平成17年9月定例会代表質問(平成17年9月26日)No.14

<漁業問題について>

 
 漁業の操業区域の問題、密猟対策の問題について、この議場で議論したところですが、片山知事には、長年にわたりなおざりにされていた問題を正面からとらえていただき、素早いその対応には高い評価と感謝を申し上げたいと思います。
 ことしはマグロの豊漁で、境港は随分にぎわいましたが、近年、燃料と資材の急激な高騰と魚価の低迷、ノロウイルス、赤潮、さらにはエチゼンクラゲなどで、漁業の皆さんの生活は大変厳しい状況下にあります。特に漁業は、第1次産業の中でも自然に影響される部分が多く、幾ら高い技術があっても、海が荒れていてはどうしようもない部分が多くあります。今後の鳥取県の漁業のあり方について知事の御所見をお伺いします。
 県内には魚が水揚げされる港が20カ所あります。これらの港では、荷揚げ場や市場の清掃を含め、大量の海水が使用されているわけですが、くみ上げられている海水は大半が流れのない港湾内の海水です。鮮魚を取り扱う環境としては、余り好ましくない状態であると思うのです。
 このような現状の中で、鳥取県どれの魚をブランド化するためには、より衛生的な環境のもとで出荷することが重要であると思います。そのためには、滅菌海水施設の整備を促進することが必要ではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 8月下旬の赤潮で、湯梨浜町から鳥取市青谷町にかけての海岸では、アワビやサザエなどの魚介類に大きな被害が発生しました。特にアワビやサザエなどの貝類は全滅状態で、自然回復を待っていては漁業者の皆さんの生活は大変な状況になってしまいます。
 県の栽培漁業センターで生産中の稚貝を緊急対策として全滅した海域に放流するとともに、それでも足らないでしょうから、他県から稚貝や親貝を購入してでも放流することが必要ではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。

●知事答弁
 
 本県の漁業のあり方ですけれども、先般来、漁業についてはいろいろな問題があります。マグロが豊漁だったという非常に喜ばしいニュースもあれば、赤潮の発生で大きな打撃を受けたという悪いニュースもあるわけです。漁業というのは大自然を相手にする産業ですので、しょせん人間の思いどおりにはならないということ、これはよく観念しておかなければいけないことだと思います。決して工場で生産するように計画的にスムーズに物事が進行するというものではない、当たり外れがあるということです。
 この自然を相手の当たり外れをいかに少なくするか。当たりは幾らあってもいいのですけれども、外れの方を少なくするかということ、これが1つの課題だろうと思います。そのためには、例えば資源管理をちゃんとする。これは乱獲をすることによって漁場を荒廃させてしまうということは外れになってしまうわけですので、資源管理をちゃんとやらなければいけない。しかし、そのためには大勢の客体、大勢の皆さんがちゃんと協力をするという、秩序を守るという、その英知も必要になるわけですけれども、それも含めた漁場管理、資源管理ということが必要になると思います。
 それと関連しますけれども、少ない資源でも高い収益を上げられるような技術といいますか、高付加価値型の産業に移行しなければいけないということも必要だろうと思います。
 海の生態系をちゃんと理解する、深い理解ということが必要だろうと思います。これまでその点で少し取り組みが少なかったのではないかという反省もあります。このたびの赤潮の発生を契機に、大学の関係者との間でもっとネットワークをつくって、生態系を研究して、もし手が打てるのであれば、もし手を打つことが可能であるのならば、その可能な範囲内で何らかの手を打っていくということも含めて、まさに産・官・学の連携で海の生態の研究もやらなければいけない。それが外れをできるだけ少なくすることにつながるのではないかと思います。
 あとは、これからも外れたときはどうしてもありますから、そのときの漁業者の皆さんの経営の安定化ということも1つの課題だろうと思います。これは漁業者の皆さんみずからがイニシアチブをとった保険制度の充実なども検討課題ではないかと思います。こんなことを自然相手の漁業、特に鳥取県漁業について考えております。
 鳥取県でとれた魚、水揚げされた魚をより安全な形で市場に送るために滅菌海水施設の整備が必要なのではないかということ、この問題につきましては、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
 赤潮の影響でアワビやサザエが壊滅的な打撃をこうむっているので、この際、栽培漁業センターが生産している稚貝などを緊急的に放流すべきではないかということですが、これは漁場の回復の一つの手法として検討に値する課題だろうとは思います。ただ、これを全部県の負担で漁場回復をやりなさい、県が生産している稚貝を放流しなさい、県がよそから買ってきて放流しなさいということにはならないのだろうと思います。一種の自然災害によるダメージをだれがどうやって補っていくかという問題になるわけですけれども、その際に全部県が面倒を見なさいという理屈はないのだろうと思います。
 例えばこれは農業の場合、台風の災害などで農業もかなり大きな打撃を受けますけれども、その際の農家の経営安定の施策というのはありますけれども、これは総じて低利ないし無利子の融資であって、県が全部補てんするなどということはないわけです。県に責任があって、県が赤潮を発生させたというのなら、これは損害賠償の世界になりますから、県が相当前面に出て回復しなければいけないということはありますけれども、県が何にも悪いことをしていないのに、県が全部県の金でやりなさいということにはならないわけです。その点はよく御理解いただきたいと思います。
 ただ、現状のままほうっておくと、あと数年間、漁場が荒れたままということも困りますので、何らかの手を打たなければいけない。そのときに、関係者の皆さんの協力とか負担も得て、どういう枠組みができるかということが、これからの当面の検討課題ではないかと思います。
●河原農林水産部長答弁
 
 滅菌海水施設の整備促進についてです。
 県では、市場や荷さばき場での衛生管理は必要だと認識しておりまして、平成14年度に県営境港市場で国の補助事業を活用して、滅菌海水施設を整備したところです。同じように、漁協等でも国の補助制度を活用して、一部整備が進められているところです。具体的には、淀江・御来屋漁港が既に整備済みですし、ことしは鳥取の西浜漁港で整備が予定をされているところです。
 安全・安心に対する消費者の関心が非常に高まっていますので、県としては、市場等の管理者の判断のもと、国の制度を活用して滅菌海水施設の整備に協力をしていきたいと考えているところです。
<漁業問題について>No.2

 
 滅菌海水施設につきましては国庫補助金もありますけれども、漁業関係者の皆さんだけでは整備費が非常に高くて、簡単に取り組めるものではありません。だからといって、市町村も支援できる財政状況にありませんし、しかし、消費者の皆さんに本当に安心していただける新鮮な魚を届けるというためにも、県としてもやはり支援策を講じながら、施設整備を年次的にする必要があると思いますけれども、知事の御所見をお伺いしたいと思います。

 また、県はヒラメを特産にしようと稚魚の放流を進めてきましたけれども、数年前から寄生虫により断念をせざるを得ませんでした。そこで、それにかわる魚種として、この日本海、鳥取県沿岸にですけれども生息して、非常に高値で取引されておりますオニオコゼ、これをヒラメにかわる特産として、もっともっと力を入れて種苗し、放流する計画を進めていかれたらと私は思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
 また、ワカメやノリにかわる海草の養殖として、鳥取県の特産といいますか、イシモズクがありますけれども、この養殖に取り組めないかと思っております。多分、非常に難しいいろいろな問題はあろうかと思いますけれども、私はこれが成功すれば、漁師の皆さんにとり非常に大きな収入に結びつくと思っておりますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
 

●知事答弁
 
 滅菌海水施設の整備問題につきまして、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。あわせて、オニオコゼの生産、放流の問題と、イシモズクの養殖につきましても、農林水産部長の方から御答弁申し上げます。
●河原農林水産部長答弁


 滅菌海水施設の整備支援策についてです。
 先ほども答弁させていただきましたように、滅菌海水施設の整備は、本県では国の補助金あるいは交付金によって、原則として市場開設者である漁協あるいは県が事業主体となり、整備を進めているところです。
 補助残の融資制度として漁業近代化資金、これは県が若干の利子補給をして低利にした資金ですけれども、これを設けておりますので、新たに県として支援策を講じることは困難ではないかなと思っているところです。
 オニオコゼの種苗の生産・放流についてです。オニオコゼにつきましては、岩美、泊、赤碕、美保地区などの漁業者の方から要望が強うございます。したがって、県としては平成15年度から栽培漁業センターで種苗生産の試験を開始しております。現在、5センチ程度の種苗ですけれども、年間約1万尾の生産が可能になっております。それで、現在、赤碕地区などで移動、成長を解明するための標識放流を実施中です。本年度、第5次の栽培漁業基本計画を策定中です。その中でも、オニオコゼを地域の重要資源と位置づけて、今後とも種苗の生産や放流試験を進める予定にしているところです。
 イシモズクの養殖です。
 お話にもありましたが、これまで50年代には新潟県、秋田県、それから平成13年には福井県という、幾つかの県がイシモズクの養殖技術の開発に取り組んでおりますが、種苗の付着技術、これが非常に難しいということで、単年から数年のうちに断念されております。
 お話にありましたように、イシモズクは食感が非常によくて、モズクに比べて非常に高値だということがありますので、可能性について福井県あたりによく話を聞きに行って、ぜひ検討してみたいと思っております。ただ、今までの入手している情報から見ますと、なかなか当面、養殖に向けた技術開発にかかれるというのは難しいのかなと思っているところです。

<漁業問題について>No.3
 
 イシモズクなどは種苗自体が非常に細かいですから、着床させるのが非常に難しいと思うのです。ですから、そういう難しい部分を栽培漁業センターだけで苦労されるのではなく、例えば県の産業技術センターなどがありますから、そういう他の産業との分野と連携をもっともっと深めて、栽培漁業とかいろいろな部分に生かしていかれたらと思っております。

 それと、例の赤潮の被害のところですけれども、もちろん私も県だけでしなさいと言っているわけではないのですけれども、本当に全滅的な被害でありますので、早急に、議場に偉い人がおられますけれども、県漁協の皆さんとしっかり対策を話をされて、早急な対応をお願いします。