだと私は考えております。
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