平成17年9月定例会代表質問(平成17年9月26日)No.9

<限界集落について>

 
 6月県議会において伊藤美都夫議員から限界集落について質問がありました。この質問を聞いて、こんな調査があったのかと初めて知りました。そこでよく調べてみると、この限界集落の調査は平成2年から5年置きに、これまで3回実施され、ことしが4回目の調査の年です。
 そもそも、この限界集落の定義ですが、65歳以上が集落人口の半数以上を占め、高齢化で集落自治の機能が低下して、共同生活、社会的な生活を維持することが困難な集落と、ある大学教授は定義をしております。
 急激に中山間地域における過疎が進む中、当然、極めて重要な調査であり、調査目的も中山間集落の実態を適正にとらえ、中山間地域の活性化方策を検討するためとして実施されています。まさに喫緊の課題として、県下の市町村もその対策に悩んでいた時期であったにもかかわらず、なぜ今日までこの調査が生かされなかったのか、大きな疑問と怒りを覚えました。
 この調査の結果、現実に限界集落の存在も判明したし、将来、限界集落になることが予想される集落も確認されていたのにもかかわらず、調査の結果が施策として反映されなかったのはなぜなのか、どこに問題があったのか、知事にお伺いします。ことしが4回目の調査の年に当たるわけですが、今後の調査についてどうされていかれるのか、あわせてお伺いします。 
 

●知事答弁

 
 限界集落の調査をやってきていたけれども、調査結果が反映されていないのではないかということですが、先般、伊藤美都夫議員の方からこの御質問があったわけですが、私は県の調査は県の施策にはそれなりに生かされていると思っているのです。ただ、本当はこの調査というのは、県がどういう施策をこれからやっていこうかということだけを目的にしてやったわけではなくて、もちろん県の施策にも生かすという目的はありますけれども、本当は調査を通じて、集落の皆さん自体に発奮していただきたい、問題とか課題を改めて認識をしていただきたい、加えて、集落を包含する市町村が自分自身の問題として今後の集落のあり方というものを真剣に考えてほしいという、こういうねらいがあったわけです。その点で、集落の方がその調査をきっかけにして非常に元気になったというところももちろんあります。ただ、総じて市町村の方が集落の調査結果を自分自身の問題として、その後の施策に生かしていただけたかどうか、この点はかなり濃淡があるわけで、濃淡というよりは、淡の方が多いのだと思いますけれども、そういう点で少し不十分であったということは否めないのだろうと思います。

 この調査についての今後の問題も含めまして企画部長の方から御答弁申し上げます

●上場企画部長答弁

 平成2年度に行っております山間奥地集落調査、これは当時、私が農政課で担当したものですから、ちょっとその経過をお話をしますと、当時、ガット・ウルグアイ・ラウンドの決着前で、農政の帰趨が大変不安な時期でした。また、水田農業確立対策ということで、大変たくさんの転作が割り当てになっておりました。そういうことで、国府町の町長さんの御紹介で、国府町の雨滝集落で私が出向いて、町の担当者の方と集落の方と意見交換を行いました。そうしたら、圃場はほとんど未整備で、トラクターはもちろん入れませんが、脱穀機を担いでいくというような圃場条件。それから、冬になりますと、お年寄りの方は町に出られて、町で暮らされて、春になると帰っていかれるという状況。小・中学校はいいけれども、高校に通学ができないという悩み、そういうことをお聞きして、はてさて、県内のほかの集落はどうなっているのだろうかという問題意識を持ちました。
 そこで市町村や普及所に尋ねましたけれども、1つの谷筋に村が4つ5つありまして、入り口のところにはブドウだったりナシだったり、何かの特産物がありますので普及員も行きますが、一番奥の集落にはだれも出向いていない、だれも様子がわからないということでした。したがいまして、言葉は悪いかもしれませんが、どん詰まり集落と名をつけて、地図に丸をつけ、至急に普及所の方に出向かせたわけです。数えたところ、それが 114ありました。
 調査内容は、私が国府町の公民館で聞き取りをした項目をそのまま調査項目にして、県内の実情を調べたわけです。その結果は国の方にもいろいろな要望として伝えたわけですが、当時、余り行われたことのなかった調査でしたので、かなり珍しがって参考にしていただいたような記憶があります。
 その後、5年置きに後輩がフォローアップの調査をしておりまして、これらの調査結果は県のうるおいのある村づくり事業ですとか、その後の中山間地域活性化交付金ですとか、施策に反映されたものと思っております。また、国の方でも、中山間地の直接支払いの制度ですとか、いろいろな制度に結びついたのではないかと思っております。 なお、市町村の方にもこの調査結果は伝えておりますけれども、市町村の取り組みはまだら模様であったかと思います。今年度、調査のフォローをすることにしておりますが、現在、予備調査をしておりまして、来年度、鳥取総研TORCと本格的な調査を実施したいと思っております。中身は、市町村との役割分担あるいはNPOの皆さんとの協働の視点、コミュニティービジネスへ民間から新規参入が可能かどうか、そういう自立へ向けた新しいテーマを設定して調査をしてみたいと考えているところです。