平成17年9月定例会代表質問(平成17年9月26日)No.18

<JAとうはく問題について>

 次の質問は、基本的にJAとうはく自身が解決される問題であることは認識した上で質問させていただきます。
 私は、この問題を質問として取り上げるに当たっては、誤解や混乱が生じてもいけませんので随分悩みましたが、同じ農家の立場から、農協を育成指導、そして検査する立場にある知事にあえてお尋ねしたいと思います。
 昨年発生したJAとうはくの40億円小切手詐取事件は県内を震撼させましたが、実害がなくてほっとしたところです。しかし一方、この内部調査で粉飾決算が発覚し、ずさんな経営が浮き彫りになりました。
 こうした厳しい経営状況から、1口 1,000円の出資金を 800円に減らし、総額1億 4,000万円を組合員の出資者責任として損失補てんに充当するとともに、県内JAグループから6億 1,000万円の支援を受け、金融機関としての自己資本比率8%をぎりぎりで確保しました。
 JAとうはくは、農畜産物の出荷だけでなく、時代を先取りした高付加価値型農業に取り組み、出稼ぎを防ぐための雇用の場の確保、地域経済の核としてゴールなき拡大路線を進めてきました。しかし、バブル経済の崩壊、農畜産物の輸入自由化、農業後継者等の減少等、大きく社会情勢や環境が変化する中、全国のモデル農協とも言われていたJAとうはくの崩壊が始まったのです。
 その時代にあっては、それでよかったかもしれませんが、ゴールなき拡大路線を時代の変化の中で軌道修正できなかったことが崩壊への要因ではないかと思います。知事として、JAとうはくの現状についての認識並びに経営のどこに問題があったのか、お伺いします。
 先ほど申し上げたように、県には農業協同組合を育成、指導、検査する責任がありますが、私が考えますに、育成ばかり力が入り過ぎて、指導と検査がおろそかになったのではないでしょうか。結果として、粉飾決算が見抜けなかったことは、県の検査体制の不備が指摘されても仕方がないことで、県としても責任を逃れるわけにはいかないものと思います。粉飾決算をしなければならなかった経営の背景を見抜けなかったことについて、知事の御所見をお伺いします。
 今後の改革の推移によっては、組合員の皆さんに大きな影響が出るばかりか、鳥取県農政にとっても大きな混乱を招くことも予想されるわけで、県としては再建のあり方を含め、JAとうはくの将来をどんな方向に指導されようとしているのかお伺いします。
 
●知事答弁

 
 JAとうはくの問題ですが、現状をどう認識しているのか、それから経営が厳しくなった原因はどこにあるのかということですが、東伯町農協が経営上非常に厳しい状況にあるということは、私が申し上げるまでもないと思います。
 なぜそうなったのかということですが、いろいろな理由があると思いますけれども、1つは、やはり責任ある経営がなされていたのかどうか。いろいろな積極的な投資が行われておりますけれども、それを経営陣、組合員と言ってもいいかもしれませんが、将来をちゃんと見通してやってきたのかどうか、これは組合自身の問題として問われなければいけない問題だと思います。
 もう1つは、透明性、経営方針ですとか経営状況ですとか、そういうものが組合員の皆さんに対してきちんと透明化されていたかどうか、こういう問題もあるだろうと思います。まだほかにもあるかもしれませんけれども、2つの大きな問題としては透明性の問題と経営体制の問題があるのではないかとの印象を持っております。
 この東伯町農協でいわゆる粉飾決算があったことについて、なぜ見抜けなかったのか、見抜かなかった県の責任があるのではないかということですけれども、この種の行政の検査というのは、あくまでも外部から補完的に検査するものです。一番責任があるのは理事者といいますか、企業にしても組合にしてもそうですけれども、それぞれの役員の皆さんがきちんと経営責任を果たさなければいけない。同じく役員として監事という者が任命されているわけで、やはり監事が徹底的にチェックをしなければいけない。そこででき上がったものを行政として補完的にチェックをするという、そういうことです。
 それを関係者の皆さんが意図的に通謀して粉飾しておいて、それで見抜けなかった県が悪いのだと言われても、ちょっとぴんとこない。やはりそれは粉飾をした当事者の責任です。その点は行政がこの種の問題でいろいろな関与というのはあるのですけれども、そこが最終的に全面的なチェックの責任を帯びているという認識は、ぜひ改めていただきたい。それぞれの企業にしても団体にしても、一番の責任は、最終責任は、それぞれの企業の経営陣、そこの監査体制にあるということ、この認識を持っていただきたいと思います。
 JAとうはくがこれからどうやっていくべきかということですが、これは組合員の皆さんにとっては大変重大なことだと思うのです。ですから、組合員の皆さんが本当に真剣になって本気になって再建に取り組むということが必要だろうと思います。だれかがやってくれるだろうということでは済まない問題です。組合員の皆さんの組合ですから、組合員自身が本気になって取り組んでいただくべき問題だと思います。そういう組合自身の取り組みの状況ですとか、JA関係、他のJAの支援とか協力がどうなるのかというようなこともにらみながら、行政としてどういう支援ができるのかということをこれから検討すべきだと思います。

<JAとうはく問題について>No.2
 
 先ほど知事からも答弁いただきましたけれども、JAとうはくの組合員の皆さん方は、知事が思っておられる以上に大きな不安を抱いておられます。県としても補助事業の取り組みを後押しし、ゴールなき拡大路線に歯どめをかけられなかった責任は大きなものがあると私は思うわけです。農家の皆さんにこれ以上損害が拡大しないように最善の努力をしていただきたいということを私は意見として強くお願い申し上げたいと思います。