平成17年9月定例会代表質問(平成17年9月26日)No.10
<ため池について> |
県内には大小 1,200カ所余りのため池がありますが、明治や大正時代に整備されたものが多く、老朽化したものが数多くあります。県でも現在、地震等を想定して、ため池の点検が行われているところですが、国の転作施策などもあり、水田の耕作放棄地はふえる一方で、ため池の受益面積、受益農家が減少する中、通常のため池管理すらおぼつかない現状です。 私の地区には大小3つのため池があり、地区の水利組合で管理をしております。以前、これらのため池より上流にある私有林や財産区有林を伐採されるときには、その下流にある私たちの水利組合に、断りといいますか、了解を得る旨が暗黙のルールとしてありました。ところが近年、ため池上流の山が松くい虫などにより荒廃が進み、山自体の保水力がなくなり、雨が降れば短時間で出水するなど、近年の異常気象の中で集中豪雨に対する危機感が急激に増してきました。例年、水田に用水を供給し終わった秋は、ため池の底にたまったヘドロを流して、冬前に斜樋等を閉じながら水をためていくわけですが、この時期はまだ斜樋を一本も閉じていないのに洪水ばけを超え、まさにオーバーフローさえ心配される状況でした。 結果的には、1週間後に上陸した台風が進路を変更したため大事には至らなかったわけですが、大きな教訓を残してくれました。逆に、ため池が洪水防止機能を果たしたため、下流の用水路や水田を災害から守ったのではないかと思うのです。つまり、ため池がつくられた当時と現在では、ため池上流の山の形態が大きく変化してきたということです。 したがって、今日のように異常気象が続く中、ため池の堤の管理や強化だけでは、ため池による災害の発生は防ぐことはできないと思います。防災の観点からも、ため池の貯水量と上流の状況をきちんと把握して、ため池の防災マニュアルのようなものが必要ではないかと思いますが、知事の所見を求めます。 |
●知事答弁 |
ため池の問題ですけれども、ため池を防災上もっとちゃんと管理をするためにマニュアルも必要なのではないかということですが、ため池の問題というのは、県の問題というよりは、地元の問題だろうと思います。それぞれの地元の皆さんと、あとは市町村の皆さんとで、これをどういうふうに管理していくかということをお決めになるべき分野だと思っております。 これにつきましても、農林水産部長の方から補足答弁申し上げます。 |
●河原農林水産部長答弁 |
ため池の防災マニュアルです。 県の地域防災計画というのがありますけれども、これのため池部分には、ため池の維持管理要領というのが定められております。平常時の管理ですとか非常時の対策等、これが定められております。したがいまして、これを参考にしていただき、地域や市町村が一体となって地域の実情を反映した防災マニュアルをつくっていただくことが望ましいと考えておるところです。 |
<ため池について>No.2 |
私のところもため池が3つあります。大きなのが4万 5,000トンぐらいのため池なのですけれども、過去に決壊して、下流の集落を流した経過があります。私どもも下流にJRとか国道が走っておりますので、もしそういう事態が生じたときには巻き込むという危険性も含んでおります。 それで、今、ため池の機能として、本来の水田への用水確保ということ以外に、洪水防止機能をまさに兼ねていると思っております。県下でもこのようなため池はたくさんあるわけですけれども、先ほどありましたように、もっと真剣に、ため池とその上流との関係を考えなければいけない。ため池の堤だけの強度とかそういうものでなくて、やはり上流との関係。要するに今はほとんど木がありませんから、ため池があっても、ため池で上流の水を一時的にストックできる、そんな状況にないと思うのです。したがって、そういう部分を含めて、防災の観点から検討していただきたいと思うのです。 |
●知事答弁 |
これも午前中、御答弁申し上げましたように、随所にありますため池については、やはりこれは地元がちゃんとした責任を持って管理をするということだと思います。その際に、上流の山林が従来と違うということ、そういう変動要因があるということでしたら、必要に応じて県も技術的支援なども、それは行い得ると思いますけれども、やはり基本はそれぞれの地元ないし、それを包括する市町村の方で管理体制をつくっていただくことしかないと思います。 |