平成17年9月定例会代表質問(平成17年9月26日)No.12

<林業について>


 1次産業の中で、まさに今、夢がないのは林業であると言わざるを得ません。その一番大きな原因は価格の低迷であり、林業では生活が成り立たないことです。
 21世紀のキーワードは環境であり、その大きな役割は森林が担っているわけですが、片山県政でも環境が施策の大きな柱の1つでもあります。
 平成12年1月、県行政監査室は、将来、膨大な赤字が出るとして、鳥取県造林公社の経営計画の見直しを指摘、いろいろな議論の末、平成17年度から造林公社としては新規の植栽を中止することになりました。これまで個人有の山であっても植栽、枝おろし、間伐等の管理ができないことから、水源涵養保安林の伐開跡地については、緑資源機構が年間 100ヘクタール、鳥取県造林公社が 100ヘクタールから 120ヘクタールを分収林事業として植栽を行ってきましたが、平成17年度から鳥取県造林公社が新規の植栽をしないということから、植栽されずに荒廃している山があるとお聞きしますが、鳥取県造林公社が引き受けていた部分の造林を県としてはどういう形でどういう計画で進められていくのか、知事にお尋ねします。
 また、30年後の話になりますが、公社造林の木を切った後、どうするかが問題です。伐採した山が保安林だとすると、木を切った翌年から2年間の間に新たなる植栽が義務づけられており、伐採後の植栽のあり方についてはどう対応されるのか、ベクトルを変えられた知事としての考えをお伺いします。
 

●知事答弁
 
 造林公社の問題ですが、造林公社が新規造林をやめたことに伴って、いろいろな問題があるのではないかということですけれども、これの経緯は御承知と思いますけれども、本来、森林の整備、植林を行うということは、それぞれの森林所有者の責務といいますか、役割なのです。これは当然、私有財産をどういうふうに運用するかという問題ですから。ただ、日本は戦後、これを国策として、隅々まで森林に植林をしていこうという方針を決めたわけです。これは国策でした。もちろん山林所有者の植林を促すということもやってきておりましたけれども、それをもっとピッチを速めて植林を進めるために、全国各県に造林公社のようなものをつくったわけです。そこで借金をして、それで植林を進めていくということをやったわけです。ところが、その後の経済情勢の変化により、今、全国のほとんどというか、すべての造林公社は経営破綻に陥っておりまして、我が鳥取県造林公社も例外ではないわけです。
 これをどうするかということです。これまで同様に植林を続けていくということになりますと、この破綻をどんどん進めるということになるわけですし、では、その破綻処理はだれが責任を持ってやりますかということになるわけです。ではすべて、これからどんどんつぎ込むものも全部税金で後で処理しますかということについては、到底これは納税者の皆さんの合意は恐らく形成できないだろうと思います。やはりどこかで破綻しないように、また破綻するにしても傷を大きくしないようにという、これが全国の今の造林公社に求められているのだろうと思います。
 そこで鳥取県では、数年前に造林公社の将来見通しを立てて、新たな植林はもうやめようと。ただし、既存の植林をした森林については、これを整備していこうということにしたわけです。したがって、今後は基本に戻って、植林というのは山林所有者の選択によって進められることになるということです。そうなると当然、植林の規模、面積もぐっと減ってくると思います。けれども、これはしようがないと私は思います。それを無理して造林公社を使って、どんどん植林を進めるということになりますと財政破綻になるし、それを避けようと思ったら、やはり無理のない、背伸びをしない森林整備ということにならざるを得ないのではないかと思っております。
 この造林公社の問題につきまして、補足を農林水産部長の方から申し上げます
造林公社が30年後に木を切ったときに、木を切った後、また植林をしなければいけないのではないかと、これをどう考えるのだということでありますが、今から30年後がどうなっているか、ちょっと予測は不可能という面も1つはあります。ただ、1つ言えることは、従来のように満期になったら一括伐採というようなやり方以外の方策が考えられるべきではないだろうかと思っております。その辺の詳細につきましても、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
●河原農林水産部長答弁
  
 造林公社の新規造林の廃止についてです。
 補足する点は余りなかったかと思いますが、1点だけ補足をさせていただきたいと思います。今後の植林等の森林整備についてですけれども、知事答弁にありましたように、森林所有者の責任で補助制度を活用して植林等を行っていただきたいと考えているわけですが、さりとて、実質的に破綻した分収造林方式にかわる新たな森林整備手法も必要であると考えているところで、32都道府県で構成されます森林県連合を通じて、国に新たな森林整備の手法を検討していただくようにお願いをしているところです。
 次に、保安林に指定されている公社造林地の伐採後の対応策についてです。
 これは知事答弁と重なりますが、公社造林が伐期を迎える30年後の推測というのはほとんど難しくて困難であると考えております。現在の木材価格で試算をしてみた場合に、伐採後の植栽費用というのは賄えないのではないかと考えておりまして、2年以内の植栽が義務づけられております保安林においては、一度に全面を伐採する、皆伐といいますけれども、これは困難だろうと思っているところです。
 造林公社より早く伐期が来ております、それ以前の県行造林の対応について、若干紹介をさせていただきたいと思います。県行造林においては、伐期が来た時点で、現在の市場価格により立木評価を行い、その結果によって3通りの方法で対応しております。
 1つ目は、松の造林地などが多いですけれども、収益が得られない、こういった場合には、土地の所有者へ現状のまま無償譲渡をするという対応をとっております。2番目に、収益が得られる場合には、伐採して収益を分配することが基本ですけれども、伐採収入が少なく、植栽費用が賄えない、こんな場合には、土地所有者と話し合いをして、伐採せずにすべて10年間の期間延長をするという対応をとっております。それから、現時点では収益がない場合ですけれども、これは杉やヒノキの場合に時々あるわけですけれども、収穫量の増加や材価の上昇によって将来的には収益が見込まれる、こんな場合につきましても、土地所有者と協議の上、10年間の期間延長をしているということです。いずれにしましても、伐採跡地の植栽については全国的な課題であり、国にも抜本的な対策を要請しているところです。