平成12年9月定例会代表質問(平成12年9月22日)No.9

<漁業問題について>

 漁業問題について3点ばかりお伺いします。
 漁業を取り巻く環境は農業以上に深刻な状況にあると私は理解しております。特に沿岸漁業中心の我が県の漁業は農業以上に高齢化が進み、将来を考えると、おいしい魚がいつまで食べられるものだろうかと不安を覚えます。そうした中、このたびの補正予算及び条例で、漁業への新規就労者への漁船、漁具の貸し付け制度が新しく盛り込まれたことは大変意義あることだと思います。私自身、大きな期待と評価しております。
 まず第1点目として、片山知事になってから、何とか県内の水産振興を図ろうと、新たに水産振興局長を設置され、片山知事の水産行政に対する強い意欲は感じられますが、我が県における漁業の問題と課題をどう認識しておられるのか、片山知事の御所見をお伺いします。
 第2点目として、漁業の場合、年金制度にしても、農業者は公的年金であるのに対して、漁業者は全国共済水産業協同組合が事業主体の年金制度であり、同じ第1次産業でありながら、農業に比較して制度内容に格差があるように思いますが、こうした漁業者を取り巻く諸制度についての御所見をお伺いします。
 第3点目に、漁業に直接の関係はありませんが、漁港や港湾を共有している観点から、プレジャーボートの対策についてお伺いします。
 国は、港や河川での不法係留が問題となっているプレジャーボートの登録制度を来年度にも導入する方針を固めたと報道されましたが、県内のプレジャーボートの数を把握されているのでしょうか。国の計画では、自動車と同様に登録番号を明示するとともに、車庫証明に当たる係留・保管場所確保の義務化を検討するとも言われております。しかし、県内には公共マリーナ等が境港、由良川、鳥取港だけしかなく、大半のプレジャーボートは港湾、河川に係留するしかありません。早急に公共マリーナの整備とかボートパークの設置など係留施設の整備が必要と考えますが、県としてはどのようにしてプレジャーボートの係留対策を進められるのか、片山知事の御所見をお伺いします。
 

●知事答弁
 本県の漁業の課題等ですが、本県は、かつて境港が日本一の漁獲量を誇った水産県でした。現在はそうではなくなっております。いろいろな問題を抱えておりまして、漁業就業者の方が減少しているとか、漁業就業者の方自身が高齢化しているというようなこともありますし、漁獲量が減っているとか、魚価が必ずしも芳しくない、いろんな問題がありますが、新規就労者を確保するとか、漁場を整備するとか、水産物の販売について支援をする、そういうことを通じてこれらの問題課題を克服をして、日本一とはいかないかもしれませんが、水産県としての地歩はぜひ確実なものにしたいと私は思っております。
 今回の補正予算でも、議会の一部の会派の方からの提案があったのですが、新規就業者への支援策を新たに予算の中に盛り込むようにしております。御審議いただきたいと思いますが、こういう新たに必要な施策は、これからも必要なものを積極的に取り上げていきたいと思っております。そういうことを通じて本県漁業を守り育て、そして雇用もしっかりと守っていきたい、そう考えているところです。
 漁業者の年金の問題につきましては、農林水産部長から御答弁申し上げます。
 プレジャーボートの対策は、土木部長の方から御答弁申し上げます。
●水産振興局長答弁

 議員御指摘のとおり、漁業者年金は全国共済水産業協同組合連合会が実施します共済事業としての年金制度で、農業の農業者年金のような公的な年金制度ではございません。
 ただ、一方、現在農業者年金を含みます公的年金制度について国の方で大幅な見直しが行われているようで、農業者年金については農業者年金基本法の改正案が、きのうから始まりました今臨時国会に提出される予定であると聞いているところですが、いずれにしても、我々としては、漁業者の方々の生の声、意見をよく聞いた上で、年金を含む利用者の方々を取り巻く諸制度について、利用経営の観点から研究させていただきたいと考えているところです。

●土木部長答弁
 プレジャーボート対策についてお答えします。
 まず、県内のプレジャーボート全体の隻数ですけれども、これは把握してございません。ただし、不法係留の実態の方は調べておりまして、県内全体で約490隻を把握しております。
 対策の方ですけれども、現在県下で最も不法係留が多いのは鳥取市の湖山川周辺ですけれども、今年度、県と鳥取市が共同で小型艇の収容施設調査会を設置して、係留状況の実態調査、ボートパークの整備手法等の検討を進めております。
 今後、関係者から成る協議会を設置して、ここで検討したいと考えております。地域住民の方々、プレジャーボートの利用者の方にも入っていただきたいと思いますけれども、そこで保管施設のあり方及び不法係留船の撤去計画を作成して、不法係留の解消を図りたいと考えております。 一方、漁港の方でも、総合的な漁村振興の観点から、地元の市町村、漁業組合等と連携を図り、釣り客やプレジャーボート等を積極的に受け入れるための施設整備を進めたいということです。